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平成28年1月7日
平成27年度演習論文
フェアートレードは行うべきなのか
演習論文指導担当教員 金 早雪
13K1039A
金 相垠
演習論文 2016/1/7
13K1039A
金 相垠
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フェアートレードは行うべきなのか
目次
第1章 はじめに:フェアートレードは企業や経済社会にどのような
影響を与えているのか。また、フェアートレードは
なぜ行っているのか。
第2章 フェアートレードの歴史:フェアートレードの発展の契機
第3章 1節 フェアートレード市場の現状:国際社会
第3章 2節 日本のフェアートレード
第3章 3節 韓国のフェアートレード
第3章 4節 フェアートレード団体やフェアートレードを行っている
企業
第4章 フェアートレードのメリットとデメリット:賛成と反対
第5章 まとめ:フェアートレードの未来、フェアートレードの課題
参考文献
第1章 はじめに:フェアートレードは企業や経済社会にどのような影響を与えているのか。また、フ
ェアートレードはなぜ行っているのか。
今日の世界の経済社会では多種多様な経済活動が行われているが、その中、商業は10・11世紀
ごろ西ヨーロッパで商業の復活が起き、15世紀から18世紀までの重商主義社会を経ってきた。19
世紀からは世界のあちこちで工業化・産業革命が行われ現代社会に入った。その所以、社会全体
的に発達し、経済活動はより活発になった。さらには海外との貿易を容易に行えるようになり、貿易
2
にも色々な形の貿易が現れた。その中、フェアートレードという貿易仕組みは1940年から登場した
。ここで私は公正貿易、つまり、フェアートレードについて述べたい。
私が本研究でフェアートレードをテーマにした理由は3つある。第一に、本研究の前に自分は企業
のCSR、社会的責任について研究をしたことがある。大手企業はむろん、中小企業でもCSR活動
は必修とされている今の時代に、CSRの一環としてよく聞くことがフェアートレードであった。フェア
ートレードは企業のCSRであるため、以外に我々の生活の中でもすぐ出来ることがわかった。フェア
ートレード製品を買うという行動に移すことである。若者、特に女性であればよくカフェへ行くと思うが
、スターバックスではフェアートレードのコーヒーが販売されており、コーヒー豆にもフェアートレード
製品がある。また、ざ・ボディショップで化粧品を買うことだけでフェアートレードに参加することになる
。このように簡単にフェアートレードが出来るが、フェアートレードは本当に公正な貿易であるか、ま
た、生産者までちゃんとこの理念が繋がり、正当な賃金をもらっているのか、より疑問と知りたいこと
が多くなった。自分が前にした研究と関連するが、フェアートレードをより精細に把握したかったため
である。第二に、実際にフェアートレード製品を買ったことがあるが、本当にフェアなのか、実際は違
うかを研究を通じ、自ら把握したかったためである。普通の貿易であれば、一番は何より自分の利益
を最大にすることであることが当たり前である。が、フェアートレードは自分の利益はもちろん、相手
のことを考え、適切な価格を提供しないといけない。私にとってはそれが本当にいいことなのかと疑
問を抱くようになった。最後に、今、多くの企業はフェアートレードを新しい販売のためまたはCSRと
して行っている。だが、以前フェアートレードがどこから始まり、どのようなルーツで、現在まで至り、こ
れからは何が求められるのかを工夫を凝らし、よりフェアートレードを理解したかった。本研究を通じ
、よりフェアートレードの知識を持つようになり、将来に活かしたいと思う。
第2章 フェアートレードの歴史:フェアートレードの発展の契機
1940年代にフェアートレードが欧米で始まったのは、1946年の欧米のキリスト教メノナイト派の救
援開発NGOの中央委員会という「MCC」の活動であった。その「MCC」の中、エドナ・バイラーとい
うボランティア女性が途上国の生産者に対して持続可能なビジネスチャンスを持つためには米国で
の新たな市場が必要であると考え、プエルトリコにいる女性等の生活を助けることなど、途上国の現
地の人が作った手工芸品や刺繍製品などをチャリティ・バザーの形で、その国で活動している宣教
師たちや教会の人たちが販売したことである。また、ただ、刺繍製品や手工芸品を売ることではなく
職業訓練の一環として刺繍教室を開き、刺繍教室で作ったものをうるようにした。これを起源としたも
のがフェアートレード定義であり、その説明は以下である。フェアートレード団体のネットワーク組織F
