研究資料(奈良先端科学技術大学院大学).pptx
- 1. 形状の自由度 ⭕️ △ ⭕️
機構の単純さ ✖️ ⭕️ ⭕️
センシング △ △ △
柔軟グリッパによる挿入作業のためのジャミング転移センサの開発
●研究背景と目的
奈良先端科学技術大学院大学・ヒューマンロボティクス研究室 山村亮太朗
●ジャミンググリッパとは
ジャミンググリッパの利点・欠点
⭕️ 利点
単純な機構で多様な形状の物体
を把持可能
✖️ 欠点
把持状態の推定が困難なため
操作精度が低い
1
研究背景・目的
柔軟グリッパが注目されている
近年,日本では労働人口の減少に
伴い,サービス業,農業,医療介護
などでロボットの活用が期待
多指ハンド ジャミング
グリッパ
真空吸盤
特徴
粉体と柔軟膜で構成
柔軟膜 排気
粉体 把持対象
Editor's Notes
- 柔軟グリッパによる挿入作業のためのジャミング転移センサの開発と題しまして
山村が発表します.
これまでロボットは工場内といった限られた場所での活用が多くありましたが,
近年日本では労働人口の減少によってサービス業,農業,医療介護など
幅広い分野で暮らしに近い領域での
ロボット活用に期待が寄せられています.
特にグリッパの分野では近年柔軟グリッパが注目され,
ゴムやシリコンなどで構成される,多指ハンドや真空吸盤などがロボットで多く使われています.
本研究では1ページ目左下の図の右端,特に把持(掴む)ことの汎用性に特化した
ジャミンググリッパ に着目しました.
ジャミンググリッパ とは右の写真のように,
柔らかいゴムの風船の中に粉体これであれば,コーヒーの粉が入っていて,
利点として単純な機構でページ左下のジャミンググリッパ の写真のように
様々な形状のものを把持することが挙げられます.
グリッパの写真の隣に.
把持の原理について内部の状態を図解したものを載せています.
まず対象物にグリッパを押しつけを包み込むようにもち,内部の空気を抜きます.
そうすると内部の粉体の密度が上がり,その状態でグリッパが
硬くなることで把持を行うことができるというようになっています.
デメリットとしてはグリッパ自身にセンサの機能がないため
モテているかどうかなど把持状態の推定が困難なため,
操作の精度が低いなどという問題があります。
そこでセンサ機能を付加することで操作精度を,
向上させることはできないかと考えました.
- センサ機能の付加の従来手法として,
ジャミンググリッパ の柔軟膜にセンサを挿入して膜の変形を計測する手法など
が提案されています。
しかし,この手法では 膜部の柔軟性をセンサ素子が阻害してしまい,
膜の耐久性や,また,把持性能そのもの が低下してしまうという課題がありました.
そこで私は 柔軟膜 ではなく 粉体 に対するセンシング技術を確立することで
把持性能を保ったまま,操作精度を向上できるのでないかと考えました.
粉体に金属材料を使用し磁気センサによって
金属粉体の密度変化を測定する手法を考案しました.
ジャミング転移センサとはこの粉体をセンシングする技術を搭載したグリッパです.
私はこのグリッパを用いて把持性能とセンサ性能の両立を目指しました.
- 具体的な取り組みとしては
センサ実験とグリッパ実験を行っています.
センサ実験では自作のセンサ化したグリッパを用いて
センサデータを可視化しました.
グリッパ内部に複数面設置された磁気センサを用いて
グリッパと対象物体の接触方向の推定に成功しました.
また,グリッパ実験では五つの試験片を用いて,保持力を測定しました.
センサ化されていないジャミンググリッパと
センサ化されたジャミンググリッパ で
把持をした時の保持力を比較を行いました.
この実験を通して,ジャミンググリッパ とジャミング転移センサの把持性能
は同等であることがわかりました.
以上からジャミング転移センサは把持能力とセンサ機能の両立に成功しました.
- 今後の課題と展望です.
課題については現段階では3段階あると考えており,
まず,第一段階としてセンサ精度の向上があります.
接触方向の推定には成功しましたが,
現状出力されるセンサ値が不安定であるという課題があり,
これの安定化が今後の課題になります.
これについては現在取り組んでいるところですが,様々な粉体を準備して各粉体から得られるセンサ値と粉体の物性,
例えば,粉体の材質であったり粉体の粒の形状であったりの関係を調査し
解析することで最適な粉体を探して安定化を目指します.
次に第二段階として 把持の状態推定 が考えられます.
これについては得られたセンサ値を解析し把持状態を推定することを考えています
具体的には特徴量を抽出して機械学習ベースで解析に挑戦できないかと考えています.
そして第3段階としては
グリッパをロボットに搭載しセンシング結果をロボットにフィードバックしロボットアームを操作することを目指しています.
修士ではこれら①②の課題を段階的にクリアし,③の操作実験まで行うことを目標にしています.
最終的には,
ものを掴んだ際に人間のように触知でき、
触知の結果から、
ものを掴み直し、より複雑な作業ができる
ロボットハンドの開発を目指しています.
グリッパの柔らかさを活かして,例えば農業の自動化を目的とした収穫ロボットや,医療や介護の分野などでご飯を食べさせてくれるような使い方を目指して
研究を行いたいです.