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従来の「南北問題」の対立軸
↓
(「開発」自体への懐疑)
↓
エコ/科学という対立軸
経済発展→発展そのものに対するイデオロギーへの変化
6. 進 日 と
歩 は い
の 啓 う
話 蒙 わ
よ 主 け
! 義 で
と 今
な 啓
ん 蒙
す 主
か 義
説 ? っ
明 ? て
し
よ
う
!
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 6
7. 啓蒙主義とは
18世紀、西ヨーロッパ(英・仏)
・神の原理からの脱却(世俗化)
・人間中心主義
・理性への信頼
・思考の不変・普遍性
・科学の進歩
・進歩史観
etc.を原理とする思想
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 7
8. 今回はその啓蒙主義と進歩を
・17c,科学革命/啓蒙主義前夜
・18c,啓蒙主義と近代市民革命
・19c,産業革命と反啓蒙
・20c,1968からのエコロジー
の、四つの時代から考える……
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 8
9. 始 革
め 命 そ
ね を れ
ば 理 は 起 ん
な 解 十 こ で で
ら す 七 っ 啓 、
な る 世 た 蒙 そ
い こ 紀 ん 主 も
と 、 だ 義 そ
か 科 ? っ も
……
ら 学 て な
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 9
10. The Scientific Revolution
17世紀科学革命の特質
• アリストテレス的世界像の崩壊
• 科学的方法の確立
• 科学が累積的知識となる基盤の確立
• 科学的知識の進歩の加速性
• 制度としての科学の確立
• 科学と技術の提携が原理的に可能に
• 科学の社会へのインパクト
• 「科学者」の登場
from『思想史のなかの科学』p88-92
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 10
11. The Scientific Revolution
個別科学における科学革命
旧思想の体系 中間段階 科学革命の遂行
力 学 アリストテレス インペトゥス理論 ガリレオ
ニュートン
天文学 プトレマイオス コペルニクス ケプラー
生理学 ガレノス ヴェサリウス ハーヴィ
化 学 錬金術 ボイル ラヴォワジェ
プトレマイオス天文学
アリストテレス天動説に基礎を置き数学的テクニック・観測が精緻化したもの
ガレノス生理学
アリストテレス霊魂論に基礎を置く
錬金術
アリストテレス元素転換理論に基礎を置く
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 11
12. The Scientific Revolution
運動論(力学・天文学)の変遷
・運動は自然的と強制的に分けられる。
アリストテレス運動論
・自然的運動は天界における天球の円運動と月下界に
おける四元素(火・空気・水・地)の上下運動に分
けられる。
・天球の円運動では天球のつくる第五元素(アイテー
ル)の完全な性質により自ずから完全な円運動を実現。
・月下界では火・空気・水・地がそれぞれ本来の場所
を有し、そこへ向かう自然の傾向性をもつ。
・強制的運動は「押す」「引く」(接触の直接作用)。
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 12
13. The Scientific Revolution
運動論(力学・天文学)の変遷
・投射体の持続が空気の後押し?
インペトゥス理論
・投射体の運動持続は起動者から物体に付与されたインペトゥ
ス(非物体的運動力)による。
・運動体のインペトゥス量はその「物体の量」と「速度」に比
例(ピュリダン)
・自由落下中、つねに重さが新たなインペトゥスを物体に与え
る。
近代の慣性法則の等速度運動(何も力が加わらない)≠インペ
トゥス(物体に駆動力が常にあり続ける)。
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 13
14. The Scientific Revolution
運動論(力学・天文学)の変遷
・重い物体は軽い物体より速く落ちる?⇒「2物体の別々の落
ガリレオの近代力学
下速度の平均」「結合した重さに相当する物体が同じ高さから
落下する速度に等しい」(アリストテレス自然学)から、帰謬
法で落下速度が重さに関わりなく一様だと結論。
・落体速度が時間に比例する(v=gt)と仮定。落体速度を直接
測るのは不可能だから、これをある関係で落下距離と時間の関
係に置き換え(s=1/2gt^2)。まだ自由落下の運動は直接測るに
は速すぎるので、斜面を用いその上を金属球が測りうる速度で
落ちるように工夫⇒単位時間当たりの落下距離が1に始まる奇
数だと確かめる。(自由落下の法則)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 14
15. The Scientific Revolution
運動論(力学・天文学)の変遷
この斜面運動の極限(水平にする)を考える。
ガリレオの近代力学
物体の速度の減少は無くなり等速度で無限に運動を続けるはず
ゥ
⇒慣性の法則の定立
⇒放物線の運動の数学的構成
比
x=vt
え
y=1/2gt^2 y=gx^2/2v^2
数学的方法
と実験的方法
の結合
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 15
