とある臨床心理士がMplusについて勉強するために作ったスライドです。

1. Mplusによる統計解析
～初心者による初心者のための解説～
甲南大学大学院人文科学研究科
日本学術振興会特別研究員DC2
松尾和弥

2. 目的
Mplusに興味があるけど使ったことがない
という方に向けて， Mplusの使い方を
簡単に説明するためのスライドです。
ですので， Mplusユーザーにとって
目新しい内容は含まれていません。
※というか松尾がMplusのことを詳しく説明できない
間違いがあったらすみません。
2

3. 発表者について
氏名 ： 松尾和弥
所属 ： 甲南大学大学院人文科学研究科
日本学術振興会
資格 ： 臨床心理士
Mplus歴： 約1年（ほぼ初心者）
※一応，以下の論文執筆等にMplusを使用
松尾他（印刷中）被虐待経験が対人ライフイベントに及ぼす影響―
愛着スタイルの媒介効果の検討― 子ども虐待とネグレクト
3

4. アジェンダ
・ Mplusとは
・ Mplusの基本
・ 僕の思うMplusの魅力
・ RでMplusを動かす
4

5. 5
Mplusとは

6. Mplusとは ①
Muthénらが開発した構造方程式モデリング用の
ソフトウェア
様々な分析を行うことが可能
⇒ 回帰分析・媒介分析・階層線形モデル
因子分析・項目反応理論・潜在クラスモデル等
データハンドリングは不得意
⇒ 一応できるらしい。
6

7. Mplusとは ②
Mplusの公式HPで購入可能
https://www.statmodel.com/index.shtml
大学教員だと$595～$895
学生だと$195～$350
高機能なバージョンほど高いが，
一度購入すればそれを使い続けることができる。
7

8. Mplusとは ③
分析の実行にCUIを採用。
⇒ 代筆機能はある。
入力はすべて英語
⇒ 日本語が含まれると分析がうまくいかない。
アルファベット入力するだけであるため，
英文法を理解できなくても利用可能。
8

9. Mplusとは ④ エディタ画面（コードを書く場所） 9

10. Mplusとは ⑤ エディタ画面（コード記入後） 10

11. Mplusとは ⑥ 分析の出力画面 11
コードの下に分析結果が記述されている（これは出力の一部）

12. 12
Mplusの基本
ーデータファイル編ー

13. ① SPSSのようにデータを直接読み込まない。
・分析するたびに毎回使用するデータを
明示しなければならない。
13
↑は分析に使用するデータが
「Cドライブの中にあるmplusフォルダの中のsample03.txtである」
と指定

14. ② 読み込むデータはテキストかCSV形式
・Excelファイルを直接読み込むことはできない。
・Excelファイルでデータを保存している場合は
テキストかCSV形式への変換が必要。
14
データの変換

15. ③ 読み込むデータに変数名を含めない（CSV）
・変数名を含めると分析が走らない。
15
× 〇

16. ③ 読み込むデータに変数名を含めない（txt）
・変数名を含めると分析が走らない。
16
× 〇

17. ④ データを保存する専用フォルダの作成
・分析時にファイルパスを指定する必要がある
⇒ 毎回ファイルパスが異なると，
ファイルパスを間違いやすい。
＋
・ Mplusが日本語に対応していない
⇒ フォルダ名もダメ
17

18. ④ データを保存する専用フォルダの作成
・松尾はCドライブの中にMplus用のフォルダを
作成
18

19. 19
Mplusの基本
ーコマンド編ー

20. ① 文章はすべて半角英数字
・分析
20
※大文字・小文字の区別はなし

21. ② 文末にはセミコロン
・分析
21

22. ③ ISやAREでなく=でもOK
・分析
22

23. ④ TITLE：分析のタイトル（なくても問題ない）
・分析
23

24. ⑤ DATA：使うデータファイルの指定
・分析
24

25. ⑥ VARIABLE：変数の指定
・分析
25
NAMESにはデータファイルにある
全ての変数名を記述
⇒ 変数と変数の間はスペース
⇒ A1 A2 A3であればA1-3と
省略可能
⇒ 変数名は8字まで
USERVARIABLESには
使用する変数名を記述

26. ⑥ VARIABLE：変数の指定
・分析
26
NAMESにはデータファイルにある
全ての変数名を記述
⇒ 変数と変数の間はスペース
⇒ A1 A2 A3であればA1-3と
省略可能
USERNAMESには
使用する変数名を記述
欠損値を指定する場合は
MISSINGで指定
⇒ 今回は欠損値をピリオドと
指定

27. ⑦ ANALYSIS：分析方法の指定
・分析
27
TYPEは分析に応じて選択
GENERAL ：SEM等
TWOLEVEL：マルチレベル分析
EFA ：探索的因子分析
MIXTURE ：潜在クラス分析

28. ⑦ ANALYSIS：分析方法の指定
・分析
28
ESTIMATORは推定方法
ML ：最尤法
MLR ：ロバスト最尤法
WLS ：重み付き最小二乗法
WLSMV ：ロバスト重み付き最小二乗法
ULS ：重みなし最小二乗法
ULSMV ：ロバスト重みなし最小二乗法
GLS ：一般化最小二乗法
BAYES ：ベイズ推定法

29. ⑧ MODEL：モデルの指定
・分析
29
kyuryo と ningen から syokumu に及ぼす影響を検討

30. ⑧ MODEL：モデルの指定 30

31. ⑧ MODEL：モデルの指定 別ver 31

32. ⑧ MODEL：モデルの指定 別ver 32

33. ⑨ OUTPUT：出力の設定
・分析
33
SAMPSTAT ：サンプルの統計量
STANDARDIZED ：標準化係数
STDYX ：独立変数と従属変数両方を
標準化した係数
MODINDICES ：修正指標
CINTERVAL ：信頼区間

