第24回情報知識学フォーラム AMANE堀井発表資料（抜粋版）
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第24回情報知識学フォーラム「地域資料とオープンサイエンス～地域資料の継承と情報資源化～」（2019年11月23日(土) ITビジネスプラザ武蔵 （石川県金沢市））での講演「地域における学術資料の継承・活用の現状とオープン化への期待 」合同会社AMANE堀井 洋 の発表スライドです。
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第24回情報知識学フォーラム AMANE堀井発表資料（抜粋版）
- 1. 地域における学術資料の継承・活⽤の現状と オープン化への期待 合同会社AMANE 堀井 洋 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 1
- 3. ⾃⼰紹介 ⽒名： 堀井 洋 （ほりい ひろし） 2002年6⽉ 北陸先端科学技術⼤学院⼤学 情報科学研究科 博⼠後期課程修了 博⼠(情報科学) 2002年 6⽉ 〜 2003年9⽉ ⽂部科学省ＩＴプログラム研究員 2003年10⽉ 〜 2011年9⽉ 北陸先端科学技術⼤学院⼤学 知識科学研究科 助教 2009年 4⽉ 合同会社AMANE 設⽴ 同代表社員に就任 2014年10⽉ ⼀般社団法⼈学術資源リポジトリ協議会 設⽴ 同代表理事に就任 専⾨分野： 情報システム学・⼈⽂情報学 所属学会： 情報処理学会 情報知識学会 アートドキュメンテーション学会 他 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 3
- 4. 合同会社AMANE • 名称：合同会社AMANE（ごうどうかいしゃ あまね） • 構成員：５名 客員研究員：１名 • 所在地： ⽯川県⾦沢市 （⾦沢ラボ） 宮城県仙台市 （仙台ラボ） 東京都⽂京区本郷（東京ラボ） • 設⽴年⽉⽇：２００９年 4⽉ 10⽇ • 研究機関指定：科学研究費補助⾦取扱規定第２条第８項に規定する研究機関 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 4
- 6. 古⽂書 情報知識学フォーラム2019 6 「久保彦兵衛家⽂書」標題：くしかき売⽬録 加賀市北前船の⾥資料館蔵 資料館蔵 2019/11/23
- 7. 情報知識学フォーラム2019 7 「久保彦兵衛家⽂書」標題：材⽊等代⾦仕切 加賀市北前船の⾥資料館蔵 資料館蔵 2019/11/23
- 8. 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 8 ⺠具・⺠俗資料 岩⼿県奥州市 おだき⺠具資料
- 12. 地域資料の整理・公開の例： 加賀市北前船関連⽂書 整理事業 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 12 https://www.google.co.jp/maps/place/⽯川県加賀市 加賀市橋⽴地区は、藩政期から明治中期頃までに活躍 した「北前船」の船主を数多く輩出した地域である。 ¤ ２０１５年から加賀地域に現存する北前船関連⽂書 の調査・整理を実施。 ¤ 資料総点数：約１５，０００点（事業開始⾒込 み）。 ¤ 物理的な整理 ＋ 情報的な整理 （メタデータ⽣成 ＋ 画像デジタル撮影）を実
- 23. ⽂書資料の資料整理作業過程（２） 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 23 （１）未整理資料の調査と概要把握 （２）資料の整理と情報の記録
- 26. 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 26 「久保彦兵衛家⽂書」標題：くしかき売⽬録 加賀市北前船の⾥資料館蔵 資料館蔵
- 27. ⽂書資料の資料整理作業過程（３） 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 27 （１）未整理資料の調査と概要把握 （２）資料の整理と情報の記録 （３）資料情報の公開と継承
- 28. 地域資料を取り巻く状況の変化 〜⾼度経済成⻑期から現在まで〜 ① 整理・保存・継承の対象となる学術資料の増加と多様化 ② 地域の急速な過疎化と、それに伴う地域住⺠や専⾨⼈材など“担い⼿”の減少 ③ 学術資料の公開および活⽤に対する社会的な要請と期待 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 28 ④⾃然災害による“突発的な資料喪失”に対する認識 地域資料を散逸や喪失を防ぐことが極めて重要
