LibreOffice Kaigi 2018 で発表（ライトニングトーク）した資料です

1. そろそろ”外字”を卒業したい。
LibreOffe で”外字”に頼らない文書作成
Tomofumi Yagi <yagitmknada[at]gmail.com>
LibreOffice Kaigi 2018 Lightning Talk
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライ
センスの下に提供されています。

2. こんな経験ありませんか？
山 
 橋
渡 
渡された文書ファイルを開いたら文字化け ...

3. 期待される表示
山 﨑
髙 橋
渡 邊

4. それ”外字”ですね ...
外字とは
特定の文字集合（文字コードなど）に含まれない文字のことをいう。
（出典： Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%AD%97）

5. ” 外字”の使われ方
●
例えば JIS X 0208(JIS 第１〜第２水準漢字他 ) に含まれない漢字を
ユーザー定義文字を使って表示させる
●
時に JIS X 2013(JIS 第１〜第 4 水準漢字他 )
●
難しい人名などが主な対象
●
PUA(Private Use Area 、いわゆる外字領域 ) に自分で作った字形を
登録して使う
●
ユーザー外字フォント
●
Windows では「外字エディター」で
作成することが多い
﨑
※ このスライドでは、ユーザー定義文字を使った外字を”外字”と表記

6. もう一度
山 﨑
髙 橋
渡 邊
JIS 第 3 水準
IBM 拡張文字
「邊」の異体字
※ 対応するユーザー外字フォントをインストールした時の表示はこうなる

7. ” 外字”の問題はデータ交換
●
文書データを共有する時、問題が発生
●
文書の作成者と閲覧者が同じユーザー外字フォント
を持ってないと期待した文字が表示されない
●
ユーザー外字フォントは作成者ごとにバラバラ！
– 時には衝突することも有り得る ...

8. 自分がデータを「送る側」なら
●
文書データを共有する上で”外字”が原因で起こ
る問題を避けるためには
●
文書の中で”外字”を使わない様にすることが肝心
（当たり前）
– ” 外字”は最後の最後の手段

9. 山 﨑
文字コードに Unifode を使う（ 1 ）
Unicode だと U+FA11 で表せる
自分で作らなくても在る

10. 文字コードに Unifode を使う（ 2 ）
髙 橋
Unicode だと U+9AD9 で表せる
自分で作らなくても在る

11. ISO/IEC 10646 (UCS; Universal Coded Character Set)
≒ Unicode
漢字約 6 万文字（ IPA の文字情報基盤整備事業で整備された漢字）
ここで文字コードについて整理
●
包含関係は次の通り → Unifode を使おう
JIS X 0213:2004
（ JIS 第 1 〜第４水準漢字、非漢字）
漢字 10,050 文字
JIS X 0208:1997
（ JIS 第１〜第２水準漢字、非漢字）
漢字 6,355 文字
Shift_JIS(MS932) で
扱える範囲
Unicode で扱える範囲

12. IVS(Ideographif Variation Sequenfe) を使う
Unicode だと U+908A;U+E0102 で表せる
自分で作らなくても在る
渡 邊

13. IVS(Ideographif Variation Sequenfe) を使う
●
IVS （ Ideographif Variation Sequenfe ）とは
●
漢字に異体字セレクター（ Variation Seleftor ）を
付加して、字体をより詳細に指定可能
●
対応フォントが必要 (Noto フォント ,IPAmj フォン
ト、游書体他 )
邊 (U+908A)
邊 (U+908A;U+E0100)
邊 (U+908A;U+E0101)
邊 (U+908A;U+E0102)

14. IVS を使う ( 文字の入力方法 1)
●
インプットメソッド (IME) を使って入力
●
多くの IME で入力可能
●
Mifrosoft IME 、 ATOK など
– どの程度、変換候補に出してくれるかは IME 次第
– 設定の変更が必要な場合も

15. IME の設定例
●
Windows 10 （ Mifrosoft IME ）の場合
①「 Mifrosoft IME の設定」→「詳細設定」を開く
②「変換」タブ→「詳細設定」を開く
③「変換文字制限」を変更
• 「変換文字制限をしない」を選択
• 初期設定では、 IVS を含む文字は変換候補として表示
されない

16. IVS を使う ( 文字の入力方法 2)
●
Web で検索して Web ブラウザーに表示されている文字をコピー
＆ペーストする
●
ググってみる
●
グリフウィキ (GlyphWiki)
●
文字情報基盤整備事業 のページ（ IPA 独立行政法人情報処理推進機
構）
●
ユニコードコンソーシアムの IDV(Ideographif Variation Database) の
ページにいろいろある
●
今時の Web ブラウザーは IVS 対応している

17. IVS を使う ( 文字の入力方法 3)
●
サードパーティのソフトウェアを使う
●
文字情報基盤整備事業ページで紹介されているもの
– 「 IVS パレット」（イースト株式会社）
– 「超漢字検索」（パーソナルメディア株式会社）
– 「 IVS 検索」 （望月英男）
–
他にも沢山あると思います ( 実はこの辺、疎い ...) 。

