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1
イベント企画の背景と今日の狙い
• コロナでこれまでの対面インタビューが難しくなり、オンラインに
注目が集まっている
• 慣れていない/経験が蓄積されていない/プラットフォームを吟味している時間
がない
• オンラインでどのようにしたらうまくいく?うまくいかない?
• 失敗、成功問わず(特に失敗)、経験をシェアしあって、今を乗り切り
• オンラインならではの良さを発見、再確認し
• コロナ後は、新しい選択肢が加わった次のパラダイムへ
2
2015 出版 AMAZONでは★★★★★
北米の(世界の?)オンライン定性のリーダー的な二人が
出した本
によると。。。。
少しだけ先達に学ぼう
3
Qual Online を考える軸
1. 時間軸
• 同期(リアルタイム/ライブ)vs 非同期 (ロングスパン)
2. インタラクションモード
• テキスト、 音声、 動画、 画像/写真
3. 人数・規模
• One on one
• FGI
• コミュニティ
それぞれ得意な/適したプラットフォームがある 4
によると (page 22)
Methodology
common name
Moderators
communicates
via..
Participants
communicates
via…
Timing Duration
Bulletin Board
Groups(BBG)
テキスト>音声、ビデオ 非同期 ~d ~wk
Chat Groups テキスト>音声、ビデオ 同期(リアルタイム) 1-2h
Webcam Groups 音声、ビデオ > テキスト 画像 同期(リアルタイム) 1-2h
Online IDI 音声、ビデオ > テキスト 画像 同期(リアルタイム) 1-2h
Online Diaries テキスト、ビデオ、音声
などでインストラクション テキスト、ビデオ、音声
非同期 ~d ~wk
Social Media Listening なし テキスト、ビデオ、少し
音声も?
非同期 いろいろ
Mobile Interviews テキスト、音声、ビデオ 同期(リアルタイム) < 30min
Mobile Ethnography テキスト、音声、ビデオ どちらもOK いろいろ
Insight Communities
(MROC)
テキスト 画像アップロード>音声 どちらもOK 長期
5
セミナー日時:2016年7月29日
場所:日本リサーチセンター会議室
スピーカー:株式会社 定性調査維新の会
代表取締役社長 藤吉孝之氏
以前JMRXで定性調査維新の会さんもこのように整理しておられました
いきなり一緒にして
同じ発想で
同じアウトプットを
期待して
それで大丈夫?
8
Mikiさんの
体験記
9
オンラインFGIの個人的感想
10
背景
• 3/9週の3日間の実査。はじめの2日間はIDIのみ。それから3日間あけてか
らの最終日にFGIを2本とIDI2本を実施する設計。
• インタビューは会場で実施。 クライアント企業の担当者は、 COVID-19の
ため海外からスカイプビジネス経由でオブザーブ。
• 実査2日目、最終日に参加予定のFGI対象者よりウイルス感染が怖いと連
絡が入ったことで、急きょ最終日のみスカイプビジネスを使ってのオンラインイン
タビューに変更。
→ 最終日の対象者はPCから参加できる方に限定(対象者の入れ替え
があった可能性有り)
→ FGI各グループ、6名ずつの参加
11
予期しなかった事
• ある対象者が話している時に、別の対象者が画面から姿を消す(勝手に離席)
• 話す人が偏る
→ あえて自分は発言しなくてもいいかも・・・とエンゲージメントが下がったのか、自発
的発言が減る
• 急に対象者の声が聞こえなくなる → チャット機能を使用
• 対象者の一人がPCの設定を上手く行えなかったため、急きょスマホでFGIに参加
→ モデーレータの声が聞こえづらいため、スマホに耳をあててFGIに参加( FGIの最後
まで、その対象者の耳だけが画面に映り、顔が見えないまま進行)
→ スマホだったため、提示資料の表示が小さく、情報が見えづらいまま、評価や意見を
発表してもらうことに・・・
• ある外出先からFGIに入った対象者は、ネット環境が悪いorうるさかったせいか不明であ
るが、ビルの外の片隅から参加(その日は寒く、2時間FGIだったので、体調をこわさな
いか心配になりながらインタビューを進行)
12
オンラインFGIのPros & Cons
特になし
FGIに限らず“オンラインインタビュー全般”の良い
点は下記の通り
• 地域に限定されずに対象者のリクルーティング
が可能
• 移動が不要=参加へのハードルが下がる
左記以外
• ある対象者のPCや
ネット速度によって
インタビューが一時
停止/動画再生が
上手くいかない
→ それ以外の対
象者の集中力
やエンゲージメ
ントが下がる
対象者が同時に話すと、
モデーレータが聞き取れない
対象者の発言を正確に聞き取れるよう、一
人ずつ話してもらうと、モデーレーターと一
人の対象者の「1対1」の会話になる
発言しない対象者の集中力や
エンゲージメントが下がる
エンゲージメントが下がるので、
自発的発言が減る
発言の少ない対象者をモデーレータ-が声
掛けして発言を促すと、”モデーレータ-に
声掛けされたら話す“傾向に陥りやすい
13
potential対策
調査会社
調査設計時 ⚫ ディバイスやネット環境のトラブルに備えて、イ
ンタビュー時間を通常より少し長めに設定
事前準備 ⚫ ディバイスの確認:PC、マイク、カメラ、ネット
回線(Zoomなどのアプリを最新のものへの
アップデートも含む)
⚫ 事前の情報提供:インタビュー中の困った時
の対処方法(チャットの使い方やホットライン
の情報提供)、オンラインFGIのお作法的な
tips(生活音を拾わない場所からの参加、
音声トラブル時はチャットして等)を資料化
して対象者に送付
⚫ 提示資料:画面表示で見やすいようレイア
ウトや文字の大きさにするようクライアント企
業の担当者に依頼
⚫ 直前のテスト:カメラや音声
インタビュー中 ⚫ モデーレータ-のネット回線が切れた時のハ
ンドリング
モデーレータ
事前 ⚫ 時間的に少し余裕をもったフローを作
成
インタビュー
中
インタビューの最初に「お願いやTips」を
伝える
⚫ 音声が遅れてモデーレータと声がかぶ
ることがあるが気を悪くしないでね
⚫ 飲み物の準備(途中での離席回
避)
⚫ ペンとメモ用紙の準備(PIなどを書い
てもらう時のため)
⚫ モデーレータの声が聞こえない時は
チャットでメッセージを送って欲しい
14
ビデオ
15
ブレイクアウト
セッションの
お題
• オンライン定性の解決すべき課題 と解決策
• オンライン定性ならでこその可能性
16
シェアリングタイム
• ブレイクアウトルームあたり1分で
17
少しだけ先達に学ぼう(part2)
Gあたりの人数・所要時間
1. 基本は、対面よりもなにかにつけて小さめに
2. グループあたりの人数は3-4人がおすすめ
1画面で無理なくモデレイター含め全員の顔が映ることが大事
3. 時間はグループあたり1h15m ~ 1h30m
それ以上長くしても得るものはない
画面に向かって集中を維持するのはルームよりも大変
1人ずつ発言しないと聞き取れない
トータル
所要時間
モデが
喋る時間 ÷- トピック数
÷ 人数
18
=
トピックごとの
一人当たりの
喋れる時間
少しだけ先達に学ぼう(part2)
Gあたりの人数・所要時間
1. 基本は、対面よりもなにかにつけて小さめに
2. グループあたりの人数は3-4人がおすすめ
1画面で無理なくモデレイター含め全員の顔が映ることが大事
3. 時間はグループあたり1h15m ~ 1h30m
それ以上長くしても得るものはない
画面に向かって集中を維持するのはルームよりも大変
1人ずつ発言しないと聞き取れない
19
私なら
?? 6人
120分
3人
75分
x2開催
少しだけ先達に学ぼう(part2)
FGI参加者の環境・テクノロジー環境
1. プラットフォームダウンロード/アクセスリンクの伝達
2. 事前テスト・事前確認
• 落ち着いて参加できる環境にあるか
• インターネット環境
• 画面大きさ
• 提示物が見えるか?(事前なら代替のものを用意して)
20
3. 本番での環境
• モデレイターの背面をすっきり(気が散るものを取り除く)
• モデレイターおよび参加者の明るさの確認・調整の依頼
• 相手側に集中できない事情があることへの覚悟・許容
少しだけ先達に学ぼう(part2)
モデレイターへのアドバイス
1. ガイドは基本F2Fの時と考え方としては同じだが、F2Fよ
りもより一層、時間の余裕をもったものが望ましい
2. イントロで、オンラインでのマナーのようなものを、やさしく、
丁寧に
3. ちゃんと声が届いているか、モデレイターが見えているか
を確認
4. 日ごろオンライン会話、ビデオ会議などに慣れていない人
が集まっているときは特に配慮して
5. おすすめは、開始の〇分前から入れるようにして、準備を
している姿を(mute)にして見せる→安心する
6. 一声かけられると尚よい(F2Fでモデレイターが待合室に
ちょっと顔を出すような感覚)
21
少しだけ先達に学ぼう(part2)
提示物や刺激物の出し方
1. プラットフォームのホワイトボード/フリップチャー
トに表示
• 符号やマーカーなども入れられて便利
2. 画面共有
• それ以外のファイルをすべて閉じておかないと
危険!
