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- 3. アウトライン 1. バンダイナムコHD・バンダイについて 2. PDCA事例①：宇宙戦艦ヤマト 3. PDCA事例②：ガンプラの進化 4. カスタマーペインへの対処法 3
- 4. アウトライン 1. バンダイナムコHD・バンダイについて 2. PDCA事例①：宇宙戦艦ヤマト 3. PDCA事例②：ガンプラの進化 4. カスタマーペインへの対処法 4
- 5. 年 出来事 1950年 山科直治が株式会社萬代屋を設立し、社長に就く。 1967年 経営破綻した模型メーカーのコグレの製品金型を買い取って模型市場へ参入。 1969年 経営不振に陥った模型メーカーの今井科学の工場と金型を譲り受ける。 1974年 宇宙戦艦ヤマト放映 視聴率低く、39話の予定が26話で打ち切り。 1975年 宇宙戦艦ヤマト 再放送で人気となる。 1977年 宇宙戦艦ヤマト 劇場版公開 ヤマトのプラモデルブーム 1979年 機動戦士ガンダム放映 視聴率低く、52話の予定が43話で打ち切り。打ち切りが決まってから人気上昇 1980年 放映終了後にガンプラ発売 1981年 2月からガンプラブーム加熱 1982年 千葉県ダイエー新松戸店でガンプラを求める小・中学生250人の将棋倒し事件が発生 1985年 ファミコンソフト「キン肉マン マッスルタッグマッチ」がミリオンセラー 1996年 アップルの「ピピンアットマーク」事業が大失敗。たまごっちが爆発的ヒットで社会現象に。 1997年 たまごっちの供給過剰により赤字計上。一時「セガバンダイ」が話題に。 2005年 バンダイナムコホールディングス設立・経営統合 2006年 ガンプラの開発から生産までを「バンダイホビーセンター」に集約。 5出典：Wikipediaより編集 バンダイの歴史
- 11. 年 プラモデル業界での出来事 1954年 プラモデルは輸入からスタート。飛行機・戦車・自動車など 1958年 国産プラモデル第1号は＜原子力戦艦ノーチラス号＞ 同年、タミヤ・ハセガワ設立 1962年 今井科学の鉄人28号のプラモデルが大人気。翌年のTV放映で一大ブームに。 1966年 今井科学のサンダーバードのプラモデルが大人気。特撮が一大ブームに。 1967年 バンダイが経営破綻した模型メーカーのコグレの製品金型を買い取って模型市場へ参入。 1968年 バンダイが自動車プラモデル＜1/12 アルファロメオ＞を販売するも、質が悪くて全く売れず2ヶ月で終了。 1969年 バンダイが経営不振に陥った模型メーカーの今井科学の工場と金型を譲り受ける。 1970年 関西の模型問屋から「バンダイは潰れた会社の金型で商売をしていてけしからん」と評判になり、関西方面 では満足に商品が流せなかった。 昆虫シリーズ・自動車シリーズ（品質改善版）・サンダーバードが業績を牽引。 1971年 バンダイ模型設立。仮面ライダーシリーズ（サイクロンにのる仮面ライダー1号）が人気に。 1972年 ミリタリーモデル（戦車）に参入。小売店から「タミヤとの差別化ポイントを示せ」とアドバイスを受けてマーケ ティングを見直し、スケールモデル愛好家からも一定の評価を得る。 1973年 マジンガーZ・ゲッターロボ・大空魔竜ガイキング・勇者ライディーンが大人気に。 1976年 前年に映画化されたトラック野郎でデコトラが大人気に。 1977年 スーパーカーブームでどの会社もランボルギーニ・カウンタックを発売。 静観していたバンダイは完全にブームに乗り遅れ、売上激減（25.6億円→12.8億円） 11出典：ガンプラ開発戦記（猪俣謙次・加藤智 アスキー新書）の内容を筆者が表にまとめた
- 12. アウトライン 1. バンダイナムコHD・バンダイについて 2. PDCA事例①：宇宙戦艦ヤマト 3. PDCA事例②：ガンプラの進化 4. カスタマーペインへの対処法 12
- 16. 宇宙戦艦ヤマトのPDCA 16 顧客の声 • かっこ悪い ぜんまいで走らなくて良い • 第３艦橋をつけろ 画像：プラモジンガーJの宇宙戦艦ヤマトプラモ入門！より引用 https://ameblo.jp/jiuco2/entry-12149653190.html
