藤井ゼミ1期生（3年次）RIS3班

1. みらiDeCoまらないために（未来で困らないために）
明治大学藤井ゼミ ３班
中山恵介 中村颯斗 高橋颯斗
丸山翔 秋田紗英 秋本啓太

2. 目次
1 提案の背景
長生きリスクと年金
2 提案の内容
フューチャー・デザインによるiDeCoへの加入促進
3 提案の検証
実験とその結果
4 まとめ
2

3. １
提案の背景
～長生きリスクと年金～

4. 提案の背景～長生きリスク～
4
今この場にいるほとんどの人が将来
年金生活を送ることになる！！
平均寿命の増加
年金生活の長期化は避けられない！！
年齢に対する生存確率

5. 01
02
03
提案の背景～年金～
5
国民年金
・20歳から60歳まで払い続ける
・加入義務がある
厚生年金
・企業に就職したら加入義務がある
・給料から天引きされる
iDeCoなど
・自助努力にあたる
・加入は任意
年金は三階構造

6. 提案の背景～iDeCoについて～
6
自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度
特徴
・加入は任意
・申し込み、掛金の拠出、運用方法の選択を自分で行う
・掛金、運用益、給付受け取り時に税制上の優遇措置がある
・5000円から始められる
・年金であるため60歳まで引き落としはできない
・元本割れのリスクもわずかにある
iDeCo（個人型確定拠出年金）

7. 提案の背景～iDeCoについて～
7
大まかな流れ

8. 突然ですが、
加入義務のある国民年金と厚生年金
月々合計でいくらくらいもらえるか
知ってますか？？
8
男性平均約17万円
女性平均約10万円

9. これだけの落差がある中で、
59歳時点の生活レベルを
60歳以降も維持していけるだろうか？
令和元年の大卒の初任給の平均は約21万円
年齢とともに給料も増えていく
月々の年金は大卒の初任給より少ない！
9
提案の背景

10. 課題の背景～政治的に見てみると～
少子高齢化によって医療費・介護費・生活保護
などの社会保障制度の持続可能性問題
現在、公的介護保険の保険料の徴収を20歳まで
下げる案が検討されている
社会保障の維持に多くの国債が投入されている
10
社会保障の補完的な役割を持つ
年金などの保険による自助努力が
必要である

11. しかし、
企業型確定拠出年金の加入者は約750万人、
iDeCoの加入者数は約165万人と、
日本の就業人口6,655万人に対して少ない

12. ２
提案の内容
～バッドエンドのフューチャー・デザインによるiDeCoへの加入促進～

13. 私たちの提案は…
「バッドエンドのフューチャー・デザインにより、加入行動を促進させる」
13

14. 提案の内容～フューチャー・デザインとは～
具体例
宇治市…集会所の維持問題 京都府…水道管修理 矢巾町…長期視点での水道料金値上げ など
14
フューチャー・デザイン
・人間の特性である近視性・楽観性が目先の利益を優先し、将来世代
を考慮せずに、資源を奪ってしまっている。
・現世代と「将来世代になったつもり」の人間を対話させることで
将来の利益のために思考し行動するようにさせる。
・現在は水・森林資源などの環境問題に特化しているが、将来世代の
介入により、現世代の人々に将来を見据えた行動を促すことが
できるフューチャー・デザインは金融分野との親和性も高いと考えられる。

15. 以前行った実験のデザイン
C群
T群
共通のテスト、アンケート
◼ 実際に大学生向けに展開している講座の内容
を参考に作成した、現在から将来を見据えた
従来の座学講義形式の年金教育動画を視聴
◼ 将来の自分と現在の自分の対話形式で将
来について考えさせるフューチャー・デ
ザインの手法を応用した動画（ハッピー
エンド）を視聴
◼ 視聴後、共通の年金制度の理解度を測る
テストと認知能力テスト、アンケートを
回答し、その結果によって効果を比較し
た
14

16. 16
以前行った実験の詳細
・実験は全てオンラインで行った（2020年9月10日～9月22日）
・被験者は全30大学及び専門学校から90名
（T群：男25人、女20人、C群：男30人、女15人）
・「年金教育」に効果があることを測るため、理解度テストを分析
・アンケートで加入意思を調査。特設サイトで内発的動機付けの調査。
・フューチャー・デザインによって見せた未来はiDeCo加入によって
ハッピーになる話。

17. 実験を行う意義
17
加入促進効果を定量的に測定するため
レヴィット（2018)によると、実験経済学は明示的な実験を行う
ことにより、他のすべての条件を一定として、仮説を検証するこ
とができるとしている

