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MERA / 111008



欧米の計画住宅地の
  アーカイブ


  千里グッズの会
   田中康裕
2




  “ニュータウンの歴史”
を考えるようになったきかっけ
3
      ①千里の絵葉書づくり


       (2005年)      (2006年)    (2007年)




• 千里の風景が急激に変わっていくのを目の当たりにする。
• 「今」しか撮れない写真がある。
「今」当たり前のように見ている風景も、いずれ貴重な資料になる。
4
                ②居住者層の急激な変化
100-104歳                            100-104歳
 90- 94歳                             90- 94歳
 80- 84歳                             80- 84歳
 70- 74歳
 60- 64歳                       }     70- 74歳
                                     60- 64歳                  }
 50- 54歳                             50- 54歳
 40- 44歳
 30- 34歳
 20- 24歳
                                     40- 44歳
                                     30- 34歳
                                     20- 24歳
                                                              }
 10- 14歳                             10- 14歳
  0- 4歳                               0- 4歳
           0%   4%      8%    12%              0%   4%   8%   12%
    新千里北町の人口構成                            新千里東町人口構成
     (今後建替えが行われる住区)                      (建て替えが進んでいる住区)

                     ※2011年4月1日現在の人口。 豊中市の人口統計より。


• 従来の居住者 住み慣れた住環境が急激に変化(失われていく)
• 新しい入居者 これまでの歴史がわかりにくい(過去の痕跡がない)
5
地元の人が学ぶ・地元の人に学ぶ「地元学」
         地元学は、ないものねだりはしません。あるものを探し、それを
         磨いたりして価値のあるものにしていきます。(吉本, 2008)

         ・・・・・・、都市とくらべて「ないものねだり」の愚痴をこぼすよ
         り、この土地を楽しく生きるための「あるもの探し」。それを私
         はひそかに「地元学」と呼んでいる・・・・・・(結城, 2009)

         地元学——地域に住む者が自ら住んでいる所を知ること、地域固
         有の風土に刻みこまれた歴史や伝統のひだの深さを知ることが、
         地域をどのようにしていくか——(吉本, 1995)

         同じ地域を生きる人びとともう一度関係を再構築するために、そ
         れぞれの地元の資源とそれを生かす知恵と技術と哲学を学ぶこ
         と。そしてその力を合流させ自分たちの生きやすい場所に整え直
         すこと——地元学がめざすものである。(結城, 2009)

   事例に挙げられているのは「農山漁村」

ニュータウンからみれば、「農山漁村」には農林漁業という
生業、伝統、豊かな自然・・・・・・があるように思える。
6
  ③ニュータウンの「地元学」は可能か?
◆ニュータウンには、
農山漁村にある生業、 伝統、自然に相当するものがあるのか?

◆(仮にニュータウンの歴史を記録することができたとしても)
生業がなく(?)、商品消費社会にのりかかって誕生したニュータウンの歴史
を記録することが、人々の関係を再構築し得るような価値を生み出せるか?

 *ニュータウンにない3つのもの(鷲田, 1998)

   ①大木             日常の共通の感覚
   ②宗教施設           (コモン・センス)を越えるもの
   ③いかがわしい場所

◆“コモン・センスを越えるもの”を人為的に作ることはできるのか?
 ・・・・・・、消費の記号で埋めつくされてどこにもすきまのない都市、すきまさえも記号と
 してただちに消費されてしまうそんな都市において、古木と寺社と場末に代わるのが、
 ひょっとすればアートなのではないか。(鷲田, 2005)

                                 アートの可能性?
日本に先んじてニュータウン開発が行われた                    7
海外ではどのようなアーカイブの試みがなされているか?
 グリーンベルト(米)            ミルトン・キーンズ(英)




          グリーンベルト      ミルトン・キーンズ   千里NT
  入居開始         1937        1967     1962
 面積(ha)        1,560       8,900    1,160
 当初の計画       1,000戸       25万人     15万人
              23,068      195,687  89,571
 現在の人口
           (2010年)       (2008年)  (2005年)
都市からの距離    D.C. 19Km    ロンドン 80Km 大阪 12Km
8
                                    人口構成
      グリーンベルト                        ミルトン・キーンズ                        千里[豊中市域]
   85歳-                              85歳-                              85歳-
75- 84歳                           75- 84歳                           75- 84歳
65- 74歳                           65- 74歳                           65- 74歳
60- 64歳                           60- 64歳                           60- 64歳
55- 59歳                           55- 59歳                           55- 59歳
45- 54歳                           45- 54歳                           45- 54歳
35- 44歳                           35- 44歳                           35- 44歳
25- 34歳                           25- 34歳                           25- 34歳
20- 24歳                           20- 24歳                           20- 24歳
15- 19歳                           15- 19歳                           15- 19歳
10- 14歳                           10- 14歳                           10- 14歳
 5- 9歳                             5- 9歳                             5- 9歳
 0- 4歳                             0- 4歳                             0- 4歳
          0% 5% 10% 15% 20% 25%             0% 5% 10% 15% 20% 25%             0% 5% 10% 15% 20% 25%
        2000 Census                       2001 Census                    2000 国勢調査
      (入居から63年目)                        (入居から34年目)                      (入居から38年目)

・千里のみ高齢者の割合が大きい
 グリーンベルト、ミルトン・キーンズでは、
 継続的に住戸が建設されていることが、1つの背景。
9
グリーンベルト
10
   F. D. ルーズベルトのニューディール政策によって誕生
「グリーンベルト・タウン計画」の目的
 ①大恐慌時の仕事の創出
 ②住宅不足の解消
 ③理想的な住宅地 のモデルの創出

9つの「グリーンベルト・タウン」が計画
→実現したのは3つのみ




Greenbelt, MD                        Greenhills, OH                         Greendale, Wi
 *写真:Farm Security Administration-Office of War Information Collection (from the Library of Congress) より
11
       3種類の構造の住宅が建設
時期                                  第1期                                                第2期
                                                                                       1941年
入居年                                 1937年
                                                                                  (Defense Homes)
戸数               885戸                                                                 1,000戸
構造    ブロック造(Block) れんが造(Brick)                                                     木造(Frame)



当初




現在


 *当初の写真:Farm Security Administration-Office of War Information Collection (from the Library of Congress) より
12
    後に周辺部の開発が進む
                        オールド・
                       グリーンベルト


 メリーランド州

             グリーンベルト
              ・ウエスト




                           グリーンベルト
                            ・イースト

ワシントン・メトロ
グリーンラインの終点
13
グリーンベルト
14
オールド・グリーンベルト
フィットネス      15
                    ・センター


                      ルーズベルト・センター
コミュニティ・センター              (商業施設)
  (元小学校)




図書館




              市役所
                     ファーマーズ・マーケット
16
グリーンベルト
17
          特徴:協同組合(コウオプ)
①信用金庫(GCF, 1937∼) ②地域新聞(GNR, 1937∼)
③保育所(GNS, 1942∼)  ④住宅・住宅地の所有・管理(GHI, 1946∼)
⑤キャンプ場(RC, 1954∼) ⑥スーパーマーケット(GCC, 1984∼)
⑦カフェ(NDC, 1995∼)

④グリーンベルト・ホームズ (GHI)               ⑦ニューディール・カフェ (NDC)
• 1946年、政府によるGreenbeltの払い下        • センターの空き店舗で運営
    げの受け皿として結成
•   現在もOld Greenbelt内の1,600の住戸と
    周辺の土地を所有・管理
•   住宅は市場価格で売買



1,600戸
大半が1937 / 1941に建設
約3,500人が居住
高齢の居住者が多い                         *千里NTの「街角広場」に似ている
18
          特徴:新しい入居者へ
    GHI(協同組合)         グリーンベルト市

●Welcome Packet   ●Welcome to Greenbelt
                               Table of Contents

