Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.
授業における「質問づくり」
導入の試み
質問に対する態度および批判的思考態度
の変化に焦点をあてて
○北風菜穂子(大東文化大学 文学部)
kitakaze@ic.daito.ac.jp
いとうたけひこ(和光大学 現代人間学部)
キーワード:質問...
問題と目的
「質問づくり(Question Formulation
Technique)」は学校やコミュニティにお
いて、「質問ができるようになる能力」と
「意思決定に効果的に参加するための
能力」を高めるためにRothstein &
Sant...
方法
• 調査期間:2016年9月〜2017年1月
• 調査対象者:首都圏にある大学において筆者が
担当している半期15回の講義「教育心理学概
論」の受講生を対象とした。
• 2016年度後期に履修登録した97名を対象として
データ収集を行った...
「質問づくり」のプロセス
Rothstein & Santana (2011)
1) 授業担当者による「質問の焦点」作成
2) ルールの提示と議論
3) 「質問の焦点」を基点とした小グループでの質
問づくり
4) 作成された質問をopened/...
各回の授業テーマと「質問の焦点」
授業テーマ 質問づくり 「質問の焦点」
1 批判的思考(1) 第1回 批判的思考の重要性
2 批判的思考(2)
3 MI:マルチプル・インテリジェンス(1) 第2回 MIを授業に活かす
4 MI:マルチプル・イ...
手続き
• 手続き:第1回と第15回の授業時にそれぞれ
事前、事後テストの質問紙を配布し、集団で
調査を実施した。
• 調査内容
1)質問に対する態度: 道田 (2011) が使用し
た質問態度に関する尺度5項目
2)批判的思考態度: 平山・楠...
質問態度尺度の項目内容
質問態度尺度
1 文章を読んだり話を聞くとき、よく疑問を感じる
2
疑問を感じたら、それを言葉で表現することができ
る
3
質問することで、自分の理解を深めることができる
と思う
4
適切な人に質問をすれば、満足な答えが...
批判的思考態度尺度 各因子の項目内容
因子 主な項目内容
1
論理的思考
への自覚
複雑な問題について順序立てて考えることが得意だ
考えをまとめることが得意だ など (13項目)
2 探究心
いろいろな考え方の人と接して多くのことを学びたい
生...
結果(1)
質問態度尺度評定値の前後変化
3.47
3.1
3.87
3.69
2.83
3.64
3.34
4.23 3.79
2.74
0
1
2
3
4
5
6
1 2 3 4 5
事前
事後
p <.10†
p <.001***
9
結果(2)
批判的思考態度尺度評定値の前後変化
35.81
34.17
24.53
10.59
37.21
34.61
24.59
10.91
0.00
5.00
10.00
15.00
20.00
25.00
30.00
35.00
40.0...
考察(1)
• 「質問づくり」を授業に導入する前後において、
受講生の質問に対する態度および批判的思考
態度の一部に肯定的な変化が示された。
• 「質問づくり」は“質問をつくること”を目的としたグ
ループ活動
• メンバーのつくった質問をきっか...
考察(2)
• 秋田 (2012) は協同学習の機能として「対等な関
係における学習喚起」「知識の定着・精緻化」「理
解の深化・発展」をあげている。
• 「質問づくり」の授業への導入は、受講生の授業
への参加動機を高めることや、メンバー間の相互...
文献
• 秋田 (2012)
• 平山・楠見 (2004)
• 道田泰司 2011 授業においてさまざまな質
問経験をすることが質問態度と質問力に及ぼす
効果 教育心理学研究, 59, 193-205.
• Rothstein, D. & Sa...
Upcoming SlideShare
Loading in …5
×

G290 北風菜穂子・いとうたけひこ (2018, 8月)  授業における「質問づくり」導入の試み:質問に対する態度および批判的思考態度の変化に焦点をあてて 日本応用心理学会第85回大会 2018年8月25日(土)~26日(日)大阪大学 人間科学研究科/人間科学部 吹田キャンパス 8月26日14:45-16:45 ポスター発表B-13

44 views

Published on

G290 北風菜穂子・いとうたけひこ (2018, 8月)  授業における「質問づくり」導入の試み:質問に対する態度および批判的思考態度の変化に焦点をあてて 日本応用心理学会第85回大会 2018年8月25日(土)~26日(日)大阪大学 人間科学研究科/人間科学部 吹田キャンパス 8月26日14:45-16:45 ポスター発表B-13

Published in: Education
  • Be the first to comment

  • Be the first to like this

G290 北風菜穂子・いとうたけひこ (2018, 8月)  授業における「質問づくり」導入の試み:質問に対する態度および批判的思考態度の変化に焦点をあてて 日本応用心理学会第85回大会 2018年8月25日(土)~26日(日)大阪大学 人間科学研究科/人間科学部 吹田キャンパス 8月26日14:45-16:45 ポスター発表B-13

