概要

1. 家 族 信
託
～相続資産管理の新たな手法～

2. ※ 内閣府発表「平成 26 年度版高齢者白書」高齢化の推移と将来設計より
高齢化率の推移と将来設計

3. ※ 内閣府発表「平成 25 年度版高齢者白書」高齢化の現状より
2011 年世界一長寿は
香港は男性が 80.5 年、女性が 86.7 年
平成 72 年（ 2060 年）には平均寿命は男性 84.19 歳、女性 90.91
歳に！
2012 年 7 月 26 日厚生労働省発表： 2011 年の日本人の平均寿命を発表した。
男性の平均寿命は 79.44 年で前年比 0.11 年減少、女性は 85.90 年で前年比 0.40 年減少
コラム： 2011 年 3 月に発生した東日本大震災が大きな原因で地震による
死因を除いた場合の平均寿命は、男性が 79.70 年、女性が 86.24 年
我が国の実態把握（平均寿命の推移）

4. 平成 26 年 6 月 1 日厚労省研究班発表
65 歳以上 462 万人（認知症有病者） + 予備軍 380 万人＝約 842
認知症高齢者の現状（平成 22 年及び平成 26 年）

5. ◆ 申し立ての動機
1,578
8,226
11,508
1,888
6,091
6,456
2,767
27,620
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
その他
身上監護
介護保険契約
訴訟手続等
相続手続き
不動産の処分
保険金受け取り
預貯金等の管理解約
申立ての動機
27,620
2,767
6,456
6,09
11,888
11,508
8,226
1,578
※ 最高裁判所 HP の司法統計資料 ( 全家庭裁判所 ) を基に作成
◆ 年間の申し立て件数３４,６８９件/年
成年後見制度利用の実態
◆ 成年後見制度利用者 本人の性別・年齢別割合
の男性 本人 年齢別割合 の女性 本人 年齢別割合 ※ 最高裁判所 HP の司法統計資
料
( 全家庭裁判所 ) を基に作成
預貯金等の管理解
約
保険金受け取り
不動産の処分
相続手続き
訴訟手続等
介護保険契約
身上監護
その他

6. これまでは「成年後見制度」を使うしかなかった！
結果：柔軟な資産管理や相続対策はできない・・制度の限
界
意思判断能力が失われるとどうなる？資産
管理現在の状況
「本人の意思確認ができない
と
定期預金の解約はできませ
ん」
「成年後見人をつけて下さい
」
「本人 ( の意思 ) 確
認が
できないと不動産の
売却はできません」
85 年ぶりの大改正で、
★ 受益者連続型信託、限定責任信託の設定が可能に
★ 自己信託・目的信託の解禁
★ 事業信託も実質的に可能となる
➡信託制度自体の大転換となったが、あまり知られていない
➡なぜか？専門家不在、学者の本は難しい、通訳がいない、創造力が乏しい
★ 信託銀行が行っている「遺言信託」は、信託法上の信託ではない ⇒ ただの
商品名
司法書士
不動産業者
金融機関
信託法の全面改正（ 2007 年 9 月施行）
いよいよ「家族信託」が実現！

7.
◆ 認知症、病気、障がい者の不動産所有者判断能力低下など・・
不動産売却、活用、相続対策ができない。 △成年後見制度
⇒資産を移転せずに、それらを可能にする「家族信託」
◆ 委任契約・成年後見制度・遺言の３つは手続きが煩雑
⇒すべての機能を生前（元気→認知）から相続発生後の
財産
管理を一貫して１つの信託契約で実現する事が可能
に！
㋐ 委任契約 ㋑ 成年後見制度 ㋒ 遺言執行 ㋓ 数次相続
認知症発症 相続開始 2 次相続 3 次相続現在
生前の財産管理
今まで
今 後
一般的な資産承継の対策
相続後の資産承継・財産管理
家 族 信 託

8. ” ”特に“高齢者や障がい者のための財産管理 や“柔軟な資産承継対策 として注目されているのが≪家族信託≫です。
法律用語としての定義はありませんが、「家族による家族のための信託」というイメージです
。
信託銀行等のプロに資産を預けるのではなく、信頼できる家族・親族に財産を託し、費用を抑えた
形で
信託銀行の
遺言信託や
投資商品の
投資信託と
は
まったく違
う
家族信託とは？
家族信託の仕組み
例）監督は司法書士など専門家
または家族でも可能
例）父 例）息子 例）父
例）自宅や所有不動産
遺言・信託契約 監視・監督権
受益権
管理・処分
受託者委託者 受益者
信託財産
移転
◆ 委託者
財産の所有者、財産を託す人
◆ 受託者
財産を託され、管理・運用・処分する人
◆ 受益者
財産の運用・処分で利益を得る権利
（受益権）を有する人

9. 信託不動産の登記簿記載
例
⇒ 贈与税や取得税はなし
財産の管理処分権限を持つものとして
形式的に所有者欄に記載されます
⇒ 託した人（委託
者）
⇒ 託された人（受託者）
⇒ 収益を得る人（受益者）
委託者 受益者＝
何のための信託か（目的）
受託者の権限の範囲
死亡後の資産の承継先を指定で
きる
⇒ 遺言機
能
家族信託の仕組み