18. 以前の実験結果
18
理解度テスト
T群正答率90% C群正答率77.6%
アンケート
Q「動画を見てiDeCoについてどのように
感じましたか？」
A「とても大切であると感じ、将来加入を
考えた」の割合 T群66.7% C群46.7%
以前の実験で年金教育と、加入促進にフューチャー・デザイン
自体が有効であることはすでに立証できた！！！

19. 今回の提案の仮説
19
以前はハッピーエンドの未来を見せるフューチャー・デザインの動画
今回はバッドエンドの動画で効果を測定する！
バッドエンドの未来がより効果があるのでは？
根拠は…プロスペクト理論
人は収益より、損失に大きく反応する

20. ３
提案の検証
～実験と結果～

21. 今回の実験のデザイン
T群
newT群
共通のアンケート
◼ iDeCoに加入していなかったことにより、
老後の生活に余裕がなくなっている様子を
見せる動画を視聴
◼ 視聴後、共通のアンケートを回答し、
その結果によって効果を比較した
21
◼ iDeCoに加入していたことにより、
老後の生活に余裕がある様子を見せる動画を視聴

22. 22
今回の実験の詳細
・新たな被験者集団をnewT群とする
・実験は動画の内容以外統一（2020年11月3日~11月15日）
・計45人（男29人、女16人）
・今回得られたデータと前回T群のデータを比較し考察する
・「加入促進」がテーマなのでアンケートと内発的動機付けに注目する

23. 実験結果（内発的動機付け）
・実験マニュアルの最後に、解答解説、年金のさらに詳しい情報やその他保険商品について
まとめたサイトを作成し、そのサイトへの滞在時間を追跡した結果
newT群3分12秒 T群1分23秒
23
→バッドエンドのnewT群のほうが内発的動機付けの効果が大きい！

24. 66.7
24.4
8.9
T群
とても大切であると感じ、将来加入を考えた
大切だと感じたが、加入はしないと思う
何とも思わなかった
絶対に加入はしないと思う
実験結果
24
動画を見てiDeCoについてどのように感じましたか？
71.1
22.2
6.7
newT群
とても大切であると感じ、将来加入を考えた
大切だと感じたが、加入はしないと思う
何とも思わなかった
絶対に加入はしないと思う
バッドエンドのnewT群のほうが
加入行動に繋がりやすい結果に！

25. 実験結果（男女比較）
25
70.4
18.5
11.1
newT群(男)
75
25
newT群(女)
82.4
17.6
T群(男)
65
25
10
T群(女)
■とても大切であると感じ、将来加入を考えた
■大切であると感じたが、加入はしないと思う
■何とも思わなかった
■絶対に加入しないと思う
男性ではT群が、女性はnewT群がより良い結果になった
→男性にはハッピーエンドが、女性にはバッドエンドがより効果がある！！！

26. 4
まとめ

27. 実験結果のまとめ
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内発的動機付けはバッドエンドのフューチャー・デザインがより効果がある
全体比較ではバッドエンドのフューチャー・デザインが加入促進に効果がある
男性にはハッピーエンド、女性にはバッドエンドがより効果がある

28. 最終的な提案は
フューチャー・デザインを応用したハッピーエンドの動画を男性に、
バッドエンドの動画を女性に見せることでiDeCoの加入意欲を促進させる
YouTubeやWebなどの広告で
男女がそれぞれの動画を見れるようにする事を提案する
28

29. 参考文献
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【書籍】
（邦文）
・西條辰義著「フューチャー・デザイン：7世代先を見据えた社会」 勁草書房,2015
・レヴィット著 安田洋祐監訳 高遠裕子訳「レヴィット ミクロ経済学 発展編」 東洋経済新報社,2018
【論文】
（英文）
・Gerald Eisenkopf , Pascal Sulser「A Randomized Controlled Trial of Teaching Methods: Do Classroom Experiments
Improve Economic Education in High Schools?」2013,Journal of Economic Education, 47, pp.211-225.
【講義】
・生命保険文化センター 講義資料「生命保険の基礎知識」

30. 参考文献
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・内閣府 図１－１－２ 高齢化の推移と将来設計
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/s1_1_1.html
・内閣府 図１－１－４ 平均寿命の推移
https://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/24forum/pdf/tokyo-s3-2.pdf
・日本年金基金連合会 イデコ公式サイト
https://www.ideco-koushiki.jp/

31. 参考文献
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【Web】
・厚生労働省 平成30年簡易生命表（男）,2018
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-06.pdf
・厚生労働省 平成30年簡易生命表（女）,2018
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-07.pdf
・厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査結果（初任給）の概況：1 学歴別にみた初任給,2019
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/01.html
・厚生労働省 確定拠出年金の施行状況（令和2年7月31日現在）,2020
https://www.mhlw.go.jp/content/000463291.pdf
・総務省統計局 労働力調査（基本集計）2020年（令和2年）7月分 令和2年9月1日,2020
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf