TUJシンポジウム「グローバル競争力を高める大学運営～米国大学の事例から」 第2部　ワークショップ「米国式教務（アカデミック・アドバイジング）」 担当講師：TUJアカデミック・アドバイジング・センター　ディレクター　島田敬久 ============= 本シンポジウムでは、TUJが1982年の開校以来日本で30年以上培ってきた米国式大学運営・経営システムの実践ノウハウを、教務、インターンシップ、学生サービスの三分野に分けてワークショップ形式で紹介しました。 - 2015年6月30日、米国大使館にて開催 - シンポジウムについて詳しくは：http://www.tuj.ac.jp/sympo2015 =============

1. 第2部
ワークショップ（アカデミック・アドバイジング）
【解説】
ソフトウェアとハードウェア
【グループ・ディスカッション】
仮定：『アドバイジング導入を見据えて』

2. オペレーション実例：アドバイジング・モデル（テンプル大学）
一次的(Primary)アドバイジング・オフィス
（原則として各学部に専用アドバイジング・オフィス
設置、
学位授与判定を行う）
• Art, Tyler School of
• Business & Management, Fox School of
• Education, College of
• Engineering, College of
• Environmental Design, School of
• Film & Media Arts, Division of
• Health Professions & Social Work, College of
• Media & Communications, School of
• Liberal Arts, College of
• Music & Dance, Boyer College of
• Science & Technology, College of
• Temple University Japan Campus
• Tourism & Hospitality Management, School of
二次的(Secondary)アドバイジング・オフィス
（学部に関わらず特定のニーズやグループがターゲット、
学位授与判定は行わない）
• Pre-Professional Health Studies Advising
• Scholar Development & Fellowship Advising
• Student Athlete Support & Advising
• University Honors Program
• University Studies, Division of
その他のサポート・ユニット
• Education Abroad & Overseas Campuses
• Math & Science Center
• Writing Center
• Teaching & Learning Center (TUJ)

3. 専門職アカデミック・アドバイザーのメリット、デメリット
教員アドバイザー（Faculty Advisor）との比較から
専門職アドバイザー
(Professional Advisor) 教員アドバイザー
(Faculty Advisor)
人的資質の担保
学術的専門領域に関する知識
アドバイザー機能に特化したプロフェッショナル・
ディベロップメント
授業外での学生との信頼関係の構築
恒常的なアクセシビリティ
学生からのアプローチが容易
大学院進学やキャリア構築を見据えた助言
情報のブレの最小化
中立的立場からのアドバイス
教務部門の集中的オペレーション（権限）
他部門との連携が容易
学生情報の集中管理
データ分析の速さと容易さ
限られたティーチング経験
時間的制約
恒常的プロフェッショナル・ディベロップメントと
人員配置計画見直しの必要性、ランニングコスト
優秀な教員＝優秀なアドバイザー？
トレーニングの問題
教員間の情報のブレの可能性
個人的バイアスのリスク
利点
欠点

4. 権限が専門家を育てる
権限あり
モチベーション
↑
専門職化の推進
権限なし
モチベーション
↓
専門職化の停滞
プロフェッショナル・
ディベロップメントの欠如、形骸化
有効なプロフェッショナル・
ディベロップメント

5. アドバイザーのキャリアパス
Director
Associate Director
Assistant Director
Senior Academic Advisor
Academic Advisor I
Academic Advisor II
Associate Academic Advisor
修士号必須
学士号+大学院在籍

6. アドバイザー
/
アドバイジング・センターの
権限
(例)
• 学位授与最終判定 (Graduation Clearance )
• 編入単位読替申請 (Transfer Credit Evaluation )
• カリキュラム読替 (Course Substitution )
• インターンシップ (Internship)
• 個別演習 (Independent Study )
• 教学関連の各種申請
(Academic Petitions)
• セメスターキャップに対するオーバーロード (Course Overload )
• 休学、復学申請 (Leave of Absence / Re-Enrollment )
• 学業不振による強制退学 (Academic Dismissal / Forgiveness )

7. アドバイジング・モデル
アドバイジング・オフィスの限界を知る
→
全てをカバーできるわけではない
Ø 他部署との連携が大事：アドバイジングセンターを中心とした「車軸
（“Hub of Wheel”）モデル」
アドバイジング・オフィス
教員
カウンセリング
学生生活・厚生
奨学金/Financial
Aid
留学・国際交流
就職・キャリア

