TOC (制約理論)の誤解を解く ~ 私の立ち位置 ~ 2011/3/22 中小企業診断士 山崎勝雄
TOC (制約理論)とは(1) TOC ( theory of constraints : 制約理論)は、イスラエル出身の物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士( Dr. Eliyahu M. Goldratt ) が提唱した理論体系である。 ゴールドラットは、友人の工場から生産スケジュールに関する相談を受けた時に理論化が始まったと言われている。
TOC (制約理論)の歴史背景 TOC (制約理論)は、2001年に邦訳された「ザ・ゴール ~ 企業の究極の目的とは何か ~ 」という小説風の本により日本に入ってきた。 その本では、下記の工場が舞台となっている。 機械メーカ MRP 的な生産方式
ザ・ゴールでの基本的な考え 一言で言ってしまうと、「生産工程の中にはボトルネックとなる工程があり、それが全体のスループット(生産量)を決定する。最適生産のためには工程全体のスケジュールをボトルネック工程の能力に合わせる必要があり、生産性向上のためにはボトルネック工程を重点的に改善すべきだ」という至極当たり前の事であった。
誤解の始まり これらの背景から下記の誤解が生まれたと考えられる。 機械メーカで、 MRP 的なプッシュ生産にのみ適した解決方法である ザ・ゴールでは「ボトルネック」は割と簡単に見つかり対策が立てている、日本の工場では、ボトルネックが日々移動しており簡単ではない よって、プッシュ型で比較的定常的に流れるような工場にしか適用できない
TOC の本質(1) TOC の原型は、確かに組み立て工場のプッシュ型で出来上がったものである。 しかしながら、ゴールドラットは物理学者らしく個別のソリューションからより普遍的な考え方への適用を狙っている。 プロジェクト管理への適用 小売業の適用など
私が評価する TOC の考え方(1) シンプルな構造であることである。 制約条件を見つける 制約条件を徹底的に活用する 制約条件以外は制約条件に従属させる 制約条件の強化を検討する 惰性に流されず再度繰り返す
私が評価する TOC の考え方(2) 問題解決の思想である そもそもシンプルであるはずである 好ましくない根本原因は、受け入れることの出来ない対立であり、満足いかない妥協の結果に生じる どこかに双方得する( Win-Win )関係が存在すると考える 部分最適の合計が全体最適にあらず 制約とは物理制約だけでなく、方針制約があり課題の多くは方針制約に支配されている
私が評価する TOC の考え方(3) 問題解決の実践的な方法を含む 人間的な側面を重視した解決策 クリティカルチェーン・プロジェクト管理 S-DBR (シンプルな DBR ) 思考のためのプロセスを持つ スループット会計という会計面での考え方を持ち、財務的指標との関係も議論できる
なぜ浸透していないのか コンサルタント側の課題 TOC コンサルタントと呼ばれる方は手法重視 TOC,DBR,CCPM といった横文字の乱発 課題認識から手法を選ぶのではなく、手法が適用できる問題を探す 企業側の課題 会計基準、管理会計などは既存の方法であり、現場改善は別という意識 部分最適な解決策の積み重ね
私のスタンス あくまでも問題解決がゴール TOC だろうが、 IT だろうがあくまでも問題解決の一手法 問題を整理し最適な手法を使うだけ 手法の理解よりも、解決に向かう道筋をご理解いただくことが必要 過去に何回も TOC を使った解決案を提案しているが理論の説明はしていない。今後も不要である。

Tocの誤解を解く