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MERA / 100529
田中康裕
子どもと大人との中間的な関係が
生まれる地域の場所
背景
背景①:身のまわりにいた大人(自身の経験より)
3
京都府Y市
これらの場所で出会う大人は、
・顔見知り程度で、親しい関係だとは思わない
・顔を見れば挨拶したり、ちょっとした言葉をかわす程度
・帰宅時に顔を会わせると(今でも)「おかえり」と言ってもらえる
・長年顔を合わせているが、名前を知らない人もいる
・顔を合わせる場所が決まっている(電話で話をすることはない)
→ささやかな関係ではあるが、これらの方々の存在が、この地域への愛着の形成に
 寄与しているところが大きい。
●自転車置き場のおばさん
●畑仕事をしているおじさん
●犬の散歩をしている人
背景①:身のまわりにいた大人(自身の経験より)
4
●お地蔵さんのお世話を
しているおばさん
*ジェイン・ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』
都市街路の信頼は、街頭で交わす数多くのささやかなふれあいにより時間をかけて
形づくられています。・・・・・・
大部分は、表面上は実にささやかなものですが、すべて合わせると全然ささやかで
はありません。このような地元レベルの何気ない市民交流の総和が・・・・・・公的アイ
デンティティの感覚であり、公的な尊重と信頼の網であり、やがて個人や近隣が必
要とするときに、それがリソースになるのです。
背景①:身のまわりにいた大人(自身の経験より)
5
●自転車置き場のおばさん
●畑仕事をしているおじさん
●犬の散歩をしている人
●お地蔵さんのお世話を
しているおばさん
背景②:親密さ / 教育という観念
6
フィリップ・アリエス
『〈子供〉の誕生』
リチャード・セネット
『公共性の喪失』
親密さによるつながりを至上の価値とする観念、
子どもを保護し、教育の対象とみなす観念、
が、子どもを地域における暮らしから引き離した。
親密さや一方的な教え込みではない子どもと大人との関係に注目して、
子どもと大人とが日常的に関われるような地域のあり方を考えてみたい。
中間的な関係
7
無関係 強い関係
親しいわけではないが、赤の他人でもない
一方的な教えこみの関係にはないが、関わりがないわけでもない
•「無責任だけれども関心だけはちゃんと持ってくれてい」る「第三者」。(鷲田清一)
•「都市の無関心の砂漠」と「無数の小市民の排他的な家庭」との中間にある「社交という
もう一つの関わりかた」。(山崎正和)
•「自分と単に弱く結びついている人々」〔=「弱い紐帯」〕が、「自分のまだ持っていな
い就業情報」をもたらしてくれる。( グラノヴェター)
•「斜めの関係」〔=「叔父−甥(ないしは叔母−姪)的関係」〕。(笠原嘉)
中間的な関係への空間の影響
8
「帰属意識の高さを探るという点からは、軽い関係にも着目する必要が
ある。また、建築という物的環境は、親しい関係よりも軽い関係に大き
な影響を与える。」(小林秀樹『集住のなわばり学』)
中間的な関係は、親しい関係に比べて、空間の影響を受けやすいのか?