8. オペレーション実例：学事暦
履
修
登
録
変
更
期
間
授
業
開
始
新
入
生
オ
リ
エ
ン
テ
ー
シ
ン
履
修
取
消
期
間
次
学
期
履
修
登
録
開
始
（
在
学
生
）
中間成績評価
次
学
期
ア
ド
バ
イ
ジ
ン
グ
開
始
学
期
末
試
験
授
業
終
了
次
学
期
卒
業
申
請
者
レ
ビ
ー
学
位
授
与
最
終
判
定
新
入
生
編
入
単
位
審
査
履
修
シ
ス
テ
ム
セ
テ
ン
グ
次学期アドバイジングは各学期第3週より
[履修登録]
秋学期
à 10月中旬
（春学期に向けて）
春学期
à 3月下旬（夏学期に向けて）
à 4月上旬（秋学期に向けて）
[セッティング]
登録用暗証番号など
秋学期
à 8月下旬～9月上旬
春学期 à 1月上旬
夏学期
à 5月中旬～下旬
（各学期第1週は変更期間、
第2週は取消期間）
次
学
期
履
修
登
録
開
始
（
休
学
者
）
秋学期
à 12月上旬～1月上旬
春学期 à 4月下旬～5月上旬
夏学期
à 8月上旬～8月中旬
学位授与式は6月上旬（年一回）
ウォークイン・
アドバイジング
事前アポイントメント
アドバイジング
停止
アドバイジング
停止
第3週～15週第1、2週

9. GPA (Grade Point Average)
• AからFの成績
(Letter Grade) のついた科目を成績と単位数
に応じて数値化し、「履修済総単位数
(F科目含む)」で
割ったもの
• GPAとは一定期間の履修済総単位数に対する相対的な数値
• 日本版GPAの致命的欠点
Ø F科目を母数から省いては絶対にいけない理由
• 質保証の観点から見たGPA
Ø 複数種類のGPAを使い分けることが重要
• GPAの功罪
Ø 数字の根拠を見極める
参考資料I

10. コース・ナンバリング
• 大学が開講する全ての科目に割り振る「背番号」
• 科目の難易度や指導法に応じて番号に法則性を持たせる
• 大学全てのステークホルダーに対する「共通言語」
• カリキュラムの視覚化－効果的な学習プランへと繋げる
参考資料II

11. 参考Webサイト：
• ベネッセ教育総合研究所「大学から見た『大学改革の概要』」
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/yamamoto/2002/iituka_04_02.html
• テンプル大学ジャパンキャンパス
アカデミック・アドバイジング・センター：www.tuj.ac.jp/undergrad/academic_advising
• National Academic Advising Association: http://www.nacada.ksu.edu
参考/引用文献:
• 馬越徹「グローバル化と日本の高等教育改革」
• マーチン・トロウ（天野郁夫・喜多村和之訳）
1976、「高学歴社会の大学」東京大学出版会
• Drake, Jayne K., Jordan, Peggy, and Miller Marsha A. eds. 2013, Academic Advising Approaches: Strategies That Teach Students to Make the
Most of College, San Francisco, CA: Jossey-Bass Inc., Publishers.
• Gordon, Virginia N., Habley, Wesley R. eds. 2008, Academic Advising: A Comprehensive Handbook Second Editon, San Francisco, CA: Jossey-
Bass Inc., Publishers.
• Habley, Wesley R. and McClanahan, Randy 2004, What Works in Student Retention – All Survey Colleges, Iowa City, IA: ACT.
• Habley, Wesley R. and Morales, Ricardo H. 1998, Current Practice in Academic Advising: Final Report on ACT’s Fifth National Survey of
Academic Advising, Manhattan, KA: National Academic Advising Association.
• Hossler, Don 1990, “Organizational Approaches,” Hossler, Don & Bean, John P. eds., The Strategic Management of College Enrollments, San
Francisco: Jossey-Bass Inc., Publishers.
• Hurst, James C. & Jacobson, Judith K. 1985, “Theories Underlying Students’ Needs for Programs,” Barr, Margaret, Keating, Lou eds.,
Developing Effective Student Services Programs: Systematic Approaches for Practitioners, San Francisco: Jossey-Bass Inc., Publishers.
• Nutt, Charlie L. 2003, Academic Advising and Student Retention and Persistence, NACADA Clearinghouse of Academic Advising Resource
Website (November 12, 2014) http://www.nacada.ksu.edu/Resources/Clearinghouse/View-Articles/Advising-and-Student-Retention-article.aspx

12. NOW, LET’ S ROLL!
【グループ・ディスカッション】
仮定：『アドバイジング導入を見据えて』
インフラと人的資源双方から
「これならできる」「ここから始める」を考える