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東洋大学 産業組織論 A 自然独占と規制 I : (6/15)
#東洋大学産業組織論 自然独占と規制 I (6/15) の講義資料です
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東洋大学 産業組織論 A 自然独占と規制 I : (6/15)
1.
東洋大学 産業組織論 A 自然独占と規制
I : (6/15) 原泰史
2.
今日のポイント • 自然独占 • 自然独占の種類
3.
(先週の)練習問題 1. 独占企業の製品に対する需要はA市では QA=100-PAで、B市では QB=140-4PBである。独占企業の平均生産費用と限界生産費用は一単 位あたり5である。 問1.
独占企業がA市とB 市で同じ価格をつけなければならない ならば (PA=PB)、両市あわせてこの財への総需要はいくらか。独占企 業の生産量と価格を求めよ。 問2. 独占企業がそれぞれの市で別々の価格をつけてよいなら ばこの企業は各市でどれだけ生産し、価格をいくらに設定する か。 問3. 問2. において、均衡状態の需要の価格弾力性を求めよ。 独占企業はどちらの市場でより高い価格をつけるのか確認しなさい。
4.
練習問題の提出方法 • 提出期間 • 2014-05-13
21:30~ 2014-05-20 19:50 • ToyoNet-ACE を通じて、解法したものをPDF または Word にしてアッ プロードし提出すること • もしくは講義終了時に提出すること
5.
講義スケジュール (前期, 前半) •
1. 4/8: オリエンテーション(産業組織論ってなんだろう?) 2. 4/15: 経済学で使う数学を振り返る & 産業組織分析の基礎 I • (泉田・柳川 pp.22-28、長岡・平尾 pp.1-16) • 3. 4/22: 経済学で使う数学を振り返る & 産業組織分析の基礎 II • (泉田・柳川 pp.28-44、長岡・平尾 pp.1-16) • 4. 4/29: 独占企業の価格設定 I • (泉田・柳川 pp.45-54、長岡・平尾 pp.43-68) • 5. 5/13: 独占企業の価格決定 II • (泉田・柳川 pp.54-68、長岡・平尾 pp.43-68) • 6. 5/20: 自然独占と規制 I • (泉田・柳川 pp.69-76、長岡・平尾 pp.247-272) • 7. 5/27: 自然独占と規制 II • (泉田・柳川 pp.77-87、長岡・平尾 pp.247-272) • 8. 6/3: 中間テスト
6.
講義スケジュール (前期, 後半) •
9. 6/10: 参入の経済効果 I (泉田・柳川 pp.87-96) 10. 6/17: 参入の経済効果 II (泉田・柳川 pp.96-106) 11. 6/24: 休講 (学会での研究発表のため) 12. 7/1: ゲーム理論 (泉田・柳川 pp.107-121) • 19:50-21:20 のクラスのみ補講実施 (8/1-7) • 13. 7/8: 技術進歩と研究開発競争 I (長岡・平尾 pp.187-198) 14. 7/15: 技術進歩と研究開発競争 II (長岡・平尾 pp.199-206) 15. 7/22: 期末試験 • 公式な試験日は7/29 ですが、国際学会@ドイツ に出席する必要があるため 講義内に期末試験を行います.
7.
教科書 • 泉田・柳川 (2010) 『プラクティカル産業組織論』 有斐閣アルマ •
長岡・平尾 (2013) 『産業組織の経済学 第二版』 日本評論社
8.
今日の内容 • 前半 :
独占企業 (3) • 泉田・柳川 pp.69-76 • 費用逓減産業と自然独占 • 後半:独占企業 (4) • 泉田・柳川 pp.69-76 • 公的報酬率規制とアバーチ・ジョ ンソン効果
9.
前半:費用逓減産業と自然独占
10.
なぜ電気やガスは一企業が独占しているの だろう? • 独占しているインフラ企業 • 東京ガス •
東京電力 • 独占しなくなったインフラ企業 • 郵便局 -> 日本郵便 • 国鉄 -> JR • 日本電電 -> NTT なぜ、電気・ガス・水道・通信・放送・鉄道などの産 業は国営・公営事業化や参入規制による独占権 の付与が行われてきたのか?
11.
なぜ自動車会社は国営ではないのだろう? • ブリティッシュレイランド • 1968-1986 •
イギリス政府が自動車産業の国際力 強化のため自国の自動車企業をほと んど国営化 • しかし、競争力はあがらず • 毎日ストライキ! • シェア率低下
12.