16. The Scientific Revolution
運動論(力学・天文学)の変遷
ケプラーの3法則
※プトレマイオス天動説、コペルニクス地動説は省略…
ケプラーの第一法則
すべての惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道を
描く
ケプラーの第二法則
ある惑星と太陽を結ぶ線が一定の時間に掃く面積は
一定
ケプラーの第三法則
惑星の公転周期の二乗と公転半径の三乗の比はすべ
ての惑星にわたって一定
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 16
18. The Scientific Revolution
運動論(力学・天文学)の変遷
ニュートンーの3法則
ニュートンの第一法則
物体は外から力が加わらない限りじっと止まったま
まか等速直線運動を続ける
ニュートンの第二法則
物体にかかる力はその物体の重量とその物体が得る
加速度の積
ニュートンの第三法則
ある物体が他の物体に力をくわえる際はそれと同じ
逆方向の力が元の物体に加わる
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 18
19. The Scientific Revolution
科学革命から啓蒙への思想
• 自然支配 • 機械論 • 原子論
Francis Bacon René Descartes Robert Boyle
(1561-1626) (1596-1650) (1627-1691)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 19
20. The Scientific Revolution
ベーコンの「知は力」
1620,『ノヴム・オルガヌム』
・人間により支配され、利用されるべき自
• 自然支配 然
・カルヴァン派(世俗の行為の聖化、「秘
蹟」でなく日常の「業」を重視
・アリストテレスの観照的哲学に対し「人
Francis Bacon
間生活に役立つ業績(works)を生みだす
(1561-1626) 力に欠いている」
・「光の父たる神」が自然に付与した一般
原理、「創造主が被造物に刻み込んだ真実
の印章」を読み解くことで知は力をもつ
・自然支配の背後にはキリスト教の神
・自然との一体性(魔術的認識)との断絶
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 20
21. The Scientific Revolution
デカルトの機械論的世界像
1637,『方法序説』
《Discours de la méthode pour bien conduire
sa raison, et chercher la vérité dans les
•機械論 sciences》「理性を正しく導き、もろもろ
の知識の中に真理を探究するための方法序
説」
René Descartes ・デカルト座標系の確立(解析幾何学)
(1596-1650) ・精神を物体から分離(『省察録』の主題)
・オラトワール修道会との交流(神の意志
の絶対自由…世界の擬人的な目的論解釈の
拒否)
・物体を形、大きさ、運動(第一性質)の
みで取り扱う(色、匂いなどの第二性質、
目的意識、生命原理の追放)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 21
22. The Scientific Revolution
ボイルの原子論
1661,『懐疑的化学者』
1637』
•原子論 ・エピクロスの原子論
・五感に関わるのは二次的な性質
・一次的な性質は形や大きさのみをもった
Robert Boyle
原子の位置関係に還元されるべき
(1627-1691) ・デカルト機械論への影響
・原子論と民主主義(e.g. J.ロック)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 22
23. が ど
る う で
つ 相 と ん 啓 も
起 互 思 そ だ 蒙 、
こ に 想 う ? に そ
っ 影 的 、 つ れ
た 響 な 科 な が
わ を 変 学
け 与 化 の
! え が 進
つ 、 歩
ば 時 ガ 2
な 点 イ 6 そ な た 革
ら ま ギ 年 れ 。 思 命 な
な で リ 、 を 想 の る
い さ ス ヴ 知 も 時 ほ
か に ォ る 生 代 ど
の 亡 ル に
……
ま に
。 ぼ 命 テ は れ こ
……
ら し ー 1 た う 。
ね た ル 7 ん い 科
だ っ 学
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 23
24. Lumières
ヴォルテールとイギリス
• Voltaire(1694-1778)
• 20代初め、ヴァスティーユ牢獄に投獄
• パリ追放⇒イギリス亡命(1726-29)
– J.ロック経験主義哲学、ニュートンの著作に
感動
– 理神論者との出会い
• 『哲学書簡』,1733
– イギリス賛美、絶対王政フランス批判
• 人間社会と自然科学
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 24
25. Lumières
自然科学者と神への信仰
• 17c 《神の意志の記された自然》
– ガリレオ「神の言葉は聖書のなかに現し給う
とまったく同様に自然のなかにも展開されて
いるのであって、神は自らのすがたを聖書の
中に現し給うのである」
– ニュートン…万有引力と神の原理
• 18c 《信仰と自然探究の切り離し》
– 人間の手による救済
– 通俗化、実用的⇒唯物論
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 25