INEが策定した「フェアートレードの定義と原則」(FINE[2001])によるとフェアートレードとは、より
公正な国際貿易を目指す、対話と透明性、互いの敬意にもとづいた貿易のパートナーシップである
。フェアートレードは、とくに南(途上国)の立場の弱い生産者や労働者に、よりよい貿易条件を提供
し、その権利を守ることによって、持続可能な発展を支援する。フェアートレード団体は、消費者の支
3
持を基盤とし、生産者支援、啓発活動、既存の国際貿易のルールや習慣を変えるためのキャンペ
ーン活動に積極的に携わる。
また、1940年代のフェアートレードは主に教会のチャリティ活動として始まり、1945年9月までの第
二次大戦の後、1949年にはこの第二次大戦で被害を受けたヨーロッパ、特に第二次大戦の後に
難民化したドイツ人を支援するための「SERRV」という団体が結成された。「SERRV」はアメリカの
ブレザレン教会が主導した団体であり、ドイツの難民が作った木製の鳩時計を輸入し販売した。欧
州、特にイギリスでは1942年からギリシャ飢饉救済のためのオックスフォード委員会を設置した「OX
FAM」が1948年にオックスフォード地域でイギリス最初のチャリティショップを出した。
1950~60年代には欧米により広くフェアートレードが知られるようになり、より活発な活動が行える
ようになった。歴史的な面では1950年代からは第三世界で独立運動や民族解放闘争などが激しく
頻繁に起きたため、難民や救済を求める声が特に高かったのではないかと思う。そんな中、オックス
ファムは香港の中国人難民はもちろん、1951年にはインド、53年に韓国、翌年にはアフリカ、そし
て58年に南アメリカまで地球全域で活動を行った。また、1959年には世界難民の年になり、オック
スファムの事務総長であったレスリーカークリーが難民需要所廃止のための国家的キャンペーンの
代表に任命され、オックスファムが有名になった。一方、オランダでは「ORGANISATIE」というNG
Oが1967年に輸入団体である「Fair Trade Organisatie」が設立され、1969年には「第三世界
ショップ」というショップを開くようになった。他に1959年設立された「SOS(発展途上国地域支援財
団)」では1967年にハイチのスラム居住者等が作った木彫品を買いフェアートレード市場に売り始
めた。
1970年代にはフェアートレードで扱うモノの種類の幅広くなり、1973年にオランダの団体オガニ
サティエはグアテマラにある小規模農産物生産者の労働組合から、初めての「公正に取引された」コ
ーヒーを輸入した。その以降からフェアートレードで扱われる食品がコーヒーを含め、カカオ、紅茶、
ナッツ、砂糖、フルーツジュース、香辛料,お米などに拡大された。ドイツでは1975年に「ゲパ」とい
うフェアートレード団体が「第三世界行動」という反ODA・連帯貿易グループとSOS財団が出会い
作られ、ドイツでこの頃ドイツで最も名高い。また、この以外にもイギリスの「ツイン」「トレードクラフト」
アメリカの「グローバル・イクスチェンジ」などが相手国や対象者等の開発や自立をサポートするよう
な団体が次々と出現した。
1980年代からはよりフェアートレードを体系的で具体的に実現しようとした。1980年代に入り、フ
ェアートレード商品の売り上げは爆発的に上昇し、活発にフェアートレードが行われたが、1980年
4
代後半になり、以前より販売の状況は悪くなった。1987年にはヨーロッパ9カ国11個のフェアートレ
ード商事が参加した、つまり、フェアートレード輸入者の集まりである「欧州フェアートレード連盟(EF
TA)」が結成され、フェアートレード商品開発と販売に関する様々な情報を互いに交換し合い、共
同政策開発、農家や生産者の支援などに協力するようにしている。1988年にはオランダのスーパ
ーマーケットでメキシコの小規模コーヒー生産組合から生産されたコーヒーを売り、市場の2~3%の
占め、フェアートレードの商品が一般商品と競争できるようになった。1989年には輸入側である先
進国の団体や生産側である途上国の生産者または農家が会員として集まった「オルタナティブ・トレ
ード国際連盟(IFAT:現WFTO)」が設立された。このようなフェアートレードの団体の数が多くなり
、フェアートレード団体の間のネットワークがより強くなってきた。
1990年代には「ヨーロッパ公正貿易ショップ協会(NEWS!)」がオランダで1994年に設立され、
3000店舗ほどら加入し、フェアートレードのことを知らせ、商品販売を促進させた。また、95年に世
界貿易機構(WTO)の発足以降、97年には21カ国が会員である「国際フェアートレードラベル機構
(FLO)」という団体が出来、フェアートレードラベルでフェアートレード商品の認証制度を導入するよ