  1. 1. 授業における「質問づくり」 導入の試み 質問に対する態度および批判的思考態度 の変化に焦点をあてて ○北風菜穂子(大東文化大学 文学部) kitakaze@ic.daito.ac.jp いとうたけひこ(和光大学 現代人間学部) キーワード:質問づくり 批判的思考 協同学習 日本応用心理学会第85回大会 2018年8月26日14:45-16:45 大阪大学 吹田キャンパス 1
  2. 2. 問題と目的 「質問づくり(Question Formulation Technique)」は学校やコミュニティにお いて、「質問ができるようになる能力」と 「意思決定に効果的に参加するための 能力」を高めるためにRothstein & Santana (2011/ 2015) によって開発さ れた方法である。 本研究の目的は、授業に「質問づく り」の方法を導入することによる、受講生 の質問に対する態度および批判的思考 態度の変化を明らかにし、「質問づくり」 の実践的意義について検討することで ある。 2
  3. 3. 方法 • 調査期間:2016年9月〜2017年1月 • 調査対象者:首都圏にある大学において筆者が 担当している半期15回の講義「教育心理学概 論」の受講生を対象とした。 • 2016年度後期に履修登録した97名を対象として データ収集を行った。受講生の大半はA学科の 学生であり、本授業は学科の必修科目であった。 それ以外に他学科の学生が20名含まれていた。 • 学生には初回の授業で4〜6名のグループを作 らせた。13グループが同一学科、4グループが複 数の学科から構成されていた。 3
  4. 4. 「質問づくり」のプロセス Rothstein & Santana (2011) 1) 授業担当者による「質問の焦点」作成 2) ルールの提示と議論 3) 「質問の焦点」を基点とした小グループでの質 問づくり 4) 作成された質問をopened/closed questionに分 類 5) 作成された質問を比較・評価し、グループごと に最も重要な質問を選抜 6) 学習目標に合致した質問の使い方の検討 7) 作業のふりかえり 4
  5. 5. 各回の授業テーマと「質問の焦点」 授業テーマ 質問づくり 「質問の焦点」 1 批判的思考(1) 第1回 批判的思考の重要性 2 批判的思考(2) 3 MI:マルチプル・インテリジェンス(1) 第2回 MIを授業に活かす 4 MI:マルチプル・インテリジェンス(2) 5 教育評価 6 教育相談 7 不登校・フリースクール(1) 第3回 学校に行かない生き方 8 不登校・フリースクール(2) 9 発達障害の理解と支援(1) 10 発達障害の理解と支援(2) 11 生徒の「性」に向き合うためにできることは何か? 12 性暴力被害への理解と支援(1) 第4回 性暴力被害者への二次被害を予防する 13 性暴力被害への理解と支援(2) 14 子どもの多様なあり方を認める(1) 15 子どもの多様なあり方を認める(2) 第5回 多様な子どもたちを理解し支援する5
  6. 6. 手続き • 手続き:第1回と第15回の授業時にそれぞれ 事前、事後テストの質問紙を配布し、集団で 調査を実施した。 • 調査内容 1)質問に対する態度: 道田 (2011) が使用し た質問態度に関する尺度5項目 2)批判的思考態度: 平山・楠見 (2004) の作 成した批判的思考態度尺度33項目 6
  7. 7. 質問態度尺度の項目内容 質問態度尺度 1 文章を読んだり話を聞くとき、よく疑問を感じる 2 疑問を感じたら、それを言葉で表現することができ る 3 質問することで、自分の理解を深めることができる と思う 4 適切な人に質問をすれば、満足な答えが得られる と思う 5 質問をするのは、わかっていないのを示すようで 恥ずかしい 7
  8. 8. 批判的思考態度尺度 各因子の項目内容 因子 主な項目内容 1 論理的思考 への自覚 複雑な問題について順序立てて考えることが得意だ 考えをまとめることが得意だ など (13項目) 2 探究心 いろいろな考え方の人と接して多くのことを学びたい 生涯にわたり新しいことを学び続けたいと思う など (10項目) 3 客観性 いつも偏りのない判断をしようとする 物事を見るときに自分の立場からしか見ない(反転項目) など (7項目) 4 証拠の重視 結論をくだす場合には、確たる証拠の有無にこだわる 判断をくだす際は、できるだけ多くの事実や証拠を調べる など (3項目) 8
  9. 9. 結果(1) 質問態度尺度評定値の前後変化 3.47 3.1 3.87 3.69 2.83 3.64 3.34 4.23 3.79 2.74 0 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 事前 事後 p <.10† p <.001*** 9
  10. 10. 結果(2) 批判的思考態度尺度評定値の前後変化 35.81 34.17 24.53 10.59 37.21 34.61 24.59 10.91 0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 30.00 35.00 40.00 45.00 50.00 論理的思考への自覚 探究心 客観性 証拠の重視 事前 事後 p <.05* 10
  11. 11. 考察(1) • 「質問づくり」を授業に導入する前後において、 受講生の質問に対する態度および批判的思考 態度の一部に肯定的な変化が示された。 • 「質問づくり」は“質問をつくること”を目的としたグ ループ活動 • メンバーのつくった質問をきっかけに自らの問い が立ち上がり、そしてまた自らの質問がメンバー の問いを立ち上がらせる。 • そのような協同学習としての特徴が質問をするこ とへの好意的な態度や論理的に思考することへ の気づきへとつながったと考えられる。 11
  12. 12. 考察(2) • 秋田 (2012) は協同学習の機能として「対等な関 係における学習喚起」「知識の定着・精緻化」「理 解の深化・発展」をあげている。 • 「質問づくり」の授業への導入は、受講生の授業 への参加動機を高めることや、メンバー間の相互 作用によって探求を深めることに寄与すると考え られるが、本研究ではそれらに対する効果は明ら かにされなかった。 • 質問の質や質問力の向上との関連についても明 らかにされなかったため、今後の課題としたい。 12
  13. 13. 文献 • 秋田 (2012) • 平山・楠見 (2004) • 道田泰司 2011 授業においてさまざまな質 問経験をすることが質問態度と質問力に及ぼす 効果 教育心理学研究, 59, 193-205. • Rothstein, D. & Santana, L. 2011 Make just one change: Teach students to ask their own questions. Cambridge, MA: Harvard Education Press. (吉田新一郎訳 2015 たった一つを変 えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」 新評論) 13

×