多脚移動ロボットの脚先センサの開発と
各脚における複数の局所制御の統合
藤井海斗(名古屋大学), ○稲垣伸吉(南山大学),鈴木達也(名古屋大学)
研究背景:接地点追従法
2
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
[稲垣ら2011] ムカデ型多脚移動ロボットの歩容制御
法として接地点追従法を提案
[Murata et al.2019] 6脚移動ロボット用に姿勢制御,
遊脚条件,遷移タイミングの適応制御を提案
4×
多脚移動ロボットの事象駆動型分散歩行制御「接地点追従法」を提案
4×
研究背景
3
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
歩容制御だけでは対応できない状況がある
様々な状況に即応できる各脚の局所的な制御が必要
つまずき
障害物に接触
接地の失敗 踏み外し
脚間の干渉
局所制御 従来研究
4
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
複数の局所制御の組み合わせは考えられていない
障害物回避
〇 多脚移動ロボットで実現
× 障害物回避のみ
Nathan Ratliff et al. (2009)
接地の制御
〇 多脚移動ロボットで実現
× 接地制御のみ
Mahdi et al. (2016)
自己干渉回避
× 多脚移動ロボットでない
× 自己干渉回避のみ
A. Dietrich et al. (2012)
接触位置の検知
従来研究 -センサ-
5
第33回自律分散システム・シンポジウム
接地の検知
方式1.大量のセンサを並べる
[Pang et al. 2018]
✕ 大量の配線が発生
方式2.足裏に距離センサを実装
[Arita et al. 2017]
〇 対地距離を計測可 ✕ 接地力は計測不可
方式2.圧力の重心位置を測定する
[Shimojo et al. 2007]
〇 位置分解能を保ちつつ配線を削減可能
方式1.足裏に圧力センサを実装
[Mahdi et al. 2016]
〇 接地力を計測可 ✕ 地面との接触によるセン
サの損傷
脚の局所制御に適したセンサとは?
2021年3月14日(日)・15日(月)
研究目的
第33回自律分散システム・シンポジウム 6
複数の局所制御を統合・脚先センサを開発し多脚移動ロボットに導入
各局所制御の定式化
Step 1
局所制御の統合
Step 2
センサー開発・実装・動作確認
Step 3
6脚移動ロボット
2021年3月14日(日)・15日(月)
研究目的
第33回自律分散システム・シンポジウム 7
複数の局所制御を統合・脚先センサを開発し多脚移動ロボットに導入
各局所制御の定式化
Step 1
局所制御の統合
Step 2
センサー開発・実装・動作確認
Step 3
6脚移動ロボット
2021年3月14日(日)・15日(月)
局所制御 - 概要 -
8
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
1. 脚のモデル化
ロボットを点の集合
としてモデル化
2. 各点に局所制御を定義 3. 局所制御の統合
𝐱1 = 𝑥1, 𝑦1
T
𝐱2 = 𝑥2, 𝑦2
T
・・・
𝐱𝑵 = 𝑥𝑁, 𝑦𝑁
T
点𝐱𝑖の局所制御 𝑗 :
𝐱𝑖 = 𝒇𝑖𝑗(𝐱𝑖)
𝒇1: 目標点追従
Destination
𝐗𝒊
𝒇5: 接地抑制
Ground
𝐗𝒊
𝐗𝒊
Fore
leg
𝒇3: 自己干渉回避
𝒇2: 障害物回避
𝐗𝒊
Collision
Obstacle
𝒇𝟒: 踏み外し回避
Ground
𝐗𝒊
 すべての点
 先端の点のみ 統合
関節角度
指令値
作業空間 𝐱𝑖 = 𝒇𝑖𝑗(𝐱𝑖)
𝒒 =
𝜃1
𝜃2
= 𝒇𝑐
𝒇𝟏𝟏
𝑸
𝒇𝟏𝟐
𝑸
𝒇𝟏𝟑
𝑸
𝒇𝟏𝟒
𝑸
𝒇𝟏𝟓
𝑸
𝒇𝟐𝟐
𝑸
𝒇𝟐𝟑
𝑸
𝒇𝒊𝟐
𝑸
𝒇𝒊𝟑
𝑸
𝒇𝑐
𝒇𝟏𝟏𝒇𝟏𝟐𝒇𝟏𝟑
𝒇𝟏𝟒𝒇𝟏𝟓
点 𝐱1
𝒇𝟐𝟐𝒇𝟐𝟑
点 𝐱2
…
…
変換
角度空間
点 𝐱2 点 𝐱𝑖
・・・
𝐱𝒊 = 𝑥𝑖, 𝑦𝑖