- 20. 宇宙戦艦ヤマトのPDCAの裏側④ 20 本放送時は裏番組が「アルプスの少女ハイジ」で 視聴率では大苦戦 スーパーカーブームの裏でプラモデルは大不振 売上：25.6億円＠1976年→12.8億円@1977年 劇場版で盛り上がっている今、逆転ホームランが必要！ 「ヤマトが沈めば、バンダイが沈む」 社運をかけた意思決定 1. 子どもの評価に基づいて、新しい金型を作る 2. 模型店・卸の評価に基づいて、従来の金型で増産 画像：アルプスの少女ハイジ公式ホームページより引用 http://www.heidi.ne.jp/
- 21. 宇宙戦艦ヤマトの決断 21 プラモデルのヤマトは 平べったくて かっこ悪い！ 設計の寸法通りだから、変更 の必要なし！ 顧客 （子ども） 取引先 （卸） 実際にプラモデルで遊ぶ子どもの声を採用した ×
- 24. アウトライン 1. バンダイナムコHD・バンダイについて 2. PDCA事例①：宇宙戦艦ヤマト 3. PDCA事例②：ガンプラの進化 4. カスタマーペインへの対処法 24
- 27. 余談：意図せざる展開 • ガンダムのカラーリングは当初白一色だった。 スポンサーの意向で「赤・青・黄色に塗れ！」と指示されてガンダムのトリコ ロールカラーが誕生した。 • 途中から作品に登場するジオンのモビルスーツが急増したのは「やられメカ をもっと出せ」というスポンサーの意向。 • Gアーマーという合体変形メカが急遽投入されたのはスポンサーの意向。 • 視聴率が低迷したときスポンサーから「陰気なシャアが原因だ」と言われて 左遷した。ファンからの抗議の手紙で出番が復活した。 • アムロは最終回で死ぬ予定だったが、続編を想定して取りやめになった。 27出典：Wikipedia「機動戦士ガンダム」より
- 34. スナップフィット技術の舞台裏 • 金型を400倍の顕微鏡で見ながら、手作業でヤスリがけする。 5um〜10umのレベルで修正する。 • 関節の硬さも金型で修正する。関節が緩いとダランとしたポーズしか取れ ないが、硬いと動きのないポーズしか取れない。 目安は「パッケージアートのポーズが取れる様に」 • 35年前の旧作キットでも再販するときには金型を修正する。 金型の修正度合いを確認するために、同じキットを購入するコアなファンも 存在する。 34引用：ガンプラはなぜ37年も売れ続けているのか？（原作：ゆきもり 作画：ロドリゲス井之介 小学館）
- 38. アウトライン 1. バンダイナムコHD・バンダイについて 2. PDCA事例①：宇宙戦艦ヤマト 3. PDCA事例②：ガンプラの進化 4. カスタマーペインへの対処法 1. 商品価値＝機能的価値＋意味的価値 2. 人の行動原理：カスタマーゲインとカスタマーペイン 38
- 40. 商品価値＝機能的価値＋意味的価値 40画像：自宅にて筆者撮影 2016年5月25日 機能的価値 意味的価値 客観的に基準が定まった 機能で提供される価値 主観的に意味づけを行う価値 顧客企業固有の事情に 基づいて判断される価値 カタログのスペック デザイン性・イメージ 性能・スループット コスト削減効果 ユーザーに喜ばれる 独自サービス 出典：価値づくり経営の論理 日本の製造業の生きる道 延岡健太郎 日本経済出版社
- 41. 人の行動原理① 41 得られるもの ー 得るために支払ったもの ＝ 利益・価値 • 製品 • サービス • 費用 • 時間や手間 • 精神的負担 • 満足感 • リピート購買 • 友人へ紹介 選択肢があるなら、利益・価値が大きいと 判断した方を選択する 時間や手間という部分で囲い込まれることも
- 42. 人の行動原理②：得る利益を増やすには 42 痛みを避ける（マイナスを無くす）快楽を求める（プラスを得る） • 不満を解消する • 顧客が言語化できる部分がある • 即効性がある • 価格の上限がある • より良くなる・理想に近づく • 何をすべきか具体的ではない • 長期的アプローチ • 価格の上限がない 意味的価値を高める努力 機能的価値を高める努力
- 43. 人の行動原理：バンダイの事例 43 痛みを避ける（マイナスを無くす）快楽を求める（プラスを得る） • 有機溶剤の匂いが嫌 （塗装が面倒） • 接着剤だと組み立て失敗できない • 接着剤の扱いが面倒 • モビルスーツのプラモ化 • 理想のフォルム • 合体/変形機構 • 組み立てる楽しさ