うになった。このフェアートレードラベルだけではなく、製品の標準、規格設定、検閲、モニタリング、
生産者側の支援などを同時に行っている。特に製品の認証審査やモニタリンすることだけ担当する
独立的な「フェアートレード認証会社(FLO-CERT GmbH)」をも設置した。98年には上記の多
様な機関が集まり、「FINE(FLO,IFAT,NEWS!,EFTA)」という非公式ネットワークが誕生し
た。
2000年代に入ってからは多くの企業がCSR,つまり、社会的責任の一環としてフェアートレードを
ビジネス上でもよく用いるようになった。特に、大手企業や超多国籍企業などが行い、世界で広がっ
ている有名なカフェチェーン店であるスターバックスやネスレまでフェアートレードに参加した。2004
年には「フェアートレード・アドボカシー事務局(FTAO)」が創設され、多種多様な機関に対する政
策提言活動の窓口として、今日のフェアートレードの肝心な役割を果たしている。
このように年代により少し変わった形のフェアートレードが行われて来た。初めの1946年から始ま
ったフェアートレードは参入促進型であり、この活動の対象は途上国の現在立場が弱い生産者であ
る。1973年からは上記と同じ対象を持つ条件改良型が登場し、1980年代の後半からは先進国の
企業や消費者を対象とするプロモーション・啓発型、1990年代からは各国の政府や国際機関が対
象であるマクロ貿易システム改良型が現れた。
第3章 1節フェアートレード市場の現状:国際社会
5
フェアートレードは世界色々な地域で行われるが、私は世界全体、欧米、日本、韓国の市場につ
いて述べたい。先ず世界全体のフェアートレード市場はを2009年から2013年までの成長率をグラ
フにしたものをみながら説明したい。
出典:Fairtrade International
このグラフの対象はアジアとオセアニア、アフリカと中東、ラテンアメリカとカリブ地方でああり、2009
年から2013年までの調査である。2009年アジアとオセアニアは114ヵ所、アフリカと中東は237ヵ
所、ラテンアメリカとカリブ地方は476ヵ所で全部で827ヵ所のフェアートレードと認定された生産者
の組織があった。また、2008年から2009年までの成長率は11%もあった。2013年にはアジアとオ
セアニアが182ヵ所、アフリカと中東が404ヵ所、ラテンアメリカとカリブ地方が624ヵ所であり、ラテン
アメリカとカリブ地方が全体の52%を占め一番多く、地域全体で1210ヵ所の団体がフェアートレー
ドを行い、成長率は前よりは下がった6%である。これで世界でフェアートレードを行っている国は74
ヵ国であり、1210ヵ所の団体がフェアートレード商品を生産している。成長率の平均は10.2%で少
しづつ上がっている。Fairtrade Internationalの「Monitoring the Scope and Benefits
of Fairtrade - sixth edition-2014」によると2013年にフェアートレード生産者団体数を国
別に10位まで調べてみたら、ペルーが著しく131ヵ所で1位であり、2位のコロンビアが110ヵ所、順
番にケニヤ86ヵ所、インド80ヵ所、メキシコ61ヵ所、コートジボアール53ヵ所、ブラジル41ヵ所、ドミ
ニカ共和国38ヵ所、南アフリカ38ヵ所、ニカラグア35ヵ所である。また、フェアートレードと認定され
6
た団体の数の増加はどのぐらいあるかにしらべたら、2013年基準でペルーが19ヵ所で最も大きく、
インドネシアやガーナ、ウガンダなどが4ヵ所に留まった。
出典:Fairtrade International
フェアートレードの種類は多くあるが、主に農産物について調べてみたら、我々に身近なフェアート
レード商品であるコーヒーが生産の49%が労働者や農家の人がフェアートレードで生産を行ったこ
とがわかる。次には、ティーであり、生産の20%にもなる。その次がココアであり、12%フェアートレ
ード活動があった。そのほかには砂糖キビが4%、コットンが4%、花や植物が3%、バナナが2%を
占めた。では、フェアートレードと認定されている商品の市場はどうなのか。
7
世界フェアトレード認証製品市場の推移(推定)
出典:Fairtrade International
フェアトレード認証製品の市場規模はここ数年、10-30%の割合で拡大を続けている。2011年世
界のフェアトレード認証製品の市場は、フェアトレードの主要産品の売上が堅調に増加したことによ
り、昨年と比べ12%増の49億ユーロ(日本円で約5457億円)となった。2004年から2011年までの
フェアトレード認証製品の市場規模は非常に拡大したことがわかる。
8
各国のフェアトレード認証製品市場の推移(推定)
出典典:Fairtrade International
*為替レート:1ユーロ=111円
