2011建築研究賞_建築転用論_08N1120和知祐樹_富永研5. 研究背景と目的
「人口減少」 「少子高齢化」
現在
転用建築が重要になる
1章
6. 研究背景と目的
研究の位置づけ コンバージョン建
築
経済・環境面などの普遍的事実
既往研究
EX.
前 後
工場 美術館
本研究
転用建築
「用途」に対しての可能性
コンバージョン建築 ≠ 転用建築
1章
7. 第2章 建築地理学からみた建築計画学の限界
目次
8. 建築地理学からみた建築計画学の限界
それぞれのキーワード
建築計画学 建築地理学
量 質
物理的特徴と人間の活動に そこの場のもつ「意味」に焦
焦点をあてたもの 点をあてたものが加わる
行為の舞台、所与の環境としての
道具としての建築
地形のようなものとしての建築
一般性 固有性
空間 場所
ステロタイプ (≒) 転用建築
「かた」 「かた」を破る
2章
10. 様々な「転用」 「転用」と人間の多様性
都市 円形闘技場 乗り物 絵画 版画 道路 災害時
ルッカ イタリア 電車住宅 少女と老婆 ピラネージ 祝祭 避難所
17世紀のルッカの地図 電車住宅の屋並び
アルルの円形闘技場。 あらゆる用途が避難所
「転用」とは本来なにか 宮殿内部のドローイング
に転用する。
俯瞰図
メルカート広場 体育館が避難所となっ
ている様子。
人の見方によって少女
に見えたり、老婆に見え
たりする。人間は決して 「牢獄」の反転図。宮殿
建築以外も住まいへと 一般化できないのである。 を反転させて牢獄を描
城壁の上を遊歩道に転 転用しうる。 いていたことがわかる。
用することで、そこは「城
壁都市」ルッカへと転用 円形闘技場は機能を変
するきっかけとなった。 えながら、生き続けてい
く。 車道は容易に祝祭空間 校庭に建つ仮設住宅
に転用される。
3章
12. 「城壁都市」ルッカ 「転用」と人間の多様性
城壁は都市計画上邪魔とされ
その多くが壊されたが
「ルッカ」は取り壊す財源もなかった
城壁の上を遊歩道に転用することで
遮断されたネガティブな城壁が
内に開かれた固有の場所としての
城壁都市ルッカをつくりあげた
3章
13. 様々な「転用」 「転用」と人間の多様性
都市 円形闘技場 乗り物 絵画 版画 道路 災害時
ルッカ イタリア 電車住宅 少女と老婆 ピラネージ 祝祭 避難所
17世紀のルッカの地図 電車住宅の屋並び
アルルの円形闘技場。 あらゆる用途が避難所
に転用する。
宮殿内部のドローイング
俯瞰図
メルカート広場 体育館が避難所となっ
ている様子。
人の見方によって少女
に見えたり、老婆に見え
たりする。人間は決して 「牢獄」の反転図。宮殿
建築以外も住まいへと 一般化できないのである。 を反転させて牢獄を描
城壁の上を遊歩道に転 転用しうる。 いていたことがわかる。
用することで、そこは「城
壁都市」ルッカへと転用 円形闘技場は機能を変
するきっかけとなった。 えながら、生き続けてい
く。 車道は容易に祝祭空間 校庭に建つ仮設住宅
に転用される。
3章
16. 調査事例
用途 市庁舎 美術館 稽古場
名称 山梨市庁舎 発電所美術館 演劇練習館 アクテノン
前用途 工場 発電所 配水塔
竣工年 1970 1926 1929
改修年 2008 1995 1995
本論
17. 本論 1,ステロタイプに伴う「かた」
目次
18. ステロタイプ ステロタイプに伴う「かた」
用途 市庁舎 美術館 稽古場
羽島市庁舎 国立新美術館 大阪市立芸術創造館
豊中市庁舎 岡崎市美術博物館 福岡市千代音楽・演劇練習場
下関市庁舎 群馬県立近代美術館 姫路市音楽演劇練習場
本論
19. 「かた」の抽出 ステロタイプに伴う「かた」
「かた」としての共通要素の抽出
1,象徴としての議場空間
市庁舎 2,市民の高い利用率であるカウンター業務周辺の裏空間化
3,滞留しえない流動の場としてのパブリックスペース
羽島市庁舎
豊中市庁舎
下関市庁舎
本論
21. 山梨市庁舎 転用建築事例
概要
用途 市庁舎
電話機製造工場 市庁舎
・操業終了時点のまま保存されていた、
名称 山梨市庁舎
1970年築の工場棟の一部と1989年築の
技術管理棟を庁舎へと転用させた事例。
前用途 工場
竣工年 1970
改修年 2008
本論
22. 山梨市庁舎 転用建築事例
「転用」していく過程
用途 市庁舎
工場
1,配置計画
2,アウトフレーム
名称 山梨市庁舎
3,吹き抜け
前用途 工場
竣工年 1970
改修年 2008 市庁舎
本論
23. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
閉じた形態 開かれた場
本論
24. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
閉じた形態 開かれた場
本論
25. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
閉じた形態 開かれた場
本論
26. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
2,アウトフレーム
無性格な容器 耐震補強
L型鋼の立体トラス
18mスパンの立体トラスを受ける
平行弦の棟梁
2階はRC片持柱
既存RC躯体
補強フレームの断面イメージ
1階:スパン9m×9mの耐震壁付きラーメン架構
PCa-PC 補強フレーム 既存柱+補強フレームの組柱
2階:スパン9m×18mの片持ち柱架構 新設スラブ
新設スラブ
L型鋼を用いた立体トラスの置屋根構造 PCa-PC 補強フレーム
新設スラブ
新設スラブ
本論
27. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
2,アウトフレーム
無性格な容器 開放性
軽快なリズム
既存の
躯体
PCa-PC補強フレーム
補強フレームの立体イメージ
本論
28. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
3,吹き抜け空間
2層の均質空間 軽快なリズム
開放性
改修前:コミュニケーションラウンジ
改修前:エントランスホール
本論
29. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
3,吹き抜け空間
2層の均質空間 軽快なリズム
開放性
改修前:エントランスホール
本論
30. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
議場・ ・
自然の地形 対等な議場
本論
31. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
・パブリックスペース・
自然の地形 切り離された
市民スペース
本論
32. 山梨市庁舎 転用建築事例
工場 市庁舎
・ ・執務空間
自然の地形 表空間化
本論
33. 本論
3,ステロタイプとの比較・考察
目次
34. ステロタイプ 転用建築
羽島市庁舎 山梨市庁舎
議場 議場
断 ・象徴的 ・フラット、対等な場
面
・役員のための場 ・市民に寄り添う場
パブリックスペース パブリックスペース
・流動スペース ・滞留スペース
・監視できる領域 ・監視されない領域
平
面 カウンター業務周辺 カウンター業務周辺
・閉鎖性 ・開放性
・裏空間化 ・表空間化
37. 建築計画学
ホテル
工場
病院
宮内庁
劇場
灯台
学校
長澤秦著 『建築地理学 新しい建築計画の試み』 より施設抜粋
38. 建築地理学
ホテル
工場
病院
宮内庁
劇場
灯台
学校
長澤秦著 『建築地理学 新しい建築計画の試み』 より施設抜粋
43. 様々な「転用」 「転用」と人間の多様性
それまで全く別の「かた」として存在した
あらゆる用途は避難所へと「転用」し、
あらゆる人間の行為は、一つの建築で行われた。
3章
44. 「かた」の抽出 ステロタイプに伴う「かた」
1,アートのための主張しない展示空間
2,動線計画
美術館
3,滞留しえない流動の場としてのパブリックスペース
国立新美術館
群馬県立近代美術館
岡崎市美術博物館
本論
45. 発電所美術館 転用建築事例
概要
用途 美術館
水力発電所 美術館
・北陸電力の黒部川第二発電所が1992
名称 発電所美術館
年に役を終え、1995年に美術館へと転用
した事例。高低差23mの河岸段丘に位置
しており、その高低差を利用して発電が
前用途 発電所 行われていた。
竣工年 1926
改修年 1995
本論
46. 発電所美術館 転用建築事例
発電所 美術館
自然の地形 建築があってアートが
あるという関係
本論
47. 発電所美術館 転用建築事例
発電所 美術館
自然の地形 ここでしかできない
アート
本論
48. 比較・考察
ステロタイプ 転用建築
国立新美術館・群馬県立美術館・岡崎市美術館 発電所美術館
・主張しない展示空間。アートが
展 ・建築があってアートが成り立つ関係
示 あって建築があるという関係
空
間 ・建築そのものが唯一の常設であり、
・常設・企画・一般の3部門の展示
企画アートと共存する
システムの固定化
動 ・表(利用者)と裏(管理者)をつ ・建築全体が表空間となる
線
計 くる動線計画
画 ・基準となる動線計画はなく、きっ
・ループ状の順路ある展示動線 かけとなる領域がつくられる
エ
ン
ト
ラ ・美術館の「色」をだすダイナミック ・展示空間をあくまで主役とした主張
ン なエントランスホール しないエントランスホール
ス
ホ
ー
ル
本論
49. 「かた」の抽出 ステロタイプに伴う「かた」
1,室の確保を最優先した容器としての建築
2,室をつなぐだけの裏動線
稽古場
3,練習場所と関係性をもたない交流スペース
大阪市立芸術創造館
福岡市千代音楽・演劇練習場
姫路市音楽演劇練習場
本論
50. アクテノン 転用建築事例
配水塔 稽古場
自然の地形 共有部の表空間化
本論
51. アクテノン 転用建築事例
配水塔 稽古場
自然の地形 共有部の表空間化
本論