説文解字五音韻譜の見出字リスト作成の効率化 (予稿なので参照・引用には十分ご注意ください。修正版をアップロードしてこのスライドが削除される可能性もあります)

1. 五音韻譜の見出字
リスト作成の効率化
suzuki toshiya
mpsuzuki@hiroshima-u.ac.jp

2. 説文解字五音韻譜とは
大徐本説文解字を韻書排列にして検索を簡便にした
「始東終甲」
部首構造は残していて、韻書とは異なる
説文部首を韻書排列
説文部首内を韻書排列
南宋～明末にかけて大流行した
大徐本だと思われていた
元明代の説文学はこれに基づいている可能性が高い
清初に汲古閣本(始一終亥)が刊行され、大徐本の派生
物であることが判ると、一気に評価が下がる

3. 清代の酷評の影響
四庫全書編纂の頃は、汲古閣本の衝撃が大きく、
四庫提要では酷評された
汲古閣本が北宋本の忠実な翻刻と信じられていた
その後、段玉裁の汲古閣説文訂により、汲古閣本は
忠実な翻刻でないことが明らかにされた
段氏説文訂以降、宋刊小字本が再発見され、翻刻された
五音韻譜は南宋に編まれたものなので、
どうやっても宋刊小字本より古くはならないのでは
四庫提要を引いて議論から外すことが多い
しかし四庫提要は段氏説文訂以前の認識で書いた

4. 宋刊小字本の方が古いのか?
現在では宋刊小字本の多くは南宋刊元修本と見られる
刻工名などからの推定
五音韻譜の明刻本は別として、五音韻譜の宋刻本が
あるならば、必ずしも宋刊小字本のほうが古いとは
限らないのでは?
汲古閣旧蔵本の五音韻譜は宋刻本と見られる
台湾国家図書館に巻12のみの残本がある

5. 五音韻譜研究の難点
説文の構造と韻書の構造が混じるので韻書に通じてい
ないと引きにくい
五音韻譜の見出し字を検索できる道具が欲しい
始一終亥⇔始東終甲の対応表をどうやって作るか?

6. まず見出し字を切った

7. 対応する楷書を11000字入力して
いくのが面倒…

8. 手打ちしなくても韻書の
見出し字リストから
輸入すればいいのでは?

9. 五音韻譜と集韻
五音韻譜の部首の排列を見ると、集韻とよく一致する
本文もおそらく集韻排列だろう
集韻の見出し字から説文所収字をピックアップすれば
すぐ骨格ができるのでは?

10. 集韻のデジタルデータ
台湾の中央研究院「韻書集成」

11. 韻書見出字輸入ツールの原形
候補字のリストを表示しておき、候補字をタップすると
対応表のフォームに輸入される(とする)

12. その他のインタフェース
候補字のリストは部首を指定して得る
部首をタップすると
当該部首の候補字
を列挙する
当該字を掲出する
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13. 記入したコメントの書き出し

14. 多音字の問題
説文の単音字が集韻では多音字になる
ことがある
反切用字も違うので、どの掲出箇所が
説文の字音に対応するかは機械的に判
断しづらい
候補字リストはどうする？
←岩崎本

15. 多音字は少数と期待して、最初の
掲出位置だけ見て並べてみると…
行ったり来たりが多く
あまり効率が良くない

16. そもそも集韻には
どの程度多音字があるのか
説文関連字*を韻書集成でクロールした結果
1音 4166字
2音 3013字
3音 1694字
4音 925字
…
10音 14字
半分以上多音字であれば、かなりの文字で集韻の初出
位置と五音韻譜での掲出位置が異なる惧れ
(*) 集韻の見出し字が説文見出し字と1:1対応するとは限らないので、
小篆に対応づきそうな文字を10726字クロールした

17. 重複掲出すれば改善するのか?
一方向に探しさえ
すれば良いという点
では楽になった
初出のみ掲出 全箇所で掲出

18. 同じ字を何回も見ると疲れるので
入力した文字は黒塗りしてリストから隠す

19. 使用済み候補を消さないのか?
候補字画面の利用効率が低いように見える

20. 未使用候補に限定しても
視点は固定できない
あとで掲出される文字が
どんどん蓄積されるので、
「これまでに使用した文字」
の範囲がわかるほうが良い

21. 作業状況
gitリポジトリ
https://gitlab.com/mpsuzuki/mkHtml.rb/tree/swjz-wyyp
HTML表
https://gl.githack.com/mpsuzuki/mkHtml.rb/raw/swjz-wyyp/wyyp-wanli-01.html