国別のフェアトレード認証市場を見てみると、イギリスとアメリカの市場が依然として大きく、この2国
だけで世界のフェアトレード認証製品市場の約半分を占めている。国民一人当たりの認証製品年間
購入額では、アイルランド35ユーロ(約3885円)、スイス33ユーロ(約3695円)、イギリス24ユーロ(
約2664円)に対し、日本は約16円と先進国の中はまだフェアトレード認証製品が日常の買い物とし
て浸透していない状況である。さらに、GlobeScan Survey 調査(24各国対象)によると、現在、フ
ェアトレード認証製品は120カ国以上を超える国々で販売され、特にお菓子、飲料製品では様々な
種類の製品が店頭に並ぶようになった。こうした製品の流通量が増加した事もあり、フェアトレード認
証ラベルは信頼性の高いエシカルラベルとして世界で最も広く認知されるようになった。最近、フェ
アートレードを行っている企業はスターバックス(コーヒー)、ザ・ボディショップ(原料)、イオン(カカオ
)、無印良品(コーヒー)などがある。
産品別販売量の推移
9
出典:Fairtrade International
このデータは2010年から2012年までのであり、産品別の販売量では、バナナは2010年に32130
0MT(Metric Tonnes)が2012年に406000MTになり19%増加した。砂糖キビは184800MT
から211600MTになり24%増、ココアはむしろ46600MTから60400MTになり12%減、コーヒー
6%増、花や植物10%増、コットン17%減、お茶12%減した。ここで特にハーブや植物性油の原料とな
る豆などの生産が非常に増えた。このことは将来のフェアトレードと関係してくるのではないか。
現在フェアトレードの市場は韓国公正貿易連合によると2007年末を基準としてフェアトレード輸入
団体はヨーロッパ地域には254ヵ所、北米と環太平洋地域に215ヵ所が存在している。この国でフェ
アトレード製品を扱い、実際に販売をしている店はワールドショップが約4000ヵ所、スーパーマーケ
ットが約11万2500ヶ所ある。FLOによると2010年は43億6100万ユーロ、2011年は49億8404
万ユーロ、2012年は48億237万ユーロで毎年増加し続けている。WFTOによると農家、手工芸品
、小売販売をする人等の売り上げが16億2266万ユーロであると述べている。
第3章 2節 日本のフェアートレード
日本のフェアトレードの始まりは1974年から見られており、バングラデシュの農村開発プログラム
でジュート製品生産組合プロジェクトがあった。その約10年後、1985年にはタイで難民キャンプ支
援のためクラフト・エイドが行われた。そして、翌年、日本初のフェアトレードNGOでもある第三世界
10
ショップが設立された。今後、日本には多種多様なフェアトレード団体や組織が出来るが、FLJ(フェ
アトレード・ラベル・ジャパン)は1993年からの団体であり、FLOの基準によりフェアトレード製品とし
て認証されるかされないかが決まる。欧米に比べ遅いが、2002年以後からカフェやスーパーマーケ
ットなどでより簡単にフェアトレード認証製品を手に入れることが可能になった。以前に比較すると、
小売業者が多くいたが、現在は一般企業もCSRの一環としてフェアトレード活動をしているケースも
ある。そのため、我々は食品に限らず、雑貨や衣類、クラフト、ボール、植物などのフェアトレード認
証製品を幅広く購入することができるようになった。また、最近はフェアトレードについての認知度が
高くなり、2004年には日本国内に雄一のフェアトレード・ネットワーク組織であるフェアトレード学生
ネットワークというFTSNが創設された。
日本のフェアートレード市場の小売販売額を推計すると、2007年は73億円、2008年には81億
円ほどで、2008年は前年比役11%伸びた。2008年11月に発表された 『FINE/DAWS 報告
書』によると、2007年日本が世界のフェアートレード市場の中、約1.7%を占めている。また、日本
のフェアートレード市場で主要な商品は(2007年基準で)食品で約80%を占め、次は衣料品で11
%、クラフト類が9%を占めている。
日本国内フェアトレード認証製品市場の推移
11
出典:FLJ
出典:FLJ
※金額は、小売と外食市場とを区分した新算出方法による
FLJの約10年間の推移によると、まず、2005年から2011年の間、5.2億円から21.5億円で約4
13%市場が大幅に拡大した。下のグラフでは2010年から2014年まで250%規模が大きくなった。
2014年度日本国内市場のフェアトレード認証製品の年間市場規模は約94億円であり、前年に対
比105%上がっている。一方、原料の輸入や製造・販売の業務を担当している企業や団体の数は1