34. ⑩ 分析の実行：出力の設定
・分析
34

35. ⑩ 分析の実行：出力の設定
・RUNを押して以下のポップアップウィンドウで
「はい」を選択するとinputファイルと
outputファイルの保存場所を選択。
35

36. ⑩ 分析の実行：出力の設定
inputファイル
・分析コードが保存されたファイル
outputファイル
・分析結果が保存されたファイル
分析実行後，inputファイルとoutputファイルが保存
36

37. ⑩ 分析の実行：出力の設定
データの流れ
37
データの変換
out
inp
Mplusで
読み込み分析

38. ⑪ 分析結果：ダイアグラム 38

39. ⑪ 分析結果：ダイアグラム 39

40. ⑪ 分析結果 40

41. ⑪ 分析結果：適合度情報 41

42. ⑪ 分析結果：標準化偏回帰係数 42
※STDYX：従属変数と独立変数双方を標準化
※STDY：従属変数を標準化

43. 43
僕の思うMplusの魅力

44. 柔軟な分析が可能 ①
例えば以下のモデルで間接効果を検討したいとする。
44
A1
A2
A3
.30 .50

45. 間接効果？
他の変数（媒介変数）を介して与える効果の大きさ
前のスライドの例であれば，
A1がA2を介してA3に及ぼす因果的効果のこと
間接効果の大きさは，因果連鎖をなすパス係数の
積で表される（例：.30×.50=.15）。
→ これの有意性を確認しないと媒介モデルの結果を
正確に解釈できない。
45

46. 柔軟な分析が可能 ②
A2・A3が正規分布に従う変数であれば
多くのソフトウェアで検討可能。
・SPSS ：Andrew F. Hayes博士のマクロを
ダウンロードすれば可
・HAD ：ソルバーオン版をダウンロードして
構造方程式モデリングで可
・STATA：SEMのオプションから可
・R ：できるらしい（松尾はやったことがない）
46

47. 柔軟な分析が可能 ③
しかし， A2・A3が正規分布に従わない変数であれば
分析できないソフトウェアが多い。
・SPSS ：不可
・HAD ：不可
・STATA：分析はできるが間接効果の検定は
行えない。
・R ：不明
⇒ Mplusであればできる！
47

48. 柔軟な分析が可能 ④
Mplusであれば様々な変数を柔軟に扱うことが可能。
・二値変数
・カウントデータ
・カテゴリカル変数
・打ち切りデータ
など
データの生成過程に沿ったモデリングが可能！
48

49. 49
RでMplusを動かす

50. Mplusの弱点
①「データフレームに変数名を入れてはいけない」
という独自ルール
→ データフレームの準備が面倒
→ 分析の数だけデータフレームが必要になる
②モデル比較が苦手
→ 潜在クラスモデルのようにクラス数の選択の
ために複数モデルを立てる場合に面倒
50

51. MplusAutomation
MplusAutomationを使えばMplus弱点を緩和できる
かもしれない。
MplusAutomationはRのパッケージの一つで
RからMplusを動かそうとするもの。
R言語の柔軟性とMplusの強力なモデリング機能が
組み合わさる。
51

52. MplusAutomationのメリット
① データハンドリングから分析までを
Rで一括管理できるようになる。
→ ソフトウェア変更の手間が省ける。
→ 「 再生可能性 」の向上
② 潜在クラス分析のような複数のモデルを
比較する際の負担を軽減
52

53. MplusAutomation実践①
Rにもともと入っているirisデータを使って
MplusAutomationを練習してみる。
53

54. 54
データハンドリング
※必須ではない

55. データハンドリング
irisデータをmplusで分析できるように，
prepareMplusDATA()でdatファイルとして保存。
下記では，irisデータの1～4行目のみを選択。
⇒ 5行目は文字列で分析できないため。
55

56. データハンドリング
prepareMplusDATA()を実行後，変数名がなく
Mplusで分析できる形式のデータが保存される。
56

57. 57
分析方法ver 1
※prepareMplusDATA()で
datファイルを事前に作成する必要がない方法

58. 分析方法 ver 1
mplusobjectでMplusのエディタ画面に書くコードを
mplusオブジェクトとして格納。
その後，mplusModeleterでその分析を走らせる。
※8文字以上の変数はMplusで扱えないので
名前を省略後に分析を行っている。
58

59. 分析方法 ver 1
分析結果をresultsに格納しておいたので，
コンソールでresultsを実行すれば，
分析結果を確認することができる。
59

60. 分析方法 ver 1
もちろん，分析結果はoutファイルとして
作業ディレクトリにも保存されている。
60

61. 61
分析方法ver 2
※prepareMplusDATA()で
datファイルを事前に作成する必要がある方法

62. 分析方法 ver2
すでに作業ディレクトリ内に以下のような
inpファイルを用意している場合に
runmodels()でそれを実行する。
※inpファイルで指定したdatファイルがないと×
62

63. 分析方法 ver2
runmodels()で実行したいinpファイルを指定
すると，その内容でMplusの分析が実行される。
例えば，”Regression.inp”というinpファイルを
実行すると”Regression.out”というoutファイルに
分析結果が保存される。
readmodels()を使えば，分析結果をRに読み込む
ことが可能。
63

64. 本スライドで紹介したMplusAutomationの関数
prepareMplusDATA() ： mplus用のデータを作成
mplusobject() ： mplusオブジェクトを作成
mplusModeleter() ： mplusオブジェクトの
分析を実行
runmodels() ：inpファイルの分析を実行
readmodels() ：outファイルを読み込む
64