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在宅で最期を過ごすには2018

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人生の終わり

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在宅で最期を過ごすには2018

  1. 1. 在宅で最期を過ごすには 名郷直樹
  2. 2. はじめに  皆さんが、家で生活を続けられるように  どうすればいいか、一緒に考えたい  不安、不快、怒り、そうした感情を呼び 起こすかもしれません  しかし、その感情こそ、まず向き合うべ きものと思います  それでは始めたいと思います
  3. 3. 「最期」の問題  誰にとっても難しい  誰にとっても避けることが不可能
  4. 4. 「過ごす」の問題  「生きる」とどう違うのか  「生活する」ということ?  「生きる」と「生活する」の違いについて  隣同士で話し合ってみましょう
  5. 5. 「寝たきり」について考える そうなったらおしまい?
  6. 6. 最初に質問  自分自身が、ベッド上で寝たきりの生活 になった状況を想像してみてください  どんな様子か、隣同士共有してみてくだ さい
  7. 7. ベッドから自分では動けない  どうしますか  隣同士話しあってみてください
  8. 8. 寝たきりにならないために  まずそっちでしょう  それでは、寝たきりにならない方法も考 えてみましょう  隣同士話し合ってみてください
  9. 9. 寝たきりにならない方法  突然死  これは自分では無理  自殺  これは今日は無視  それ以外は多かれ少なかれ寝たきり  何分か、何年かという大きな違いはありますが
  10. 10. 「寝たきり」で考えれば  「寝たきり」以外の状態にも応用可能  「寝たきり」でも家で最期まで暮らせれ ば、「寝たきり」以外でも大丈夫
  11. 11. 「寝たきり」のいろいろ  話せるか、話せないか  聞こえるか、聞こえないか  動くか、動かないか  食べるか、食べられないか  出せるか、出せないか  意識があるか、ないか  呼吸ができるか、できないか
  12. 12. どんな「寝たきり」なら  こんな「寝たきり」は嫌だ  そんな例を隣同士で共有しましょう  こんな「寝たきり」なら大丈夫  そうした例を隣同士で共有しましょう
  13. 13. 寝たきり患者への支援 よい「寝たきり」を目指して
  14. 14. 助けを求める  「寝たきり」になったら  どんな助けがほしいですか  隣同士話しあってみてください
  15. 15. 支援のいろいろ  家族  友人  医療、介護  行政  その他  患者の会
  16. 16. 支援を受ける後ろめたさ  家族に迷惑かけたくない  ましてや他人の世話になるのは
  17. 17. ここまでのまとめ  病気に限らず、大部分の人は、最後は 「寝たきり」になり、死んでいきます  「寝たきり」が問題だとしたら、突然死 以外の、すべての人は自殺しなければい けません  「寝たきり」でいいじゃないですか  助けを求めればいいのです  今元気な人もいずれ「寝たきり」です
  18. 18. 「寝たきり」でよくあるねじれ  やれることはすべてやってほしい  急性期寝たきり  こうなったらもう何もしてほしくない  慢性期寝たきり  境目はあいまい  正反対にありながら、紙一重
  19. 19. 医療の役割の突出  医療に依存しすぎるとねじれが生じる  どこかで必ず限界が来る  案外突然やってくる  「やれること」のうち、医療以外のこと もよく考えておく  医療以外の支援の重要性
  20. 20. 医療依存から抜け出すために 生活モデルで考える
  21. 21. 医学モデル  病気を治す医療  診断し、治療し、健康を取り戻す  予防し、健康を維持する  治療でき、予防できれば解決  誰にとっても共通した解決  医療者側にイニシアティブ、決定権
  22. 22. 生活モデルの基盤
  23. 23. 生活モデル  よりよい生活を目指す  生活の中でエコロジカルに問題を取り扱う  治療や予防が解決にならない  単一の原因に還元できない  多様性、個別性が高い  サービスの受け手に決定権
  24. 24. 食べられないことを「生活モデル」で  病気  機能障害  能力障害  社会的不利  栄養不良  飲み込めない  食事がとれない  死ぬ?  家族の介護負担  本人の拒否  わけがわからない
  25. 25. もう少し具体的に考える  食事がとれなくなっています  どんな目標に向かっていくのか  隣同士話し合ってみてください。
  26. 26. 食事がとれない結果…  医学モデル  食事がとれないと死んでしまう  食事がとれた結果、元気になるのが目標  生活モデル  これからの生活の中でこの先に必ず死がある  目標は単純ではない  そのまま死んでいくのは健やかなことではな いか  健やかに死んでいくのが目標?
  27. 27. 目標に向かってどうするか  健やかに死んでいくために  実は健やかに「生活する」ということ  無理に食べない  無理に食べさせない  周囲の負担を減らす  医療費をかけない  これは健やかではないですか?
