2015年度

1. 子育て環境の
充実と住まいに
関する一考

2. 構
成 １．現状分析
３．先行研究・分析
２．問題意識・RQ
４．政策提言
東京圏の少子化に注目
３つの要因に注目
これらの要因に
注目した分析
住宅面積が出生率に
正の影響
子育て支援住宅
促進政策の提言

3. 1．現状分析

4. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（1）少子化の現状
合計特殊出生率
‣2013年時点
1.43
2.07
‣人口維持ライン
3
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
総務省「国勢調査」より作成
国立社会保障・人口問題研究所
「人口統計資料集（2013）」より
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
2010 2015 2020 2025 2030
将来人口推計
0-14歳 15-64歳 65-歳
（万人）
出生率の低迷と、
生産年齢人口の減少

5. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（2）少子化による日本全体への影響
経済的影響 社会的影響
生産年齢人口の減少
4
社会保障制度崩壊の危機日本の経済規模が縮小

6. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（3）東京圏に注目する意義
総務省「住民基本台帳人口移動報告」より作成総務省「日本の統計（2013）」より作成
▲ 40
▲ 30
▲ 20
▲ 10
0
10
20
30
40
東京圏 名古屋圏 大阪圏 地方圏
（万人）
5
32%
20～30歳の地域分布
他地域 東京圏
15～29歳地域別転入超過数
東京圏では若者割合が大きく、
若者の転入も多い

7. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
2.42 2.33
2.07 1.97
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
全国 関東圏
平均理想子ども数と平均予定子ども数とのギャップ
平均理想子ども数 平均予定子ども数
（3）東京圏に注目する意義
厚生労働省「第14回出生動向調査」より作成
（人）
6
東京圏の若者も他と同様に
出産を希望している

8. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（3）東京圏に注目する意義
1.46
1.28 1.31
1.06
1.27
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
東京圏以外平均 埼玉 千葉 東京 神奈川
地域別の合計特殊出生率（%）
厚生労働省「人口動態統計（2011）」より作成
7
東京圏の出生率は、
全国平均を大きく下回る

9. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）東京圏における少子化の要因
①核家族化
8
②住宅環境 ②居住形態の変化③女性の社会進出
太田（2014）など参考

10. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）①核家族化
祖父母の子育て協力は
必要だと思うか
とてもそう思う やや思う
どちらともいえない そう思わない
全く思わない
65
70
75
80
85
90
95
全国 東京圏
児童を持つ世帯における
核家族割合（%）
9
「東京都統計年鑑（2013）」
総務省「国勢調査（2010）」より作成
内閣府「家族と地域における
子育てに関する意識調査（2013）」より作成
子育て協力を必要としているが、
核家族化が顕著

11. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）②住宅環境
内閣府 平成17年版国民生活白書「子育て世代の意識と生活」より作成
10
14.2
12.7
5
7.5
0
2
4
6
8
10
12
14
16
14大都市 人口10万人以上の市 人口10万人未満の都市 町村
予定する子どもの数が少ない理由を
「家が狭いから」と回答した人の割合（%）

12. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）②住宅環境
国土交通省「住生活総合調査（２０１３）」より作成
11
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
子育てにおいて重要な要素（件）

13. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）②住宅環境
国土交通省「住宅・土地統計調査（平成25年：速報）特別集計」より作成
12
子育て世帯（大都市圏）
子育て世帯（全国）
全世帯
子育て世帯の居住面積水準達成状況
最低居住面積水準未満 最低以上・誘導未満 誘導居住面積水準達成 不詳
38%
57%
62%子育てには十分な居住スペースが
必要だが、狭い住居が多い

14. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）③女性の社会進出
結婚・出産を
仮定した場合の希望
専業主婦 再就職
復帰 その他
女性が輝く日本に関する意識調査（ユーキャン）より作成 厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ（2014）」より作成
13
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
東京圏以外 東京圏
待機児童数
（万人）
育児・仕事の両立希望
↔育児環境の未整備

15. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）③女性の社会進出 未婚化・晩婚化
山口(2005)
‣晩婚化・未婚化が少子化の一因
‣出産・子育てのための家庭環境や職場環境未整備も要因
↓
本研究
‣晩婚・未婚＝個人の自由
‣「政府の役割」
出産意欲のある人に応えた、子育て環境の整備
14

16. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（5）東京圏の現状まとめ
少子化の要因
①核家族化 ②住宅環境 ③女性進出
東京圏において若者割合が高く、出産意欲も存在。
しかし、出生率は他の地域よりも低い
現状のまとめ
15

17. 2．問題意識・RQ

18. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
問題意識・RQ
RQ
東京圏における、出生率決定要因は何か
問題意識
東京圏において、
「若者が多い」＋「出産意欲が存在」
しかし、出生率は低い
17