18. IVS を使う ( 文字の入力方法 4)
●
「 alt+x 」で Unifode 変換は？（ Writer ）
●
まだ IVS 対応してない。残念！
●
Word2016 もまだ動作がおかしい（？）
﨑 U+fa11
Writer で
「 alt+x 」キー
Unicode と文字を
相互変換

19. IVS 、目的の文字が出ない ?
●
IVS 、ちょっと難しいですよね…
●
IVD(Ideographif Variation Database)
– Adobe-Japan1 、 Moji_Joho 、 Hanyo-Denshi など複数のデータベース
●
IVD とフォントの対応
●
IVD やフォントのバージョン
●
恐らく、時間が解決する
●
習うより慣れろ？
●
フォールバックがあって文字が豆腐にはならないメリット
●
文字コード上では情報の欠落はない

20. UCS+IVS 利用可能
UCS+IVS 対応環境の今
●
もう積極的に使っていいでしょう。
●
漢字約 6 万文字の国際規格化は
完了 (IPA 文字情報基盤整備事業 )
●
Emoji
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
「文字情報基盤整備事業」
ISO/IEC 作業期間
非 IVS 機器並存期間
2017.12
「文字情報基盤整備事業」で推進していた
漢字 6 万文字の国際規格化が完了
2020.10
IVS 未対応の
MS Office2010
サポート終了
今ココ（ 2018.5 ）
2014.6
世界最先端 IT 国家創造宣言
（閣議決定）

21. 最後に
●
不具合を見つけたら是非バグ報告を
●
時々あれれ？な動作が見つかる
●
Bugzilla に IVS 関連バグ追跡用のメタバグを作りました
– Bug 117478 (IVS) - [META] Ideographif Variation Sequenfe issues
●
IVS を含む文字をバックスペースで削除した時の問題は 6.1
から直ります（ Writer 、 Mark Hung さんのパッチ）
– Bug 113481 - EDITING: it takes multiple bafkspafe to delete one
ideographif variation sequenfe

22. ご静聴ありがとうございました
このスライドは LibreOffe で”外字”を使わずに作成しています！

23. 参考資料
●
Mailing list
●
[LibreOffe-dev]
– On support for Ideographif Variation Sequenfes
●
Takeshi Abe
●
Bugzilla(bugs.dofumentfoundation.org)
●
Bug 113481 - EDITING: it takes multiple bafkspafe to delete one ideographif variation sequenfe
– Mark Hung
●
Bug 73691 - add unifode fonversion shortfut like word (alt+x)
– Christoph Thielefke
●
Togetter
●
IVSの実装は難しい (LibreOffifeを中心に）
●
SlideShare
●
"Typifal" bugs of LibreOffe in Japanese environment
– iCRAFT Corp. (アイクラフト株式会社)
●
Unifode IVS/IVD 文字情報技術促進協議会のご紹介
– Japan Eleftronif Publishing Assofiation
●
Youtube
●
＜文字情報基盤＞外字/異体字が抱える問題と文字データの相互運用性
– WingArf 1st

24. 参考資料
●
「文字情報基盤整備事業」関連
●
IPA 文字情報基盤整備事業Webサイト
– 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
●
モジラボ
– 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
●
プレス発表 「文字情報基盤整備事業」で推進していた漢字6万文字の国際規格化が完了
– 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
●
文字情報基盤導入ガイド類
– 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
●
文字情報基盤ワーキンググループ
– 資料5 文字情報基盤 2017年度実施のポイント（案）
●
IPA 技術本部国際標準推進センター
●
文字情報技術促進協議会
●
IVS対応製品
●
首相官邸 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部（ＩＴ総合戦略本部）
●
決定事項
– 世界最先端IT国家創造宣言について
– デジタル・ガバメント実行計画

25. 参考資料
●
Wikipedia
●
外字
●
JIS X 0208
●
JIS X 0213
●
Mifrosoftコードページ932（IBM拡張文字）
●
異体字セレクタ
●
ユニコードコンソーシアム – Unifode.org
●
New version of Unifode Ideographif Variation Database released (2017.12.12)
– IVD_Charts_Adobe-Japan1.pdf
– IVD_Charts_Hanyo-Denshi.pdf
– IVD_Charts_Moji_Joho.pdf
●
ISO(International Organization for Standardization)
●
Publifly Available Standards
– ISO/IEC 10646:2017 5th(UCS)
●
その他
●
よくわかるIVS
– イースト株式会社
●
「コンピュータによる旧字旧かな文書作成入門」
– 文芸同人サークル「はなごよみ」
●
Font tefhnifal notes
– Adobe
●
GlyphWiki:異体字
– フリーグリフデータベース『グリフウィキ(GlyphWiki)』