QIQB(大阪大学先導的学際研究機構量子情報・量子生命研究部門)セミナー でのスライドを加筆したもの。量子コンピュータを用いた量子化学計算の現在の状況と展望を述べた.
伝統的なゲート式位相推定による方法とvariational eigen solverによるものと2つ。ごく最近虚時間発展法の実装もされており、それは別スライドで概観した。
7. 回路を作る:ブール関数
• チューリングマシンに必要な関数
– 有限個の“0”, “1”を与えたとき “0” or “1”を出力す
る関数(ブール関数)
– 通りあるのが自明にわかる
– Bool関数の例 (論理演算)
X Y X ∧Y
0 0 0
0 1 0
1 0 0
1 1 1
X Y X ∨Y
0 0 0
0 1 1
1 0 1
1 1 1
x ¬x
0 1
1 0
8. どんなBool関数も
AND/OR/NOTで作れる
X Y X ∧Y
0 0 0
0 1 0
1 0 0
1 1 1
X Y X ∨Y
0 0 0
0 1 1
1 0 1
1 1 1
x ¬x
0 1
1 0
AND/OR/NOTは完全系。以下のXORやNANDもAND/OR/NOTの組み合わせでかける
NOT X = X NAND X
X xor Y = (X or Y) and not (X and Y)…
NANDも完全系。実はNANDだけを用いてAND/OR/NOTを書ける。
X Y X xor Y
0 0 0
0 1 1
1 0 1
1 1 0
X Y X nand Y
0 0 0
0 1 1
1 0 1
1 1 0
45. 本質的には高速化されないのはなぜか?
• k<=2 Local HamiltonianはQMA-complete [arXiv:0406180]
– QMAの中で最も難しい問題。
• なお、NP⊆QMAである。量子化学の問題はNPで最も難しい問題よ
りも難しい。
• つまり…もし効率的に解けるなら巡回セールスマン問題、ハミルト
ン閉路問題なども量子コンピュータで効率的に解けるはず。
• では、一次元と限定すれば? (DMRGで一次元は解ける)
やっぱりダメ (cf. [arXiv:0705.4077] the problem of approximating the
ground state energy of a system composed of a line of quantum particles is QMA-
complete)
つまり量子コンピュータはものすごく強力
というわけではない
101. まとめ
• “The Bravyi-Kitaev transformation for quantum computation
of electronic structure”Jacob T. Seeley, Martin J. Richard,
Peter J. Love [arXiv:1208.5986v1]
• 量子化学の問題を量子コンピュータで、より効率よく解ける
方法の説明と実装、数値実験を行った。
– qubitは粒子の統計性が入ってないので、fermi粒子の多体問題を解
くには反対称化しなければならない。
• NaïveにやるとO(n)程度コストがかかる (n:電子数)
– Bravyi-Kitaev基底を用いると反対称化の手続きがO(log n)に減らされる。
• Jordan-Wignerの方法(普通の第二量子化)よりゲートの数が少なくできる
• H2/STO-3G という最も簡単な系では、328-> 222回路数となった。
• 若干速い収束
• 他にも変換方法はある(Bravyi-Kitaev Super fast変換等)。