66ヵ所であり、対前年比129%も増加した。結果的に日本国内フェアトレード認証製品市場は順調
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に伸びていることが分かる。2005年から2011年の間のような急増はないと思うが、少しでも徐々に
伸び続けるのではないか。
フェアトレード認証コーヒー、紅茶製品 国内販売量推移
出典:FLJ
出典:FLJ
※コーヒーは焙煎豆ベース、カカオはカカオ豆ベースの販売数量
FLJの約10年間の推移によると、2005年から2011年まで、コーヒーの場合は116.5トンから61
2.5トンで約525%も増加、紅茶またはお茶の場合は10トンから31トンで約310%増加した。2010
年から2014年までは、コーヒーは450トンから831.76トンで約184%増加、紅茶またはお茶は24
13
トンから23トンで減少した。2014年のフェアトレード認証製品の国内販売数量は主な産品であるコ
ーヒーが前年に比べ、112%も多く伸びたが、その他はカカオやお茶は停滞した。今後、カカオや
お茶はより減少する可能性があると思う。
日本のフェアトレード団体の中、フェアートレード・ラベル・ジャパン、第三世界ショップ、パルシック
について調査してみた。フェアートレード・ラベル・ジャパンはFLJという団体であり、日本にフェアー
トレード・ラベル運動の考え方が導入され、その後、1993年11月に「トランスフェア(ドイツでのフェ
アートレード・ラベル運動)ジャパン」が発足した。2002年からは世界統一の国際フェアートレード認
証ラベルが完成した。この国際フェアートレードということの基準は経済的基準、社会的基準、環境
的基準がある。経済的基準には、①フェアートレード最低価格の保証②フェアートレード・プレミアム
の支払い③長期的な安定した取引④前払いがある。社会的基準には①安全な労働環境②民主的
な運営③労働者の人権④地域の社会発展プロジェクト⑤児童労働・強制労働の禁止がある。最後
に、環境的基準には①農薬・薬品の使用に関する規定②土壌・水源の管理③環境に優しい農業④
有機栽培の奨励⑤遺伝子組み換え(GMO)の禁止がある。
第三世界ショップは1985年に北欧に訪問した片岡勝が日本に戻り、1986年に作った。はじめは
欧州のフェアートレード団体が仕入れているアフリカフェを輸入し販売した。第三世界ショップは特
に地域社会やコミュニティトレードを行い、地域の問題の解決策としてフェアートレードを発揮した団
体である。
パルシック(PARCIC)は、2008年4月に創立され、フェアートレードの相手国は東ティモール、ス
リランカ、マレーシア、パレスチナ、シリア難民、トルコである。東ティモールではコーヒー生産者支援
、スリランカでは紅茶生産者支援を行っている。ただ、支援することではなく、より良い生産技術を指
導しながらサポートしている。その他にもツアーで交流始業やイベントなどを行い、日本国内のフェ
アートレード活動にも力を入れている。
第3章 3節 韓国のフェアートレード
韓国のフェアートレードは2000年代初市民団体から始まり、益々広がっている状況である。2003
年から2007年まで多様な団体や企業などがフェアートレード製品を販売したが、認知度も低く比較
的にいい状況ではなかった。2007年末、「ICOOP生協」がフェアートレード事業に参加するように
なり、フェアートレード活動が本格化された。そのため、メキシコから輸入したフェアートレードコーヒ
ーを今も販売している。現在、韓国のフェアートレード活動を主導している7個の団体の2012年基
準の総売り上げは約109億ウォンほどである。フェアートレード認証製品の売り上げは約20億8790
万ウォンであり、フェアートレード認証製品,非認証製品合わせて大体130億ウォンである。
14
出典:Fairtrade International
Fairtrade InternationalのAnnual Report 2013-14によると、最近、韓国のフェアートレー
ド市場は益々成長している。世界の成長率をみると、1位はアメリカで、2位はチェコ、3位は香港で、
次が韓国で、最近フェアートレードが増えたことがわかる。
韓国のフェアートレード団体や企業は7ヶ所が活動を活発に行っており、その中、フェアートレード
コーヒー製品を扱っているところは、6箇所で一番多く扱っている。コーヒーだけではなく、紅茶やチ
ョコレート、ココア、バナナ、砂糖、衣類、生活用品、雑貨、子供の玩具、香辛料、オリーブオイル、サ
ッカーボールなどもフェアートレードを行い販売している。
第3章 4節 フェアートレード団体やフェアートレードを行っている企業
フェアートレードの団体やフェアートレードを実際に行っている企業はどのような理論と形式で活動