T
𝒇𝒊𝟐 𝒇𝒊𝟑
点 𝐱𝑖
𝜃1
𝜃2
局所制御 -定式化-
9
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
 𝒇𝟏:目標点追従
目標点
(𝑥𝑔, 𝑦𝑔)
𝒇𝟏(𝐱𝟏)
𝒇11 𝐱1 =
𝑥1
𝑦1
=
𝛼 𝑥𝑔 − 𝑥1
𝛼 𝑦𝑔 − 𝑦1
, 𝛼 > 0
目標点までの距離
点𝐱1のベクトル場
 𝒇𝟐: 障害物回避
接触地点
(𝒙𝒐, 𝒚𝒐)
障害物 障害物
𝒇𝟐(𝐱𝟏)
𝒇𝟐(𝐱𝟐)
𝒇𝟐(𝐱𝟑)
𝒇𝟐(𝐱𝟒)
𝒇𝟐(𝐱𝟓)
① 衝突 ② 回避
障害物周りのポテンシャル場
点𝐱𝑖のベクトル場
ポテンシャル
の勾配
局所制御 -定式化-
10
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
 𝒇𝟑:自己干渉回避
𝐱𝑖のベクトル
場
隣接脚周りの
ポテンシャル
𝒇𝟑(𝐱𝟏)
𝒇𝟑(𝐱𝟐)
𝒇𝟑(𝐱𝟑)
隣接脚
 𝒇𝟒:踏み外し回避
Ground
対地
距離
𝒇𝟒(𝐱𝟏) h
𝐱1のベクトル場
ℎ0 :目標距離
比例制御 積分制御
Ground
対地
距離
𝒇𝟓(𝐱𝟏)
h
 𝒇𝟓:接地抑制
𝐱1のベクトル場
𝑏
シグモイド
ℎ
𝑦
x
y
x
y
𝒇14 ℎ =
𝑥1
𝑦1
=
0
ℎ0 − ℎ + ℎ0 − ℎ 𝑑𝑡
𝑎
局所制御 -定式化まとめ-
11
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
Destination
𝐗𝒊
𝐗𝒊
Collision
Obstacle
𝐗𝒊
Fore
leg
Ground
𝐗𝒊
Ground
𝐗𝒊
目標点追従
𝒇𝟏
自己干渉回避
𝒇𝟑
障害物回避
𝒇𝟐
踏み外し回避
𝒇𝟒
接地抑制
𝒇𝟓
脚先端のみ
全点
全点
脚先端のみ
脚先端のみ
局所制御の数:2𝑁 + 3 個 / 脚 (𝑁:脚上の点の数)
𝒇14 ℎ =
𝑥1
𝑦1
=
0
ℎ0 − ℎ + ℎ0 − ℎ 𝑑𝑡 , ℎ0 ∈ ℝ
研究目的
第33回自律分散システム・シンポジウム 12
複数の局所制御を統合・脚先センサを開発し多脚移動ロボットに導入
各局所制御の定式化
Step 1
局所制御の統合
Step 2
センサー開発・実装・動作確認
Step 3
6脚移動ロボット
2021年3月14日(日)・15日(月)
Riemannian Motion Policiesによる局所制御の統合
13
第33回自律分散システム・シンポジウム
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点𝐱𝒊 作業空間 ベクトル場𝒇𝑖𝑗 重み 𝑨𝑗 =
𝐴𝑗 0
0 𝐴𝑗
𝒇𝑖𝑗
𝑄
= 𝑱𝜙𝑖
†
𝒇𝑖𝑗 𝑨𝑖𝑗
𝑄
= 𝑱𝜙𝑖
𝑇
𝑨𝑗𝑱𝜙𝑖
𝒇𝑐 =
𝑗=1
5
𝐴1𝑗
𝑄
+
𝑖=2
2𝑁+3
𝑗=2
3
𝐴𝑖𝑗
𝑄
†
𝑗=1
5
𝐴𝑖𝑗
𝑄
𝑓𝑖𝑗
𝑄
+
𝑖=2
2𝑁+3
𝑗=2
3
𝐴𝑖𝑗
𝑄
𝑓𝑖𝑗
𝑄
𝒒 =
𝜃1
𝜃2
= 𝒇𝑐
𝑖:点の番号(𝑖 = 1~𝑁)
𝑗:局所制御の種類(𝑗 = 1~5)
関節角度空間 𝑸
関節角度指令値
加重平均
順運動学 𝐪 = 𝜙𝑖(𝐱𝑖)
ヤコビアン 𝑱𝜙𝑖
重みの総和 重み×各ベクトル場
点𝐱1 点𝐱1以外 点𝐱1以外, 𝒇2, 𝒇3
点𝐱1, 𝒇1~ 𝒇5
接地点追従法へ導入
Mode1
地面から離脚
Mode2
空中で停留
Mode3
地面に接地
Mode4
脚を掻く(胴体前進)
†: 疑似逆行列
本研究では,Mode1, 3に導入
[Ratliff et al. 2018]
(リーマン計量)
(モーションポリシー)
RMPによる局所制御の定義
14
第33回自律分散システム・シンポジウム
局所制御 イメージ ベクトル場(モーションポリシー) 重み(リーマン計量)
目標点追従
𝒇𝟏
Go to destination
𝒇1 𝐱𝑖 =
𝑥
𝑦
=
𝛼 𝑥𝑔 − 𝑥𝑖
𝛼 𝑦𝑔 − 𝑦𝑖
𝛼 > 0, 𝛼 ∈ ℝ
𝑨1 =
𝐴1 0
0 𝐴1
𝐴1 ∈ ℝ
障害物回避
𝒇𝟐
