海外ニュータウンの
地域アーカイブ・プロジェクト
∼ イギリスのからの報告 ∼
田中康裕(千里グッズの会)
2010年10月10日
何故、ニュータウンの歴史を
考えるようになったか?
「千里グッズの会」での絵葉書作り
→最初は「季節の風景(紅葉・桜)」「夕焼」など
 “きれいな風景”を絵葉書にしていた。
絵葉書は観光地だけのものと誰が決めたのでしょう。魅
力と誇りをもつ全ての都市と地域にその街ならではの絵
葉書があっていいのではないでしょうか。日本のニュー
タウンのパイオニアで良好な居住環境を持つ千里には、
誇るべき風景、誇るべき歴史と思い出など、絵葉書の素
材はたくさんあるはずです。(2003年3月1日)
藤白台 三色彩道, 2004
藤白台 三色彩道, 2005
新千里東町, 2005
藤白台 水遠池, 2005
藤白台 三色彩道, 2005
千里の写真を撮り続けていると、
風景が変わっていくことに気づく...
千里中央 センタービル, 2005
千里中央 千里公民館, 2005
千里中央
新千里北町を望む, 2006
佐竹台 テラスハウス, 2005
佐竹台, 2006
新千里北町
新千里北町第三団地, 2009
新千里西町, 2007
藤白台, 2008
新千里東町, 2009
新千里東町 七夕, 2005
街角広場, 2006
• 「今」しか撮れない写真がある。
• 「今」あたりまえのように見ている風景
も、いずれ貴重な「地域の歴史」になる。
海外のニュータウン・郊外住宅地では、
「地域の歴史」がどう考えられているのか?
アメリカ・レヴィットタウン(1947-)
アメリカ・グリーンベルト(1937-)
ドイツ・ヘレラウ田園都市(1910-)
ドイツ・田園都市ファルケンベルク(1920-)
イギリスのニュータウンの
アーカイブ作り
イギリスの田園都市・ニュータウン年表
1898
エベネザー・ハワードが
『明日−真の改革にいたる平和な道−』を出
版
1902
エベネザー・ハワードが
『明日の田園都市』を出版
1903
レッチワース建設
→ 最初の田園都市
1920
ウェリン・ガーデン・シティ建設
→ 2番目の田園都市
1946 ニュータウン法制定
この間、32のニュータウンが建設
1978
インナーシティ法制定
→ ニュータウン政策の放棄
都市 いなか
田園都市
32のニュータウン
●England
・Aycliffe
・Barrow-in-Furness
・Basildon
・Bracknell
・Chorley
・Corby
・Crawley
・Letchworth
・Harlow
・Hatfield
・Hemel Hempstead
・Milton Keynes
・Peterborough
・Peterlee
・Poundbury
・Redditch
・Runcorn
・Skelmersdale
・Stevenage
・Telford
・Warrington
・Washington
・Welwyn Garden City
●Scotland
・Cumbernauld
・East Kilbride
・Glenrothes
・Irvine
・Livingston
・Tornagrain
●Wales
・Cwmbran
・Newtown
●Northern Ireland
・Antrim
・Ballymena*FGCHMの展示パネルより
レッチワース(1903-)
スティヴネージ(1946-)
クローリー(1947-)
ハーロー(1947-)
ハットフィールド(1948-)
グレンローゼス(1948-)
ミルトン・キーンズ(1967-)
何らかのアーカイブ作りが行なわれている
ニュータウンは多い
2つのニュータウンのアーカイブ作り
千里ニュータウン
..... 1946年
..... 1962年
..... 1967年
スティヴネージ(Stevenage)
→ 最初のニュータウン
ミルトン・キーンズ(Milton Keynes)
→ 後期の大規模のニュータウン(ニューシティ)
*FGCHMの展示パネルより
2つのニュータウンのアーカイブ作り
ロンドン
ミルトン・キーンズ
スティヴネージ
2つのニュータウンのアーカイブ作り
スティヴネージ ミルトン・キーンズ 千里
入居開始 1946 1967 1962
面積(ha) 2,530 8,800 1,160
計画人口 6万人 25万人 15万人
都心との
距離
ロンドンから
50Km
ロンドンから
80Km
大阪から
12Km
1haあたりの
計画人口
約24人 約28人 約130人
都心から
(最速で)
電車で
24分
電車で
30分
電車で
20分
・イギリスのニュータウンは、千里に比べて人口密度が低い。
・イギリスのニュータウンはベッドタウンとして開発されていない。
スティヴネージ
STEVENAGE
スティヴネージ
• 1946年
• 最初のニュータウン
• 計画人口:6万人
• 2007年の人口:8万4651人
• ロンドンから55Km
• 議会:Borough Council
Motto:
"The heart of a town
lies in its people"
スティヴネージ(1946-)
スティヴネージ(1946-)
スティヴネージ(1946-)
スティヴネージ(1946-)
スティヴネージ・ミュージアム駅
タウンセンター
スティヴネージ・ミュージアム
• 運営主体
:Borough Council(行政)
• 開館日:月曜∼土曜 10時∼17時
• 閉館日:日曜・Bank Holidays
• 入場料:無料
• 来訪者:3万5千人/年
(イベントの参加者を含む)
• 建物:教会の下のフロア
• コレクション:
1万8千枚以上の写真
物1万以上の物
スティヴネージの物語
特別展示室
イベント
ワークショップ
現在から先史時代まで
ニュータウンに関する展示パネル