費用逓減産業と自然独占 • 電気・ガス・水道・通信・鉄道 • 設置をするためには非常に多大 なコストを必要とする •
産業の設立費用が非常に高い • 企業の平均費用と限界費用 • 限界費用 (MC) = 平均費用 (AC) と なる瞬間まで、企業は生産数を増 やしても収益をえることができる • 規模の経済性が成立する AC, MC q* q AC MC
13.
費用逓減産業と自然独占 • 平均費用が右下がり • 生産量を増やせばふやすほど、 生産物1単位あたりの費用は現象 していく •
q* までは, 規模の経済性が成立 している • “多く作ればつくるほど, コストパ フォーマンスが向上する” AC, MC q* q AC MC
14.
組織の費用 • 固定費用と変動費用 • 固定費用:
アウトプット (売上) に 連動しない費用 • 間接費: 地代、機械費、(正社員)人 件費 etc… • 変動費用: アウトプット (売上) に 連動する費用 • 直接費: 材料調達費、(派遣)人件費 etc… • 組織コスト • 高: マトリックス組織 • 中: 事業部制組織 • 低: 職能制組織
15.
規模の経済性 • 企業内の取引コストを最適化して、「ひとつ新しく」生産すればするほ ど、「ひとつあたり新しくかかるコスト」を低下させる ⇒ 生産すればするほど儲かる! ⇒
同じ物を大量に作って、売れれば売れるほど儲かる! 規模の経済性 (economies of scale)
16.
規模の経済性がある場合とない場合 • 生産関数: 企業がモノを生産するときに係るコストをモデル化したもの •
企業Aが財 X1 を作る時、 40*X1+100 (円)掛かるとする (企業A の生産関数) • X1 は企業Aが生産するモノの数 • 4個生産する場合、40*4+100 = 260円かかる • 100個生産する場合、40*100+100 = 4100円かかる • 企業Bが財 X2 を作る時、20*log(X2)+500(円) かかるとする (企業 B の生産関数) • X2 は企業B が生産するモノの数 • 4個生産する場合、20log(4)+500=512円かかる • 100個生産する場合、20log(100)+500=540円かかる 大量に生産すると、企業Bのほうがコストが低くなる
17.
グラフ (生産関数) 企業A の生産関数 企業B
の生産関数
18.
平均を取ってみる (平均生産コスト) • 平均生産コスト
= 生産関数を生産数で割る モノひとつあたりの生産コスト • 企業A の場合 • 40X1+100 (生産関数) / X1 (生産数) = 40+100/X1 • 4個モノを生産したときの平均コスト : 40+100/4 = 65 • 100個モノを生産したときの平均コスト: 40+100/100 = 41 • 企業Bの場合 • 20log(X2)+500(生産関数)/ X2(生産数) = 20log(X2)/X2 +500/X2 • 4個モノを生産したときの平均コスト : 20log(4)/4+500/4 = 128.01 • 100個モノを生産したときの平均コスト: 20log(100)/100+500/100 = 5.4 • 生産数が増えれば、平均コストは下がる • ただし、企業Bの方が減少率が高い
19.
グラフ (平均コスト) 企業A の平均コスト 企業B
の平均コスト
20.
「ひとつあたり新しく生産するためにかかるコ スト」を取ってみる (限界コスト) • 限界コスト
= モノをひとつ新しく生産するために追加的に発生するコ スト • 生産関数を生産数について微分する • 企業A の場合 • 生産関数 40X1+100 を X1 について微分 = 40 • 企業B の場合 • 生産関数 20log(X2)+500をX2 について微分 = 20/X2 • 企業B の場合、生産数が増えると平均コストと限界コストが低くなる • 大量生産を行うことで、固定費を最小化できる • 規模の経済性
21.
グラフ (限界費用コスト) 企業A の限界費用コスト 企業B
の限界費用コスト
22.
自然独占 • 複数の企業で生産するよりも、1 社で生産したほうが総費用が少 なくなる状態 =
自然独占 • 固定費用 (設立費用) が大きい ほど, 規模の経済が存在する生 産量の水準は大きくなる • 産業の設立費用が極端におお きな企業では、平均費用 AC と 市場需要曲線 DD において平 均費用曲線が右下がりとなる P Q D AC MC
23.
