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8月10日勉強会.pdf
- 1. 阿部真也 （AIPE知的財産アナリスト・AI活用アドバイザー） 2023年8月10日 勉強資料 ※本発表資料は「NBIL-5」における勉強用に作 成されたものであり、私的団体内での勉強用 資料であることを十分に理解されたい。 ※※本稿は執筆者の私見によるものであり、 所属団体その他の見解を代表するものではな い。 ※※※学術的に不十分な点及びPPT発表資料の ため、資料上は説明不足な点がある。 ※いつものようにAIで生成（「特許侵害」「警告書」「裁判」 アスペクト比 16：9、フリースタイル 以下イラスト全てAI生成 本日のお題：特許侵害紛争について
- 3. 訴訟前における実務的対応 • 知財関係民事事件：地方裁への提起が新受件数500～600 • 東京地裁：6割、300件ほど、大阪地裁：2割、100～150件ほど • 知財高裁：90～130件ほど、うち特許半数 • 控訴率30～40％ほど • 知財事件の訴訟件数が少ない理由 ①訴訟が迅速でない②訴訟の勝訴率が高くない③勝敗の予測可能 性が高くない④損害賠償額が低い⑤訴訟前解決が多い ・審理モデル：東京地裁5回、大阪地裁6回の弁論準備手続きをて 侵害論での心証が示される。被告側の無効主張は訴え提起時から は110日、侵害心証開示は第6回弁論準備手続きまで280日
- 4. 訴訟前における実務的対応 • 平均審査期間：地裁 12ヶ月＋α （αは数ヶ月） • 知財高裁：概ね8ヶ月 • 平均審理期間：二段階審査方式のもとで、損害論に至らず非侵 害となる場合で1年ほど、侵害から損害論にいたる判決で2年ほ ど、ただし⾧期化する場合もある。 • 勝訴率 24％（H26～28のデータ）、一部認容含む • ※和解などで比較的原告有利なもの42～47％（ただし「実質勝 訴」という意味ではない）
- 5. 訴訟前における実務的対応 • 損害賠償額：1000万円以下が約39％（500万円以下が約26％） ※H16～H25 • コスト 会計上の金銭コスト（印紙代等手数料、弁護士及び弁理 士費用、鑑定費用、立証のための調査費用、実験費用、交通費な ど）、訴訟遂行に要する時間・労力等の機会費用損失。後者の方 が重く感じられることが多いとのこと • 審決取り消し関係：無効審判の無効審決の取消率及び有効審決の 取り消し率：20～30％（以前は開きがあったが同じぐらいへ） • 証人尋問：ほとんど無し。 • 仮処分：特別な傾向なし
- 6. 特許を侵害されているときに取り得る方策 • 差止請求 • 付帯請求（侵害を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の 除去、その他の予防措置） • 損害賠償請求 • 不当利得返還請求 • （補償金請求）
- 7. 要件事実 の前に基礎構造 • （原則論：当事者主義・弁論主義） • 特許侵害の主張立証責任：原告 • 被告（被疑侵害者）抗弁：権利障害、阻止、消滅事由など（立 証責任は被告側） • 再抗弁→再々抗弁
- 9. 被疑侵害者側の抗弁 • 存続期限満了による特許消滅 • 譲渡又は特許料不納などによる権利喪失 • 特許無効審判の無効審決又は特許異議に対する取り消し決定の 確定 • ※所謂旧キルビー抗弁権（現在特104条の3第一項）無効とされ るべき物と認められる特許
- 10. 被疑侵害者側の抗弁2 • 実施権原の抗弁（権原を持っています） • 先使用権の抗弁（特許を知らずに先に事業準備をしていた） • 消尽の抗弁（並行輸入等で特許権は消尽しています） • 試験研究の抗弁（試験又は研究のための実施です） • 作用効果不奏効の抗弁（作用効果を奏しない） • 非専用品についての間接侵害に対する汎用品の抗弁（どこにで もあるものですが） • 新規物を生産する方法の特許侵害に対する抗弁 • 包袋禁反言の抗弁（特許出願課程と異なることを主張してい る） ※こちらは簡単にだけ紹介
- 11. 原告側からの再抗弁 • 当該請求項の訂正により無効解消 • 適法な訂正審査請求又は訂正請求をしたこと • 訂正後の請求項の技術的範囲に属すること。 ※テクニカルすぎるところは割愛
- 13. 損害賠償訴訟 2項の場合： • 被告による侵害品の譲渡数量 • 被告の侵害品販売による単為数量当りの限界利益額 • 被告による侵害がなければ原告が利益を得られてであろう事情 があること 3項の場合： ■被告による侵害品の売上高 ■実施料率
- 14. 被告側抗弁 • 過失不存在の抗弁（被告に侵害行為について過失がない） →一般の民事の場合原告側が被告の過失を立証するが特許訴訟の 場合、過失推定規定があるため、被告側の抗弁となる。 • 時効消滅の抗弁（3年経過） • 1項請求に対し、特許権利者側が販売できない事情の抗弁 • 2項請求に対し、損害推定覆滅の抗弁 • 2項請求に対して、因果関係不存在の抗弁 • 3項請求に対して、損害不発生の抗弁
- 15. 訴え提起前の証拠収集について • 主張立証責任は原告側になるので、十分な証拠収集が必要 ※今回すでに実施してるようなので細かい点割愛 • 民事訴訟法132条の2ないし132条の9「証拠収集処分」訴えの予 告をした際に、行えるもの • 証拠保全（民訴234条以下）証拠保全の手段として • 弁護士会照会（弁護士法23条の2） • 情報開示請求（行政機関へ）
