20191218_オラクル_Blockchain登壇資料

2019/12/18
日本オラクル株式会社
クラウド事業戦略統括
大橋雅人（Masato.Ohashi@oracle.com）@maato
2019年を振り返って、
エンタープライズブロックチェーンは結局どうだった？
資料公開します

以下の事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯一
の目的とするものであり、いかなる契約にも組み込むことはできません。以下の事項は、マテリアルや
コード、機能を提供することをコミットメント（確約）するものではないため、購買決定を行う際の判
断材料になさらないで下さい。
オラクル製品に関して記載されている機能の開発、リリースおよび時期については、弊社の裁量により
決定されます。
OracleとJavaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商
標です。文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。
2 Copyright © 2019 Oracle and/or its affiliates

・名前：大橋雅人（Masato.Ohashi@oracle.com) ：@maato
・職歴：日本オラクル株式会社
Blockchain, IoT, AI ビジネスディベロップメント
← Big Data （Hadoop, NoSQL, Analytics）ビジネスディベロップメント
← コンサルティングサービス事業企画
← ERP Project PM, Consultant (SCM, PLM, FIN)
・技術経営修士（MOT：Management of Technology）
・趣味：スケボー初心者
・Blockchain GIG というMeetupの企画、実施をやっています
自己紹介

・エンタープライズでのブロックチェーン活用をトピックにしたエンジニア向けコミュニティ
・先駆者たちの実際の事例での苦労話や技術ノウハウ話などを共有
・Hyperledger Fabric, Ethereum, Corda ,, オープンな技術共有が目的
・過去のゲストセッション
#1 (2/4) : 株式会社セゾン情報システムズ, 株式会社INDETAIL,
#2 (4/4) : アクセンチュア株式会社, 某コンサルファーム, トライデントアーツ株式会社
#3 (7/4) : G.U. Labs, TIS株式会社
#4 (9/4) : 日本IBM株式会社, 株式会社NTTデータ
#5 (10/10) : LayerX株式会社, 富士通株式会社
#6 (12/12) : 株式会社日立製作所, 丸紅株式会社
・資料も公開
・「Oracle Code Tokyo Night」で検索し、グループに参加ください
Blockchain GIGの紹介

今日のお話：エンタープライズにおけるブロックチェーン（最近）
既存事業
既存システム
大企業
伝統的企業
ベンチャー
新興企業
新規事業
新規システム
（弊社視点で）
今年とにかく多かった領域

今日のお話：エンタープライズにおけるブロックチェーン（最近）
既存事業
既存システム
大企業
伝統的企業
ベンチャー
新興企業
新規事業
新規システム
このあたりの、動向と考察が
本日のテーマ

• 実稼働しているネットワークは金融が圧倒的
• 43%が銀行、ファイナンシャルマーケット、保険
• 非金融以外では、サプライチェーントラッキング、国際貿易、ドキュメント認証が多い
• プロジェクトの成功には、長期的な取り組みが必要
• 抜本的な変革には時間がかかる
• 中央値でPoCから本番稼働まで25ヶ月、大規模だと完全稼働まで4年半以上かかったケースも
• 1社がリードして立ち上げた後に、複数プレイヤーが参加する、ネットワーク構築
• 71%が1社がリードして立ち上げ、88%が独立した複数の企業との共同活用を想定
• 競合同士で共同運用しているパターンは19%にすぎない
University CAMBRIDGE(2019)の調査から見えた、ブロックチェーン活用の実情
グローバル：エンタープライズでのブロックチェーン活用動向
2ND GLOBAL ENTERPRISE BLOCKCHAIN BENCHMARKING STUDY (University CAMBRIDGE, 2019)
https://www.jbs.cam.ac.uk/faculty-research/centres/alternative-finance/publications/2nd-global-enterprise-blockchain-benchmarking-study/