→分譲マンションにおける居住者相互の関係が、
 どのようなきっかけによって築かれているか、についての調査
調査① / 中間的な関係
への空間の影響
∼分譲マンションを対象とする調査∼
マンション居住者に対するアンケート調査の概要
10
実施期間 2008年10月末∼12月半ば
調査対象
首都圏の
27の分譲マンション
配布数 11,344
回収数 2,205
回収率 19.4%
配布・
回収方法
集合ポストより全戸配布
し、郵送で回収
• 総戸数が100戸以上、かつ、階数
が10階以上の21の分譲マンション
を区分所有する2,052名の回答を
分析の対象とする
アンケート調査の回答者(2,052人)
11
男性
女性
0 300 600 900 1200
∼24
25∼34
35∼44
45∼54
55∼64
65∼74
75∼
0 200 400 600 800
1年未満
1年以上5年未満
5年以上10年未満
10年以上
0 250 500 750 1000
●居住年数
●年齢 ●家族人数(回答者自身を含む)
1人
2人
3人
4人
5人
6人
0 200 400 600 800
●性別
マンション内の他の居住者と知り合ったきっかけ(※複数回答)
12
住戸が隣近所
EVや階段でよく会う
マンションの共用施設でよく会う
駐輪場・駐車場でよく会う
マンション外の店や施設
トラブルが起きた時に居合わせた
子どもの幼稚園・保育園・小学校等を通して
共用施設等で子どもを遊ばせていたこと
ペットを介して
知人を介して
子どもの共通の習い事等を通して
自分の子どもに話しかけられたこと
よその子どもに話しかけたこと
子ども以外の家族を介して
管理人を介して
管理組合・自治会を通じて
マンション内のサークルやイベント
マンション外のサークルやイベント
ここに住む以前から
仕事を通じて
わからない・覚えていない
インターネット
その他
0 200 400 600 800 1000 1200
媒介者(子ども)の存在
管理・運営活動
サークル・イベント
空間的な近接性
居住しているマンションにおける
「親しい人」「顔に見覚えがある人」の人数
13
→中間的な関係
20人
10∼19人
5∼9人
3∼4人
2人
1人
特にいない
0 200 400 600 800
親しい人
男性回答者 女性回答者
20人
10∼19人
5∼9人
3∼4人
2人
1人
特にいない
0 200 400 600 800
顔に見覚えがある人
男性回答者 女性回答者
→「親しい人」の人数、「顔に見覚えがある人」の人数と、
4つのきっかけにはどのような関係がみられるか?
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
特にいない
1人
2人
3∼4人
5∼9人
10∼19人
20人
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
特にいない
1人
2人
3∼4人
5∼9人
10∼19人
20人
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
特にいない
1人
2人
3∼4人
5∼9人
10∼19人
20人
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
特にいない
1人
2人
3∼4人
5∼9人
10∼19人
20人
14●管理・運営活動
●サークル・イベント活動●媒介者(子ども)の存在
●空間的な近接性
■ 親しい人 ● 顔に見覚えがある人
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
特にいない
1人
2人
3∼4人
5∼9人
10∼19人
20人
「親しい人」「顔に見覚えがある人」の人数
と空間的な近接性
15
■ 親しい人 ● 顔に見覚えがある人
※グラフの見方
・「顔に見覚えがある人」が「20人いる」
 回答者のおよそ8割、
・「顔に見覚えがある人」が「特にいない」
 回答者のおよそ4割、
が、他の居住者と知り合ったきっかけとして
「空間的な近接性」をあげている。
• 「顔に見覚えがある人」が多い人ほど、「空間的な近接性」をあげている。
• 「親しい人」の人数が増えても、「空間的な近接性」をあげる人の割合に大
きな違いはみられない。
→ 中間的な関係は、親しい関係に比べて空間的な環境の影響を受けやすい。
調査① / まとめ
16
• 中間的な関係は、親しい関係に比べて空間の影響を受けやすい。
• 子どもと大人との中間的な関係は、
地域のどのような場所で生まれているか?
