新学習指導要領と大学入試改革が示唆するこれからの時代の教育とは？
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日本の学習指導要領が10年ぶりに改訂され、2020年前後に順次施行されていきます。それと同時に、高大接続を狙った大きな大学入試改革も実施されていきます。 これらの改革が目指している教育の方向性を踏まえ、家庭はどのような子育てを考えていけば良いのか？そんなヒントになれば幸いです。
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新学習指導要領と大学入試改革が示唆するこれからの時代の教育とは？
- 2. FutureEdu Tokyo とは 「これからの時代を生きる子供達にふさわしいまなびの環境と は？」という問いを探求する、実践者による、実践者のためのコ ミュニティです 知る 語らい、考える 手を動かす http://www.futureedu.tokyo
- 3. • 新学習指導要領について • 英語教育 • プログラミング教育 • キャリア教育 • 大学入試改革 • ２１世紀スキルを身につける学び紹介 本日のトピック
- 7. 初めての汎用コンピュータ：ENIAC 1946年に３年かけて完成。50トンの重さ Source: Computer Hope https://www.computerhope.com/issues/ch000984.htm
- 8. 演算処理スピードの飛躍的進展 ムーアの原則 Source: KPCB, Internet Trends 全人類の脳に匹敵人間の脳に匹敵ネズミの脳に匹敵昆虫の脳に匹敵 １０００ドルあ たりの演算能力 2040 2000 2015 2020
- 9. 9
- 13. ○ このために必要な力を成長の中で育んでいるのが、人間の学習 である。…新たな価値を生み出していくために必要な力を身に 付け、子供たち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処 するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を 通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の 創り手となっていけるようにすることが重要である。 ○ …社会や産業の構造が変化し、質的な豊かさが成長を支える成 熟社会に移行していく中で、特定の既存組織のこれまでの在り 方を前提としてどのように生きるかだけではなく、様々な情報 や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中 でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒 に生き、課題を解決していくための力の育成が社会的な要請と なっている フレキシビリティや 適応能力 クリエイティビティと イノベーション 文化の壁を超えて交流 する力 問題解決能力 コラボレーション 新学習指導要領説明会資料より抜粋 21世紀スキルの重要性が織り込まれている
- 14. 21世紀に求められるスキル – 21st Century Skills 学びとイノベーション “The 4Cs” デジタルスキル 職業とライフスキル 批判的思考力と 問題解決能力 情報リテラシー フレキシビリティや適応 能力 クリエイティビティと イノベーション メディアリテラシー 自ら方向性を設定し、イ ニシアチブをとる力 コミュニケーション 情報機器リテラシー 文化の壁を超えて交流 する力 コラボレーション 責任感とやり抜く力 (Grit/Accountability) リーダーシップと 責任力(Responsibility) source: Partnership for 21st century skills
- 18. カリキュラムの改革の必要性 知識だけでなく、非認知能力を育てる授業 探求型授業への切り替えができるのか？ 30人以上の学級で、どのように個別の探求力を磨くのか？ 新学習指導要領説明会資料より抜粋
- 19. どのように学ぶか？ 主体的かつ対話的で深い学び （アクティブラーニング）とは？ • 自ら学ぶことに興味や関心を持ち、振り返りなが ら、自律的に学習活動に進めることができる • 子供同士、先生や他の大人などと対話することで、 考え方を広げたり深めたりすることができる • 知識を相互に関連づけて深く理解したり、自らの 考えを形成したり、問いを立てて課題解決に向か える力 アクティブラーニングが実践される学習環境の整備が大事 自ら方向性を設定し、イニシアチブをとる力。責任感とやり抜く力 コミュニケーション、コラボレーション、クリエイティビティ 批判的思考能力と、問題解決能力、クリエイティビティ
- 20. 相互に関連づけることで、リアルな課題解決に繋げ られる知識とは？ 「各教科の本質：その教科などにおいて特徴的に現れる、その教科 ならではのものの 」 例 • 数学的な見方・考え方：事象を数理的に処理をすることで、問題 解決を行う • 言葉による見方・考え方：考えを言葉で表現する • 社会的事象の見方・考え方：社会的事象を見出し、比較分類した り総合したり、生活と関連付ける 見方や考え方を教科横断的に活用できることが大切 * 奈須正裕著「資質能力と学びのメカニズム」より
- 22. 小中学校の改訂のポイント 22