Obstacle
avoidance 𝑨2 =
𝐴2 0
0 𝐴2
𝐴2 ∈ ℝ
自己干渉回避
𝒇𝟑
Self-interference
avoidance 𝑨3 =
𝐴3 0
0 𝐴3
𝐴3 ∈ ℝ
踏み外し回避
𝒇𝟒
Grounding
support
接地抑制
𝒇𝟓
Grounding
avoidance
Destination
𝐗𝒊
𝐗𝒊
Collision
Obstacle
𝐗𝒊
Fore
leg
Ground
𝐗𝒊
Ground
𝐗𝒊
𝑁: Number of the points in Ψ
2021年3月14日(日)・15日(月)
※Mode3のみ導入 hとd の定義
研究目的
第33回自律分散システム・シンポジウム 15
複数の局所制御を統合・脚先センサを開発し多脚移動ロボットに導入
各局所制御の定式化
Step 1
局所制御の統合
Step 2
センサー開発・実装・動作確認
Step 3
6脚移動ロボット
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実機の紹介
16
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
実機
• 胴体固定
• 3自由度の脚
• 2脚のみ実装
• 脚に接地・接触センサを実装
センサ
動作脚
隣接脚
接地センサ基板
接地センサ,周辺回路
接触センサ基板
AD変換,周辺回路
接触センサ
脚の周囲4方向に実装
作製したセンサ付き脚先
障害物回避 𝒇2
踏み外し回避 𝒇4 、 接地抑制 𝒇5
接触センサ:接触位置・方向を検知
接地センサ:対地距離を検知
センサの開発
17
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
接地センサ
接触センサ • フィルム状のリニアポジションセンサを脚の周囲4方向に実装
• 出力は脚上の基板でAD変換しI2C通信でマイコンへ
接触位置 [mm]
測定値
[mm]
センサ出力
実際の値
約5mm
センサ出力
実際の値
距離 [mm]
測定値
[mm]
約3mm
接触検知に
使用可能
接地制御に
十分使用可能
精度 位置の誤差は
最大約5 mm
感度
約0.7~1.0 N
で接触を検知
精度 距離の誤差は
最大約3 mm
感度 対象の色に関
係なく一定
距離センサ VL6180X
• 距離センサと周辺回路をまとめて脚先に実装
• 出力はI2C通信でマイコンに送信
Cross section
Prototype
接触センサ
接地センサ
Servo
motor
Board
#2
Board
#1
リニアポジションセンサ Thinpot
実機実験 - 実験条件 -
18
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
障害物
開始位置
目標位置
目標位置(前脚の足先,ただし空中)
開始位置
条件1 地面から離脚 条件2 地面に接地
直線運動では
・障害物を回避不可
・目標点に到達不可
直線運動では
・前方脚と自己干渉
・地面上に接地不可
Mode1
地面から離脚
Mode2
空中で停留
Mode3
地面に接地
Mode4
脚を掻く(胴体前進)
Mode1
地面から離脚
Mode2
空中で停留
Mode3
地面に接地
Mode4
脚を掻く(胴体前進)
実機実験 - 実験結果 (1/3) -
19
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
局所制御あり
局所制御なし
4x
4x
局所制御あり
局所制御なし
4x
4x
条件1 地面から離脚 条件2 地面へ接地
障害物回避
失敗
目標点到達
失敗
障害物回避
成功
目標点到達
成功
自己干渉
発生
接地
失敗
自己干渉
無し
接地
成功
実機実験 - 実験結果 (2/3) -
20
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
条件1 地面から離脚
接触
接触
接触
