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 腕の稼働範囲を回転円を描いて測
ろうとしている。失敗。
 上に描いている手順通りにシンプルにサ
サッとかいてみた。もっとシンプルでもい
い。これまでのクロッキーが描き込み過ぎ
なくらい。
 この尻、やけにプリプリに見える。実は
こういう丸っこく見えるのは失敗と言え
る。


 『やさしい人物画』(A・ルーミス著)
にも書いていたが、質感の角張りというも
のはどこかしら生命力をかもし出すものだ
という。丸っこい質感もかわいく見えるか
もしれないが、何となく記号的で、いかに
も作り物感が残る。
 胸ラインが真っすぐ走っていると、リズム線のよ
うに伸びやかな雰囲気が出る。描く過程で躍動感を
消したくないときは、なるべく一つながりの線でア
タリをとって、バネみたいにエネルギーを吸収して
しまう線は描かない方が良いかもしれない。
 コントラポストを直線で描かずに、躍動感をつける
ように勢いと広がりを与えてみた。
 どっしりと座った安定感の重心を探そうとして、地
面に円を描いてみた。接地面積が大きいポーズの時
は、重心を点でなく面で探すことになる。図のような
考え方も、一つのアイデアとしてストックしておくと
いいかも。
 人物を平面視して、アウトラインの角度が分かりや
すいように大まかに直線で囲んでいる。このようなア
タリ線の描き方は、木炭デッサンでは普通に使われて
いる。より正確に模写するなら先入観を捨てて、ただ
ただそのまま写すことが必要となる。


 また、ポーズの重心を考えるときにもこういったア
ウトラインの役割が重要になってくる。アウトライン
の角度を間違って描いたら重心が傾くことは言うまで
もないからである。
 肩周辺をデッサンするときは、三角筋を描いて位置
決めをすると思われるが、肩甲骨の表面から上腕骨に
繋がる筋肉(棘下筋・大円筋)の存在も意識するよ良
い。それはつまり肩甲骨の位置を意識することになる
し、脇の凹凸を描くときにも役立つ。脇や肩甲骨の凹
凸が苦手なら解剖学は必須。
 全身を貫くリズム線。このあたりからリズ
ム線を有効利用する方法を模索していく。
 躍動のエネルギーの流れに応じて
ウネウネと踊るリズム線。
 大胸筋とウエストの
ライン(コントラポスト)が反って
いるとかっこよく見えるのは、
大胸筋の下側のラインと、
肋骨の形のイメージが、
反っているものという認識が
あるから。
 左上に書いている「前面テクスチャ」とい
うのは、コントラポストの形をテンプレート
として考えるというアイデア。まあ、そんな
に画期的なことではない。あまり意識しなく
ても描けるようになる方が好ましい。
 力一杯に棒を曲げているポーズ。この
ときに効率よく力を加えられる腕のカー
ブを描くように気をつける。理想のカー
ブから遠のけば遠のくほど力を入れてい
る「フリ」にしか見えなくなる。
 動いている人物の一瞬を描くときは、前
後の動作を把握した上で描かないと、今こ
の瞬間のリズム線を描く事はできない。な
ぜなら、次の瞬間に地面を蹴って激しく動
く場合には、その動作の「タメ」の為のリ
ズム線の緊張が現れるはずだからである。


 ここではそれを気の流れとか何とか言っ
ている。この後どのパーツがどの方向に動
くかハッキリ想像できなかったらしい。
 人体構造はしっかり力を伝える
骨格でできているし、力を入れよ
うとするときは力の方向に関係す
る方向にリズム線が生まれるはず
である。このポーズのように物を投
げるときは、押し出し方向の反対
側に踏ん張る足が位置する。
 このリズム線はすごく気持ちがい
い。反った体が元に戻るときの反動
と、胴体のひねりが合わさって、も
のすごいエネルギーの圧縮が生まれ
ている。胴体を勢い良くひねってい
ることを表すには、首を力の方向に
振ると必死さが伝わる。
 人間はバランスを取れるように
無意識に三半規管が働くはずなの
で、顔が水平を保てていないとコ
ケそうになっているように見え
る。ちなみにこのポーズはコケそう
になっているので正解。
 このような不安定なポーズのと
きは、安定せずに常にエネルギ
ーが変動しているのでリズム線が
活躍する。
 リズム線は運動エネルギーの中心
のことだが、ほとんど重心と同じに
考えても良い。つまり垂直状態は安
定を表している。


 しかし、ここのリズム線は、接地
部分は垂直になっているが、上の方
は傾いていて倒れそうである。た
だ、このポーズの場合は向こう側に
頭があることが予想できるので倒れ
ることはなく、足をブラブラして遊
んでいると理解できる。


 このようにリズム線と重心は、深
く関係しているので注意。
 これはジャンプしているときのポーズであ
る。足が地面についていないと支点にはなり得
ないので、両膝の間に重心は発生せず、運動エ
ネルギーの中心を通るリズム線がメインとな
る。ここの場合は勢い余って前のめりになって
いる。

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