  28. 28. 再び元気になるために  無理して食べる  無理して食べさせる  周囲の負担を増やす  医療費、介護費をかける  これはもっと健やかでないのかも
  29. 29. 生活モデルの多様性 よりよい生活の行きつく先
  30. 30. 寝たきりの生活モデルの特徴  死が迫っている  病気の治癒が困難  個人では障害の克服、能力の改善が困難  社会的不利が多様
  31. 31. 死が迫っている  日の単位  週の単位  月の単位  年の単位  食べなくていいという線引きはどこにあるか?  隣同士話し合ってみてください  多様、個別の条件のもとにある
  32. 32. 「死が迫る」の個別性、多様性  がんの末期で寝たきりでも  死期は迫っていない  回復の希望を捨てず、どこまでも抗がん剤治 療を  今元気でも  75歳の人が、死期が迫っているので  薬や検査は無駄、一切拒否  この両極端の違いは何でしょう
  33. 33. 病気の克服が困難  痛いところがある  熱が出た  肺炎になった  血圧が高い  早期がんが見つかった  末期がんが見つかった  克服を目指さないのはどこからか  隣同士話し合ってみてください
  34. 34. 病気克服の個別性、多様性  痛くても我慢します  症状がない高血圧も薬で下げたい  末期がんでも治して回復したい  この違いは何でしょう?
  35. 35. 障害の克服、能力の改善  褥瘡ができる  関節が拘縮する  座位保持ができない  案外目標は明確  生活に直結する部分はできるだけ支援したい
  36. 36. 生活への影響の個別性、多様性  かなりADLが低下しても何とか自分やる  生活は自立していても多くの支援を求める  この違いは何か?
  37. 37. 社会的不利の多様  ここが一番わけがわからない  両極化 「入院」⇔「在宅」  例えば、「入院する」  これまでの生活ができないという点で不利  家族の介護が楽になる点で有利  医療費がかかるという点で不利  医療を受ける面で有利  これは全体として不利なのか、有利なのか
  38. 38. 在宅は有利か  自宅での生活の継続という点で有利  医療費が少ない点で有利  介護福祉サービスを受けるという点で有利  家族の負担が増すという点で不利  医療を迅速に受けるという点で不利  在宅がいいというのもある一面
  39. 39. サービスを受けるデメリット 入院にしろ、在宅にしろ
  40. 40. 過剰なサービス  過剰な医療  スパゲッティ症候群  過剰な介護福祉  多くのサービス提供者が出たり入ったり  頑張ってリハビリ  頑張って食事  頑張って…  過剰な医療と似ている
  41. 41. 私の意見  私が食べれなれなくなったら  放っておいてくれ  私の家族が食べれなくなったら  頑張って食べる? と聞いてみる  返事がなければ、放っておく  私の患者が食べれなくなったら  これがむつかしい  ただ食べるためにサービスを受けるのではない  食べない中で必要なサービスを受ける
  42. 42. 皆さんに言いたいこと  食べれなくなって、死んでしまってもいい じゃないですか  もちろん頑張って食べるのもいいですけど  そんなことはどうでもいいのではないですか  突然死ぬ人以外は、すべて徐々に食べられな くなります  そういうのが人の「生活」ではないですか
  43. 43. よい生活を目指すと  よい生活を目指すと  よい医療を求めるように  きりがなくなる  悪くてもいいじゃないか  良い悪いじゃなく  最期まで「生活」を続ける覚悟  「生活」にはいいも悪いも両面ある
  44. 44. 死を受け入れる反面 生の放棄になっていないか?