3. タイムラグを考慮
• 見えているかどうかの確認の方法を決めてお
く
22
少しだけ先達に学ぼう(part2)
インタラクションモード
あらかじめ決めておき、臨機応変に変えていくとよい
23
自発的発言を待つ 声掛けする
自発的発言がとれる よりスムーズに進行できる
時間がかかる
いきなりみんながしゃべりだすと聞き取れな
い(誰が喋っているかは自動的にある程度
わかる場合が多い)
自発性の面で妥協必要
私なら
??
挙手だけでなく、チャット機能も併用
随時声掛けして、反応アイコンを使おうかな
チャットウィンドウは常にあけておこう。
ただし@モデレイターだけのほうがかも?
少しだけ先達に学ぼう(part2)
モデレイターへのアドバイス(続き)
1. アイコンタクト、表情、しぐさについて
• 対面の経験からの発想転換
2. 画面との距離を考える
• 個々の参加者ではなく、全体を鳥瞰できるようにポ
ジションをとる
3. 「見せて」「示して」もらうことのメリットを活用
24
私なら
??
場の雰囲気、しぐさ、アイコンタクトなどのノンバーバルコミュ
ニケーションはF2F独特。モデレイターはその発想変えない
とね。そのうえで、あえて大きなジェスチャーのルール設定や
「見せてもらう」工夫は使えそう。
少しだけ先達に学ぼう(part2)
Group Administrator
• 本番開始前のホスト役(歓迎や感謝の言葉でもて
なす、質問に答える、安心させる)
• 本番中は画面をみて、ひとりひとりの参加者を確認
(みんな回答している?置いてけぼりはいない?)
• 本番中のテクニカルな出来事(聞こえない、見えない
など)に対応
• クライアントを“さばく”
25
私なら
??
F2Fでも、会場でモデレイターがすべて仕切る
など、普段あり得ないものね。 何が起きるか
わからないウェブ環境ではさらに重要!
最後に)個人的なつぶやき
1. F2Fの作業プロセスをオンラインでそのまま再現することが目的なのでは
ないはず
2. F2Fを手段として迫りたかった目的や課題に立ち返り、オンラインでの方法
を考えればよい
3. リアル/ファシリティFGIの代替=オンラインFGIとは限らない
4. すべてをオンラインで完結する必要はない(事前課題などはばんばん使
えそう)
5. エンゲージメントとは何か?
• 「盛り上がればよい」というこれまでの美学があるとしたら、その奴隷になることはない
• オンラインならではのエンゲージメントの醸成の仕方がある
• 動作を大きくしたり、反応アイコンなども使える
• MROCなどの非同期型で培った知恵や経験を活かそう
6. After COVID19を見据えて、オンラインならではの強みを認識しよう
• 目線追跡、ヒートマップなどを装備したプラットフォームがある
• 適材適所の選択肢が絶対に増えているはず!!
26
私なら
??
27本日はありがとうございました。元気でいきましょう。

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