定年以降も働ける雇用環境を構築　【太洋モータース】

太洋モータース株式会社

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東京のタクシー事情
東京都内のタクシー：約42,000台
法人タクシー約：24,000台、個人タクシー：約18,000台

法人タクシーの内訳：大手グループ、中小企業の共同企業体グルー
プに大きく部類
当社はチェッカーキャブという中小企業の共同企業体に所属しています。
それぞれの会社は別法人ですのでそれぞれの会社の特色を生かして活動を
しています。
当社は保有台数42台、従業員数約120名の小規模事業者です。


2

当社の年齢構成(2013.10月現在)
70歳以上 65歳以上 60歳以上 55歳以上 50歳以上 40歳以上 30歳以上 20歳以上

全社

70歳未満 65歳未満 60歳未満 55歳未満 50歳未満 40歳未満 30歳未満
10人

24人

24人

13人

14人

18人

11人

2人

116人

9%

21%

21%

11%

12%

15%

9%

2%

100%

高年齢者の割合(30%)が高く、もう尐し若い人たちにタクシー
という仕事に対して関心を持って、入社してもらいたい。

3

①定年退職後の雇用取組み以前の当社
1993年の平均年齢はすでに55歳を超えていたので10年後には多くの社員が
定年(65歳)を迎えるという現実があった。
社員に欠員が出た場合はスポーツ新聞にスポット的に採用広告(通常2週間
ぐらい)か、ハローワーク(公共職業安定所)からの引き合いも多く、費用
もそれほどかけずに採用ができていた。
しかし2002年にタクシーの規制緩和(市場開放)以降、人材獲得合戦になり
今までの方法では採用できなくなっていた。
また即戦力である経験者に対する各社の採用需要が高く採用は難しく
なった。
採用に対する応募の大半は未経験者しかも高齢者が多かった。しかも未
経験者は免許の取得などで初期コストがかかってしまう。
タクシーは歩合制(出来高による能力給)の賃金体系であるので能力の低い
者は簡単に退職してしまう。

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②年功序列型賃金と歩合制賃金
A 年功序列型賃金
1.

B 歩合制賃金

賃金は能力に応じて支払われる
勤続年数の浅い社員の賃金は能
力に比べて低く抑えられている。完全実力主義。

2. 勤続年数の長い社員の賃金は能
力以上に支払う必要がある。
※長年勤務させるには良い制度だが、勤続年数
の長い社員の給与を抑制するため昇給停止、出
向、社内移動などがある

高齢者のモチベーションが下がる

※勤続年数に関係なくどの年齢でその企業に加
わっても双方損がないが、簡単に退職しやすい

高齢者のモチベーションは維持でき
るが退職させない工夫が必要


③未経験者のメリット

1.

タクシー経験者はその経験が邪魔をして、教育を素直に受け入れが
たい性質あります。他社での悪い経験が影響しています。

2. 未経験者は経験と基礎知識が全くないわけですから教育者の言われ
るまま動かざるを得ないので自然と正しい営業方法が身に付きます。
3. 私の経験上正しい方法を身に付けるまでの期間はたった6か月程度
です。他の職業より簡単に育成が可能な職種といえます。
4. 高年齢の入社でも入社後の能力や生産性は変わりませんでした。た
だし高年齢から来るリスクを管理する必要性はあります。

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④-1当社の対応(既存社員への対応)

◎定年後再雇用制度により、定年を迎える既存社員は2つの選択を自分
の希望に合わせて選ぶことができます。
A) 定年後もフル勤務で働き、生活の基礎は会社からの給与として、年
金は補助として支給をうける。
B) 定年後は勤務数を減らし、国から支給される年金と会社からの給与
の両方で生活する
２種類の選択肢の違いは収入を重視するか余暇を重視するかの違
いです。B)の場合、会社は社会保険料の負担を免除されますが反面、
労働者から提供される労働力の低下という問題もあります。

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④-2当社の対応(新規採用者への対応)
インターネットホームページを活用しあらゆる年代に対して広く募集を
行っています。また定年後も長く勤められる、すぐにベテラン並みの賃
金が獲得できるという当社システムを理解してもらい転職をサポートし
ています。
1.

採用の中心を未経験者とし、未経験者が安心して転職できるよう、教育
を充実させる。

2. 各種法令や接客教育はもちろんですが、一番力を入れているのは営業方
法(お金の稼ぎ方)です。
3. 営業方法の良し悪しは即収入に直結する重要な項目です。
4. 教育の結果、車一台当たりの生産性は業界でもトップクラスを維持して
います。

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④-3採用方法の違い
新聞の求人広告掲載

http://www.taiyomotors-taxi.co.jp/

以前の情報量の尐ない新聞広告と現在のホームページ


9

④-4教育方法の違い

A)内勤者による法令教育

B)現役ドライバーによる営業方法の教育

B)のいわゆる稼ぎ方の教育を行うようになり離職率を下げる効果が上がっています。

10

⑤高齢者を支える機器(リスク管理方法1)
薄暗い車内で営業日報を付けるのは容易なことではありません。
また交通事故や健康のリスクは年齢とともに増加します。
非力な高齢者が事件に巻き込まれる危険もあります。


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⑥自動日報の導入
以前：手書き日報

現在：自動日報

以前の手書き日報とデジタル化された自動日報
手書きで日報提出が不要になり、業務に集中できるようになった。

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⑦高齢者に対する教育(リスク管理方法2)
高齢者(65歳)タクシードライ
バーに対しては法令で３年
ごとの運転適性検査が義務
付けられています。当社で
は適性診断結果のほか健康
診断結果、デジタルタコグ
ラフのデータをもとにその
人に合ったアドバイスを
行っています。


13

⑧高齢者のモチベーションアップ
モチベーション維持のためには収
入を落とさないだけでなく、年齢に
関係なく優秀な社員はハイグレード
車両を担当させたり、半期ごと表彰
をおこなうなど、現役社員同様に待
遇しています。

また会社に愛着を感じてもらうた
めに、社員旅行、クラブ活動、地域
交流を積極的に行っています。


14

社員旅行、クラブ活動、地域交流

左上:2012年社員旅行(北陸)
左下:2012年年末もちつき大会
右上:2012年スキー部の活動


15

⑨今後の課題と方針

当社にとって高齢者は会社のお荷物ではなく重要なステークホル
ダーです。彼らの力を十分発揮してもらうために教育や補助機器の導
入は今後も積極的に進めたいと考えています。
また今後は高齢者雇用が負担となる企業からの転籍システムを確立
して、さらに体制の強化を図りたいと考えています。
ただそれにはタクシーという職種自体がもっと社会的な地位の向上
(ロンドンタクシーのような)が必要で、この問題はタクシー業界全体で
取り組むべき問題と考えています。


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