→現役の大学生に対して、地域における「異世代の顔見知りの人」
 を尋ねるアンケート調査を行った。
調査② / 地域における
異世代の顔見知りの人との関係
∼現役の大学生を対象とする調査∼
18
現在の生活、あるいはこれまでの小中高校時代を振り返って、あなたの
生活する街や地域の中で、「あなたが世間話をしたり会話を交わしたり
する異世代の顔見知りの人」(ただし家族・親戚・自分が通っている
(いた)学校の先生以外の人)を4人教えてください。
場所 大阪大学・豊中キャンパス
対象者
「教育人間学」
「教職教育学」の受講生
調査用紙
配布日
2003年5月12日
調査用紙
回収日
2003年5月19日
配布数 132部
回収数 69部
回収率 52%
男性回答者
女性回答者
0 10 20 30 40
32
37
理系学部
文系学部
0 8 16 24 32 40
男性回答者 女性回答者
回答者(69人)の概要調査の概要
あげられた異世代の顔見知りの人
19
男性回答者
があげた異世代の人
女性回答者
があげた異世代の人
0 20 40 60 80 100
81
70
●回答した異世代の人の平均人数
男性回答者:1.9人 / 女性回答者:2.5人
●あげられた異世代の人の人数
男性回答者
(37人)
女性回答者
(32人)
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
4人 3人 2人 1人 0人
●回答した異世代の人数別にみた回答者
小学校入学前
小学生の頃
中学生の頃
高校生の頃
高卒後
0 10 20 30 40 50
男性回答者があげた異世代の人 女性回答者があげた異世代の人
●異世代の人と知りあった時期 ●異世代の人の年齢
∼19歳
20∼39歳
40∼59歳
60歳∼
0 20 40 60 80
あげられた異世代の顔見知りの人
20
近所の人
習い事の先生
友人の家族
散髪屋・美容院の人
家族の知りあい
地域活動で知りあった人
習い事を通しての知りあい
お店の人
病院の先生
管理人・大家さん
アルバイト先の人
友人・知人の知りあい
学校で知りあった人
公共施設の人
その他
0 8 16 24 32 40
男性回答者があげた異世代の人 女性回答者があげた異世代の人
あげられた異世代の顔見知りの人
21
近所の人
習い事の先生
友人の家族
散髪屋・美容院の人
家族の知りあい
地域活動で知りあった人
習い事を通しての知りあい
お店の人
病院の先生
管理人・大家さん
アルバイト先の人
友人・知人の知りあい
学校で知りあった人
公共施設の人
その他
0 8 16 24 32 40
男性回答者があげた異世代の人 女性回答者があげた異世代の人
•うらのおじーちゃん[42-2Mm]
•定年退職したおじいさん[22-2Fm]
•向いのおばーちゃん[42-3Mf]
•帰宅途中にある家のおばあさん[31-2Ff]
•近所のおばちゃん(主婦?)[23-1Mf]
あげられた異世代の顔見知りの人
22
近所の人
習い事の先生
友人の家族
散髪屋・美容院の人
家族の知りあい
地域活動で知りあった人
習い事を通しての知りあい
お店の人
病院の先生
管理人・大家さん
アルバイト先の人
友人・知人の知りあい
学校で知りあった人
公共施設の人
その他
0 8 16 24 32 40
男性回答者があげた異世代の人 女性回答者があげた異世代の人
•高校のとき通っていた塾の先生[54-4Fm]
•ピアノの先生[45-3Ff]
•習字の先生[64-3Mf]
•スイミングスクールコーチ[55-1Fm]
•ボーイスカウトの隊長[64-4Mm]
•バイト先の管理人のおじさん[15-3Fm]
あげられた異世代の顔見知りの人
23
近所の人
習い事の先生
友人の家族
散髪屋・美容院の人
家族の知りあい
地域活動で知りあった人
習い事を通しての知りあい
お店の人
病院の先生
管理人・大家さん
アルバイト先の人
友人・知人の知りあい
学校で知りあった人
公共施設の人
その他
0 8 16 24 32 40
男性回答者があげた異世代の人 女性回答者があげた異世代の人
•美容師[40-2Mf]
•いつも行っていた散髪屋の人[56-1Mm]
•よく行くおかし屋の人[43-4Mf]
•隣の駄菓子屋さん[32-1Mf]
あげられた異世代の顔見知りの人
24
近所の人
習い事の先生
友人の家族
散髪屋・美容院の人
家族の知りあい
地域活動で知りあった人
習い事を通しての知りあい
お店の人
病院の先生
管理人・大家さん
アルバイト先の人
友人・知人の知りあい
学校で知りあった人
公共施設の人
その他
0 8 16 24 32 40
男性回答者があげた異世代の人 女性回答者があげた異世代の人
•図書館の司書[14-3Fm]
異世代の顔見知りの人との接触の仕方
25
異世代の顔見知りの人に会うために、
その人とよく顔をあわせる場所へ行くことがありますか?