  45. 45. 生活モデルが行き過ぎると  死を受けれること  生を放棄すること  実は紙一重  食事なんかとらなくていいんですよ言われて 死んでしまった  がんばって食べさせれば食べられるのに  あそこで頑張って食べさせて良かった  胃瘻で元気になって、その後口から再び食べ れた
  46. 46. 生活モデルの落とし穴  優性思想的側面  自己決定  パーソナルな支援体制に依存  不平等の拡大  よい生活を目指すことによる格差
  47. 47. 生きる「価値」にまつわるいろいろ  健康寿命  尊厳死  相模原事件
  48. 48. 健康寿命  健康寿命の増進を目指す  何の問題もないように思える  健康でなければ生きる価値がない  ある種の優性思想
  49. 49. 設立当初の尊厳死協会  寝たきりで生きたいか  管に繋がれて生きたいか  そういう生き方に価値はあるか  明確な優性思想
  50. 50. 太田典礼 尊厳死協会初代理事長  、『週刊朝日』1972年10月27日号によれば、 「植物人間は、人格のある人間だとは 思ってません。無用の者は社会から消え るべきなんだ。社会の幸福、文明の進歩 のために努力している人と、発展に貢献 できる能力を持った人だけが優先性を 持っているのであって、重症障害者やコ ウコツの老人から〈われわれを大事にし ろ〉などと言われては、たまったもので はない」[4]と放言した。
  51. 51. 相模原事件  「障害者の安楽死を国が認めてくれない ので、自分がやるしかないと思った」と 供述。こうした考えに至った背景につい て、中学時代の同級生や園で働いた経験 などを挙げ、「障害があって家族や周囲 も不幸だと思った。事件を起こしたのは 不幸を減らすため。同じように考える人 もいるはずだが、自分のようには実行で きない」とした上で「殺害した自分は救 世主だ」「(犯行は)日本のため」
  52. 52. 身近な差別意識  自分で食べられなくなったら死んだほう がましだ  寝たきりになるくらいなら、死んだほう がましだ  自分で食べられない人  寝たきりの人の生きる価値の否定
  53. 53. 生きる価値  優性思想や差別思想が根強い中で  生き続ける人たちの困難さ  介護を続ける人たちの困難さ  どんな人も生きる価値がある  そこだけは譲れない
  54. 54. 最期のそのあと 最期は「最後」ではない
  55. 55. 生死の境目  どこが境目ですか?  火葬後?  死後硬直?  心臓死?  脳死?  寝たきり?  徐々に死んでいく
  56. 56. 死を避けるとどうなるか  避けられないですよ  もし避けられるとしたら  人口がどんどん増えて、地球から人があ ふれ出してしまう  死ぬことは希望でもある  世の中が続くためには
  57. 57. 生活と死  死を避けないことが生活維持に役立つ  避けないことのほうが健やかではないか  それでは絶望というかもしれないが  そこにも希望がある
  58. 58. 死にゆく中の希望  しゃべった  目を開けた  動いた  息している  まだあったかい  まだそこにいる  骨が残っている  思い出が残っている
  59. 59. 死にゆく中の絶望:医学モデルの終末  だんだんしゃべらない  ほとんど目を閉じている  ほとんど動かない  息が止まりそう  だんだん冷たくなってきた  明日にはいなくなってしまうかも  骨になってしまった  忘れることができない
  60. 60. 死にゆく中の希望  しゃべった  目を開けた  動いた  息している  まだあったかい  まだそこにいる  骨が残っている  思い出が残っている
  61. 61. 訪問診療の現場で 生活の中で
  62. 62. 人生の最期 医学的に経過を見る どれくらい予測できるか
  63. 63. あとどれくらいですか?  平均値は答えられます  数年でしょう  数か月でしょう  ほとんど当たりません  一人一人がどうなるかはよくわかりません  数日、数時間となると、ある程度予測できます  それでも外れます  突然の死亡は予測できません
  64. 64. 「典型的」な経過  活動性の低下  食事量減少  嚥下困難、水分摂取困難  意識の低下  頻脈、血圧低下  尿量減少、チアノーゼ  死線期喘鳴、チェーンストークス呼吸  下顎呼吸  死亡 1 ~ 2 週 間 前 数 日 前 ~
  65. 65. 確実なこと  いずれ死ぬということ  死ぬことを前提に、できることを考える こと  死がどういう形で訪れるかは不確実  ただ親より早く死んでしまうという不条理
  66. 66. 最期の時を振り返る 印象に残る患者さんたち
  67. 67. 師匠の死  胃がんで手術、根治手術とならず  その後大動脈弁閉鎖によって心不全  人工心肺によりがんの播種の危険があり手 術はすべきでない  人工心肺によって播種の危険は少ないいう 多くの論文を自分で検索したが、手術せず  「名郷君ねえ、私は胃がんじゃ死なないよ。 心不全で死ぬよ」  68歳で心不全で亡くなる
  68. 68. ある患者さん  パーキンソン病で長く寝たきりの患者さん  昨日から呼吸がおかしいと往診依頼  行ってみると、もう下顎呼吸  そこへ誰だかわからない一人の男性が入っ てきて  「おい、まだ生きとるか。しぶといやつだ な」  どう思いますか?
  69. 69. ある患者さん続き  周りでは、おもちゃで遊ぶ子供  台所で働く嫁  患者さんの幼なじみ  よく生きた、むしろそういうメッセージだった  生活の中に死がある
  70. 70. 多くの患者さんたちを振り返って  戦うことだけでなく受け入れる中に希望 がある  死に行く中にも希望がある  死に向き合うことの中にも希望がある  医療を受けない中にも希望がある
  71. 71. 自立というコトバ  患者の自立  障害者の自立  老人の自立  そんな必要はないと思います
  72. 72. 自立と他立  自立しなくったっていいのですよ  他立でいいじゃないですか  「寝たきり」でいいじゃないですか
  73. 73. 結論  あらゆる生を受け入れたい  あらゆる死を受け入れたい  そこから始めるしかやり方が見つからない  医学モデルだけにとらわれることなく  生活モデルも考慮し  多様で個別性の高い状況に応じた多様な支援を  受けたり、受けなかったりして生きていく
  74. 74. お勧めの2冊
  75. 75. 生死に関する2冊
  76. 76. 何かの参考になれば

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