                   ※72頁の冊子     About Greenbelt 11
                               ... Community Pledge 12
                               ... Greenbelt: A History 13
                               ... Government and Elections 16
                               ... City Council 17
                               ... Boards and Committees 18
                               Departments and Services 19
                               ... Administration 20
                               ... Police 22
                               ... Public Works 23
                               ... Greenbelt CARES 24
                               ... Planning & Community Development 28
                               ... Animal Control 29
                               ... Recreation 30
                               ... Special Events 32
                               ... Recreational Facilities 34
                               Public Works 37
                               ... Recycling/Refuse Collection Schedule 38
                               ... Refuse Guidelines 39
                               ... Recycling Guidelines 42
                               ... What Goes in My Bin? 43
                               ...Yard Waste 44
                               ... Snow Removal 45
                               ... Other Information 46
                               Community Resources 47
                               ... Schools 48
                               ... Transportation 51
                               ... Places of Worship 53
                               ... Library 55
                               ... Places to Visit 56
                               ... Other Resources 59
                               Business in Greenbelt 61

●購入前の
                               ... Shopping, Dining, and Entertainment 62
                               ... Professional Centers 63
                               ... Hotels 64
                               ... Business Resources 64

オリエンテーション                      Departmental and Phone Directory 67
                               Index 69
19




グリーンベルトのアーカイブ
      まちびらき50周年の年に、
歴史に焦点をあてたいくつかのプロジェクトが行われる
20
        50周年記念委員会(1984年結成)
•Development of the Greenbelt Museum (ミュージアム)
•Production of the Fiftieth Anniversary Book (50周年記念誌)
•Commissioning a Statue of Franklin Delano Roosevelt (ルーズベルト大統領の像)
•50th Anniversary Dance (50周年記念のダンス)
•National Conference on Planned Communities (計画住宅地の国際会議)
•House and Garden Tours (住宅と庭のツアー)
•Fund-Raising, and Sales and Promotions (資金調達・販売促進)
•Oral History Project (オーラル・ヒストリー)
•Tree Planting (植栽計画)
•Production of a Slide Show (スライド・ショー)
              *Cathy D. Knepper: Greenbelt, Maryland: A Living Legacy of the New Deal, Johns Hopkins Univ Pr, 2001より
21
50周年記念誌
22
          50周年記念誌
地域新聞「グリーンベルト・ニューズ・レビュー」
   のスタッフらが中心となって編集
    Foreword
    Acknowledgments
    Introduction
    Prologue: Before Greenbelt
    Chapter 1: The Development of Greenbelt
    Chapter 2: Constructing the Town of Greenbelt
    Chapter 3: Social Construction
    Chapter 4: The War Years
    Chapter 5: Utopia in Transition                 グリーンベルト開発前
    Chapter 6: Growing Pains
    Chapter 7: Greenbelt in the 1970s and 1980s     ①グリーンベルトの開発
    Epilogue:                                       ②グリーンベルトの建設
    Greenbelt Organizations 1937-1987
    Bibliography                                    ③初期の入居者の生活
    About the Authors
                                                    ④戦時中の生活
    Index
                                                    ⑤交通
    About the Authors
    Chapter 8: The Sixth Decade, 1987-1997          ⑥周辺部の開発
    Greenbelt Organizations 1987-1997               ⑦1970年代∼1980年代
    Greenbelt's Outstanding Citizens
    Index                                           ⑧60周年(1987年∼97年)
23
グリーンベルト・ニューズ・レビュー
      • 1937年11月24日に創刊
       *まちびらきの約2ヶ月後に創刊
       *当初の名前は『The Cooperator』

      • 創刊時より途切れることなく毎週発行
      • 現在は毎週木曜日に発行
      • 地域の人々にイベントの情報を伝えたり、意
       見交換のフォーラムを提供することが必要だ
       と感じた人々が発行し始めた。

      • 協同組合(コウオプ)として運営
      • 60名以上がボランティアとして参加
      • ページは12p(16p、24pの週もある)
      • 配布地域:Greenbelt市内の約1万戸に無料配布
24
グリーンベルト・ニューズ・レビュー の紙面
25
 グリーンベルト・ニューズ・レビュー の紙面




投稿欄(Letters to the Editor)   コミュニティ・イベント




故人略伝(Obituaries)             警察署 事件簿
26
                  個人と地域の歴史
                    私たちには、いつも歴史に興味をもつ人がスタッフにいるわ。だ
                    から、私たちは、記事を書くことで、新しくグリーンベルトにや
                    ってきた人々に、歴史を知ってもらうためにできる限りのことを
                    やっているのよ。・・・・・・。私たちは歴史に立ち返って、そして、
                    こう言うの。「かつてはこうだった、それが何故変わってしまっ
                    たのか、私たちが必要としてることは何なのか」ってね。


                    私自身の家族、夫の家族を知ることは、コミュニティの歴史のこ
                    とを学ぶことにもなるのよ。・・・・・・。それは色々な意味で重要な
                    ことなの。〔故人の〕思い出をもつこと、〔故人に関する〕記事
                    を切り抜いて保管し、孫に見せることは、家族にとってはとても
・Mary Lou           個人的なことだわ。それは、コミュニティにおけるその人の価値
 Williamson(74)     を認識することなの。たとえ、その人がたくさんのことをしなく
・1962年∼             ても、ここにいるだけで、あなたの隣人であるだけで。ひょっと
・1972年∼現在までEditor   したら、その人の子どもとあなたの子どもが一緒に野球をしたか
                    もしれないし、その人を教会で見たことのある人かもしれない。
27
    アーカイブとしての地域新聞
・(当初はアーカイブのことは考えられていなかったかもしれないが)
 70年以上の蓄積が、結果として貴重なアーカイブになっている




  タグウェル・ルーム            創刊号             電子データ

• グリーンベルト・ニューズ・レビューのオフィスと
 図書館(タグウェル・ルーム)にはバックナンバーが保管
• (Prince George's Countyにより)2000年までの全号が電子化
• 図書館(タグウェル・ルーム)のバックナンバーは一般公開
28




オンラインでも
バックナンバーが公開




   創刊号       「75 Years Ago」のシリーズ
29
タグウェル・ルーム(図書館内の資料室)
30
タグウェル・ルーム(図書館内の資料室)
         • 運営:County(郡)
          (Prince George’s County Memorial Library,
          Greenbelt Branch)

         • タグウェル(Rexford Guy Tugwell):
          グリーンベルト・タウン計画の責任者

         • 開館時間:
          月・火  13∼21時
          水・木・金  10∼18時
          土  10∼17時
          日  休館

         • 利用
          受付にIDカードを預ければ、無料で利用可能

         • 目的:小学生から研究者までのあらゆる人に
          対して、調査資料を提供
31
                 保有している資料



•   500冊以上の本・定期刊行物
•   パンフレット・広告・その他のテキスト資料
•   ファイルキャビネット内の資料・資料一覧
•   新聞記事の切り抜きの目録(オンライン・データベース)
•   ビデオテープ
•   マイクロフィルム
•   オーディオカセット(オーラル・ヒストリー)
•   写真・アルバム・スクラップブック
•   地図・青写真(1938年∼1990年代)
•   記念品
•   ディスプレイ・ケース
          *Prince George’s County Memorial Library System Websiteより
32
グリーンベルト・ミュージアム
33
    グリーンベルト・ミュージアム
1人の女性がGreenbelt News Reviewに「A Museum for Greenbelt?」と
いう手紙を投稿したことがきっかけ

                         グリーンベルトは、大恐慌期にニューディールの哲学の表現
                        として建設されました。私たちの国の歴史における重要な期間
                        についてのミュージアムを作るために、ここほど適した場所が
                        あるでしょうか?
                                   ・・・(略)・・・
                         どうやってミュージアムを作るのにとりかかればいいのか、
                        考えがありません。でも、ひょっとしたらグリーンベルトに
                        は、こういうことについて何か提案できる知識のある人がいる
                        かもしれません。無理な注文のように思えてきます。けれど
                        も、今あるどんなミュージアムも、誰かが、いつか始めたもの
   GNR, July 13, 1972   なのです。興味のある方はいませんか?