男性回答者
があげた異世代の人
女性回答者
があげた異世代の人
0 20 40 60 80 100
はい いいえ
その人に会うためにわざわざある場所を訪れるというより、ある場所を
訪れたり通りかかったりすることに付随して生まれている。
• 「単に通り道なので通りすぎるだ
け。その間にたまたま会えば会話を
交す」[14-1Ff]
• 「友達のおばあちゃん」とは「友達
の家に遊びに行くときに出会った」
[07-3Ff]
活動の場所
住居内
商業施設
公共施設・その他の施設
住居周辺・屋外空間
0 10 20 30 40 50
異世代の顔見知りの人とよく顔を合わせる場所
26
活動の場所
住居内
商業施設
公共施設・その他の施設
住居周辺・屋外空間
0 10 20 30 40 50
〈主〉
場所の主ではない
〈主(あるじ)〉
ある場所に(いつも)居て、そ
の場所を大切に思い、
その場所(の運営・管理)につ
いて何らかの役割を担っている人
異世代の人と、その人と顔を合わせる場所がセット
・活動の場所:書道の先生 + 書道の教室 [07-4Fm]
・住居内:  友人の母親 + 友人の家 [35-1Ff]
・商業施設: ヘアーカットの人 + 美容室 [45-2Fm]
・公共施設: 図書館の司書 +図書館 [14-3Fm]
・屋外空間: 帰宅途中にある家のおばあさん + おばあさんの家の前  [31-2Ff]
       →「おばあさんが家の前の畑で仕事をしていた」
     : 一人暮らしのおばあさん + 家の玄関前 [54-1Ff]
       →「家の玄関前」を「このおばあさんが毎朝そうじしてくれる」
活動の場所
住居内
商業施設
公共施設・その他の施設
住居周辺・屋外空間
0 10 20 30 40 50
異世代の顔見知りの人とよく顔を合わせる場所
27
●活動の場所
・「公民館で開かれていた英会話教室の生徒同士」[05-1Ff]
・「スイミングスクールの先輩」[55-4Ff]
●住居内
・「おしゃべりが大好きな人で、ちょくちょく〔自宅に〕来る」[18-4Mf]
・「僕の自宅にその人の子どもをあずけにくる」「近所の人」[67-1Mf]
●住居周辺・屋外空間
・「かわいい犬を連れていらして、犬のことについてお話したのがきっかけ」[33-3F]
・「公園で遊んでいると、話しかけられた」[22-2Fm]
〈主〉
場所の主ではない
〈主〉
場所の主ではない
調査② / まとめ
28
異世代の顔見知りの人との接触
• その人に会うためにわざわざある場所を
訪れるというより、ある場所を訪れたり
通りかかったりすることに付随して生ま
れている。
• 〈主(あるじ)〉の存在
〈主〉
〈主〉が運営
・管理する場所
訪れる
通りかかる
• 公共の場所(公共施設や公園)よりも、そこを維持・管理する人の姿が
見えやすい場所(お店、家、家の前、畑)で生まれやすい。
平田オリザ(劇作家)による空間の分類
29
演劇では、知り合い同士の「会話」ではなく、互いに相手のことをよく知らない人同
士の「対話」によって、観客に情報を伝える必要がある。
→「対話」はどのような場所において生まれ得るのか?
プライベートな空間 セミパブリックな空間 パブリックな空間
• 知り合いしか登場しないの
で、「会話」は弾むが「対
話」は生まれない。
• 内部の人々がいて、そこに外
部の人々が出入り自由
• 「対話」が生まれる
• 人々はその場所を通り過ぎる
だけだから、「会話」すら成
り立ちにくい。
• 家の茶の間
• 大学の研究室
• サナトリウムの面会室
• 美術館のロビー
• 道ばた
• 広場
父 母
姉 弟
内部
他者
他者
内部
30
• 「セミパブリックな空間」における〈主〉の存在とは?