費用逓減産業 • 産業の設立費用が極端に大きいため、ふたつの企業が同時に存在 することは設立費用を二重投資することを意味する • 設立費用の巨大さゆえに、多大な収益が必要となり結果どちらかひ とつの企業が倒産し独占状態に至る •
すでに独占企業が存在している場合、新規参入には多大なコストが 発生し、利潤を得ることも困難なため独占が維持される
24.
自然独占の問題点 • 独占の場合 • 限界収入
MR = 限界費用 MC で 独占生産量と独占価格が決定さ れる • 巨大な死荷重が発生する • 電気、ガス、下水道など、供給 することで収益が見込める地域 にしか供給されない問題が発生 P Q D AC MC MR QM PM 死荷重
25.
下水道の普及率 • 下水道 • “日本の下水道は、100人のうちおよ そ76人(76.3%)が使えるようになり ました。” •
“日本で下水道を利用できる人の割 合は、3人のうち約2人です。アメリカ では、4人のうち約3人、イギリスでは、 ほとんどすべての人が、下水道を 使っています。イギリスなどで、ここ まで下水道を広めるのに、150年以 上の年月がかかっているのに対して、 日本では下水道が各地に広がり始 めたのは、つい30年ほど前からで す。” http://www.jswa.jp/suisuiland/3-3.html
26.
自然独占はかならず政府が規制すべきか? • 以下の場合、規制しなくてもよい • (1)
独占が新製品や新技術の開発による場合、独占的利益を確保できるこ とはイノベーションに対する報酬となる • (2) コンテスタブルな市場では、市場で1社のみ生産する場合でも、潜在的な 参入のおそれが企業の行動を律し、規模の経済を最大限活用した価格を企 業は決定せざるおえない • (3) 政府の規制によるコストが非常に大きく、規制から得られる社会的便益 を上回る場合も規制はマイナスとなる
27.
規制の方法: 公営企業 電電公社 郵政公社国鉄
28.
平均費用価格規制 • 独占企業にまかせていたら、インフラ の価格はあがりつづけてしまう • 死荷重が大きく発生してしまうと考え られる産業に対して、政府として介入 する •
平均費用価格規制 • 自然独占が発生すると考えられる費 用逓減産業に対して、国営・公営企 業による独占事業化や、参入規制に 加えて特定の企業に独占権を付与す ることによって独占状態を容認し、死 荷重が少なくなるように価格を低く規 制する • 価格 = 平均費用 となるポイントで価格を 設定してあげる P Q D AC MC MR QM PM 死荷重 PA QA
29.
平均費用価格規制 • 価格 =
平均費用 とした場合 • 価格 PA • 生産量 QA • 死荷重の大きさは大幅に減少 する • しかし、政府が需要曲線や(独 占)企業の平均費用曲線を正確 に把握することは困難 P Q D AC MC MR QM PM 死荷重 PA QA
30.
Intermission • 中間試験 :
6/3 • 練習問題をきちんと解いておくこと • 期末試験 : 7/22 • 定期試験時にヨーロッパ出張がはいるので、15回目で実施します。 • 講義資料のアップロード先 • Facebook Page • https://www.facebook.com/toyo.io.2014 • SlideShare • http://www.slideshare.net/yasushihara/presentations • Toyonet-Ace • 講義人数が固まりつつあるので、利用を開始します
31.
後半:公的報酬率規制とアバー チ・ジョンソン効果
32.
ラムゼイ価格 • 効率性を失わずに、規制企業の収 益を高めるには? • 価格の弾力性が低い消費者のグ ループや製品には生産コストに対 して比較的高い価格を設定する。 •
財1, 2 を MC=C1, C2 で供給する場 合を想定する • P=MC の点から財の供給量を減ら すことで、企業の利潤を高める • 財の供給量を q1, q2 • 価格を p1, p2 とする P Q C1 M E DD MR1 pi qiqM qE
33.