手紙から15年が経過した1987年、50周年記念事業として、1937年に建設さ
れたブロック造の住宅の一戸をミュージアムとしててオープン
34
   グリーンベルト・ミュージアム
・フルタイムのキュレーター、パートタイムのスタッフ。
・運営はボランティア団体FOGM(Friends of Greenbelt Museum)が運営に協力

            Historic House           Exhibit Room(展示室)
      ・1937年に建設のBlock Houseの1住戸
 建物                                ・コミュニティ・センター内の1室
      ・市がミュージアムのために住戸を購入
 オー                                     月曜∼土曜 9:00∼21:00
          毎週日曜 13:00∼17:00
 プン                                        日曜 9:00∼19:00
       $3 / 55歳以上:$2 / 12歳以下:$1
 料金                                               無料
            FOGMメンバー:無料
      ・1936∼1952年の中流家庭の
                                   ・2年ごとに展示内容が変更。
       家具や家電、写真などが展示。
 展示                                ・2010年からはGardeningに関する展示
      ・10分程のGreenbeltの紹介ビデオを
                                    「Green From the Start」
       見た後、ボランティアが住戸を案内。

・約5,000人/年が来訪。
・「Guided Walking Tour」「Self Guided Walking Tour」も実施。
35
Historic House
36
FOGMのボランティアによる案内
       ○ボランティアの役割
       ・ミュージアムのガイド
       ・ニューズレター
       ・ギフト・ショップ
       ・庭仕事
       ・オフィス・アシスタント
       ・イベント
       ・その他
             (*「Volunteer Opportunities」より)



       ・左:Lee Shields氏
       (生後3ヶ月の時(1937年)にGreenbeltへ)
       ・右:Sandra Lange氏
       (50th Anniversary CommitteeのChair)
37
元ガレージを利用したミュージアムショップ
         本、DVD、絵葉書、トートバック、
         Tシャツ、ペーパーウェイト、置き物、
         マグネット、メダル、ラグマット、
         マウスパッド etc...
38
Exhibit Room(コミュニティ・センター内)




 コミュニティ・センター    “sublime on a dime” (2008 - 2009)




コミュニティ・センター入口   “Green From the Start” (2010 - 2011)
39
   コレクションの保管(兼・オフィス)




   (コミュニティ・センター内)       (PastPerfect(コレクション管理・共有))


この部屋にあるものはミュージアムのコレクションなの。だから、ミュージアム・ハウスで
展示されている物と交替させるの。それから、このスペースを、あなたたちのように家具や
町について研究している研究者のためにも使っているわ。・・・・・・。この部屋はひどいでし
ょ。もっと整理すべきだし、光に曝すんじゃなくて暗くするべきだなの。でも、ここはコレ
クションの保管場所であるだけじゃなくて、オフィスでもあるのよね。できる限りのことは
しているんだけど。
40
                   Greenbelt Museum, 1987∼
                        いつも市に思い起こさせている1つのことは、ミュージアムは街
                        にとって、マーケティング・ツールになり得るというこ
                        と。・・・・・・。私たちのミュージアム・ハウスにはしばしば、家を
                        買うために下見にやって来る人がいるのよ。この街を見たり、近
                        くの別の街を見たり。もしミュージアムがあれば、なぜ、この街
                        に住むのが重要かという情報を共有できるし、新しく住宅を購入
                        する人たちを惹きつける強力なツールになる。それは、GHIや街
                        のビジネスを助けることになるの。・・・・・・。歴史を守ること自体
                        が重要なだけでなくて、それは人々を惹きつけ、お金を惹きつけ
                        るのよ。


キュレーター                  ミュージアムが何らかのかたちで表に出る必要があると思う。理
Megan Searing Youngさん
                        想的には店舗、あるいはキヨスク、何らかの人々が街の歴史につ
                        いて学べる場所がルーズベルト・センターか映画館にあればい
                        い。

                        計画されたコミュニティ〔Planned Community〕にミュージアム
                        があるかないかは個人の努力に依存している。
41
                          プログラム




                                  ファーマーズ・マーケット
                                   と連携しての町歩き




Free Bi-Monthly Lecture Series
・隔月の第3火曜日の夜7:30から開催。
・大恐慌からWWIIの期間の歴史、物の文化、
 社会科学、芸術の歴史についてのレクチャー            クリスマス・フェアーへの出店
42
 オーラルヒストリー・プロジェクト




     Looking Back, City of Greenbelt,1987
・50周年の年に出版された冊子
・居住者の語りの他、パイオニアの氏名・住所の一覧も掲載
43
   オーラルヒストリー・プロジェクト
                        →個人の活動から始まった
1977年12月:Greenbelt Historical Societyがオーラル・ヒストリーの収集について議論。
(しかし、当時はプロジェクトが行われることはなかった)。

1982年:45周年記念の時、City ManagerのExecutive SecretaryであるDorothy Lauberが、当
初の居住者(Original Residents)の語り集め始めた。

1981∼85年:University of Marylandのコースの一部として、学生が初期の居住者(Early
Greenbelters)に対してインタビューを行う。

50周年が近づいてきた頃、既に何人かの居住者へのインタビューを行っていたLeta Mach
が、市に対して、50周年記念の一部として次に実施するインタビューをビデオテープで記録
することを依頼。その後、このプロジェクトを行うため、50th Anniversary Committee傘下
にOral History Subcommitteeが立ち上げられた。

1987年4月20日・30日:ローカル・ケーブルテレビが、初期の入居者のインタビューの様子
を放映。

          *Cathy D. Knepper: Greenbelt, Maryland: A Living Legacy of the New Deal, Johns Hopkins Univ Pr, 2001
44
ミルトン・キーンズ
45
33のニュータウンが建設
                 ミルトン・キーンズ
             計画人口:25万人
             後期の最大規模のニュータウン
                    → ニューシティ

                          ロンドン
                                   *写真:FGCHMの展示パネルより



1967年:ニュータウンに指定  The Unitary Authority
    開発公社(MKDC)設立      21,869 ha
                      (71%)
1970年:開発計画が承認
1974年: Borough Councilに
1992年:開発公社解散
1997年:Unitary Authority(単一自治体)に
                                 The City
2007年:まちびらき40周年              9,000 ha(29%)
46
ミルトン・キーンズ
47
                        特徴:増加し続ける人口
300,000
                          City                      Borough
250,000
200,000
150,000
100,000
 50,000
                                                                                                                           *Population Bulletin 2010/11より
     0
          1967
                 1969
                        1971
                               1973
                                      1975
                                             1977
                                                    1979
                                                           1981
                                                                  1983
                                                                         1985
                                                                                1987
                                                                                       1989
                                                                                              1991
                                                                                                     1993
                                                                                                            1995
                                                                                                                   1997
                                                                                                                          1999
                                                                                                                                 2001
                                                                                                                                        2003
                                                                                                                                               2005
                                                                                                                                                      2007
                                                                                                                                                             2009
                                                                                                                                                                    2011
                                                                                                                                                                           2013
                                                                                                                                                                                  2015
                                                                                                                                                                                         2017
  〈3つの既存の村〉                                                                                                                      〈Expantion Area〉
                        Wolverton
                                                                    急激な開発
Stony Stratford



    Bletchley                                                      “All Change”
48
特徴: 1km×1kmのグリッドシステム




  マスタープラン   ラウンドアバウト
49
ミルトン・キーンズ
50
ミルトン・キーンズ
51




ミルトン・キーンズのアーカイブ
52




              ミルトン・キーンズ
               ・ミュージアム




                          リビング・アーカイブ


シティ・ディスカバリー
   ・センター
リビング・アーカイブ   シティ・ディスカバリー・センター     53
                   ディスカバー・ミルトン・キーンズ




ミルトン・キーンズ・ミュージアム    中央駅     センター地区
54
シティ・ディスカバリー・センター
55
   シティ・ディスカバリー・センター
●活動内容                                            ・Director
①教育プログラム・活動
                                                 ・Business Development Manager
 Urban studies / Sustainable city
 Heritage Studies                                ・Librarian
②開発資料のアーカイブ
                                                 ・Administrator
③Bradwell Abbeyの運営
                                                 ・The Learning Events Coordinator

○1987年7月、2つのグループが合流して結成
 ・Milton Keynes Urban Studies Centre (1981 - 1996)
  (urban environmental education, including history and geography)
 ・Bradwell Abbey Field Centre Trust (1983 - 1997)
  (history, archaeology and the natural environment)
○1992年、Bradwell Abbey(修道院)の遺跡のある場所を拠点にする
○1997年、Councilが所有する5ヘクタールの土地を25年間リースする
56
シティ・ディスカバリー・センター




        Bradwell Abbey(12cの修道院)
57
          ライブラリー
                      ●オープン
                      ・月曜∼金曜 9:30∼13:00

