ゼミ研究途中経過
- 1. 2015.11.17
13113144 3年 山口愛來
ヨーゼフ・ボイス
ねらい
1. ヨーゼフ・ボイス Joseph Beuys
1921 年 ドイツ・クレーヴェにて誕生
1940 年 ドイツ空軍に徴兵。
1943 年-冬 ソ連空軍の追撃にあい、墜落。
タタール人によって脂肪とフェルトによ
る治療を受ける。
1947-51 年 デュッセルドルフ芸術アカデミーにて
ヨーゼフ・エンゼリンクとエーヴァル
ト・マタレに師事。彫刻を学ぶ。
1962 年 初期フルクサスとの親交を深める
1974 年 「自由国際大学」の設立
1979 年 緑の党欧州議会議員候補として立候補
1982 年 「7000 本の樫の木」プロジェクト
1984 年 来日。西武で展覧会。藝大で学生討論会
1986 年 死去
2. 「社会彫刻」とは
あらゆる人間が自ら創造性を用いて自分で考え、行動し、社会をつくっていくべきと
いう考え。
脂肪 →○冷 →固くなる
+熱 →○温 →柔らかくなる
凝り固まり、停滞状態にある社会。
そこに熱を加えることで流動的でエネルギーに満ちたものに変化。
熱=人間の創造性
ボイスの掲げた社会彫刻の思想が、彼の芸術活動を通してどのような広まりをみせたか
を考察し、その受容の際の問題点について考える。
- 2. 2015.11.17
13113144 3年 山口愛來
創造性
誰もが生まれ持っているが、成長の過程で失われてしまうもの。
→発達心理学的研究から、素朴で直感的な芸術能力(創造性)は思春期で中断さ
れてしまう。
芸術的に教育することの重要性。
→芸術に限らず、あらゆる分野に潜在する創造性の発展・拡張すること。
あらゆる人間が、あらゆる分野で、その創造性を発揮し活動すること。
芸術活動
拡張された芸術概念
そうして作られていく社会そのものが社会彫刻という一つの芸術作品である。
すなわち、社会彫刻をつくる「我々はみな芸術家である」といえる。
3. ボイスの作品
a. アクション
代表作:「私はアメリカが好き、アメリカも私が好き」(1974)
→劣等感や嫌悪感を少数に擦り付ける迫害の歴史を暗に批判。
「7000 本の樫の木」プロジェクト(1982)
→大規模なエコロジー彫刻。環境保護の必要性に対する意識。
「東京藝術大学での学生討論」(1984)
→ボイスの希望で行われた。社会彫刻の思想を説いた。
ボイスの社会彫刻の思想をより多くの人々に伝えることの重要性。
一部の芸術を介する人だけのための芸術ではなく、
社会問題や環境問題を扱うことで、大勢の人を巻き込んだ芸術となる。
- 3. 2015.11.17
13113144 3年 山口愛來
b. 彫刻作品
代表作:「脂肪の椅子」(1963)
「グランドピアノのための等質浸潤」(1966)
ボイスの作品によく見られる素材
・バッテリー…エネルギー蓄積
・日用品…有用性の蓄積
・フェルト…熱を保存する
その熱は創造性であり、熱を与える人は社会彫刻の思想を理解する人々。
問題点
これらの作品がダイレクトに社会彫刻の概念を喚起できるか?
ボイスの作品の面白さや意義は作品の難解さと直結。
なぜ? →私たちがよく知る既存の芸術から離れすぎているから。
一部の人のためのものだった芸術を変え、芸術と生活を同一線上に置く。
日常的であるがゆえに、その単純さゆえに難解に思ってしまう。
アクションは人々に密接な社会問題を扱っているため必然的にすべての人を揺さぶる。
では、作品は?
↓
あるルートを通り、享受されていく。
① ボイスの学者による理解
② 多くの人への理解
アクションを通して社会彫刻の思想を広めるだけでなく、
美術作品が通るべきプロセス=収蔵のプロセスすら、彼の思想を広める手段と言える
理解の差=摩擦エネルギーを生む
脂肪と同じように、熱を与えられて動き出す。
- 4. 2015.11.17
13113144 3年 山口愛來
参考文献
ハイナー・シュタッヘルハウス・著、山本和弘・訳『評伝 ヨーゼフ・ボイス』
美術出版社、1994 年
フジテレビギャラリー・編『ヨーゼフ・ボイス with Fat and Felt』フジテレビギ
ャラリー、1993 年
山本和弘・著『ヨーゼフ・ボイス研究-《黒板》(東京藝術大学蔵)の成立過程と
その意義をめぐって』東北芸術工科大学紀要 No.15、2008 年
DNPArt Communications『DNPMuseum Information Japan artscape』
http://artscape.jp/artword/index.php/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%BD%AB
%E5%88%BB(2015/11/14 閲覧)
ART-AID 実行委員会『ART-AID』参加アーティストと作品・ヨーゼフ・ボイ
ス、レポート・インゴ・ギュンター「Thanks a Million」
http://www.artaid.jp/report/content936.html (2015/11/14 閲覧)