- 47. 要望の構造①：聞かなくて良い要望 • 「商品に何かリクエストはありませんか？」「ご要望があれば何なりと」と聞き にいくと答えてくれる。 「この機能が付くと良い」「性能を上げて欲しい」といった要望はもらえる。 • しかし「お金を払ってまでその機能・性能が欲しいか」は別問題。 • アンケートやニーズヒアリング結果にはこのレベルの要望が大量に混ざって いるので、選り分けていくプロセスが必要。 47法人向け（B2B）製品・サービスでありがち
- 48. 要望の構造②：対立する要望 • 誰に聞くかによって内容が180度異なることはしばしば。 • バンダイの事例では、顧客（子ども）と業界に詳しい流通との間でフィー ドバックが全く異なっていた。 • 「顧客の要望に応えた製品を開発しよう！」という総論には皆が賛成する。 しかし「この要望に応えよう」と具体化しようとすると意見が割れる。 48 個人向け（B2C）嗜好品でありがち
- 50. バンダイが顧客の声を吸い上げる仕組み • 顧客の声がバンダイを支えてくれているという考えを共有。 「顧客ファースト」の理念を持つ。 • 目の肥えた顧客のおかげでここまで進化してきた。 これがなかったら、今でも真っ白なガンプラを作っていた。 • 顧客の声（昔はハガキ）で今後のヒントになるものは社内で回覧されて いた。今はネット情報が主で、データベースに蓄積される。 • 電話窓口も自らガンプラを作るファンでもある。2,000体近く作った社員も いる。技術面の話もしっかり添えて説明を果たす。 • 顧客の声に対して「最大公約数を取っても面白くない」という信念を持ち、 尖った個性とのバランスを考慮する。 50引用：ガンプラはなぜ37年も売れ続けているのか？（原作：ゆきもり 作画：ロドリゲス井之介 小学館）
- 54. 受け入れる判断の前に • 要望を受け入れるかどうかの判断は行わず、なぜそのような要望を考えたのか、 理由を考える。それが解決することによって、何が起こるのかも把握しておく。 • 品質管理の「なぜなぜ分析」と同じ。 目の前の問題だけ解決しても、真の問題が解決できていないとまた同じ要望 がやってくる。 • 真の要望を探り出すまでヒアリングを重ねる。 • 問題を解決して得られる成果が分からない要望は後に回す。 54
- 57. 57画像：プレミアムバンダイWebサイトより引用 http://p-bandai.jp/chara/c0010/ プレミアムバンダイ：小ロットマニアック製品ライン 通販限定 予約販売 レアリティ訴求 高価格
- 58. ガンプラのケース • 塗装が面倒・接着剤が嫌というカスタマーペインに応えて、 色付きのプラスチック成型技術と 接着剤を使わないスナップフィット技術を開発した。 既存顧客の不満の解消・機能的価値の向上 • 自分の理想とするプラモデルが出来上がるようになり、満足度が高まった。 意味的価値の向上 • 今までプラモデルを避けてきた層が購入するようになった。 58
- 59. カスタマーペインへの対処法 • 顧客からのフィードバックを記録する。受け入れるかどうかの判断は後。 • 顧客からの声を腹落ちして理解できるように、体感する・実感する場を持 つ。特にB2B製品では重要。 • 顧客からの要望に応えることで、具体的にどのように製品が改善されるか を考える。 B2C製品では共感できるイメージが持てるかどうか、 B2B製品では論理的にメリットがあるかを考える。 • メンバー間で応えるべきニーズを共有し、出来上がりイメージを揃える。 • カスタマーペインを取り除くことを入り口として、さらに満足してもらうための 次の一手を考える。 59
- 60. スピード開発時代 • ニーズの変化スピードが上がっている。最初から量産を見据えて段取りを していると時期外れになることも。 • 試作して販売してみる・ユーザーに使ってもらうなどを行い、素早くフィード バックを得て次につなげることがますます重要に。 • ユーザーにとってのメリットを具体的にイメージできるようにしておく。メリット が希薄そうなら「なぜそう思うのか」を確認しておく。 60
Editor's Notes
- 私は中小企業診断士の佐々木達郎と申します。 年間10億円の予算で１台200万円から5億円の装置まで、設備投資と導入を８年間担当してきました。 この経験を踏まえてご説明いたします。