26. Lumières
イギリス理神論
• 創造者としての神は認めるが、神を人格
的存在とは認めない
• 宇宙は自己発展する
• 信仰の基礎を教会の権威でなく論証に置
く(理性主義)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 26
27. Lumières
スピノザ汎神論
• スピノザ,1632-1677
• 聖書の独力解釈
• 神と自然の同一視
• 神即自然 (deus sive natura)
• 大無神論者扱い
• 哲学と神学の完全分離
• 『エチカ-幾何学的秩序によって証明さ
れた』は死後出版
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 27
28. Lumières
百科全書派
• 政治、経済、芸術、科学、技術まで網羅
する『百科全書』
• ディドロ(1713-1784)ダランベール(1717-
1783)
• ニュートン力学、原子論、機械論の通俗
化と啓蒙思潮の構成
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 28
29. Lumières
啓蒙のフィロゾーフとサロン・アカデミー
• 公論(opinion publique)
– 原則制限されない批判の自由
– 科学アカデミー会員
• 政治、経済の議論にも参加(医師F.ケネー,物理数学者
ダランベール)
– 開かれた公共的言論空間
• 出版
• 社交界のサロン(行政官や銀行家、文人)
• 一部の地方アカデミー
• 各地の農業協会
– 公衆(le public)の形成
• いわゆるエリート。大衆(mass)とはことなる
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 29
30. Lumières
市民革命と啓蒙
• Esquisse d’un tableau historique des progrés de I’esprit
humain(1793-4),コンドルセ『人間精神進歩史』
– Progrés naturels de la civilisation, degré de civilisation, état de
civilisation
• 集群生活⇒遊牧、農耕⇒アルファベット発明⇒ギリシア文明⇒アラビ
ア文明⇒ルネサンス⇒印刷術発明⇒デカルトからフランス共和国⇒未
来
• 「今日フランス国民――それは革命によって文明
(civilisation)の点で人類の先頭に立った――が到
達している知的発達の度合を考察するならば、フ
ランス国民がその第三の危機をこうむったこと、
すなわちその現在の社会的年齢は個人にとっての
21歳に相当することがわかる。
– De l’organisation sociale(1825),サン・シモン
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 30
31. The Industrial Revolution
産業革命
• 18c半ばの産業資本の蓄積
• 第二次囲い込み
• 技術革新(innovtion)
– コークスの発明、利用(1720s)
– J.ケイの飛び杼(1733)
– 紡績機械,蒸気機関,水力(1760s)
• ハーグリーヴズ(ジェニー),ウォット,アークライ
ト
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 31
32. The Industrial Revolution
産業革命=社会体制・思想の革命
• 啓蒙主義精神の結実
• 快の追求
• 「救済」の世俗化
• エネルギー概念誕生(19c初め)
⇔科学技術への反動
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 32
34. The Industrial Revolution
ゲーテのニュートン批判
ニュートン ゲーテ
• 分析性 要素主義 • 全体性 統合性 形態
機械論 (Gestalt)
ニュートンの色彩・光学論に反す
る独自の「色彩論」
植物の形態比較に基礎を置く形態
学(Morphologie)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 34
35. The Industrial Revolution
ヘルダーのCulturから和辻へ
• 歩行に際して、我々は右に行こうが左に行こう
がその一歩によって確実に前に進む。それと同
じように人類並びに諸民族全体の文化(die Cultur
in Menschengeschlechtern und ganzen Völkern)も進
歩する。
– Ideen zur Philosophie der Geschichte der
menschen(1784)
• 和辻哲郎『古寺巡礼』
• 西欧科学文明に対置する「周辺」の国の「文
化」の独自性とナショナリズム(e.g.ドイツや日
本、『近代の超克』)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 35
38. 1968-1970s
科学批判とエコロジーのイデオロギー
• 1968年革命
– ソルボンヌ、全共闘、ヴェトナム反戦
– 革命のバイブル『科学革命の構造』(1962)
– 東洋に近代科学批判を求める
カプラ『物理学のタオ』 1975
– ディープ・エコロジー(全面的生態保護運動)
アルネ・ネス「山のように考えよう」
• 公害への政策
– 米、技術評価局(OTA) 1968
– 公害国会(1970)→環境庁(1971)
2012/10/30 東大科学哲学ゼミ 38