発表者：ファッションジャーナリスト 生駒 芳子

1. “エシカル”を着た悪魔が
世界を素敵に変える！
サステナビリティ＆クリエイティビティ、
“エシカル”を着た悪魔が、
２１世紀のファッションを考える！

2. ファッションの現状２０１３
＊パリ、ミラノコレクションが変貌しつつある！
ブロガー、ネットエディターの台頭
＊主役はデザイナーから、消費者へ
＊ラグジュアリーブランドの改革期：
伝統と革新、新たなブランディングへの期待
＊ファストブランドの台頭：メインストリートへの進出
＊価格競争からクオリティ競争へ
本物を探す/ぬくもりのあるものを探す。
＊社会貢献、文化貢献の両輪が未来を牽引する
＊21世紀のファッション産業革命への期待。

3. topic1:ユニクロの
デトックスキャンペーン参加
国際環境NGOのグリーンピースでは現在、世界の
有名衣料ブランドと協力して有害化学物質の使用
を2020年までに全廃する「デトックス・キャンペー
ン」を展開。同キャンペーンにはプーマやナイキが
参加しているが、２０１３年１月、ユニクロやg.u.、セ
オリーを擁するファーストリテイリングが、2020年ま
でに全ての事業活動で有害化学物質の使用をや
める「デトックス宣言」を発表。

4. topic2:H&Mが
「エシカルはシック！」と宣言
2年前に始動した「Conscious*Collection byH&M」
は、世界の綿花栽培法が環境や社会に及ぼす影
響を改善し、より持続可能な栽培法を促進する国
際的な取り組み「Better Cotton Initiative（ベター・
コットン・イニシアチブ）」の一環として誕生したサス
テイナブルなコレクション。H&Mは、2020年までに
すべての商品にフェアトレードコットンを使用するこ
とを目指している。

5. キャンペーンの広告に参加した
ヴァネッサ・パラディは、「H&M
のサステイナブルファッション
『Conscious*Collection』に参
加
できてとても嬉しい」「個人的に
も持続可能なファッションに関心
があり、ヴィンテージアイテムも
大好き。環境に配慮したアプ
ローチとして、もっとヴィンテー
ジファッションを見直すべきだと
思う」と話している。

6. Topic3:バングラディッシュで
縫製工場の崩落事故、発生！
世界第２位の衣料品輸出国であるバングラ
ディッシュの首都ダカール郊外の縫製工場で
崩落事故が起こり、多くの犠牲者を生んだ。
出費を抑えるため、工場の工事費用を抑え、
また人件費を抑えるために過酷な労働条件
や低賃金が問題となっている。安価を追求す
るアパレル企業の責任が問われている。

7. topic４:3Dプリンターの
クチュールドレス登場！！
＊イリス・ヴァン・ヘルペン
オランダ出身の気鋭デザ
イナー。オートクチュール
を
テクノロジーで新解釈。
「電圧」をテーマに11体の
コレクションを発表。3次元
造形機の世界最大のメ
カー、ストラタシス社の3D
プリント技術が使用された。

8. ２０１３年２月、ニュー
ヨークのマンハッタンで
発表された、SDプリン
ターによるドレスが話題
に！レディ・ガガの衣装
デザイナー、マイケル・
シュミット氏と、建築家ビ
トンティ氏が作成。「フィ
ボナッチ数列」をヒントに、
特殊なナイロン樹脂で作
られ、２６３３個のリング
から成る曲線が眩しい！

9. “エシカル”とは？
人にも社会にもやさしいーー
２１世紀の“時代精神”または“哲学”。
プロフィットエコノミー→ソーシャルエコノミー
WIN-WINの経済、社会体制
サステナビリティ＝継続の精神
足元にある精神、再生させるべく精神
トレンドではなく、より人間らしい社会を形成
するための復興運動、哲学的命題である。

10. エシカル・ファッションの歴史
＊エシカル＝ethical/道徳的な、倫理的な、社会規
範に照らして道義的に正しい
＊イギリス・ブレア政権で「エシカル」が主にアフリカ
諸国の貧困対策の中でうたわれたことが始まり。
＊パリーー２００４年よりエシカルファッションショウ
をパリコレのあとに定期開催。いまなお続く。
＊ロンドンーーエシカルな展示会「エステティカ」
をロンドンコレクションと併催。
＊ニューヨークーー「フューチャーファッション」と題
し、トップデザイナーがオーガニックコットンで服
を作り、発表、バーニーズのウィンドウを飾る。
＊日本ーーデパートなど小売りの現場で発信開始。

11. エシカルのルーツは60~80年代
６0〜70年代のヒッピー文化、フラワーチル
ドレンなど「自然に帰る」という一連の運動、
さらには80年代末に始まる、エコロジー、
サステナブルな環境運動が源流としてある。
＊エコ書籍：レイチェル・カーソン「沈黙の
春」（１９６２年）
＊エコ哲学：フェリックス・ガタリ 「３つのエ
コロジー」（１９８９年）
＊サリー・フォックス（昆虫学者）：オーガ
ニック・コットンの開拓者（１９８９年）