しているのかについて調べたい。まず、団体のなかEFTAについて述べたい。EFTA(欧州フェア
ートレード協会/European Fair Trade Association)は1987年に設立され、会員数は11個
である。会員国は欧州だけのオーストリアやベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、
イギリスである。会員はフェアートレード輸入団体のネットワーク組織である。本部はオランダにあり非
公式的に最も長く大きいフェアートレード輸入業者により創設された。公的地位を認められたのは1
990年からである。WFTO(国際フェアートレード機関/World Fair Trade Organization)が
できた背景には1987年ベルリン会議で対案貿易組織であるATOsがより公的に何かが必要である
と決断し、運営委員会は対案貿易連盟の創造を計画したことがある。その後、1989年にオランダで
開かれた38ATOs会議に提出された憲法草案が発表され、同年5月12日にオランダ本部を置き、
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生産者団体、輸入団体、フェアートレード支援団体、国際ネットワークを強くするためにできた。会員
は300強であり、国がアフリカが20、アジア12、欧州14、中南米13、北米・環太平洋5である。名称
は2009年にIFATから変更した。NEWS!(欧州ワールドショップ・ネットワーク/Network of E
uropean World Shops)は1994年にメンバー13ヶ国でつくられ、欧州だけ12ヶ国で、フェアート
レード専門の小売店であるワールドショップの団体である。本部はドイつのマインツにあり、ワールド
ショップは約2500店舗が存在し、そこで働いてるボランティアは約10万人にもある。ここでは一番最
近できたFLO(国際フェアートレードラベル機構/Fairtrade Labelling Organizations Inter
national)は1997年に国々の認証団体やフェアートレード製品生産者のネットワークのためドイツ
のボンに本部を置き創立された。このフェアトレード認証ラベルは小規模農家を対象にし、民主的な
運営がされているかを評価される。会員国は欧州とが15で多く、北米・太平洋諸国が5、アフリカ・ア
ジアなどが参加し、全部で21カ国が20で生産者側は3個あった。FLOは2002年に世界統一の国
際フェアートレード認証ラベルが完成させ、日本もこの団体のメンバーであり、2004年2月にNPO
法人化と伴い日本での団体名を「Fair Trade Label Japan(FLJ)」に変えた。
次はフェアートレード活動している一般企業(スターバックス、チチカカ、ザ・ボディショップ、無印良
品)について詳しく述べたい。先ず、若者に身近なスターバックスは、1971年アメリカで創設された
企業で、現在も店舗で売るコーヒーやコーヒー豆をフェアートレードを用いり、輸入したモノを販売し
ている。スターバックスは全世界で一番多いフェアートレード認証コーヒー流通及びロースティングを
している企業と言われている。フェアートレードを通じ、全世界のコーヒー農家の経済的自立をサポ
ートし、彼らの地域社会や環境を保護する点で共同の目標として進んでいる。フェアートレードの最
初を辿ると、2000年からであり、フェアートレード機構であるTransFair USAと提携し、フェアート
レード認証コーヒーを持続的に増やしてきた。スターバックスは韓国以外にも世界28カ国でフェアー
トレード認証コーヒーを販売している。チチカカはどのような状況であるのだろう。
チチカカは、1977年に設立され、中南米の民芸品を販売し始め、フェアートレード活動に参加し
続け、世界には約17カ国に店舗があり、2012年12月にはチチカカフェアートレード認証商品を発
売した。チチカカは主に中南米、特にペルーそしてグアテマラで作られた製品を輸入し、発売して
いる。中南米の輸入雑貨を始めて扱った店でもあり、グアテマラは創業の際から現在まで、また、ペ
ルーとは30年を越え関係を維持し、中南米からまれに見れない民芸品や手織物などを輸入してい
る。更に、フェアートレードの仕組みは最初にコットン生産者から生地屋さん、縫製屋さん、企業、消
費者までの段階に分けられている。
16
ザ・ボディショップは1976年に創立され、1987年化粧品業界で最初としてフェアートレードをスタ
ートしました。初めてフェアートレードを行ったものはインドからのアクセサリーであり、1989年からは
ネパールからの紙製品を輸入し、現在もフェアートレードを行い、21カ国から25ヵ所の原料供給団