ラムゼイ価格 • 財1 を1単位供給を減らすことによる企業 利潤の増加
= 限界費用 C1 – 限界収入 MR1 (領域A) • 経済厚生の減少分 = 価格 p1 – 限界費 用 C1 (領域 B) • 企業の利潤を高めるためには、財の減 産による経済厚生の損失が財1と財2 で 等しくなるλを求めればよい. • 𝑝1−𝐶1 𝐶1−𝑀𝑅1 = 𝑝2−𝐶2 𝐶2−𝑀𝑅2 = 𝜆としたとき、 • 価格弾力性を ε1 としたとき, 𝑀𝑅 = 𝑝(1 − 1/𝜀)が成立するため、 • 𝑝 𝑖−𝐶 𝑖 𝑝 𝑖 = 𝜅 𝜀 𝑖 , 𝜅 = 𝜆 1+𝜆 • 消費者グループの需要の価格弾力性に反 比例するようにマークアップ比率を決定す る P Q C1 M E DD MR1 pi qiqM qE A B
34.
ラムゼイ価格 (2) • ラムゼイ価格
= 規制企業が赤 字にならず, 消費者余剰が最大 化される価格 • K=1 のとき, 独占の価格差別 • K=0 のとき, 完全競争市場価格 P Q C1 M E DD MR1 pi qiqM qE A B
35.
公平報酬率規制 • 平均費用価格規制は実際に政府が実行するのは困難 • 総括原価方式による、公平報酬率規制が採用 •
総括原価 = (1) 営業費用 + (2) 減価償却費 + (3) 公正報酬率 x 事業 資産 • (1) 財の供給に必要とされる費用 = 営業費用 • (2) 財の逓減割合を入れ込む = 減価償却 • (3) 事業資産に公正報酬率 (産業の平均的な利益率)を掛け合わせる • 総括原価が、総収入と等しくなるように価格を規制する • 総収入 = (1) 営業費用 + (2) 減価償却費 + (3) 公正報酬率 x 事業資産 • 現実には、平均費用価格規制より高い価格水準となる
36.
アパーチジョンソン効果 • 総括原価方式によって価格が決定されている場合 • かつ、公正報酬率
> 資本の機会費用 となっている場合 • 企業はより多くの事業資産を保有することによって統括原価を引き 上げ、総収入・利益を増加させることが可能になる • アパーチ・ジョンソン効果: 被規制企業が必要以上に多くの事業資産を保有 することによって利益を増やそうとする現象 • 総括原価は引き上げられ、価格は割高になる • 産業の確立時には、メリットとして機能することもある
37.
都市ガスの普及率 都市ガスの需要の大部分は家庭 用であり、最近の生活水準の向 上と相まって毎年着実に需要家 数(メーター取付数)は伸びてい る。1970年10月には、1,000万個 を突破し、2000年度末では2, 585.8万個に達し、全国供給区域 内の普及率は、2000年度末で 82.6%、2003年度末で82.3%であ り、1990年以降82%台で推移し ている http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=01-04-03-01
38.
水道の普及率 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/database/kihon/suii.html
39.
電気と電化製品の普及率 • 1896 • 火力発電23カ所 •
水力発電7カ所 • 水・火力併用3カ所 • 電灯数12万余 • 1907 • 電気事業者数146カ所 • 火力発電7万6000kW • 水力発電3万8600kW • 電灯数78万2000kW • 1927 • 電灯普及率: 87% • 電化製品 http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/topic s/kids/industry/comparison4.html http://www.fepc.or.jp/enterprise/rekishi/index.html
40.
アパーチ・ジョンソン効果 (2) • インフラ産業を早期に普及させることで、他産業の育成や発展に貢 献する可能性がある •
公正報酬率を高めに設定することで、被規制企業に設備投資を盛 んに行うインセンティブを与える • 独占権を付与した地域内においてすべての利用希望者にサービス 供給を義務付ける = ユニバーサルサービス規制 • サービスが十分に供給された後の場合、アパーチ・ジョンソン効果は ネガティブな効果を持つ • 規制によってデメリットが発生する
41.
今日のまとめ • なぜ独占は自然に発生するのか? • どのように独占を規制できるのか?
42.
連絡方法 • 東洋大には 9:00-10:30
と, 19:50-21:20 しかいません • 非常勤のためオフィスアワーを設定できませんので、以下の手段で ご連絡ください。 • ツイッター @harayasushi • フェイスブック : https://www.facebook.com/toyo.io.2014 • LINE : @harayasushi (LINE は東洋大内では遮断されているようです)
43.
次回予告 • 5/27: 自然独占と規制
II 泉田・柳川 pp.77-87 長岡・平尾 pp.247-272 • 6/3 : 中間テスト
44.
Thanks.
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