10. 一軒家から老人施設へ移住する（認・病対策）
受託者長男が手続きすれば
自宅を処分・活用することができる。
長男 58 歳
母 83 歳
移り住む
長男 58 歳
委託者
受益者
信託財産
処分 / 活用
★ 母が認知などで意識低下になると・・自宅は売ることも
活用することも大変に
なる
家族信託 +α
信託契約
長男優しくいい子
だけど少し心配
母 8 ３歳
売却代金は信託財産
ケース１
受託者
相談者： 83 歳女性 （子供 1 人）
◆ 現在古家に一人暮らし➡そろそろ安心できる施設へ移住しようかしら。
◆ 家はそのままにして、将来必要があれば貸しても売っても・・。
一般の
場合

11. 高齢者不動産オーナーの資産管理（認・病対策）
将来引き継ぐ物件ご
とに信託契約締結。
◆ 各々受託者ごとに
・大規模修繕◎
・売却◎
・建替え◎
・賃貸借契約◎
・管理委託契約◎
長男 60 歳長女 52 歳
信託財産
Ｑ：父が万一意識判断能力がなくなる
と・・
家族信託
信託契
約
一般の
場合
父 82 歳
「成年後見制度」を活用すると一部可能
ケース 2
委託者
受益者
父 82 歳
受託者
父 82 歳 （長男 60 歳、長女 52 歳）
大規模修繕？ 売却？ 建替
え？
賃貸借契約？ 管理委託契
約？
◆ 父が所有し自分で管理している 2 棟のアパートがある
◆ 賃貸借契約などは父の代わりに長男や長女がサイン（代筆）し
ている

12. 共有不動産のトラブル回避（認・病・管理対策）
共有の持分に信託を設定。
これにより共有者の意識低下に
よる
実行不能リスクを軽減。
長女の子供 60 歳
建替え◎
共有者の意思統一が
できれば実行可能
★ 長女の判断能力が低下したら→建替え？大規模改修？売却？管
理？
家族信託
大規模修繕◎
売却◎
長女 86 歳
「成年後見制度」を活用すると一部可能
ケース 3
長女 86 歳
委託者
受益者
２人 受託者
信託契約
持ち分
を信託
財産
兄弟姉妹４人（ 88 歳・ 86 歳・ 82 歳・ 78 歳）で不動産
を共有
◆ 共有の古アパートを今後改修・建替え・売却しようか思案中
◆ 現在長男が管理中！しかし長女が最近、物忘れが激しくなってき
た。
一般の
場合

13.
相続対策として建物建築（認・病・相続・管理対策）
請負契約前に信託契約、不動産移転登記をして、
各種契約を受託者が行うと引渡しや借入のリスク
が回避できる可能性がある。
しかし、事前に金融機関や建設業者と相談必要。
長女
６５歳
建築主
父９０歳
信託財
産
引き渡し等
可 能
竣工時にお父さんが意識判断できなくなったら→引渡し？ 借入？ 賃貸
契約？
家族信託
相続対策として
マンション建築
計画から竣工まで１年
Ｂ / Ｋ借入
「成年後見制度」を活用すると一部可能
ケース 4
父９０歳
委託者
受益者
孫を受託者
信託契約
父 90 歳 （長女 65 歳 その子供 40 歳）
孫４０歳一般の
場合
◆ 古家を壊して、相続対策と称してマンションを建築、計画期間１年
◆ 請負契約締結後、測量・建物の取壊し・建築。資金調達は銀行からの借
入金。

14. 家督相続と孫への資産承継（承継対
策）
ケース 5
相談者： 80 歳男性 （子供 2 人）
① 父死亡
家族信託
長男の嫁が死亡後
信託を修了して残余
財産の指定を孫に設定
長男 60 歳
孫 27 歳
同居中
お嫁さんの
一族が相続
受益
権
受益
権
★ お嫁さんの遺言が無ければ大半の財産がお嫁さんの一家に引き継がれてし
まう！
委託者
受託者
第３受益者
② 長男死亡
第２受益
者
信託財産（収益物
件）
次男 55 歳
父 80 歳
収益物件
受益権
信託契
約
一般の
場合
◆長男家族には子供がいない。現在長男家族と同居中（家督相続重
視）
◆最終的には家の財産（不動産）は次男の子供（孫）へ引き継がせた
い
受託者孫名義
残余財産として現物不動
産

15. ◆ 問題の顕在化と対策のタイミング
元気
体調や意識の変
化
健康状態
問題を感じない
何もできな
い
問題の顕在化問題を感じない
人は対策が出来る時には何もせず、問題を感じた時は何もでき
ない
対策・課
題
何もしない
問題を感じ始め
る
最終導入のタイミング
相続対策・家族信託のタイミングはいつか？
相続
相続発生
家 族 信 託
分からない
効果
スタート
唯一のタイミン
グ
理想の導入のタイミン
グ
導入できない
認知症
問題を感じ始め
る

16. ⇒ 家族に託す「家族信託」は 選択肢の一つ
■ 「家族信託」は、資産家や事業経営者に限らず、
誰でも気軽に利用できる仕組み
■ 家庭裁判所や信託銀行を介在させることなく、家族間の
契約等で作れる自由な制度
■ 生前の財産管理手段として、成年後見制度に代わる選択肢
■ 残したい、引継ぎたい資産の道筋を作ることができる仕組
み
■ 家族信託を使ったからと言って相続税が安くなるわけでも
、
揉め事が解決できるわけではない
家族信託 まとめ
家族信託は、決して万能対策ではない
話ができて、信頼しあえ
る家族だから使える