                      ●物・地図資料の貸し出し
                      ・£5のデポジット

                      ●コピー
                      ・白黒 A4:10p/A3:20
開発公社から引き継いだ資料、        ・カラーA4:20p/A3:40p
地図、本、統計など2,000点、      ●写真(非商用利用)
写真約30,000枚を保有         ・低解像度のjpg:無料
        A. 計画・都市計画学
                      ・検索:£10/時間
        B. 地域の歴史      ・スキャン:£10/時間
        C. 建築         ・CD代:£2.5
        D. 教育方法・教材
        E. 自然
        F. 交通
                      ●写真(商用利用)
        G. 社会科学       ・可能・要相談
        H. 参考
58
       ライブラリー




  地図      寄付された資料のカテゴリーを確認




写真のスキャン      新聞記事のスクラップ
59
ミルトン・キーンズ・ミュージアム
60
   ミルトン・キーンズ・ミュージアム
1970年
        住民グループが、ニュータウン開発で閉鎖した農場や工場の物を収集し始める。
代初め
     開発公社が、住民グループにStacey Hill Farmの利用を許可。
1973 長期的な視野でコレクションを収集するためStacey Hill Societyが結成。
     「STACEY HILL COLLECTION OF INDUSTRY AND RURAL」としてオープン。
1980年
        人気のある地域のアトラクションに発展。
代まで
1980年 理事会(Board of Trustees)が結成。展示品の保管・保護のため新たな建物が建設。
代半ば オープン時間が延長される(夏期の日曜の午後、その後、4月∼10月の水∼日曜)。
     市内の唯一のミュージアムであること、より幅広い人に訪れてもらうために「Milton
1989 Keynes Museum」と改称。この頃、ディレクターが任命される。
     土地・建物の所有権が開発公社からニュータウン委員会に移管。
     以前ロンドン動物園に勤務していたBill Griffithsが、最初のフルタイムのディレクター
1994
     に指名(これまでミュージアムはボランティアで運営されていた)。
1996 1850年代に建設された脱穀小屋と牛舎が全焼。コレクションも被害を受ける。

1997 土地・建物の所有権がニュータウン委員会からBoroughに移管。

1998 火事後、再オープン。記録的な数の人々が来訪。
61
   ミルトン・キーンズ・ミュージアム
• 設立:1973年
• 開館日・時間:
 水∼日 11:00-16:30(4/1-10/31)
 土・日 13:00-16:30( 11/1-3/31)
• 入場料:
 £5 / 割引: £4 / Family:£14
• フルタイムのDirectorが1人
• Stacey Hill Societyのメンバーがボラ
 ンティアとして協力
• 子ども、教師、研究者への教育・
 サポートも実施
• ニュータウン開発後の時期を対象と
 するミュージアムではない。
62
交通   印刷所   喫茶室   脱穀小屋   商店街




     農家     電話     受付・ショップ
63
ミルトン・キーンズ・ミュージアム




  電話機の展示      農具




 再現された商店街   再現されたカフェ
64
ミルトン・キーンズ・ミュージアム




  農具       トラクター




  喫茶室    ミュージアム・ショップ
65
リビング・アーカイブ
66
  リビング・アーカイブ
「アート」と「歴史」という全く異なる分野の2人の活動が
    きっかけとなり生まれたユニークなグループ
  • Roy Nevitt氏
  • Stantonbury Campusの演劇のディレクター(当時)
  • 1974年から、地域の演劇グループのメンバーと共に、地域のドキュメンタリ
   ー演劇、ドキュメンタリーにもとづいた教材を作る。

  • Roger Kitchen氏
  • ニュータウン開発公社のCommunity Worker(当時)
  • 1970年代前半から、従来の居住者のオーラル・ヒストリーを収集。
  • 収集したオーラル・ヒストリーをラジオのドキュメンタリーや本にする。
  • *Urban Studies Centre(City Discovery Centreの前進)の立ち上げ

 1984年、リビング・アーカイブ結成
 従来の居住者:進歩という名のもとにそれまでの暮らしと歴史が破壊
  →どうすれば、誇りを持ち続けることができるか?
 新しい入居者:家族や仲間をおいて、まっさらな土地にやって来る
  →どうすれば、新しい場所を継承することができるか?
67
■活動体制(2010年時点)
• 5人のスタッフ
  ※2008∼2010はアーキビストも在籍
• 7人のパートタイム・スタッフ
• 約40人のボランティア



• 地域住民の思い出をもとにした
  11本の大規模なミュージカル・ド
  キュメンタリー演劇、50本以上の
  映画、20冊以上の本。
• 写真展、CD-ROMs、ラジオ・ドキ
  ュメンタリー、ビデオ・ドキュメ
  ンタリー、彫刻イベント、テキス
  タイル・プロジェクト、ダンス・
  ショー。
• Webpage、デジタル・ストーリー。
68
              2つのモットー
ドキュメンタリー・アートのプロセスには5つのステージがある。写真を聞いたり、誰かの話を聞い
たりしてインスピレーションを得る。もっと調べたくなる。録音したり、物を集めたりする。書き写
したり、録音したりして、集めたものを〔アートの材料として〕使えるかたちにする。それから、形
を整えたり、編集する。それで、自分の作品を作るんだ。そして、次が最も大事なことで、作品を還
元する、シェアする。・・・・・・。それ〔最後の点〕がミュージアムとの違いだと思う。
あなたたちの街〔千里ニュータウン〕にミュージアムがないのは良いことだよ(笑)。何故かと言う
と、ミュージアムは静的・固定的〔static〕だから。あなたちが展示会を開いたとする。「展示会を開
きました。これが街の歴史です、遺産〔heritage〕です」って。でも、しばしば、そこには街で聞く普
通の声〔ordinary voices〕が反映されてない。


仮に、もしあなたたちの街に立派なミュージアムがあるとする。すると、全てのお金がミュージアム
自体のために支払われることになる。スタッフとか建物とかランニング・コストとか。そういうのは
ダイナミックじゃない。・・・・・・。静的〔static〕だし、つまらいないし、モニュメントになってしまう
んだ(笑)。

① どんな人にも語るべき物語がある
 “Everybody has a story to tell”
② 自分がいる場所を掘る=理解する=好きになる
 “Digging where you stand”
69
                 アーカイブ
リビング・アーカイブは、ほとんど偶然アーカイブを作ることになったんだ。なぜなら、〔街を〕調
べた結果を絵劇や本、ウェブサイトのために使っているから、〔演劇や本、ウェブサイトを作るの
と〕同時にアーカイブが蓄積されていった。・・・・・・。正直に言うと、当初、1980年代は〔人の話を〕
録音さえしていなかった。ビデオも使ってなかった。

リビング・アーカイブの活動は・・・・・・、1984年に始まったけど、2年前〔2008年〕にアーキビストを
雇ったばかりなんだ。それまではアーカイブ作りも、収集物の適切なカタログ作りもしてなかった。




100,000枚以上の写真/約35,000枚の写真ネガ/1,000時間以上の録音テープ
            ・ボランティアがデジタル化の作業
            ・アーキビストが目録作り
            ・写真が傷まないよう、温度調整できるアーカイブ庫が必要
70
             トレーニング
                 • トレーニング・ルーム → ボランティアが作業をする部屋。
                 • まちづくりをしようとする個人・グループへのトレーニング、サポ
                 ートも行う。
                 • ウェブページの作成、画像編集、デジタルサウンド・ビデオ編集の
                 トレーニング・コースも提供


オーラル・ヒストリー
・インタビューの4つの黄金律

①尋ねたことだけ答えてもらえる

②興味をもつこと

③聴くこと

④尊敬すること
                                      画像編集                    データベース作成
                     波形編集
                                     (Photoshop)                (Access)

                            *Kitchen’s Ink(www.kitchens-ink.fsnet.co.uk/index.html)より
71
Living Archive Band




  ・リビング・アーカイブから生まれたグループ

  ・地域の人々の語り・言葉をもとに曲を制作

  ・2000年、2009年にはCDもリリース
72
    オンライン・アーカイブ




                  物の紹介




人物の紹介   新旧写真の比較   映像
73
ディスカバー・ミルトン・キーンズ
74
       ディスカバー・ミルトン・キーンズ
              • 主催:Milton Keynes Heritage Association
              • 運営:リビング・アーカイブ
720m




              • 協力:Milton Keynes Council、the Centrel
                  Milton Keynes Partnership、thecentre:mk(ショ
                  ッピングセンター)、Arriva(バス会社)