12. エシカル・ファッションとは？
〈地球にやさしい素材〉
＊オーガニック・コットン／自然染料（汚染しない）
＊天然原料による天然素材（土に帰る素材）
〈人にやさしいアクション：人道支援/社会貢献〉
＊フェアトレード/SA8000,ISOなどの認証
〈サステナブルである〉
＊リサイクル/リメイク/リユース/物々交換
〈伝統世界を見直す〉
＊手作り/伝統工芸/クラフツマンシップ
〈最新の動き〉
＊三宅一生「132 ５.」＝再生ポリエステル
＊ルイ・ヴィトン エシカルブランド「EDUN」買収

13. なぜ“エシカル”にいま
悪魔が必要か？
＊お洒落を楽しむと、
マスに広まる、いつの
まにか定着する
＊遊びがある（快楽
原則）と、コミュニケー
ションが生まれる
＊異化作用、化学反
応が文化を生む

14. 三宅一生の「132.5」〜エシカル×クリエイション〜
＊アルゴリズム
平面・立体
＊再生ポリエステル
サステナブル
＊持ち歩きに便利
畳める/運べる
＊アートオブジェ的

15. ラグジュアリーブランドで
クラフトブーム！〜エシカル×ラグジュアリー〜
エルメス「petit h(プティアッシュ）」（左）、FENDIの「FATTO
A MANO FOR THE FUTURE」（右） など、クリエイティブな
クラフツマンシップとのコラボレーションプロジェクトが登場。
ラグジュアリーの原点に、クラフツマンシップあり。

16. 高級リサイクルバッグブランド
〜エシカル×３Rファッション〜
フェンディ家の三女イラリア・ヴェントゥリーニ・フェンディが立ち上げた
BAGや雑貨を展開するイタリアブランド「カルミナ・カンプス」。
デッドストックのファブリックやリサイクル素材を使った、ECOなアイテム
が揃う。また、環境問題や開発途上国の女性を援助するフェアトレード
に対して積極的なことでも有名。エコとファッション性、エシカル性を兼ね
備えた進化型の注目ブランド。

17. 3R・ブランド「GLEAN」
〜エシカル×３Rファッション〜
３Rを生かしたエコ
なブランド誕生。
無駄のない物作り、
長く愛する物作り
が、
コンセプト。
２０１１年秋誕生。

18. オーガニック・テキスタイルの
国際基準「GOTS」
＊製造のプロセスで、環境
に負荷をかけない。
＊児童労働をさせない。
＊労働基準を守る。
↓
環境保護
＋
社会貢献
＝GOTS認証基準とする
他に、JOCA, TEがある。

19. 地球を汚さない
オーガニック・コットン

20. 児童労働のない
エシカル・コットン

21. 東北コットンプロジェクト
塩害を受けた東北の地に、オーガニックコットンを植え、収穫することで、
東北の人々に「仕事」を与え、ファッションを通して、東北支援、オーガ
ニック支援をうたうプロジェクト。塩害で向こう５年、田にも畑にもなら
ないと絶望視されていた土地に向けて、世界中でオーガニックコットンの
畑を開拓してきた大正紡績の近藤健一氏が支援プロジェクトを立ち上げ
た。この秋、収穫予定。畑は順調に育っているという。ジーンズのリー・
ジャパン、JAL、ユナイテッド・アローズなどが協力を申し出ている。

22. エシカルファッションの旗手たち
ステラ・マッカートニー
パリコレで真っ先に
エコ／オーガニックなアクションを
とったファッション・デザイナー。
私生活もベジタリアン。
エマ・ワトソン
ハリーポッターの女優。
フェアトレードカンパニー
「ピープル・ツリー」とコラボ。
「途上国の人々の経済自立を
応援したかった」
イヴォン・シュイナード
「パタゴニア」設立者
「お金を設けるためでなく、革命
を起こすためにビジネスをして
いる」という哲学を持つ。
環境保護活動に徹底的に取り
組む、エシカル・カンパニーのお
手本的存在。
オーガニックコットンの
日本での旗手は、
「アバンティ」「大正紡績」の
２社であり、世界のオーガニッ
クコットン普及に貢献。
フェアトレード界では、
「ピープルツリー」代表
サフィア・ミニー氏、
「LOVE&SENSE」代表
高津玉枝氏。
ファストファッションでは、
「H&M」がいち早くエシカ
ル宣言をしている。
昨年CSR リポート提出。
ラグジュアリー界では、
「ルイ・ヴィトンの森」を設立
したルイ・ヴィトンジャパン、
SA8000取得したボッテガ・
ヴェネタに注目したい。
ファッション業界の環境保
全活動を推進する日本の
アパレルメーカーの連合
プロジェクトは、「fashion
earth projetc/
http://www.fe-
p.jp/index.html」

23. “エシカル”を着た悪魔から
ファッションの未来へ
＊「エシカル」は21世紀に必要な政策のヴィジョン
エシカル・シフト(デトックス、再生など）
MAKERシフト（３Dプリンター/レーザーカッター）
＊メディアは「エシカル」の情報を積極的に流す。
「エシカル・セレブ」の活動を報道、奨励する。
＊小中高大で、エシカル、フェアトレードについての
プログラムを立て、早くから啓蒙する。
＊エシカルをクリエイティブに進化させる！
ファッション、芸術の教育機関でプログラム開設。
＊小売りの現場で「トレーサブル」なファッション
＝エシカル・ショッピングで世界を変えよう！

24. エシカルの未来は
明るく楽しいーー☆