• コスト削減が最初の目標、売上向上は次のフェーズ
• 72%がコスト削減を目標にスタート、特にリコンサイル作業のコスト削減を目標
• 69%の参加企業は、新サービスによる売上拡大を期待している
• Hyplerledger Fabricが全てのインダストリーで多く選ばれている
• 実稼働中ネットワークの48%が、Hyplerledger Fabric
• ついで、Corda（15%)、Multichain（10%）
• 稼働中ネットワークの多くに、中央集権的な運営体制が残るが、将来的に分散していく
• 現状の81%は、ネットワーク運営にあたりなんらかの中央集権的な運営プロセスが残っている
• 3rd Partyのサービスプロバイダーがシステム運用をすることが多い
University CAMBRIDGE(2019)の調査から見えた、ブロックチェーン活用の実情
グローバル：エンタープライズでのブロックチェーン活用動向
2ND GLOBAL ENTERPRISE BLOCKCHAIN BENCHMARKING STUDY (University CAMBRIDGE, 2019)
https://www.jbs.cam.ac.uk/faculty-research/centres/alternative-finance/publications/2nd-global-enterprise-blockchain-benchmarking-study/

国内：エンタープライズでのブロックチェーン活用動向
的を大きく外したユースケース検討は少ない
• さすがに、「ブロックチェーン＝ビットコイン」という人は少なくなってきた
• メディアなどでの露出も増え、先行事例を参照されている
• 適用領域の、共通認識が醸成されつつある最近のキーワード：“非競争領域の共有”
小規模な範囲から始めるケースが増えている
• 大きく描き、現実的な範囲で迅速に始める
• 他社より早く、実績やノウハウを積み上げて、他のユースケースに応用したい
• 早く、「手触り感」を経験しておきたい
技術指向（新奇性・PR）から、実用指向（着実・地道）に
• 実は、すでに始めている、取り組んでいるといったお客様が激増
• 現行業務改善だけでなく、社会的意義、SDGs、監査・法律対応など新たなモチベーションも
• 運用、サポート、拡張性といった、将来性を見越した技術選択を最初から行う

エンタープライズでのブロックチェーンの適用領域例
有力な適用領域も固まりつつある
金融
• 銀行内/間での国際送金、支払
• 仲介資金取引
• サプライチェーン
ファイナンス
• 貿易管理
• 証券管理、移転
• KYC基盤
• ロイヤリティーポイント
製造・小売
• サプライチェーン全体の情報
共有と効率化
• 原材料、部品、BOM、規制品
のトラッキング、トレース
• 食品偽装対策、
コールドサプライチェーン
• 品質保証、改ざん検知
• 使用状況やメンテの証明、
中古市場価値や保険商品開発
• 情報銀行
• 著作権、所有権管理
公共・公益
• 行政記録（出生証明、住民ラ
イセンス）の共有
• 税関（輸出入権限、関税対応)
• 規制（食品、製薬、FDA）
• デジタル認証
• 市民サービス、KYC基盤
• 再生エネルギー、電力取引、
CO2排出権管理
• 農作物トレーサビリティ
• 土地、資産取引、管理
• スマートシティ
• 実験、検査履歴の共有
ヘルスケア
• 電子医療情報管理
• 個人診察情報管理、共有
• 医師免許、資格管理
• 医療IoTデータ、患者モニター
情報、治験情報
• 薬の偽造防止、トラッキング
• コールドサプライチェーンの
トラッキング
 企業間データ共有基盤
• リコンサイル（突き合わせ）
• グループ企業での、連結会計監査、売掛金ファクタリング
• 在庫、受発注、取引
• 契約、請求、支払情報

Oracle Blockchain Platform お客様例
証券サービスプラットフォーム
&
海上貿易、物流に関する文章管理、
イベントトラッキング
(12 コンソーシアムメンバー)
運送/物流
フランチャイズ文章管理
電子インボイス & EDI
紛争鉱物、電気自動車バッテリーの
トレーサビリティー、エシカル購買CDEL
学位履歴管理
学位認証/履歴管理証明
プラットフォーム
サプライチェーン
食品認証
糖蜜の正当性証明
ファイナンシャルサービス
国際間資金送金
IVPパートナー
販売管理契約管理遠隔患者管理ファクタリング銀行 KYC
オリーブオイル
サプライチェーントレーサビリティ
靴革、製造工程の
トレーサビリティ