体から原料はむろん、アクセサリを輸入してもらい、これを通じ、世界の32万人を超える小規模農家
に公正的でありながら定期的に所得を提供しているという。フェアートレードの相手の一つであるグ
アテマラとのフェアートレードは彼らの地域の110ヶ所の学校に教育資料を支援した。また、ガーナ
との長いフェアートレード取引で5万人以上自作農に経済的に自立できるよう基盤を提供している。
フェアートレードで輸入しているものは様々あるが、アロエベラは2006年からであり、ヘンプシードオ
イルは2009年、蜂蜜は2009年、アルコールは2008年、シアバターは1994年、ティートリーオイル
は2007年、マルラオイルなどがある。
無印良品は1980年12月に日本で始まった企業であり、フェアトレードは2000年代に入り参加し
た。無印良品は2011年10月26日に初めてフェアトレード認証のチョコレートを販売した。フェアトレ
ード認証原料であるクーベルチュールチョコレートは今、ガトーショコラミックスの原料として使われ、
フェアトレード製品として販売されている。その他、紅茶や花、植物などを売っている。無印良品は上
記に挙げた他の企業よりは最近になり、フェアトレード認証製品やフェアトレード活動をするようにな
った。
第4章 フェアートレードのメリットとデメリット:賛成と反対
フェアトレードを行う場合のメリットは①途上国にとっては市場が確保でき、仕事が増える。②生活
能力が高くなり、子供達が学校で教育を受けることができる。③途上国の持続可能な発展に貢献す
る。デメリットは①労働者の賃金までの中間の過程でお金を取られ、実際に労働者は賃金を貰えな
い場合もある。②フェアートレード商品と認められラベルを得るためにはコストと時間がかかる。
今まで長い時間フェアートレードを国際社会で行って来たが、フェアートレードは本当に公正であ
るのか疑問がある人々も多い。先ず、賛成の意見はフェアートレードが我々の社会にどのような意味
を持っているのかを考えてみようと述べている。Fairtrade Internationalによると、特に「南」の弱
い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより
、フェアトレードは持続可能な発展に貢献すると述べている。また、ザ・ボディショップによると、社会
的、経済的に恵まれない生産者から、直接原料やアクセサリーを公正な価格で購入することで、そこ
に住む人たちは、雇用、医療、教育を充実させ、彼らの持つ文化や伝統を守りながら生活していま
すと述べている。私は、このようなことを行っていると企業のイメージはよくなり、販売にも繋がると思う
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。また、倫理的消費をするようになり、消費者もものを買う行動だけではなく国際社会へ貢献している
と思う。フェアートレードを行うことにより、彼らの大事な自分等の文化を守ることができ、経済的に自
立が可能になる。
一方、反対の意見では、フェアートレードは本当に公正な貿易であるか。例えば、データなどの表
面上では生活が改善されたとしたが、実際は途中でお金を全部取られ賃金をちゃんともらえない場
合が在ると思う。生産者と消費者または生産者と団体や企業の間の中間にいる業者の管理が難し
い。また、一般の商品と価格を比べるとフェアートレード製品の方が高めであり、経済的ではなく価
格市場が変わり、他の国や企業が影響を受ける。フェアートレード認証製品の以外のモノは信頼で
きない。企業というのは一番の目標が利益を上げることだが、フェアートレードを行っても利益が順調
にあがるとは限らない。生産者が自立できるようにすると言うが、フェアートレードの活動でもらう賃金
などに依存しすぎ、自立できないこともありえる。
第5章 まとめ フェアートレードの未来、フェアートレードの課題
出典:Fairtrade International
上記のデメリットにもあった中間過程の管理やラベル認証のことが問題になっている。FLOでは生
産者と消費者側の団体との関係をより強くするように管理体系を作っている。しかし、中間過程のとこ
ろはどうやって管理・監督しているかを分からない。具体的な管理方法が必要とされる。企業はCSR
の一環としてフェアートレードに参加すると企業のイメージがよくなる。生産の側は仕事が増え、ある
程度の生活が確保できるようになり、両方とも利点があり、フェアートレードは行うべきであると思う。
特に、私は消費者が何より重要だと思う。消費者がフェアートレードを通じ、自分が倫理的消費が出
18
来ることを気づくように企業からのサポートも必要だと思う。また、広告も出し、フェアートレードの認
知度を高めることも重要だと思う。消費者の倫理的な消費を奨励する教育プログラムやフェアートレ