→子どもと大人との中間的な関係が生まれている
 2つのコミュニティ・カフェの調査を行った。
調査③ / コミュニティの場所
における〈主〉
∼コミュニティ・カフェを対象とする調査∼
ひがしまち街角広場
32
※写真:尹俊到
ひがしまち街角広場
33
親と子の談話室・とぽす
34
街角広場
35
• 所在地:大阪府豊中市(千里ニュータウン)
• オープン:2001年9月/2006年5月に移転
• 運営日:月曜∼土曜日
• 時間:11:00∼16:00
• 運営:ひがしまち街角広場運営委員会
• 代表:赤井直さん
• スタッフ:約12名のボランティア
• 建物:近隣センターの空き店舗を活用
• 面積:移転前:約30㎡/移転後:約75㎡
• 来訪者:1日に40∼50人程。高齢者、子連れの
母親などが訪れる。近くの小学校に通う子ど
もたちが、学校帰りに水を飲みに立ち寄る。
オープンのきっかけ
36
赤井: ・・・・・・、ニュータウンの中には、そういう、何となく過ごせる、みんなが何となくぶ
らっと集まって喋れる、ゆっくり過ごせるっていう場所はございませんでした。そうい
う場所が欲しいなと思ってたんですけど、なかなかそういう場所、こういう地域で確保
することができなかったんです。
赤井: 「何をしよう」って言って、「まず地域交流、コミュニケーションの場所が欲しいんだ
から、まぁお茶ぐらい飲めるようにしましょうよ」。で、お茶を飲むのはどうしたらい
いか、「じゃあ、素人ができることだから、紅茶かコーヒーぐらいしかないねぇ、日本
茶も出しましょう」、・・・・・・
赤井: ここはね、高齢者というんじゃなくて、地域の人どなたでものコミュニティっていって
つくったんです。
国土交通省の「歩いて暮らせるまちづくり」事業がきっかけ。当初は、半年間のみの
社会実験としてオープン。社会実験終了後は、運営の継続を希望する声に応えて、補助
金に頼らず「自主運営」されている。
街角広場の様子
37
街角広場の様子
38
街角広場の様子
39
街角広場の様子
40
とぽす
41
• 所在地:東京都江戸川区
• オープン:1978年4月
• 運営日:月曜∼金曜日(現在)
• 時間:11:00∼19:00頃(現在)
• 運営者:白根良子さん
• 建物:知人に設計を依頼し、自宅の敷地の一
画に新築
• 面積:約65㎡
• 来訪者:現在は30∼50代の人(女性)が1人で
訪れることが多くい。精神の病を抱える人も
訪れる。学校帰りの小学生が、水を飲みに立
ち寄ることもある。
• 今日しかない日替りランチ
(コーヒー付き):980円
• ブレンドコーヒー:450円
• 紅茶:500円
• ヤングタイムサービス:200円
オープンのきっかけ
42
白根:・・・・・・、大人の私が1人で子どもに関わるっていうことよりも、ここに来る大
人たちが子どもにそれぞれの立場で関わって欲しい、その方が豊かになるん
じゃないかと思って、で喫茶店にしたんです。そうすると、喫茶店にはお客さ
んとして大人が来ますよね。
白根:児童館とかね、子どもの城とか、子どもの遊び場とか、フリースペースっていう
言葉は一切。・・・・・・、〔大人が〕何か入ってくるのに、あの、制限されてるっ
ていう気持ちがあるでしょ。喫茶店って言えば誰でも入れるかなって、子ども
以外は。だから、子どもも入れる喫茶店っていうふうにしたんです。
当時、学校の校則が厳しくて、子どもたちは学校帰りに友だちと道端で立話をするこ
とも禁止されていた。また、両親と学校の先生という利害関係のある大人とだけしか
接していないという状況だった。
とぽすの様子
43
とぽすの様子
44
街角広場 / とぽす
45
プライベートな空間 セミパブリックな空間 パブリックな空間
• 家の茶の間
• 内部の人々がいて、そこに外
部の人々が出入り自由
• 道ばた
• 広場
父 母
姉 弟
内部
他者
他者
内部
とぽす:住宅のようなカフェ 街角広場:広場にあるカフェ
両者に共通点は?