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
脚先の軌跡
局所制御の働きで
適応的な脚動作を生成
実機実験 - 実験結果 (2/3) -
21
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
条件1 地面から離脚
接触
接触
接触
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
脚先の軌跡
接地抑制
素早く離脚
局所制御の働きで
適応的な脚動作を生成
局所制御の働きで
適応的な脚動作を生成
実機実験 - 実験結果 (2/3) -
22
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
条件1 地面から離脚
接触
接触
接触
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
脚先の軌跡
障害物回避
実機実験 - 実験結果 (3/3) -
23
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
条件2 地面に接地
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
局所制御の働きで
適応的な脚動作を生成
実機実験 - 実験結果 (3/3) -
24
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
条件2 地面に接地
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
自己干渉回避
局所制御の働きで
適応的な脚動作を生成
実機実験 - 実験結果 (3/3) -
25
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
条件2 地面に接地
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
|𝑨
𝒋
𝒇
𝟏𝒋
|
踏み外し回避
局所制御の働きで
適応的な脚動作を生成
まとめ
26
第33回自律分散システム・シンポジウム
2021年3月14日(日)・15日(月)
複数の局所制御を統合して多脚移動ロボットの適応的な脚動作
を生成することに成功,また脚先センサを開発し実装に成功
研究成果
• 6脚移動ロボットを歩行させての検証
今後の課題
複数の局所制御を提案 局所制御を統合 実機で動作を確認
𝐪 = 𝒇𝑐
=
𝑗=1
5
𝐴1𝑗
𝑄
+
𝑖=2
2𝑁+3
𝑗=2
3
𝐴𝑖𝑗
𝑄
†
𝑗=1
5
𝐴𝑖𝑗
𝑄
𝑓𝑖𝑗
𝑄
+
𝑖=2
2𝑁+3
𝑗=2
3
𝐴𝑖𝑗
𝑄
𝑓𝑖𝑗
𝑄

多脚移動ロボットの脚先センサの開発と各脚における複数の局所制御の統合

Editor's Notes

  • #3 ・不整地を移動できるロボットとして→他脚移動ロボットが期待 ・しかし,自由度大きく,制御が難しいという問題ある ・その問題を解決する制御手法として,FCP ・制御の計算量を抑えることができた ・接触によるつまずき,踏み外しによる転倒,脚同士の干渉など,対応できない状況が多数 ↓ ・これに対応するには,接地点追従法に局所的な制御を追加することが必要
  • #4 ・不整地を移動できるロボットとして→他脚移動ロボットが期待 ・しかし,自由度大きく,制御が難しいという問題ある ・その問題を解決する制御手法として,FCP ・制御の計算量を抑えることができた ・接触によるつまずき,踏み外しによる転倒,脚同士の干渉など,対応できない状況が多数 ↓ ・これに対応するには,接地点追従法に局所的な制御を追加することが必要
  • #5 ・ロボットの局所制御について,従来研究を紹介 障害物との接触によるつまずきを,踏み外し,自己干渉 といったそれぞれの状況に対処する局所制御が提案されてきましたが, これらはすべて単一の局所制御しか考慮しておらず, 複数の局所制御の組み合わせは考えられていませんでした.