              • オープン:2008年
              • センター地区のショッピングセンター(The
                  Centre:MK)の空き店舗を活用
              •   2011年から中央図書館内に移転
              •   歴史(Heritage)とアートの団体のための
                  「ショーケース」
              •   バスのチケット売り場、観光案内所の役割も
                  果たす。
              •   Milton Keynesのグッズ、本等が販売。
              •   オープン:月∼土 10:00∼18:00
              •   入場料:無料
              •   来訪者
                  1年目:14,500人  2年目:24,000人
75
ミュージアムには歴史が好きな人しか行かない。だから、ここで実験してることは、より多
くの、幅広い人を引きつけることなの。ここに来る人は買い物客で、彼らのほとんどはミュ
ージアムになんて行こうと思ったことがない。ここはバスのチケットを売ってるか
ら、・・・・・・、みながここに来る一番の理由はバスのチケットだわ。・・・・・・・でも、少しず
つ、彼らは〔ここに置かれている〕ミュージアムのリーフレットに気づいて、手に取り始め
るようになった。ここに来て、そして、ミュージアムに行った人が何人いるのか、数える方
法はないのだけど。

ここに来る人の目的は、バス・チケットが1番目、観光情報が2番目、歴史〔heritage〕は3番
目。でも、一緒にやってることが大事。・・・・・・。旅行会社も、歴史〔heritage〕を理由にやっ
て来る人が多いことを認識してる。
76
ディスカバー・ミルトン・キーンズ
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  • 1. MERA / 111008 欧米の計画住宅地の アーカイブ 千里グッズの会 田中康裕
  • 3. 3 ①千里の絵葉書づくり (2005年) (2006年) (2007年) • 千里の風景が急激に変わっていくのを目の当たりにする。 • 「今」しか撮れない写真がある。 「今」当たり前のように見ている風景も、いずれ貴重な資料になる。
  • 4. 4 ②居住者層の急激な変化 100-104歳 100-104歳 90- 94歳 90- 94歳 80- 84歳 80- 84歳 70- 74歳 60- 64歳 } 70- 74歳 60- 64歳 } 50- 54歳 50- 54歳 40- 44歳 30- 34歳 20- 24歳 40- 44歳 30- 34歳 20- 24歳 } 10- 14歳 10- 14歳 0- 4歳 0- 4歳 0% 4% 8% 12% 0% 4% 8% 12% 新千里北町の人口構成 新千里東町人口構成 (今後建替えが行われる住区) (建て替えが進んでいる住区) ※2011年4月1日現在の人口。 豊中市の人口統計より。 • 従来の居住者 住み慣れた住環境が急激に変化(失われていく) • 新しい入居者 これまでの歴史がわかりにくい(過去の痕跡がない)
  • 5. 5 地元の人が学ぶ・地元の人に学ぶ「地元学」 地元学は、ないものねだりはしません。あるものを探し、それを 磨いたりして価値のあるものにしていきます。(吉本, 2008) ・・・・・・、都市とくらべて「ないものねだり」の愚痴をこぼすよ り、この土地を楽しく生きるための「あるもの探し」。それを私 はひそかに「地元学」と呼んでいる・・・・・・(結城, 2009) 地元学——地域に住む者が自ら住んでいる所を知ること、地域固 有の風土に刻みこまれた歴史や伝統のひだの深さを知ることが、 地域をどのようにしていくか——(吉本, 1995) 同じ地域を生きる人びとともう一度関係を再構築するために、そ れぞれの地元の資源とそれを生かす知恵と技術と哲学を学ぶこ と。そしてその力を合流させ自分たちの生きやすい場所に整え直 すこと——地元学がめざすものである。(結城, 2009) 事例に挙げられているのは「農山漁村」 ニュータウンからみれば、「農山漁村」には農林漁業という 生業、伝統、豊かな自然・・・・・・があるように思える。
  • 6. 6 ③ニュータウンの「地元学」は可能か? ◆ニュータウンには、 農山漁村にある生業、 伝統、自然に相当するものがあるのか? ◆(仮にニュータウンの歴史を記録することができたとしても) 生業がなく(?)、商品消費社会にのりかかって誕生したニュータウンの歴史 を記録することが、人々の関係を再構築し得るような価値を生み出せるか? *ニュータウンにない3つのもの(鷲田, 1998) ①大木 日常の共通の感覚 ②宗教施設 (コモン・センス)を越えるもの ③いかがわしい場所 ◆“コモン・センスを越えるもの”を人為的に作ることはできるのか? ・・・・・・、消費の記号で埋めつくされてどこにもすきまのない都市、すきまさえも記号と してただちに消費されてしまうそんな都市において、古木と寺社と場末に代わるのが、 ひょっとすればアートなのではないか。(鷲田, 2005) アートの可能性?
  • 7. 日本に先んじてニュータウン開発が行われた 7 海外ではどのようなアーカイブの試みがなされているか? グリーンベルト(米) ミルトン・キーンズ(英) グリーンベルト ミルトン・キーンズ 千里NT 入居開始 1937 1967 1962 面積(ha) 1,560 8,900 1,160 当初の計画 1,000戸 25万人 15万人 23,068 195,687 89,571 現在の人口 (2010年) (2008年) (2005年) 都市からの距離 D.C. 19Km ロンドン 80Km 大阪 12Km
  • 8. 8 人口構成 グリーンベルト ミルトン・キーンズ 千里[豊中市域] 85歳- 85歳- 85歳- 75- 84歳 75- 84歳 75- 84歳 65- 74歳 65- 74歳 65- 74歳 60- 64歳 60- 64歳 60- 64歳 55- 59歳 55- 59歳 55- 59歳 45- 54歳 45- 54歳 45- 54歳 35- 44歳 35- 44歳 35- 44歳 25- 34歳 25- 34歳 25- 34歳 20- 24歳 20- 24歳 20- 24歳 15- 19歳 15- 19歳 15- 19歳 10- 14歳 10- 14歳 10- 14歳 5- 9歳 5- 9歳 5- 9歳 0- 4歳 0- 4歳 0- 4歳 0% 5% 10% 15% 20% 25% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 2000 Census 2001 Census 2000 国勢調査 (入居から63年目) (入居から34年目) (入居から38年目) ・千里のみ高齢者の割合が大きい グリーンベルト、ミルトン・キーンズでは、  継続的に住戸が建設されていることが、1つの背景。
  • 10. 10 F. D. ルーズベルトのニューディール政策によって誕生 「グリーンベルト・タウン計画」の目的 ①大恐慌時の仕事の創出 ②住宅不足の解消 ③理想的な住宅地 のモデルの創出 9つの「グリーンベルト・タウン」が計画 →実現したのは3つのみ Greenbelt, MD Greenhills, OH Greendale, Wi *写真:Farm Security Administration-Office of War Information Collection (from the Library of Congress) より
  • 11. 11 3種類の構造の住宅が建設 時期 第1期 第2期 1941年 入居年 1937年 (Defense Homes) 戸数 885戸 1,000戸 構造 ブロック造(Block) れんが造(Brick) 木造(Frame) 当初 現在 *当初の写真:Farm Security Administration-Office of War Information Collection (from the Library of Congress) より
  • 12. 12 後に周辺部の開発が進む オールド・ グリーンベルト メリーランド州 グリーンベルト ・ウエスト グリーンベルト ・イースト ワシントン・メトロ グリーンラインの終点
  • 15. フィットネス 15 ・センター ルーズベルト・センター コミュニティ・センター (商業施設) (元小学校) 図書館 市役所 ファーマーズ・マーケット
  • 17. 17 特徴:協同組合(コウオプ) ①信用金庫(GCF, 1937∼) ②地域新聞(GNR, 1937∼) ③保育所(GNS, 1942∼) ④住宅・住宅地の所有・管理(GHI, 1946∼) ⑤キャンプ場(RC, 1954∼) ⑥スーパーマーケット(GCC, 1984∼) ⑦カフェ(NDC, 1995∼) ④グリーンベルト・ホームズ (GHI) ⑦ニューディール・カフェ (NDC) • 1946年、政府によるGreenbeltの払い下 • センターの空き店舗で運営 げの受け皿として結成 • 現在もOld Greenbelt内の1,600の住戸と 周辺の土地を所有・管理 • 住宅は市場価格で売買 1,600戸 大半が1937 / 1941に建設 約3,500人が居住 高齢の居住者が多い *千里NTの「街角広場」に似ている