高級品のトレーサビリティー
ダイヤモンドのトラッキング
銀行のKYC/マネーロンダリング対策
マルチエンティティに
おけるKYCシステム
フランスの
大手国際銀行
複数ブランドのロイヤリティー
既存ロイヤルティポイントの
トークン化
原油開発のサプライチェーン、物流
デジタル、自動化、セルフ化
されたサプライチェーン
北欧の大手
E&P Oil Co.
企業間の決済と請求業務
複数のERPにおける請求と
決済のための企業間台帳
サプライチェーン
サスティナブルなEVバッテリー
（コバルト）のトラッキング
有価証券仲介取引
顧客分散台帳 & 取引管理大手年金投資
ファンド
KNOW YOUR SUPPLIER
サプライヤーの認証、
登録、検証
大手自動車会社
電子医療情報
複数プロバイダをまたいだ
医療情報の一元ビュー
Oracle Open World で発表された
Oracle Blockchain Platformを利用した新たなプロジェクト例

資源の採掘〜消費者までのサプライチェーン追跡
米ドッド・フランク法（鉱物紛争法）対応
Circulor社との取り組み：
各ステップで、ステータスを記載
• 顔認証による作業員の認証
• QRコード、NFCタグ、GPS、RFIDのついた袋
• 精製作業前後で重量を測定、開封や混載の有無を管理
• 最終製品のシリアル番号と紐付け
2018秋に稼働済
• 今後、数千トランザクション/日になる予定
Why Oracle？
• ゼロの状態から本番環境構築まで数ヶ月で構築
• 他クラウドをまたいだハイブリッド構成
• エンタープライズのパフォーマンス、スケーラビリティ
今後の展開
• コバルトへの展開（電気自動車等のバッテリーに利用。
エシカル購買の動きもあり、今後更に拡大が見込まれる）
Hyplerledger ホームページおよび、オラクルホームベージより
https://www.hyperledger.org/resources/publications/tantalum-case-study
https://www.hyperledger.org/resources/publications/tantalum-case-study
https://blogs.oracle.com/cloud-platform/ensuring-sustainability-and-ethical-sourcing-with-oracle-blockchain

Volvo Cars社におけるコバルトのリサイクル追跡
Circulor社との取り組み：
• 電気自動車のバッテリーに含まれる
コバルトのトレーサビリティー
• 目的
– エシカル購買対応として、紛争鉱物や児童労働に依存して
いないことを証明
– バッテリーやその他の自動車材料のリサイクルに関する
説明責任を果たす
• Volco Cars、CATL、 Circulorによる、
Oracle Blockchain Platformを利用した実証実験
• 2ヶ月間の工程のトレーサビリティーを
ブロックチェーンを使い実現
– トレーサビリティーリチウムバッテリーのスクラップ
– コバルトのリサイクル
– バッテリー製造
– Volvo Cars浙江での車載搭載
• 2019/11 本格展開を正式に発表
https://youtu.be/PVp3BlzYDCg

現状
サプライチェーンへのブロックチェーン活用
材料加工製造業者物流小売・顧客 • 両社間やEDIデータとの突き合わせや、
整合性の確認工数が発生
• 複雑なEDIへの対応工数増
• 一気通貫した可視化が困難
• リコール対応への多大な工数の発生
• 規制や新たな潮流への対応が急務
– ドットフランク法、説明責任、偽装対策
– グリーン調達、RoHS対応チェック
– 輸出入の規制、関税対応
– エシカル購買、SDGs
• 上流から下流まで多くの関係者、複雑な商習慣
• N対Nの関係
• 物流と商流の存在
整合性や、タイミングのズレの発生
• 各社で分断されたデータ、複雑なEDI
発注書や受注書などの紙でのやりとり
概要図発生する課題

ブロックチェーンで実現する世界
サプライチェーンへのブロックチェーン活用
材料加工製造業者物流小売・顧客 • 偽装対応、検査結果等の不正改ざん防止、法令対応
• トラッキングとトレーサビリティ
– 原産地、加工、製造、流通、廃棄までの
過程の状況と履歴の可視化
– 契約書管理
• リコール発生時の迅速な影響範囲の特定
品質保証対応
• サプライヤー登録、認証、信用度の共有、効率化
• 企業間業務の自動実行と全体最適化
– 自動発注、自動在庫調整、例外対応、後工程調整
– 設計変更の合意、即時反映
– サプライチェーン全体での生産計画の最適化
• 新たなプレイヤーの加入、
サプライチェーンファイナンスの効率化
概要図メリット
• 信頼性かつ、一貫性のあるデータ共有
• 企業間ワークフローの自動化、効率化

