Recommended
More Related Content
More from Daisuke Sakuma
More from Daisuke Sakuma (20)
Recently uploaded
Recently uploaded (7)
自然史系博物館のリスク管理、現状と課題
- 2. １．平常時の標本・展示品管理 • 自然史系乾燥標本の特殊性 押し花・毛皮・昆虫標本は処理はされている が本質的には「枯れ葉」であり「死体」。これらを 虫に食わせず、カビさせないということが標本の 維持管理。 • 液浸標本管理 ホルマリン・アルコールの維持管理、瓶の維 持管理、ラベルの劣化 • 化石・鉱物など 酸化還元による劣化、易損品としての維持管 理
- 3. タバコシバンムシ
- 6. 文化財IPM • 「カビや虫害が発生すればガス燻蒸で対処すればよ い、という短絡的な考えが少なからずあった反省をふ まえ、近年、総合的有害生物管理（IPM、Integrated Pest Management）の考え方が注目されている。」 • 予防 PREVENTION – Preventing access to pests • 監視 MONITORING – Monitoring pest populations • 早期発見 IDENTIFICATION – Identifying potential pest threats • 対策 SOLUTIONS – Treating outbreaks in the safest manner possible
- 7. 予防のための空調 標本害虫・カビの予防対策 には • 標本庫へ搬入する資料 の燻蒸対策 • 標本庫への害虫などの 侵入防止 • 標本庫の温・湿度管理 昆虫の大発生を防ぐには 20度以下、相対湿度 60％以下という条件が重 要 国内では空調が重要 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/1211830_10493.html
- 8. 空調設備はどの程度整備されている か？ • 日本の博物館調査から、特に自然史標本を有する博物館 について調査 • 自然史系資料を有する博物館には専門館もあるが、総合 博物館で大規模コレクションを保持している場合も多い。 10万点以上の標本を持つ大規模館、 1万点以上の中規模館、 100点以上の小規模館、 少数保有館、 非所蔵館 にわけて整理 大規模館 中規模 小規模 自然史標本保 有館 なし 全体 １０万点以上 1万点以上 100点以上 1点以上 42 95 351 176 1595 2259
- 9. 展示室 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 展示室の空調 空調有り 部分的に 空調なし 展示室ナシ
- 10. 収蔵庫 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 収蔵庫の空調 空調有り 部分的に 空調なし 収蔵庫ナシ
- 11. • 収蔵庫の空調は展示室に比べてやや後手に 回っている。その傾向は中小規模で顕著 • 大規模コレクションを有する博物館は空調の 整備は進むものの、完全ではない。 • IPMのためには空調をしているだけでなく、運 用が大事。よどみや変動等。
- 12. 西日本自然史系博物館ネット のワークショップ • 西日本の博物館関係 者による自主的研究会 • 海外ではSPNHC等で良 いマニュアル http://museumpests.net • 文部科学省のカビマ ニュアルなども
- 13. ２．自然史博物館の災害対策 • 地震対策については、歴史系・美術系との共 通事項も多いが、特殊性もある。 • 一つが「文化財保護法」の対象範囲に自然史 資料が含まれておらず、課題がある事。 • 博物館全体から見ると少数館種
- 15. 自然史系も全体傾向と余り替わらない (ピークは大規模館がやや古い） 0 20 40 60 80 100 120 1944 1954 1964 1974 1984 1994 2004 2014 建築年代 大規模館 中規模館 小規模館 少数保有館 以前以前 やや古いところが大規模にコレクションを成長させた、という面も
- 16. 意識と対応 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1954 1974 1994 2014 施設の耐震化対策が不十分で ある Yes No 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1954 1974 1994 2014 収蔵庫・展示室の耐震対策 している 半分ほど できていない 古い館では既に資料が多く対策がとりにくいことや、設備的に 後付けが難しい面もある
- 17. 難しい建物対策 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1954 1974 1994 2014 耐震診断をしている Yes No 以前 0 5 10 15 1954 1974 1994 2014 工事実施 工事せず 以前 以前 以前 参考 旧耐震1971年 新耐震1981年
- 18. 自然史系の特性と設備 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 炭酸ガス消化など あり なし 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 盗難防止装置 ある ない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 免震装置 あり なし 都道府県立平均よりやや低い 大規模館は 都道府県立平均よりやや高い
- 19. ソフトウェア的にはどうか？ 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 緊急時マニュアル あり なし 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 震災後のマニュアル改訂 改訂した 改訂していない 緊急時マニュアルの整備が進まない、改訂が進まない ・危機意識 ・規模による人的な余裕の有無 ・博物館界で検討の気運をあげていく必要性も
- 20. 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 地域連携協定 あり なし 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大規模館 中規模 小規模 少数保有館 なし 全体 他の博物館との広域連携協定を 締結 あり なし 公式の連携協定、行政を巻き込んだかたちでの協定はまだ「絵に描いた餅」 ・行政内に自然史標本、自然環境行政の専門家がいない ・自然史系は地域内に連繋施設が少ない行政内の連携が難しい ・大規模館を中核とした連携協定
- 22. ３．自然史系博物館の 普及教育活動のリスク 自然史博物館の教育活動 • 学校向け・一般向け、館内・野外 • 野外活動が多いこと • 比較的年少者も多いこと • 山や海などの観察会では長時間に及ぶこと もあるため、熱中症対策なども(特に高齢者） • 地学・生物の観察に伴うリスクも
- 24. 危険な生物もいる • 野外活動にともなう 様々な生物のリスク • スズメバチ等のハチ • マムシ • 毒きのこ • etc • 事前情報、下見と参加 者への説明の重要性
- 25. 実際に多いのは もっと普通のこと 環 境 省 請 負 自然とのふれあい活動における 安全対策マニュアル策定調査 報告書 平成18年3月 特定非営利活動法人 自然体験活動推進協議会 • 集合場所が判らない、遅刻、 その上で無理に参加しようと 迷子 • ケガ、熱中症、足がつるなど のトラブル • スタッフの指示を聞かず先行 した揚げ句迷子 • ゲリラ豪雨、雷 • 特殊なことではないのでマ ニュアルや参考になるものは 多い(ただ、学芸員の「専門」 外なので研修なども必要だろ う）
- 28. スタッフ間のコミュニケーション
- 29. ワークショップの裏にあるもの
- 30. スタッフ間のコミュニケーション • 学芸員 • 外部講師 • ボランティア • そして場合によっては参加者も この間での役割分担とコミュニケーション • 近年では博物館と外部団体との共催イベントも増加 より相互理解とコミュニケーションが重要 • 事前のリスク発見 • 外部とのコミュニケーションによるリスク回避 • 「有事」の連携がいかにスムーズにできるか • 事故後の対応を一体となって出来るか リスクだけでなくよりよい教育効果をあげるため にも、事業の資産を事後に行かすためにも重要
- 32. 人とモノの安全の確保 ICOM Codeof Ethicsfor Natural H i s t o r y M useums