  • 18. 18 特徴:新しい入居者へ GHI(協同組合) グリーンベルト市 ●Welcome Packet ●Welcome to Greenbelt Table of Contents ※72頁の冊子 About Greenbelt 11 ... Community Pledge 12 ... Greenbelt: A History 13 ... Government and Elections 16 ... City Council 17 ... Boards and Committees 18 Departments and Services 19 ... Administration 20 ... Police 22 ... Public Works 23 ... Greenbelt CARES 24 ... Planning & Community Development 28 ... Animal Control 29 ... Recreation 30 ... Special Events 32 ... Recreational Facilities 34 Public Works 37 ... Recycling/Refuse Collection Schedule 38 ... Refuse Guidelines 39 ... Recycling Guidelines 42 ... What Goes in My Bin? 43 ...Yard Waste 44 ... Snow Removal 45 ... Other Information 46 Community Resources 47 ... Schools 48 ... Transportation 51 ... Places of Worship 53 ... Library 55 ... Places to Visit 56 ... Other Resources 59 Business in Greenbelt 61 ●購入前の ... Shopping, Dining, and Entertainment 62 ... Professional Centers 63 ... Hotels 64 ... Business Resources 64 オリエンテーション Departmental and Phone Directory 67 Index 69
  • 19. 19 グリーンベルトのアーカイブ まちびらき50周年の年に、 歴史に焦点をあてたいくつかのプロジェクトが行われる
  • 20. 20 50周年記念委員会(1984年結成) •Development of the Greenbelt Museum (ミュージアム) •Production of the Fiftieth Anniversary Book (50周年記念誌) •Commissioning a Statue of Franklin Delano Roosevelt (ルーズベルト大統領の像) •50th Anniversary Dance (50周年記念のダンス) •National Conference on Planned Communities (計画住宅地の国際会議) •House and Garden Tours (住宅と庭のツアー) •Fund-Raising, and Sales and Promotions (資金調達・販売促進) •Oral History Project (オーラル・ヒストリー) •Tree Planting (植栽計画) •Production of a Slide Show (スライド・ショー) *Cathy D. Knepper: Greenbelt, Maryland: A Living Legacy of the New Deal, Johns Hopkins Univ Pr, 2001より
  • 22. 22 50周年記念誌 地域新聞「グリーンベルト・ニューズ・レビュー」 のスタッフらが中心となって編集 Foreword Acknowledgments Introduction Prologue: Before Greenbelt Chapter 1: The Development of Greenbelt Chapter 2: Constructing the Town of Greenbelt Chapter 3: Social Construction Chapter 4: The War Years Chapter 5: Utopia in Transition グリーンベルト開発前 Chapter 6: Growing Pains Chapter 7: Greenbelt in the 1970s and 1980s ①グリーンベルトの開発 Epilogue: ②グリーンベルトの建設 Greenbelt Organizations 1937-1987 Bibliography ③初期の入居者の生活 About the Authors ④戦時中の生活 Index ⑤交通 About the Authors Chapter 8: The Sixth Decade, 1987-1997 ⑥周辺部の開発 Greenbelt Organizations 1987-1997 ⑦1970年代∼1980年代 Greenbelt's Outstanding Citizens Index ⑧60周年(1987年∼97年)
  • 23. 23 グリーンベルト・ニューズ・レビュー • 1937年11月24日に創刊 *まちびらきの約2ヶ月後に創刊 *当初の名前は『The Cooperator』 • 創刊時より途切れることなく毎週発行 • 現在は毎週木曜日に発行 • 地域の人々にイベントの情報を伝えたり、意 見交換のフォーラムを提供することが必要だ と感じた人々が発行し始めた。 • 協同組合(コウオプ)として運営 • 60名以上がボランティアとして参加 • ページは12p(16p、24pの週もある) • 配布地域:Greenbelt市内の約1万戸に無料配布
  • 25. 25 グリーンベルト・ニューズ・レビュー の紙面 投稿欄(Letters to the Editor) コミュニティ・イベント 故人略伝(Obituaries) 警察署 事件簿
  • 26. 26 個人と地域の歴史 私たちには、いつも歴史に興味をもつ人がスタッフにいるわ。だ から、私たちは、記事を書くことで、新しくグリーンベルトにや ってきた人々に、歴史を知ってもらうためにできる限りのことを やっているのよ。・・・・・・。私たちは歴史に立ち返って、そして、 こう言うの。「かつてはこうだった、それが何故変わってしまっ たのか、私たちが必要としてることは何なのか」ってね。 私自身の家族、夫の家族を知ることは、コミュニティの歴史のこ とを学ぶことにもなるのよ。・・・・・・。それは色々な意味で重要な ことなの。〔故人の〕思い出をもつこと、〔故人に関する〕記事 を切り抜いて保管し、孫に見せることは、家族にとってはとても ・Mary Lou 個人的なことだわ。それは、コミュニティにおけるその人の価値  Williamson(74) を認識することなの。たとえ、その人がたくさんのことをしなく ・1962年∼ ても、ここにいるだけで、あなたの隣人であるだけで。ひょっと ・1972年∼現在までEditor したら、その人の子どもとあなたの子どもが一緒に野球をしたか もしれないし、その人を教会で見たことのある人かもしれない。
  • 27. 27 アーカイブとしての地域新聞 ・(当初はアーカイブのことは考えられていなかったかもしれないが)  70年以上の蓄積が、結果として貴重なアーカイブになっている タグウェル・ルーム 創刊号 電子データ • グリーンベルト・ニューズ・レビューのオフィスと 図書館(タグウェル・ルーム)にはバックナンバーが保管 • (Prince George's Countyにより)2000年までの全号が電子化 • 図書館(タグウェル・ルーム)のバックナンバーは一般公開
  • 28. 28 オンラインでも バックナンバーが公開 創刊号 「75 Years Ago」のシリーズ
  • 30. 30 タグウェル・ルーム(図書館内の資料室) • 運営:County(郡) (Prince George’s County Memorial Library, Greenbelt Branch) • タグウェル(Rexford Guy Tugwell): グリーンベルト・タウン計画の責任者 • 開館時間: 月・火  13∼21時 水・木・金  10∼18時 土  10∼17時 日  休館 • 利用 受付にIDカードを預ければ、無料で利用可能 • 目的:小学生から研究者までのあらゆる人に 対して、調査資料を提供
  • 31. 31 保有している資料 • 500冊以上の本・定期刊行物 • パンフレット・広告・その他のテキスト資料 • ファイルキャビネット内の資料・資料一覧 • 新聞記事の切り抜きの目録(オンライン・データベース) • ビデオテープ • マイクロフィルム • オーディオカセット(オーラル・ヒストリー) • 写真・アルバム・スクラップブック • 地図・青写真(1938年∼1990年代) • 記念品 • ディスプレイ・ケース *Prince George’s County Memorial Library System Websiteより
  • 33. 33 グリーンベルト・ミュージアム 1人の女性がGreenbelt News Reviewに「A Museum for Greenbelt?」と いう手紙を投稿したことがきっかけ  グリーンベルトは、大恐慌期にニューディールの哲学の表現 として建設されました。私たちの国の歴史における重要な期間 についてのミュージアムを作るために、ここほど適した場所が あるでしょうか? ・・・(略)・・・  どうやってミュージアムを作るのにとりかかればいいのか、 考えがありません。でも、ひょっとしたらグリーンベルトに は、こういうことについて何か提案できる知識のある人がいる かもしれません。無理な注文のように思えてきます。けれど も、今あるどんなミュージアムも、誰かが、いつか始めたもの GNR, July 13, 1972 なのです。興味のある方はいませんか? 手紙から15年が経過した1987年、50周年記念事業として、1937年に建設さ れたブロック造の住宅の一戸をミュージアムとしててオープン