- 29. 地域の急速な過疎化 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 29 2010年から2040年にかけて、20~39歳の若年⼥性⼈⼝が 5割以下に 減少する市区町村 。 ⼈⼝の再⽣産⼒=「20~39歳の若年⼥性⼈⼝」と考える。 「消滅可能性都市」 （⽇本創成会議） 2040年には全国896の市区町村が 「消滅可能性都市」に該当。 うち、523市区町村は⼈⼝が 1万⼈未満となり、消滅の可能性がさらに⾼い。 国⼟交通政策研究所「政策課題勉強会」 「「地域消滅時代」を⾒据えた 今後の国⼟交通戦略のあり⽅について 」より https://www.mlit.go.jp/pri/kouenkai/syousai/pdf/b-141105_2.pdf
- 31. 地域資料の継承に対する⼈⼝減少の影響 1. 資料所蔵者の⾼齢化・不在による、資料の散逸・喪失 2. ⾃治体・公的機関における⽂化財関連予算の削減・組織統合 3. 地域で活動する研究者・専⾨⼈材の不⾜・偏在 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 31 地域の⼈⼝減少・少⼦⾼齢化は、地域資料の保存・継承に対して、 ⼤きな影響があると考えられる。 “緩やか かつ 確実”な資料喪失の危機 ⾃然災害による“⼤規模 かつ 突発的”な資料喪失の危機 ⼀体として考える必要があるのでは？
- 34. 「梅⽥⽇記」の概要 情報知識学フォーラム2019 34 ¤ 作者：梅⽥甚三久（うめだじんさく・能登屋甚三郎） ⾝分：町⼈ 住居：⾦沢町浅野川河畔辺り 家族：妻（元治元年5⽉結婚） 職業：下級役⼈（⼝郡番代⼿伝） ¤ 内容：元治元年（1864年）〜慶応三年（1867年）（32〜35歳）の⽇ 記。 役務や政治情勢の他、私⽣活の記録 （交際･⾐⾷住･冠婚葬祭・年中⾏事･⾏楽） 現代であれば極めて平凡なサラリーマンが書いた普通の⽇記 2019/11/23
- 38. 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 38 Ø 本来は５巻構成であるが第⼀巻の所在が不明。 Ø 若林喜三郎編『梅⽥⽇記−幕末⾦沢町⺠⽣活⾵物詩―』（1970年北国 出版社）が出版されてから、資料の所在が⾮公開。 （⼀部の関係者のみが把握） Ø ２０００年代初頭に県博物館にて所在が確認 Ø 現在は、⾦沢⼤学資料館にてデジタル・アーカイブ公開 「梅⽥⽇記」の所在
- 40. 資料の喪失が⽣じる状況 1. 所蔵機関の組織改編時における喪失 → 資料所蔵場所の移動時に、資料の所在が不明になる。 2. 資料情報の引き継ぎにおける困難 → 担当者の交代時に過去の資料情報が引き継がれない。 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 40
- 42. 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 42 過去のID その１ 過去のID その２ 新たに付与したID
- 43. 資料の喪失が⽣じる状況 1. 所蔵機関の組織改編時における喪失 → 資料所蔵場所の移動時に、資料の所在が不明になる。 2. 資料情報の引き継ぎにおける困難 → 担当者の交代時に過去の資料情報が引き継がれない。 3. 未整理資料としての所蔵 → 資料の存在⾃体が認知・肯定されない状態で、 ⻑期間所蔵されている。 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 43
- 44. 資料の喪失を防ぐためには 1. 資料の存在肯定 2. 資料に関する情報の共有 3. 学術分野を含む広く社会における資料の利活⽤ 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 44 地域資料を社会全体で共有することが⼤切
- 45. オープンサイエンスへの期待 〜AMANEの宿題〜 1. 地域資料の実在に関する客観的から網羅的な把握・可視化 → この家・地域・国には、いま、どのくらいの資料が存在するのか？ → 資料喪失の危機に対応するには、実在に関するデータが必要。 2. オープンサイエンス時代における資料の価値の再定義 → デジタルデータに基づいた学術研究が主流となる中で、物体として の資料を保存・継承する意義とは？ 2019/11/23 情報知識学フォーラム2019 45