主と客の関係
46
赤井:・・・・・・来る方もボランティア、お手伝いして
る方もボランティアっていう感じ
で、・・・・・・、フラットな関係でいられるっ
ていうのがあそこは一番いい。
白根:その〔場所の〕商品は、そのやってるその人だと思うの。・・・・・・。だから、私
だと思ってるんですよね。
白根:・・・・・・、お客さんによって自分も変わっていくんですね。で、いいことばっか
りではなくて、やっぱり大変なこともなんかも、起こる。・・・・・・。そういう時
に、色んなことを学ぶんですよね、みんなでね。
白根:「無彩色な立場」
●街角広場:フラットな関係
●とぽす:〈主〉としての白根さん / 〈主〉が客から学ぶ
しつらえ
47
赤井:「街角広場」の場合は、・・・・・・、も
う一から十までありあわせを集めて
こしらえたような場所ですから、も
うそれこそ、スプーン1本、 1本、
全部持ち寄りのありあわせです。
●街角広場:ありあわせのものでしつらえる / みなでしつらえる
白根:もう最初から同じ。・・・・・・、永久にじゃないけど、変わらない、壁も何も全部
変えない、それが私のやり方のなかのひとつだったんですよね。
●とぽす:いつまでも変わらないしつらえ
無理に関わらずとも、ただ居るだけでいい
48
白根:だから、ここへ来た子どもたちに、何をやらせるとか、私が本を読んであげる
とか、そういう教育的な配慮は全く抜きにして、ただ居るだけでいいよってい
うね、そういう場所にしたかったから、・・・・・・
白根:お互いにそれぞれが自分のところに座ってて、誰からも見張られ感がなく、
ゆっくりしてられるっていう。だけども、「何か困った時があったよね」って
言った時には側にいてくれるっていう、そういう空間って必要だなと思って。
●とぽす
●街角広場
赤井:大きなテーブルで周りにいるのもいいだろうと思うけども、・・・・・・、自分1人
だけのテーブルでこうやりたい時もあるかもしれない。それは、その時々で、
自由に使いこなせるようなものがいいみたいに思いますね。
客によって運営のあり方が決まっていく
49
白根:ここは喫茶店なので人との出会いがその流れをつくっていっているんですよ。
人との出会いがつくっていってるので、「ちょっと待って」とは絶対私は言え
ない。「そういう要求ならそれもやりましょうね」っていうかたちで、だんだ
ん渦巻きが広くなっちゃうって言うかな。
●とぽす
●街角広場
赤井:あんまり場所づくりしたところで、こちらの押し付けがあったらだめなんです
よね。だから、はっきり言えば来る人がつくっていく、来る人のニーズに合っ
たものをつくっていく。こちらの押し付けはね、やっぱり無理なところがある
と思いますね。
歓待〔ホスピタリティ〕の本質は、客をもてなす主の側には求められない。 歓待〔ホスピタ
リティ〕の本質はあくまでも、やってくる客をめぐって規定される。(シェレール)
調査③ / まとめ
50
とぽす街角広場
• 主客が区別されないフラットな関係
• ありあわせのもので、
みなでしつらえる
いずれの場所の〈主〉も、固定的ではなく、柔らかな存在
 →無理に関わらずとも、ただ居るだけでいい
 →客によって運営のあり方が決められていく
誰もが〈主〉になれる
• いつもそこにいる白根さん
• いつまでも変わらないしつらえ
→定点としての〈主〉
• 客によって変えられていく〈主〉
常にそこに居ながら、
 変わり続ける〈主〉
まとめ
まとめ
52
• 中間的な関係は、親しい関係に比べて空間の影響を受けやすい
• ある場所を訪れたり、通りかかったりすることに付随して、接触が生
まれる。
• 〈主〉の存在が接触を生む大きなきっかけ
• プライベートでも、パブリックでもなく、セミパブリックな場所にお
いて生まれやすい
• セミパブリックな場所の〈主〉は、固定的ではなく、柔らかな存在