  • 34. 34 グリーンベルト・ミュージアム ・フルタイムのキュレーター、パートタイムのスタッフ。 ・運営はボランティア団体FOGM(Friends of Greenbelt Museum)が運営に協力 Historic House Exhibit Room(展示室) ・1937年に建設のBlock Houseの1住戸 建物 ・コミュニティ・センター内の1室 ・市がミュージアムのために住戸を購入 オー 月曜∼土曜 9:00∼21:00 毎週日曜 13:00∼17:00 プン 日曜 9:00∼19:00 $3 / 55歳以上:$2 / 12歳以下:$1 料金 無料 FOGMメンバー:無料 ・1936∼1952年の中流家庭の ・2年ごとに展示内容が変更。  家具や家電、写真などが展示。 展示 ・2010年からはGardeningに関する展示 ・10分程のGreenbeltの紹介ビデオを  「Green From the Start」  見た後、ボランティアが住戸を案内。 ・約5,000人/年が来訪。 ・「Guided Walking Tour」「Self Guided Walking Tour」も実施。
  • 36. 36 FOGMのボランティアによる案内 ○ボランティアの役割 ・ミュージアムのガイド ・ニューズレター ・ギフト・ショップ ・庭仕事 ・オフィス・アシスタント ・イベント ・その他 (*「Volunteer Opportunities」より) ・左:Lee Shields氏 (生後3ヶ月の時(1937年)にGreenbeltへ) ・右:Sandra Lange氏 (50th Anniversary CommitteeのChair)
  • 37. 37 元ガレージを利用したミュージアムショップ 本、DVD、絵葉書、トートバック、 Tシャツ、ペーパーウェイト、置き物、 マグネット、メダル、ラグマット、 マウスパッド etc...
  • 38. 38 Exhibit Room(コミュニティ・センター内) コミュニティ・センター “sublime on a dime” (2008 - 2009) コミュニティ・センター入口 “Green From the Start” (2010 - 2011)
  • 39. 39 コレクションの保管(兼・オフィス) (コミュニティ・センター内) (PastPerfect(コレクション管理・共有)) この部屋にあるものはミュージアムのコレクションなの。だから、ミュージアム・ハウスで 展示されている物と交替させるの。それから、このスペースを、あなたたちのように家具や 町について研究している研究者のためにも使っているわ。・・・・・・。この部屋はひどいでし ょ。もっと整理すべきだし、光に曝すんじゃなくて暗くするべきだなの。でも、ここはコレ クションの保管場所であるだけじゃなくて、オフィスでもあるのよね。できる限りのことは しているんだけど。
  • 40. 40 Greenbelt Museum, 1987∼ いつも市に思い起こさせている1つのことは、ミュージアムは街 にとって、マーケティング・ツールになり得るというこ と。・・・・・・。私たちのミュージアム・ハウスにはしばしば、家を 買うために下見にやって来る人がいるのよ。この街を見たり、近 くの別の街を見たり。もしミュージアムがあれば、なぜ、この街 に住むのが重要かという情報を共有できるし、新しく住宅を購入 する人たちを惹きつける強力なツールになる。それは、GHIや街 のビジネスを助けることになるの。・・・・・・。歴史を守ること自体 が重要なだけでなくて、それは人々を惹きつけ、お金を惹きつけ るのよ。 キュレーター ミュージアムが何らかのかたちで表に出る必要があると思う。理 Megan Searing Youngさん 想的には店舗、あるいはキヨスク、何らかの人々が街の歴史につ いて学べる場所がルーズベルト・センターか映画館にあればい い。 計画されたコミュニティ〔Planned Community〕にミュージアム があるかないかは個人の努力に依存している。
  • 41. 41 プログラム ファーマーズ・マーケット と連携しての町歩き Free Bi-Monthly Lecture Series ・隔月の第3火曜日の夜7:30から開催。 ・大恐慌からWWIIの期間の歴史、物の文化、  社会科学、芸術の歴史についてのレクチャー クリスマス・フェアーへの出店
  • 42. 42 オーラルヒストリー・プロジェクト Looking Back, City of Greenbelt,1987 ・50周年の年に出版された冊子 ・居住者の語りの他、パイオニアの氏名・住所の一覧も掲載
  • 43. 43 オーラルヒストリー・プロジェクト →個人の活動から始まった 1977年12月:Greenbelt Historical Societyがオーラル・ヒストリーの収集について議論。 (しかし、当時はプロジェクトが行われることはなかった)。 1982年:45周年記念の時、City ManagerのExecutive SecretaryであるDorothy Lauberが、当 初の居住者(Original Residents)の語り集め始めた。 1981∼85年:University of Marylandのコースの一部として、学生が初期の居住者(Early Greenbelters)に対してインタビューを行う。 50周年が近づいてきた頃、既に何人かの居住者へのインタビューを行っていたLeta Mach が、市に対して、50周年記念の一部として次に実施するインタビューをビデオテープで記録 することを依頼。その後、このプロジェクトを行うため、50th Anniversary Committee傘下 にOral History Subcommitteeが立ち上げられた。 1987年4月20日・30日:ローカル・ケーブルテレビが、初期の入居者のインタビューの様子 を放映。 *Cathy D. Knepper: Greenbelt, Maryland: A Living Legacy of the New Deal, Johns Hopkins Univ Pr, 2001
  • 45. 45 33のニュータウンが建設 ミルトン・キーンズ 計画人口:25万人 後期の最大規模のニュータウン → ニューシティ ロンドン *写真:FGCHMの展示パネルより 1967年:ニュータウンに指定 The Unitary Authority     開発公社(MKDC)設立 21,869 ha (71%) 1970年:開発計画が承認 1974年: Borough Councilに 1992年:開発公社解散 1997年:Unitary Authority(単一自治体)に The City 2007年:まちびらき40周年 9,000 ha(29%)
  • 47. 47 特徴:増加し続ける人口 300,000 City Borough 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 *Population Bulletin 2010/11より 0 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 〈3つの既存の村〉 〈Expantion Area〉 Wolverton 急激な開発 Stony Stratford Bletchley “All Change”
  • 48. 48 特徴: 1km×1kmのグリッドシステム マスタープラン ラウンドアバウト
  • 52. 52 ミルトン・キーンズ ・ミュージアム リビング・アーカイブ シティ・ディスカバリー ・センター
  • 53. リビング・アーカイブ シティ・ディスカバリー・センター 53 ディスカバー・ミルトン・キーンズ ミルトン・キーンズ・ミュージアム 中央駅 センター地区
  • 55. 55 シティ・ディスカバリー・センター ●活動内容 ・Director ①教育プログラム・活動 ・Business Development Manager  Urban studies / Sustainable city  Heritage Studies ・Librarian ②開発資料のアーカイブ ・Administrator ③Bradwell Abbeyの運営 ・The Learning Events Coordinator ○1987年7月、2つのグループが合流して結成  ・Milton Keynes Urban Studies Centre (1981 - 1996)   (urban environmental education, including history and geography)  ・Bradwell Abbey Field Centre Trust (1983 - 1997)   (history, archaeology and the natural environment) ○1992年、Bradwell Abbey(修道院)の遺跡のある場所を拠点にする ○1997年、Councilが所有する5ヘクタールの土地を25年間リースする
  • 56. 56 シティ・ディスカバリー・センター Bradwell Abbey(12cの修道院)
  • 57. 57 ライブラリー ●オープン ・月曜∼金曜 9:30∼13:00 ●物・地図資料の貸し出し ・£5のデポジット ●コピー ・白黒 A4:10p/A3:20 開発公社から引き継いだ資料、 ・カラーA4:20p/A3:40p 地図、本、統計など2,000点、 ●写真(非商用利用) 写真約30,000枚を保有 ・低解像度のjpg:無料 A. 計画・都市計画学 ・検索:£10/時間 B. 地域の歴史 ・スキャン:£10/時間 C. 建築 ・CD代:£2.5 D. 教育方法・教材 E. 自然 F. 交通 ●写真(商用利用) G. 社会科学 ・可能・要相談 H. 参考