  • #7 以上のことから,本研究の目的を, 「複数の局所制御を統合して多脚移動ロボットに導入すること」としました. ・達成のためのステップは ①局所制御の定式化 ②局所制御の統合 ③実機への実装と動作確認 の3つです. ・本研究では,この図のような3自由度の脚を6本備えた6脚移動ロボットを対象とする
  • #8 以上のことから,本研究の目的を, 「複数の局所制御を統合して多脚移動ロボットに導入すること」としました. ・達成のためのステップは ①局所制御の定式化 ②局所制御の統合 ③実機への実装と動作確認 の3つです. ・本研究では,この図のような3自由度の脚を6本備えた6脚移動ロボットを対象とする
  • #9 局所制御の具体的な式の説明の前に,全体の流れの概要を, ①ロボットのモデル化,②局所制御の定義,③局所制御の統合 の3つのステップで紹介します. ・ロボットは各関節のモータの角度を制御することで動作するため,最終的にはモータの角度指令値を求めることを目的としています. ・① まず,ロボットの脚を,図のような点の集合としてモデル化します. ・② 次に,定義した点に局所制御を定義していきます. 【命名規則】 例えば,点iの上に定義する局所制御は,Fijと記述することにします. Jは局所制御の種類 ↓ 今回は1:目標点追従 2:ーーー の5つを定義します. 【適用する点】 1,4,5は脚先端の点x1のみ 2,3は脚全体で回避する必要があるので,脚上の点すべて ・③ 最後に,これらを統合します 各点で定義した局所制御を,まずはすべて角度空間での表現に変換します 角度空間内で,それらをすべて統合し,一つの局所制御fcを求めます. これにより,複数の局所制御を統合して関節角度指令値を求めることができます.
  • #10 各局所制御について詳しく説明していきます ・目標点追従:脚上の点が設定した目標点に向かうようにする局所制御で,脚先端の点のみに適用して,脚先端を目標位置に収束させます. ・式はこのよう:目標点の座標と現在位置の座標の偏差に定数をかけた形のベクトルになっています. ・障害物回避:脚が図のように障害物と衝突したときに,衝突を検知した位置周りに(式)のようなポテンシャル場を発生させ, ロボット上の各点がそのポテンシャル場から力を受けることで障害物を回避させます. ・脚上のすべての点に適用します ・式はこのよう:ポテンシャルの勾配のベクトルの形になっています.
  • #11 ・自己干渉回避:隣接脚の周りにポテンシャル場を生成し,脚上の各点がそこから力を受けることで自己干渉を防止するものです (・ポテンシャル場は(式)のように,点から隣接脚の各リンクまでの距離に応じたものになっています.) ・局所制御の式は,障害物回避と同様に,このポテンシャル場の勾配のベクトルの形になっています. ・踏み外し回避:目標点が空中にあったり,接地面が崩壊したりした場合に,脚を踏み外してしまうのを防ぐため, 脚先端を地面に接地させる制御です. ・脚先と地面との距離を測定し,その距離と設定距離の差でPI制御を行い,脚先を地面に接地させるベクトルを生成します. 接地抑制:逆に,接地位置以外で脚先が地面についてしまうのを抑制する制御で, 地面との距離が近くなると上向きのベクトルを生成します.
  • #12 ここまでで定義した局所制御をまとめると次のようになります. (1,4,5は脚先端のみで定義, 2,3は脚全体で定義するため,) 脚上の点の数をNとすると,全部で2N+3個の局所制御を定義します.
  • #13 以上のことから,本研究の目的を, 「複数の局所制御を統合して多脚移動ロボットに導入すること」としました. ・達成のためのステップは ①局所制御の定式化 ②局所制御の統合 ③実機への実装と動作確認 の3つです. ・本研究では,この図のような3自由度の脚を6本備えた6脚移動ロボットを対象とする
  • #14 ・作業空間で定義した局所制御を,関節角度空間にすべて変換します. ・作業空間内で,局所制御の種類jに対応した重み行列Ajを定義しておきます ・点Xiの順運動学をΦ i, そのヤコビアンをJφiとすると,リーマン・モーションポリシーにより,関節角度空間内でf,Aはこのように表すことができます. ・次に,関節角度空間内でこの局所制御fQを統合していきます.統合した式はこのように書くことができます. ・この式は複雑に見えますが,重みの総和の疑似逆行列×(重み×fの総和)の形になっており,つまり重みつき平均になっています. (・緑色の部分は脚先端の点x1に関する項であるため,1から5すべての局所制御を総和しています.) (・オレンジ色の部分はその他の点に関する項であるため,2,3のみを足し合わせています) ・こうして統合した局所制御を,接地点追従法に導入します. ・接地点追従法は,各脚が4つのモードを繰り返し実行する分散歩行制御であり, まずモード1でーーー モード2でーーー モード3でーーー モード4でーーーます. この各モードごとに,重み行列Aのセットを用意します.モードによっては必要ない局所制御もあるため,その場合は重み行列を0にします.