資産を中心としたデータを集約、資産価値証明、業務の効率化、新たなサービス創出
資産ライフサイクル管理プラットフォーム
製造情報
使用状況
保守情報
契約・販売履歴
金融
保険市場
新ビジネス
資産価値
ユーザーにとってのメリット
• 資産価値の確実な証明
• 各種手続きの簡略化
• 使用状況の証明、
品質保証や保険対応
• プロアクティブな
メンテナンスサービス
• 透明性のある査定
参加企業にとってのメリット
• 契約処理の簡略化
• 保守管理の効率化
• 正確な査定、中古価格の
妥当性証明
• エコシステムへの顧客囲い込み
• データを活用した新サービス

Create PO
for
amount,
qty, items
Approve
PO
Transmit
PO
Get Ship
Confirm
Confirm
Receipt
Enter AP
Invoice
Match &
Approve
Payment
Pay AP
Invoice
Create
Sales
Order
Ship Sales
Order
Create AR
Invoice
Apply
Payment
Buying
Org
(Customer)
Selling
Org
(Supplier)
Inter-company process flow
Accounts PayablePurchase Order
Sales Order Accounts Receivable
Intercompany
Domain
PO (Goods) PO (Services) No PO

ISOU PROJECT（2019/8/19-30 北海道厚沢部町で実証実験を実施）
ISOU PROJECT FACTBOOK
https://www.indetail.co.jp/common/fil
es/ISOU_factbook.pdf
Oracle
Blockchain
Platform Cloud
を利用

ユースケースは何か？何に使えばいいのか？
 まずは、「非合理な複数企業間プロセスや企業間データ連携」に当てはめてみる
共通する「非共創領域の非合理な業務プロセス」に活用できないか？
 バラバラに存在するものを、「まずはつなげてみる」という発想
 共通認識は醸成つつある、既存事例を自社に当てはめて考えてみる
 そもそも事例がないとだめなのか？先行有利なのでは？
ブロックチェーンの検討におけるポイント（1/3）

なぜブロックチェーンなのか？
それは、ブロックチェーンでないとだめなのか？
 そもそも、なぜ今できていないのか？
その理由にブロックチェーンの特徴は活かせないか？
 結果として、“ブロックチェーンを使わない”という結論も許容が必要
 “ブロックチェーンでどう変わることができるか？をスタートとし、
高い視座で、ビジネス課題や新たなビジネスを発見すること自体は有用
 全てブロックチェーンだけ、でできるわけではない
組み合わせが重要

どうやってやればいいか。コンソーシアムどう組めばいいのか。
 “Think Big, Start Small”
 そもそもの目的を見失わない、高い視座を保つ（欲を出さない）
 先行者メリットの享受、課題の発見と対応、イニシアティブ獲得は早い方がいい
 始めるための技術的なハードルは、劇的に下がっている
 様々な技術勉強会、公開ドキュメント、技術ブログ
 Oracle Blockchain Platform の活用

Oracle Blockchain Platform
Hyperledger Fabricをベースにエンタープライズ利用向けプラットフォームとして提供
Pre-Assembled：
事前定義済の環境提供、構築の迅速化と容易化
Automated：
自動化により運用/管理の手間を削減
Open：
マルチクラウド、ハイブリットクラウド
オープンなネットワーク構成が可能
Enterprise Grade：
エンタープライズ要件を満たす独自機能
Ease of Integration：
他システム連携、アプリ開発が容易な独自機能
東京DCからも
サービス提供中

• 2019年は、エンタープライズでのブロックチェーン活用への共通認識が、
ビジネス面、技術面の両面で、醸成された一年
• インダストリも従来の金融や公共領域のみならず、
特に非金融領域での関心の高まりが見られ、実際に検討されているお客様も増えた
• 同時に技術面での基本的な情報の充実化も進み、
「始めてみる」ハードルは劇的に下がった
• 2020年はさらにこれらが加速していく
• みんなで、社会実装をすすめていきましょう！
本日のまとめ

20191218_オラクル_Blockchain登壇資料

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