- 16. 権利主張前の準備事項 • 非常に重要です • 権利自体の確認（管理関係、権利内容、有効性の確認） • 実施品の確認 • 被疑侵害者の確認（製品・保有特許・状況、属否関係） • 損害論関係の確認（条項選択） • 無効調査はどこまでするか：公然実施・新規性、進歩性・記載 要件、サポート要件 • 訂正審査請求の要否の検討
- 17. 警告書送付 • 権利侵害警告は、裁判外で行使される差止請求権の1部として 理解されている。 • 直ちに中止やライセンス交渉となることもあるが、訴訟の準備 段階として機能しているといえる • タイトル：通知書とすることもある ※本書外だが先日お送りした論文にもあるようにマイルドな表現 であることで不当請求では無いとされることもあるので、よほど 確信が無い限りは、あまりに強い表現は要注意 • 信用毀損（不正競争防止法2条1項15号）との関係に注意 • プレスリリース：過激なことはしすぎない方が良い（信用毀損 となる可能性あり）。
- 18. （参考）警告書を受け取ったときの対応 • 警告者の意図の確認 • 警告書内容の確認 • 対象製品の特許抵触検討と設計変更検討 • 無効理由の調査 • カウンター特許の調査 • 対応策の検討（特許侵害訴訟における防御・特許異議申立て、 無効審査請求・債務不存在確認請求訴訟、不正競争防止法違反 に基づく対抗訴訟・調停・仲裁）
- 19. 紛争解決の手段 • 交渉による解決 自社担当者による、弁護士による • 仲裁機関や裁判所を利用 調停（仲裁センター）、民事調停 （裁判所）、仲裁（仲裁センター）、特許侵害訴訟（裁判所）、 刑事告訴（警察） • 紛争の拡大防止 保全手続き（裁判所） 輸入差止申立て（関 税）
- 20. まとめ （参考書籍を離れて）
- 21. 警告書送付前に検討すべきこと （文言侵害） • 相手方製品は特許のクレーム範囲にあるか • 相手側が先使用でないかの確認（研究実施でないかの確認も） • 自身の特許に無効理由はないか • 包袋反禁言とならないよう、包袋内の確認 • 念のため特許に経済的価値があることの確認 • 相手方がカウンター特許を持っていないか • 特許の「訂正」の検討 • 相手からの反撃を考え、「特許分割」等々の検討 • 裁判に移行した場合勝率は20％ほど、最低でも1年はかかる。実際は 先方からの各種反撃も想定され⾧期化することも多い。訴訟リスク も含めて労力＋費用は確保できるかの検討（シビアにみるべき）
- 22. 特許戦も同じ • 「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」 • 「彼を知らずして己を知れば、一勝一負す」 • 「彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし」 https://gunshi-channel.com/sonsi_tekiwosiri/ より 裁判における攻撃防御を 念頭に相手の抗弁事由を あらかじめ想定、対処す ると同時に、こちら側の 攻撃力＋防御力を最大化 してから挑むことが重要 戦いは戦う前が重要
- 23. 大手企業相手の場合（一般論） • 反撃可能性：「大」 →一応特許調査はしてるはず。また「法務」というものが大凡存在し ているはずなため、警告書来て直ちに降伏は通常あり得ない（法務担 当者のいいわけとして、いちゃもん付けられています、という趣旨の 報告になりがち） • 抗争の⾧期化可能性「大」 • →財政力、弁護士ネットワーク、専門部署の存在、控訴もあり得る • 搦め手含む多様な反撃手段を用いる可能性「大」（ハイブリッド戦争） →プレス、情報戦、反撃、各種ネットワークの活用等、サプライチェ ンからの締め出しや関連企業との取引停止（やり過ぎると独禁法違反、 ただし訴訟中ということから、強制力が無くとも、周りが遠慮するな ど、リスクヘッジ策までどう見られるかはわからない。）株主説明の ためにも何らかの反撃とプレスなどは予測される。
- 24. 戦略面 （大手企業の場合） • とりあえず、負けなければ良い（勝訴率は20％、訴えられる大手か らすると20％しか負けない）、棄却が40％あり、それ以外に確認訴 訟も含めると45％～50％は勝っている。 • 実質敗北の和解でもプレスなどは、ある程度の書き方が可能で明確 に特許侵害が…ということではないかたちにできる • 負けてもほとんど1000万円以下の損害賠償 • よって、警告書に対して裁判移行はそれほどは障害にならない。来 るなら来い、又は逆に先制を期して先方より訴訟（特許無効や債権 不存在確認訴訟）があり得る • 先方でなくとも、特許無効や特許異議（すでに期間は過ぎているは ずですが）は広く原告要件がなっているため、第三者よりくる可能 性もあり。 ＝大手企業に警告書（事実上の宣戦布告）を送付するということは、裁判に移行するものと考えておいた方が良い
- 26. 仕掛ける中小企業の場合 • ユニクロ・GU特許訴訟に勝ったアスタリスクが、虎の子の特許を手 放した理由 | ＤＯＬ特別レポート | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp) https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/11/news117.html 有名なユニクロVSアスタリスク裁判の結末 そもそも発明者特許を手放す（訴訟のため他のとこ ろに譲渡） NIPに譲渡して裁判を継続、発明者及び当 該ベンチャーは撤退