Stevenage New Town 1946 - 1959
Putting Down Roots 1960 - 1980
After The Corporation 1980 onwards
Hands off our homes: the New Town debate
Building the Dream
At Home
Staying In
New Families
At Work
Shopping
Going Ont
Transport
People Power
Defence and Space
→ 交通
→ ニュータウン建設
→ 家庭
→ 仕事
→ ショッピング
ニュータウン時代の展示
人びとの語り
人びとの語り(ビデオ)
写真の販売
ミルトン・キーンズ
MILTON KEYNES
ミルトン・キーンズ
• 1967年
• 後期の大規模なニュータウン
(ニューシティ)
• 計画人口:25万人
• 2008年の人口:19万5千人
• ロンドンから80Km
ミルトン・キーンズ(1967-)
中央駅
ミルトン・キーンズ(1967-)
中央駅
ミルトン・キーンズ(1967-)
ミルトン・キーンズ(1967-)
アーカイブ作りに関わる3つの団体
(Living Archive)
→「 オーラルヒストリー」を収集
リビング・アーカイブ
ミルトン・キーンズ
・ミュージアム
(Milton Keynes Museum)
→「物」を収集
(Milton Keynes City Discovery Centre)
→「開発資料・図面」等を収集
ミルトン・キーンズ
・シティ・ディスカバリー・センター
ミルトン・キーンズ(1967-)
中央駅ミルトン・キーンズ・ミュージアム
シティ・ディスカバリー・センター
リビング・アーカイブ ディスカバー・ミルトン・キーンズ
シティ・ディスカバリー・センター
• Milton Keynes City Discovery Centre
• チャリティ団体
• 建物・土地はMK Councilが所有
• 設立:1987年7月
• 開館日(図書館)
:月曜∼金曜 9:30∼13:00
• 保有している資料:
開発に関わる資料、地図、本、統
計など2,000点、写真10,000枚
• 活動内容
①教育プログラム・活動
②開発資料のアーカイブ
③Bradwell Abbeyの運営
A. 計画・都市計画学
B. 地域の歴史
C. 建築
D. 教育方法・資源
E. 自然
F. 交通
G. 社会科学
H. 参考
ミルトン・キーンズ・ミュージアム
• Milton Keynes Museum
• チャリティ団体
• 設立:1973年
• 経緯:ニュータウン開発によって閉
鎖した農場、工場にあった物を収集
し始めた住民グループが設立
• ニュータウン自体の
ミュージアムではない
• 運営:ボランティア
• 1994年にフルタイムのDirectorを1
人雇う
ミルトン・キーンズ・ミュージアム
• 開館日(4月1日∼10月31日)
:水曜∼日曜 11:00∼16:30
• 開館日(11月1日∼3月31日)
:土曜・日曜 13:00∼16:30
• 入場料:
Adults: £5.00,
Concessions: £4.00
Families (2 Adults + Up To Four
Children): £14.00
リビング・アーカイブ
• Living Archige
• チャリティ団体
• 設立:1984年
• Stantonbury Campusの演劇のDirector
と、オーラルヒストリーを集めてい
たニュータウン開発公社の職員の2人
の個人の活動が元になって結成
• 40∼50人のボランティアが参加
• スタッフ:専属のスタッフは7人
※アーキビストは2008年から雇用
• ミュージアムではない。
• ニュータウン時代だけではなく、広
く地域の歴史を対象としている
リビング・アーカイブの活動
• 音声・映像によって人びとの語り(オーラル・ヒストリー)を
収集
収集した語りは1,000時間以上
• オーラルヒストリを元に、本、映画、演劇などを作成
• まちあるき、まちづくり活動も行う
• オーラルヒストリーの収集、写真のスキャン、音声のデジタル化
のためのスキルの提供・トレーニングも行っている
• 活動のモットー:
ミュージアムに展示された公式の歴史と、一人ひとりが生きて
きた歴史とは異なる。歴史というものは展示室に「飾る」もの
ではなく、人々を地域に巻き込むための「資源」。
ディスカバー・ミルトン・キーンズ
• 運営主体:Council(行政)とリビン
グ・アーカイブの協同プロジェクト
• 設立:数年前(?)
• センター地区にあるショッピングセ
ンター(The Centre:MK)の空店舗を
利用してオープン
• 歴史(Heritage)とアートの団体のた
めの「ショーケース」
• 観光案内所の役割も果たす。
• Milton Keynesのグッズ、本等が販
売。バスの定期券も販売。
• 開館日
:月曜∼土曜 10:00∼18:00
• 入場料:無料
ニュータウンのアーカイブ作り
各国のアーカイブ作りを見て...
•街の歴史は、過去の遠いところにあるものではなく、自分たちの生活の積み
重ねが街の歴史である、という感覚
•街の歴史(=自分たちの生活)を積極的に残していくという意志
→写真、図面、語り、映像などのメディアを通じて
•蓄積された歴史が様々なかたちで公開されている
→ミュージアム、観光案内所、本、音楽、ネット上のアーカイブなど
•アーカイブ作りは必要だと感じた人が、自分たちでできるところから始めて
いる。その動きを行政がサポートしている
•街の歴史を残すこと自体も大切だが、街の歴史は今後の地域のあり方を考え
るための参照点となったり、人びとを街に巻き込むためのツールでもある

101007海外ニュータウンの地域アーカイブ・プロジェクト