- 26. 26 外国語活動の移行計画 今年から、段階的に実施。小３以上で、現在は15時間。そして32年 度からは、年間35時間（週１回程度）から70時間（週２回程度）に 新学習指導要領説明会資料より抜粋
- 30. 中学の改訂の要点 • 目標： 外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を 働かせ，外国語による聞くこと，読むこと，話すこと，書くことの言 語活動を通して，簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり 伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を次のとおり 育成することを目指す。 • ヨーロッパ言語共通参照枠（CEFR）〈※〉に倣った，「聞くこと」， 「読むこと」，「話すこと（やり取り）」，「話すこと（発表）」，「書くこ と」の五つの領域別に到達目標が設定されていることである（領 域の記述順序が変わり、受容技能の「聞くこと」「読むこと」が「話 すこと」「書くこと」よりも先に出された）。 30
- 31. 文法項目の一部は高校から前倒し、語数増加 • ア 音声： 現行版と同じである。 イ 符号： 小学校の外国語で学んだ基本的な符号以外として，感嘆符，引用符など ウ 語，連語及び慣用表現： 小学校で学習した 600～700語に加え，1600～1800の 語。連語や慣用表現については，活用頻度の高いものとだけ記述。具体例は出さな い。 エ 文，文構造及び文法事項： 小学校で示したもの以外。また，今回，高校の言語 材料から降りて来たものは， • 感嘆文のうち基本的なもの 主語＋動詞＋間接目的語＋｛that で始まる節・what などで始まる節｝ 主語＋動詞＋目的語＋原形不定詞 主語＋be動詞＋形容詞＋that で始まる節 現在完了進行形 仮定法のうち基本的なもの 31 光村図書、新しい学習指導要領の方向性 http://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/c_eigo/newcs/index.html
- 32. 高校の改訂の要点 • これまでの課題や高校生の多様化に対応するため、高等学校卒 業段階で求められる「外 国語を通じて、情報や考えなどを的確 に理解したり適切に伝えたりすることができる力」 （必履修科 目でＣＥＦＲのＡ２レベル相当、選択科目で同Ｂ１レベル相当 を想定）を育 成するため五つの領域を総合的に扱う科目として 「英語コミュニケーション」を設定す る。 注：CEFRとは？：異なる語学試験を統一の基準で評価するため の指標。Common European Framework of Reference の略 32
- 33. 33 CEFR の基準 (A1 初心者からC2 ほぼ ネイティブまで6レベル） 文部科学省： 大学入学者選抜改革について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/__icsFiles/afieldfile/2017/07/18/1388089_002_1.pdf
- 35. プログラミング教育の意図は プログラミング的思考 (Computational Thinking)とは ： イシュー分析・分解、パターン認識、抽象化、そしてアルゴリズムを作 るといったプロセス使うことで、問題に対するソリューションを、コン ピューターでも理解できる形に設計すること。 35 文部科学省の資料より 注：プログラムを作成する上でのアルゴリズム（問題を解決する手順を表した もの）の考え方やそ の表現の仕方、コンピュータやネットワークの仕組み、 コンピュータを用いた問題の発見・解決の ための知識及び技能等について は、中学校や高等学校の各教科等で学習 注：http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/30/1403162_01.pdf
- 40. • マークシート方式のセンター試験が廃止され、2021年からは 「大学入試共通テスト」が開始。2024年度からは、新指導要 領の「大学入試共通テスト」に • 数学と国語で記述式の問題 • 思考力や判断力を問う問題に Ø 複数の資料を統合して解く問題や、全体の文脈を把握 して解く問題に 入試改革の大きなポイント1： 「大学入試共通テスト」 読解力、思考力、判断力を強化 2017年11月プレテストの結果：80-120字の長文設問の正答率0.7% 数学３問の無回答率5割。正答率１割未満* * 国語長文記述、正答１％未満＝数学は５割無解答、自己採点も課題－新テスト試行結果 https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032600784&g=soc
- 41. • 高校３年生の4-12月に2回まで受検可能。結果とともに、CEFRに基づく段階別成績 を大学に提出 • 23年度までの４年間は、民間試験とマークシートを併存。国立大学協会は、両方の 試験を受験生に求める 41 入試改革の大きなポイント2 ： 英語で民間資格・検定試験を活用 新共通テスト 民間英語試験、８種類対象 公平性など課題 https://mainichi.jp/articles/20180327/k00/00m/040/063000c