  • 58. 58 ライブラリー 地図 寄付された資料のカテゴリーを確認 写真のスキャン 新聞記事のスクラップ
  • 60. 60 ミルトン・キーンズ・ミュージアム 1970年 住民グループが、ニュータウン開発で閉鎖した農場や工場の物を収集し始める。 代初め 開発公社が、住民グループにStacey Hill Farmの利用を許可。 1973 長期的な視野でコレクションを収集するためStacey Hill Societyが結成。 「STACEY HILL COLLECTION OF INDUSTRY AND RURAL」としてオープン。 1980年 人気のある地域のアトラクションに発展。 代まで 1980年 理事会(Board of Trustees)が結成。展示品の保管・保護のため新たな建物が建設。 代半ば オープン時間が延長される(夏期の日曜の午後、その後、4月∼10月の水∼日曜)。 市内の唯一のミュージアムであること、より幅広い人に訪れてもらうために「Milton 1989 Keynes Museum」と改称。この頃、ディレクターが任命される。 土地・建物の所有権が開発公社からニュータウン委員会に移管。 以前ロンドン動物園に勤務していたBill Griffithsが、最初のフルタイムのディレクター 1994 に指名(これまでミュージアムはボランティアで運営されていた)。 1996 1850年代に建設された脱穀小屋と牛舎が全焼。コレクションも被害を受ける。 1997 土地・建物の所有権がニュータウン委員会からBoroughに移管。 1998 火事後、再オープン。記録的な数の人々が来訪。
  • 61. 61 ミルトン・キーンズ・ミュージアム • 設立:1973年 • 開館日・時間:  水∼日 11:00-16:30(4/1-10/31)  土・日 13:00-16:30( 11/1-3/31) • 入場料:  £5 / 割引: £4 / Family:£14 • フルタイムのDirectorが1人 • Stacey Hill Societyのメンバーがボラ ンティアとして協力 • 子ども、教師、研究者への教育・ サポートも実施 • ニュータウン開発後の時期を対象と するミュージアムではない。
  • 62. 62 交通 印刷所 喫茶室 脱穀小屋 商店街 農家 電話 受付・ショップ
  • 63. 63 ミルトン・キーンズ・ミュージアム 電話機の展示 農具 再現された商店街 再現されたカフェ
  • 64. 64 ミルトン・キーンズ・ミュージアム 農具 トラクター 喫茶室 ミュージアム・ショップ
  • 66. 66 リビング・アーカイブ 「アート」と「歴史」という全く異なる分野の2人の活動が きっかけとなり生まれたユニークなグループ • Roy Nevitt氏 • Stantonbury Campusの演劇のディレクター(当時) • 1974年から、地域の演劇グループのメンバーと共に、地域のドキュメンタリ ー演劇、ドキュメンタリーにもとづいた教材を作る。 • Roger Kitchen氏 • ニュータウン開発公社のCommunity Worker(当時) • 1970年代前半から、従来の居住者のオーラル・ヒストリーを収集。 • 収集したオーラル・ヒストリーをラジオのドキュメンタリーや本にする。 • *Urban Studies Centre(City Discovery Centreの前進)の立ち上げ 1984年、リビング・アーカイブ結成 従来の居住者:進歩という名のもとにそれまでの暮らしと歴史が破壊  →どうすれば、誇りを持ち続けることができるか? 新しい入居者:家族や仲間をおいて、まっさらな土地にやって来る  →どうすれば、新しい場所を継承することができるか?
  • 67. 67 ■活動体制(2010年時点) • 5人のスタッフ ※2008∼2010はアーキビストも在籍 • 7人のパートタイム・スタッフ • 約40人のボランティア • 地域住民の思い出をもとにした 11本の大規模なミュージカル・ド キュメンタリー演劇、50本以上の 映画、20冊以上の本。 • 写真展、CD-ROMs、ラジオ・ドキ ュメンタリー、ビデオ・ドキュメ ンタリー、彫刻イベント、テキス タイル・プロジェクト、ダンス・ ショー。 • Webpage、デジタル・ストーリー。
  • 68. 68 2つのモットー ドキュメンタリー・アートのプロセスには5つのステージがある。写真を聞いたり、誰かの話を聞い たりしてインスピレーションを得る。もっと調べたくなる。録音したり、物を集めたりする。書き写 したり、録音したりして、集めたものを〔アートの材料として〕使えるかたちにする。それから、形 を整えたり、編集する。それで、自分の作品を作るんだ。そして、次が最も大事なことで、作品を還 元する、シェアする。・・・・・・。それ〔最後の点〕がミュージアムとの違いだと思う。 あなたたちの街〔千里ニュータウン〕にミュージアムがないのは良いことだよ(笑)。何故かと言う と、ミュージアムは静的・固定的〔static〕だから。あなたちが展示会を開いたとする。「展示会を開 きました。これが街の歴史です、遺産〔heritage〕です」って。でも、しばしば、そこには街で聞く普 通の声〔ordinary voices〕が反映されてない。 仮に、もしあなたたちの街に立派なミュージアムがあるとする。すると、全てのお金がミュージアム 自体のために支払われることになる。スタッフとか建物とかランニング・コストとか。そういうのは ダイナミックじゃない。・・・・・・。静的〔static〕だし、つまらいないし、モニュメントになってしまう んだ(笑)。 ① どんな人にも語るべき物語がある  “Everybody has a story to tell” ② 自分がいる場所を掘る=理解する=好きになる  “Digging where you stand”
  • 69. 69 アーカイブ リビング・アーカイブは、ほとんど偶然アーカイブを作ることになったんだ。なぜなら、〔街を〕調 べた結果を絵劇や本、ウェブサイトのために使っているから、〔演劇や本、ウェブサイトを作るの と〕同時にアーカイブが蓄積されていった。・・・・・・。正直に言うと、当初、1980年代は〔人の話を〕 録音さえしていなかった。ビデオも使ってなかった。 リビング・アーカイブの活動は・・・・・・、1984年に始まったけど、2年前〔2008年〕にアーキビストを 雇ったばかりなんだ。それまではアーカイブ作りも、収集物の適切なカタログ作りもしてなかった。 100,000枚以上の写真/約35,000枚の写真ネガ/1,000時間以上の録音テープ ・ボランティアがデジタル化の作業 ・アーキビストが目録作り ・写真が傷まないよう、温度調整できるアーカイブ庫が必要
  • 70. 70 トレーニング • トレーニング・ルーム → ボランティアが作業をする部屋。 • まちづくりをしようとする個人・グループへのトレーニング、サポ ートも行う。 • ウェブページの作成、画像編集、デジタルサウンド・ビデオ編集の トレーニング・コースも提供 オーラル・ヒストリー ・インタビューの4つの黄金律 ①尋ねたことだけ答えてもらえる ②興味をもつこと ③聴くこと ④尊敬すること 画像編集 データベース作成 波形編集 (Photoshop) (Access) *Kitchen’s Ink(www.kitchens-ink.fsnet.co.uk/index.html)より
  • 71. 71 Living Archive Band ・リビング・アーカイブから生まれたグループ ・地域の人々の語り・言葉をもとに曲を制作 ・2000年、2009年にはCDもリリース
  • 72. 72 オンライン・アーカイブ 物の紹介 人物の紹介 新旧写真の比較 映像
  • 74. 74 ディスカバー・ミルトン・キーンズ • 主催:Milton Keynes Heritage Association • 運営:リビング・アーカイブ 720m • 協力:Milton Keynes Council、the Centrel Milton Keynes Partnership、thecentre:mk(ショ ッピングセンター)、Arriva(バス会社) • オープン:2008年 • センター地区のショッピングセンター(The Centre:MK)の空き店舗を活用 • 2011年から中央図書館内に移転 • 歴史(Heritage)とアートの団体のための 「ショーケース」 • バスのチケット売り場、観光案内所の役割も 果たす。 • Milton Keynesのグッズ、本等が販売。 • オープン:月∼土 10:00∼18:00 • 入場料:無料 • 来訪者 1年目:14,500人  2年目:24,000人
  • 75. 75 ミュージアムには歴史が好きな人しか行かない。だから、ここで実験してることは、より多 くの、幅広い人を引きつけることなの。ここに来る人は買い物客で、彼らのほとんどはミュ ージアムになんて行こうと思ったことがない。ここはバスのチケットを売ってるか ら、・・・・・・、みながここに来る一番の理由はバスのチケットだわ。・・・・・・・でも、少しず つ、彼らは〔ここに置かれている〕ミュージアムのリーフレットに気づいて、手に取り始め るようになった。ここに来て、そして、ミュージアムに行った人が何人いるのか、数える方 法はないのだけど。 ここに来る人の目的は、バス・チケットが1番目、観光情報が2番目、歴史〔heritage〕は3番 目。でも、一緒にやってることが大事。・・・・・・。旅行会社も、歴史〔heritage〕を理由にやっ て来る人が多いことを認識してる。