  • #15 今回定義したRMPをまとめるとこのようになります. 式の詳細については時間の都合上省略させていただきます. ・モーションポリシーが1次元の動的システムであることの説明 ・空間がロボット上の点を表していて,1が脚先端の点であることの説明 ・モーションポリシーの名前(意味)と付加する点の説明 ・f4f5が相反することの説明と,リーマン計量の値を変化させることで優先度を変化させていることの説明 ・これらの別々の空間で定義された複数のRMPを次のページから統合していくという予告
  • #16 以上のことから,本研究の目的を, 「複数の局所制御を統合して多脚移動ロボットに導入すること」としました. ・達成のためのステップは ①局所制御の定式化 ②局所制御の統合 ③実機への実装と動作確認 の3つです. ・本研究では,この図のような3自由度の脚を6本備えた6脚移動ロボットを対象とする
  • #17 実機の紹介をします. 実機はこの写真のようであり,ーーーー 脚には局所制御を行う上で必要な接地・接触位置センサを開発し実装しました. 脚を分解するとこのようになっており,脚先に接地センサ,脚の周囲に接触位置を検知できる接触センサが実装されています. (F2の障害物回避ではこの接触センサを用いて,接触のあった位置と方向を検知します. F4F5のーーーでは,接地センサを用いて対地距離を測定します.)
  • #18 災害現場等で活動できるようなロボットが求められている そのような不整地で活動するロボットの移動方法として,多数の脚を備えた多脚移動ロボットが注目されている でも,多脚移動ロボットが障害物に橋をひっかけてつまずいてしまうような状況に対処できないという問題があった. このつまずきに対処するためには, ・接触センサ→接地と接触の両方を検知できるセンサ ・つまずき回避の制御→ が必要である
  • #19 実験は,次の2つの条件で実施しました. 条件①:脚を地面から離脚します. ただし,途中に障害物があるため,直線的な動作では客が障害物と衝突して目標点に到達することができません. 条件②:脚を空中から地面におろします. ただし,目標点は空中に設定しているため,そのままでは地面に脚先を設置することはできません. また,目標点は隣接脚の脚先端と同じ座標になっているため,そのままでは脚同士が干渉してしまいます.
  • #20 実験の様子は次のようになりました. 条件①,局所制御がない場合,障害物を回避できず,目標点にも到達できませんでした(動画)が, 提案手法を実装した場合は(動画),障害物を回避し,目標点に到達することができました. 条件②,局所制御がない場合,脚同士が干渉し,接地することもできませんでした(動画).しかし, 提案手法を実装した場合は,(動画)自己干渉を回避し,接地することもできました.
  • #21 実験結果をそれぞれもう少し詳しく紹介します. 条件①の脚先の軌跡はこの図のようになりました. また,このグラフは,脚先端の点,第三関節の点,第二関節の点における,局所制御fとその重みAの積のノルムを時系列でプロットしたものです.
  • #22 まずはじめ,脚先が地面と近いときは,接地抑制制御が立ち上がり,素早く脚先を上げることができています.
  • #23 そして,接触を検知すると,すべての点ですぐに障害物回避が立ち上がり,障害物を回避できていることが分かります. このように,局所制御によって適応的な脚動作を生成することができていることが分かります.
  • #24 次に,条件②です.
  • #25 脚が隣接脚に接近すると,次第に自己干渉回避が立ち上がり,脚の干渉を防いでいることが分かります.
  • #26 さらに,踏み外し回避の接地補助制御の働きで,脚先を地面までおろすことができていることが分かります. このように,条件②においても局所制御の働きで適応的な脚動作を行うことができていることが分かりました.
  • #27 まとめです. 本研究では,複数の局所制御を統合して多脚移動ロボットの制御に導入することで,ロボットの適応的な脚動作を生成することに成功しました. 今後の課題は,6脚移動ロボットを歩行させての検証,他の局所制御の検討です. ご清聴ありがとうございました.