- 42. 高校から提出の調査書がより詳細に • 行動の特徴、特技等 • 部活動、ボランティア活動、留学・海外経験等 • 取得資格・検定等 • 表彰・顕彰等の記録 • その他 入試改革の大きなポイント3 ： 一般入試：高校時代の学業以外の活動もより活用
- 43. 推薦入試 ＝＞ 学校推薦型選抜 AO入試 ＝＞ 総合型選抜 両方の入試において、2020年以降下記が必須化 「小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験 の成績」または「大学入学共通テスト」のうち、「少なくともいずれか一つの活用を必須化す る」 ＋ AO入試の場合： 本人の記載する資料（活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書 等）を積極的に活用する。 推薦入試の場合： 学校長からの推薦書の中で、本人の学習歴や活動歴を踏まえた「知 識・技能」「思 考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」に 関する 評価を記載すること、及び大学が選抜に当たりこれらを活用することを必須化 入試改革の大きなポイント4 ： 推薦・AO入試も基礎学力重視に
- 44. ２１世紀スキルを育むには？ 44
- 45. 21世紀に求められるスキル – 21st Century Skills 学びとイノベーション “The 4Cs” デジタルスキル 職業とライフスキル 批判的思考力と 問題解決能力 情報リテラシー フレキシビリティや適応 能力 クリエイティビティと イノベーション メディアリテラシー 自ら方向性を設定し、イ ニシアチブをとる力 コミュニケーション 情報機器リテラシー 文化の壁を超えて交流 する力 コラボレーション 責任感とやり抜く力 (Grit/Accountability) リーダーシップと 責任力(Responsibility) source: Partnership for 21st century skills
- 46. トップ10 スキル ~ 雇用主アンケートより クリエイティビティが急激にランクアップ 1. 複雑な問題解決 2. 他者との協働 3. 人事管理 4. 批判的思考能力 5. 交渉 6. 質の管理 7. サービス精神 8. 判断と決断 9. アクティブなリスニング 10. クリエイティビティ 1. 複雑な問題解決 2. 批判的思考能力 3. クリエイティビティ 4. 人事管理 5. 他者との協働 6. 感情インテリジェンス 7. 判断と決断 8. サービス精神 9. 交渉 10. フレキシブルな認知力 トップ１０圏外 質の管理 アクティブなリスニング 20152020 source: Future of Jobs Report, World Economics Forum
- 47. 2020年までには、クリエイティビティはトップ３のスキルの １つになる ~ World Economic Forum vs. 学校に通っている間に、学生は 90% のクリエイティビテ ィを失ってしまう ~ Lego Foundation Study クリエイティビティ vs. 記憶重視の教育
- 48. クリエイティビティを育む学びのサイクル MIT Media Lab のMitchel Resnick 教授は、創造的な力 を育むには4つのPが大切だと唱えます • プロジェクト (Project) • パッション (Passion) • 仲間 (Peer) • プレイ (Play)
- 49. プロジェクト型教育 49
- 52. 「多様な人が集まり、デザイン思考という手法を使ってお互いの考 えから共創する事で、新しいアイデアを考える事はより簡単になる のです。 」 「生徒たちのクリエイティブコンフィデンスを解放してあげなくてはい けません。多くの小さな成功体験となるプロジェクトを通じて、それ らの成功体験が子供達のクリエイティブコンフィデンスを高める必 要があります。それができれば、人生で多くのことを成し遂げること が出来るのです。 」 グロースマインドセット David Kelly IDEO 創設者 | スタンフォードDスクール創設者 「失敗することと、そこから学ぶというのは最も大切なスキルです。 」 Laszlo Bock SVP of People Operations, Google Inc. 52
- 53. 失敗を恐れることが生むジレンマ Source: MLTS Learning Sparks “Failure and a Growth Mindset” の内容を図式化 グリット：物事に対する情熱であり、また何かの目的を達成するために 継続的に粘り強く努力することによって、物事を最後までやり遂げる力 GRIT (グリット）の醸成の機会を失う 失敗したく ない！！ 失敗から学ぶ 機会を喪失 長年良い成績 Bなんてとったら悲劇 内申点を守りたい 受験に悪い影響を 与えたくない ジレンマ例： ハーバードビ ジネススクー ル卒業生 殆どの学生が 中間管理職に とどまる* “人生で最も大切な経験の一つは失敗なのに、 今日の最も優秀な若者たちは、失敗への準備ができていない” Robert Gates 元防衛庁長官 失敗をしない 道を選ぶ 失敗から学ば ない * Harvard Business Review “Teaching smart people how to learn”by Chris Argyris 失敗しない選択 失敗の原因を 外的要因にする
- 61. 長期の休みを活かす 61