ード教室、ネットで見れる動画講座など様々な方法があると思う。更に、フェアートレードを行う際は
彼らにおいては一つのチャンスであると思う。家を建てたり、子供に教育のため学校へ行かせたりな
どなど、我々も含め、みんな人間らしい生活をするためには、お金が必要となる。貧しくお金を稼げ
ない人等に、農業の技術を教えながら、良い品質のものを少し高くても、私がモノを買うことで、ただ
、モノを買うことではなく、その行動により、誰かは一日分の賃金をもらえるようになる影響力をもつと
考えるとさすがにそれには意味があると思う。また、フェアートレード認証ラベルは第3のところから国
際フェアートレード基準により厳格な審査を受けてもらえることであることが、消費者側にとってはフェ
アートレード商品に対する信頼性が高くなると思う。このような点をより広く多くの人々に知らせること
が求められると思う。これからもフェアートレードを行い、途上国の生産者が自立可能になると、現在
より労働者自分の文化を後世まで守り続ける努力ができると思う。
参考文献
アレックス・二コルズ/シャーロット・オパル(2009)『フェアートレード 倫理的な消費が経済を変え
る』、岩波書店
石井一生(2000)『日本の貿易55年』、ジェトロ(日本貿易振興会)
コナー・ウッドマン(2013)『フェアートレードのおかしな真実』、英治出版
長坂寿久(2009)『世界と日本のフェアートレード市場』、明石書店
長坂寿久(2008)『日本のフェアートレード―世界を変える希望の貿易』、明石書店
佐藤 寛(2011)『フェアートレードを学ぶ人のために』、世界思想社
ジャンピエールボリス(2005)『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』、作品社
デイヴィッド・ランサム(2004)『フェアー・トレードとは何か』、青土社
ジョセフ・スティグリッツ/アンドリュー・チャールトン(2007)『 フェアートレード 格差を生まない経済
システム』、日本経済新聞出版社
パトリック・ラヴ/ラルフ・ランティモア(2010)『よくわかる国際貿易ー自由化・公正取引・市場開放』
、明石書店
渡辺龍也(2010)『フェアートレード学 私たちが創る新経済秩序』、新評論
FAIRTRADE INTERNATIONAL ANNUAL REPORT 2013-2014 『STRONG PR
ODUCERS,STRONG FUTURE』http://www.fairtrade.net/annual-reports.html
19
FAIRTRADE INTERNATIONALMONITORINGTHE SCOPE ANDBENEFITS O
F FAIRTRADE - SIXTH EDITION - 2014
http://www.fairtrade.net/fileadmin/user_upload/content/2009/resources/2014-Fairtrade-
Monitoring-Scope-Benefits-final-web.pdf
日本貿易振興機構 JETRO http://www.jetro.go.jp/
大韓貿易投資振興公社 KOTRA http://www.kotra.or.kr/kh/main/KHMIUI010M.html
チチカカ http://kakehashi.titicaca.jp/
FAIRTRADE JAPAN http://www.fairtrade-jp.org/
フェアートレードソウル http://www.fairtrade-seoul.com/
フェアートレードコリアグル http://www.fairtradegru.com/shop/main/index.php
ザ・ボディショップ http://www.the-body-shop.co.jp/values/vc_map.html
無印良品 http://www.muji.net/lab/csr/fairtrade/
OXFAM KOREA http://www.oxfam.or.kr/
韓国公正貿易連合 KFTA http://fairtradekorea.net/
EFTA http://www.eftafairtrade.org/
WFTO http://www.wfto.com/
NEWS! http://www.centroedelstein.org.br/PDF/fairtrade/news.shtm
スターバックス コリア http://www.istarbucks.co.kr/responsibility/fair_trade.do
第三世界ショップ http://www.p-alt.co.jp/asante/pg169.html

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