19. 3．先行研究・分析

20. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（1）先行研究
19
Willis（1978）「子どもの数の経済理論」
Becker（1960）「家計生産理論」
家計の所得
女性賃金
養育費
財
時間
子ども数
子ども数

21. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（1）先行研究
全国の市区町村別クロスセクションデータを用いた分析
被説明変数：合計特殊出生率
説明変数 結果
世帯収入 ＋
女性賃金 ー
住宅地平均地価 ー
教育費 ー
保育制約指数 ー
20
阿部・原田(2008)
「子育て支援策の出生率に与える影響：
市区町村データの分析」
先行研究の限界
・単年度での分析
・地域性の不考慮

22. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（2）オリジナリティ
①パネルデータを使用
③独自の説明変数を使用
②東京圏に特化
21
核家族世帯率
一住宅あたり延べ面積
保育所定員指数

23. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（3）変数選択
被説明変数
東京圏市区町村別パネルデータを用いた分析
22
説明変数 予想
世帯収入 ＋
女性賃金 －
一人あたり教育費 ＋
住宅地平均地価 －
核家族世帯率 －
一住宅あたり延べ面積 ＋
保育所定員指数 ＋
固定効果モデル
核家族世帯率 －
一住宅あたり延べ面積 ＋
保育所定員指数 ＋

24. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（4）推計結果
変数 係数 標準誤差 t値 有意性
世帯収入 0.158 0.1148 1.38
女性賃金 0.003 0.0019 1.85 *
一人あたり教育費 -5.12E-05 0.0001 -0.71
住宅地平均地価 -4.99E-07 0.0073 -6.89 ***
核家族世帯率 0.328 0.2842 1.16
一住宅あたり延べ面積 0.337 0.1464 2.30 **
保育所定員指数 0.441 0.1779 2.49 **
サンプルサイズ＝205 グループサイズ＝115
自由度修正済み決定係数0.7786
*＝10%有意 **＝5%有意 ***＝1%有意
23

25. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（5）予想と結果
説明変数 予想 結果
世帯収入 ＋
＋だが
有意でない
女性賃金 － ＋
一人あたり教育費 ＋
ーだが
有意でない
住宅地平均地価 － －
核家族世帯率 －
＋だが
有意でない
一住宅あたり延べ面積 ＋ ＋
保育所定員指数 ＋ ＋
核家族世帯率 －
＋だが
有意でない
一住宅あたり延べ面積 ＋ ＋
保育所定員指数 ＋ ＋
24

26. 4．政策提言

27. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（1）政策提言の前提
26
核家族世帯率
有意
でない
保育所定員指数 ＋
住宅延べ面積 ＋
国の方針分析結果
‣『子育て世帯に優しい、
住宅整備の指針を国が示す』
‣『民間の取組に対して、
予算や税制で支援し、
(子育て支援住宅の)普及拡大』
子育て支援住宅に注目

28. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（3）子育て支援住宅とは
27
住宅構造や周囲の環境において、
子育てに配慮した住宅
事業者
申請認定
認定基準例（埼玉）
‣住宅の延べ面積：
100㎡以上
‣土間部分：
1㎡以上
‣オープンキッチン など
埼玉県ホームページより作成
子育て世帯
子育て支援住宅
自治体 補助
入居

29. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（４）子育て支援住宅の課題と原因
課題
需要…あり
供給…不足
28
原因①、②の解消
⇒子育て支援住宅の供給促進
①：物理的な原因
(東京都の空き地率:0.016%)
②：金銭的な原因

30. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（2）政策提言の概要
29
政策提言①
自治体による、子育て向けリノベーション住宅
の認定を推進する
政策の目標：子育て支援住宅の供給促進
政策提言②
子育て支援住宅を提供する事業者に対して
減価償却の割増による税制優遇を行う

31. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（5）提言①：リノベーション住宅の認定
30
中古住宅や空家をリノベーションした住宅も
子育て支援住宅として認定
① 物理的な原因

32. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（5）提言①：リノベーション住宅の認定 詳細
31
自治体
事業者
申請認定
子育て世帯
子育て支援住宅
家賃補助等
入居
リノベーション住宅

33. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（6）提言②：割増償却による法人税優遇
32
減価償却費の割増による法人税優遇の実施
② 金銭的な原因

34. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
（6）提言②：割増償却による法人税優遇 詳細
（万円）
利潤＝収入ー減価償却費ー割増償却費ーその他の費用
33
0
10
20
30
40
50
60
70
80
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
利潤 減価償却費 割増償却費 法人税(右軸)
法人税＝利潤×法人税率
（万円）

35. 1．現状分析 2．問題意識・RQ 3．先行研究・分析 4．政策提言
子育て支援住宅の供給
（７）政策提言①②のまとめ
34
提言①
リノベーション住宅
の認定
提言②
割増償却による
法人税優遇
物理的な原因
空き地の不足
子育て支援住宅の供給
金銭的な原因
子育て支援住宅の供給

36. ご清聴ありがとうございました