Apple は、ユーザが常に最新iOSにバージョンアップするように様々な施策をとり、アプリケーションやコンテンツの提供者も、ユーザに押される形で最新iOSに親和性のあるものを供給するという循環を作っている。この中でiOSの無償提供は重要な施策だがそれをささえている、課税処理、Deferred Revenue について説明する。

1. Apple のエコシステム
Free
version
up と Deferred
Revenue
Hiroshi
Sumio
@h_sumio
Some
copy
right
reserved

2. – Appleのエコシステム
• ユーザを常に最新OS
にアップデートさせる
仕組みを作り、それを利用して新しいメディア
フォーマット／コンテンツサービスを浸透させる。
– Apple製品に親和性の高いデータを広める事で
新規購入時・製品買い替え時に Apple
製品を選択させる
• ソフトのバージョンアップを最近の製品に絞る事で、
古いiPhoneの買い替え需要の創造
• iPhone を所有するユーザに、最新のOSの機能を届け、
満足度を上げて、Androidに対して優位性を保つ

3. android
iPhone
2015
9.28
リリース
2014
9.17
リリース
5.x
Lollipop
33
%
2014.12.2
リリース
4.4
KitKat
36%
2013.9.3
リリース
市場で使われているOS
のフラグメンテーションの比較
2016
1
月 現在
新OSリリース後、１年以内に
９０％のユーザが最新OSに
バージョンアップしている。
新OSリリース後、１年で
３３％のユーザに浸透する
ペース
Jan
11
,
2016

4. 新サービス
コンテンツや対応デバイスが増え
ユーザ認知度上がる
新型iPhoneと同時に、新iOS
をリリース
既存ユーザが新iOSに Vup
新サービスの売り上げ増大
新サービスをサポートする
3rdパーティが増える
新しいサービス・オプション
を利用できるユーザが一夜に
して拡大
アップルの製品は、新サービスを普及させるトロイの木馬
Appleのエコシステム1
新iOSのリリースと新しいサービスやハードの普及
新しいサービスが
一気に普及
新サービス・オプションの利用者増大
売上増

5. 新iOS/新機能に対応した
アプリが充実
(
アプリの作り方によっては 新iOSが必須に）
新iPhone発売 購入者＝新iOS導入
既存ユーザが新iOSに Vup
既存アプリ：新OS
対応を急ぐ
新規アプリ：新iOSの機能対応で
販売躍進を目指す
App
Store
で
既存アプリが新OSに対応しない
と売れなくなる
（ユーザ評判やランキングダウンなどで）
多くの３rdパーティが
新OSの機能にすぐに
対応
App
ストアは 新OSに対応したアプリのみ生き残るエコシステム
Appleのエコシステム2
新iOSとそれに対応したアプリの普及
古いOSしか動かない
機種は、動作可能な
アプリが徐々に減少
-­‐>
古い機種を買い替える
モチベーションに
さらに既存ユーザが新iOSにVup
新OSの比率が高まる

6.
市場の製品のファームをアップデート
ユーザのデバイスを新しいサービスや機能に
対応
受け皿を増やす事で新サービス・機能の
普及を計る
AirPlay:
iPad/iPhone/Mac
からのVideo
出力を
ワイヤレスでAppleTVで表示する機能
AirPlay
に対応したゲームや
映像再生アプリが増加中
AppleTV
iTunes
や
iTunes
U(
大学の授業など）のコンテンツ
の視聴、 iPhone
,
iPad
,
Macの出力をネットワーク
経由で出力する機能がある。
2009
6月
iOS
3
3GS
iOS
4
iPhone4
2010
6月
iPad
2010
4月
VGA外部出力
サポート
VGA外部出力
サポートを追加
AirPlay
出力
サポートを追加
AirPlay
出力
サポートを追加
AirPlay
出力
サポート
2011
3月
iPad2
AirPlay
Mirror
出力をサポート
AirPlay
Mirror
出力機能サポート
AirPlay
Video出力
サポート
2010
9月
AppleTV発売
AirPlay
Mirror
出力機能サポート
Video出力対応
アプリをプロ
モート
Game
アプリ他
のAirPlay
対応
をプロモート
Bluetooth
サポート
2010
10/4
Google
TV発売
Apple
のエコシステム
Vup
と機能拡張

7. iPhone
や iPad
のアプリで
AppleTVを表示装置として使う
ゲーム
Mo[on
Tennis
の例
Apple
TVが発売されると、iPhone
ユーザの７割が３ヶ月以内に AirPlay対応版の
iOS
にバージョンアップ。 -­‐>
市場のポテンシャルが大きいので、3
rd
パーティが
AirPlay
対応のアプリをリリース AirPlay 対応のアプリが充実

8. ユーザを最新版のiOSにアップデートさせる
モチベーションを高める施策の一つは
iOS
の無償バージョンアップ
では、その対価の処理は？

9. hp://tech.fortune.cnn.com/2013/11/02/
apple-­‐deferred-­‐revenue-­‐dilger/
ユーザのiPhone(市場機)の機能アップは 利益補填とならないように注意必要
Apple
は以前、税問題（利益補填）のため、バージョンアップ費用をユーザからとっていた。
現在は、売り上げの一部を翌年以降に計上する事でバージョンアップを無償にした

10. iPhone/
ipad
2007
6月
2008
6月
初代iPhone
3G
3GS
2009
6月
iOS
2
iOS
3
iOS
4
iPhone4
iPod
Touch
iPad
新OSリリース後ユーザの殆どがすぐに
OSをアップデートする状況
iOS5.0リリース後半年で市場の８割の
ユーザが新OSに
iOS
6リリース後24時間で15％が導入、
1ヶ月後には6割のユーザが新OSに
2010
6月
2011
10月
iOS
5
iPhone4s
iOS
6
2012
秋
iPad2
VupサポートはiOS3まで
VupサポートはiOS4まで
VupサポートはiOS5まで
3GS
は廉価版として2012中まで販売
iOS
7
2013
秋
iPad3,4,mini
新しいOSの無償Vup
対応をする機種を限定し、
古い機種のユーザに買い替える動機を作っている

11. • 携帯電話のOS
が毎年バージョンアップするのに合わ
せて、 周辺のデバイスや、iOT
デバイスのソフトの
バージョンアップも同様の状況に早晩なる。
• ファームウェアのバージョンアップ費の処理について
は、携帯電話メーカだけでなく、すぐに他の製品に関
しても考慮する必要が出てくるはず。
• Deferred
Revenue 方式も一つの対応方法と考えられ
る。 製品の特性により、他の方法もありえるが、不用
意な課税をされない様に慎重に検討が必要。