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SoBA
- 4. 参加者 • 大学生167名（男性71名、女性93名、未記入３名） ※暗黙のルールは年齢の影響も大きいと考え、30歳以上のデータは除外してある • 平均年齢 21.1±1.78歳 • 学部のうちわけ 教育学部 人文学部 医学部 工学部 理学部 経済学部 その他・不明 43 17 8 12 14 10 63 関東甲信越地方を中心として、関西から 東北まで幅広く協力してもらった 4
- 5. 社会的行動の評価テスト （Social Behavior Appraisal test : SoBA） • ４つの短い物語を読み、その中に書かれた９ つの言動について、回答する • 回答欄は評定尺度３つと、記述項目３つから 構成された • 文章中の暗黙のルールを読み取り、それに 沿って回答する必要があった 5
- 6. 評定尺度 • 社会的適切さ評価尺度 →その言動は、一般的常識、社会規範と照らし 合わせて適切かどうか • 他者行動評価尺度 →自分のまわりに、文中のような状況で、文中 のような言動を取る人は多いかどうか • 自己行動評価尺度 →自分の行動として、そのような行動をするか どうか 「暗黙のルール」 を測定 6
- 7. 評定尺度の分析 • 評定尺度は、選択された回答の割合をもとに、得 点を分配する比率コンセンサススコアリングで 行った • 少数派の意見も尊重でき、明確な正解のない暗 黙のルールの評価には有効だと考えられる • 得点が低いほど、多数派の意見（暗黙のルール） から外れている、ということになる 7
- 9. 記述項目 • 「行為者Mind Reading Task（MRT）」 文中の言動を行った行為者の心的状態を問う • 「受け手Mind Reading Task（MRT） 」 行為者の言動を受け取った、もしくは見聞きした受 け手の心的状態を問う • 「自由記述」 判断理由を自由に記述してもらった 9 記述項目とMRTに関して、 特に制限なく記述してもらった
- 10. 記述項目の分析 • 「作成者らの作成した基準」「SoBAの実際の 回答」から回答基準を作成。 • その基準に当てはまらず、社会的に適切でな い回答には１点を与えた。 • 得点が高いほど、社会的に適切ではない回 答をした項目が多く、「逸脱得点」とした 10
- 11. Autism-spetrum Quotient（AQ；若林ら） • 自閉症スペクトラムの特徴をどの程度持って いるかを測る、自己記入形式の質問紙 →「社会的スキルの困難」 → 「注意の切り替え困難」 → 「細部への注意」 → 「コミュニケーションの困難」 → 「想像力の困難」 0～10点の間で、得点が高いほどその特徴が 強いとされる 11
- 12. 評価得点とAQの関連 • この有意差以外は、「SoBAの評価得点が低い群 は、AQの得点が高い」という結果で、仮説が支 持された 社会的スキル の障害 注意の切り 替えの困難 細部への注意 コミュニケー ションの障害 想像力の障害 ＡＱ合計 得点上位群 4.43 5.41 4.17 4.27 3.68 21.91 得点下位群 4.45 5.66 4.27 4.17 4.31 23.17 得点上位群 4.48 5.58 3.95 4.23 3.72 21.93 得点下位群 4.41 5.41 4.59 4.57 4.57 23.39 得点上位群 4.76 5.65 4.05 4.38 3.91 22.71 得点下位群 3.85 5.29 4.50 4.27 4.05 21.95 社会的適切さ評価得点 他者行動評価得点 自己行動評価得点 上位群と下位群で有意差（p < .05）がある値は太字・斜体・下線とした 上位群と下位群で有意傾向（p < .10）の場合は下線とした 12
- 13. 逸脱得点とAQの関連 • 受け手MRTにおいて、逸脱得点の得点者群 の方がAQの得点が高く、仮説が支持された 社会的スキル の障害 注意の切り 替えの困難 細部への注意 コミュニケー ションの障害 想像力の障害 ＡＱ合計 得点者（N=50） 4.52 5.55 3.93 4.15 3.82 21.65 非得点者（N=90） 4.58 5.44 4.24 4.34 3.98 22.53 得点者（N=44） 4.87 5.95 4.60 5.07 4.30 24.77 非得点者（N=103） 4.32 5.30 3.90 3.98 3.81 21.31 得点者(N=52) 4.44 5.48 4.25 4.54 4.08 22.79 非得点者(N=94) 4.40 5.43 3.95 4.10 3.87 21.69 行為者MRＴ逸脱得点 受け手MRT逸脱得点 自由記述逸脱得点 得点者群と非得点者群で有意差（p < .05）がある値は太字・斜体・下線とした 得点者群と非得点者群でで有意傾向（p < .10）の場合は下線とした 13
- 14. 考察 • 自己行動評価得点下位群は、「自分の行動は社 会的に適切だ」と、自身の社会的スキルの欠如に 気付かず、自分を高く見積もって評価した可能性 • 受け手MRTは「他人の言動を見聞きした人の心的 状態の推測」をする課題で、高次の心的推測課題 であり、AQの得点が敏感に反映された • 今回の結果から、社会的行動の評価テストの基 準関連妥当性の証拠が得られた 簡単に言うと、 「高次の心の理論課題で難しい」 14