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経営とIT:いま起こっていることと「これから」(20120718)
- 1. FJMフォーラム2012
元気企業の戦略経営
経営とIT:いま起こっているこ
とと「これから」
河原 潤
July 18, 2012 Jun Kawahara, IT Journalist / Editor
kawajun@gmail.com
1
- 2. 自己紹介
河原 潤 (かわはら・ じゅん)/ITジャーナリスト・編集者
1968年神奈川県藤沢市生まれ。1991年明治大学文学部卒。教育系出版社を経て、1997年
にIT系出版社IDG日本法人に入社。技術誌「月刊 SunWorld」の編集長を務めたのち、
2003年、企業ITの総合誌「月刊Computerworld」の創刊に携わり編集長に就任。組織のIT
リーダーを対象とする月刊誌とWebの両メディアでエンタープライズITの全領域を追い
かける。2008年、CIOの役割と戦略策定をテーマとする「月刊 CIO Magazine」の編集長
に就任。2009年に独立しフリーランスのITジャーナリストに。経営とITのかかわりをメ
インテーマに取材・執筆・編集・講演などを行う。2010年よりインプレスビジネスメデ
ィアの月刊誌「IT Leaders」編集委員。著書『iPadで現場を変える!―社員も顧客も喜ぶ
業務革新[40事例]』(共著・日本経済新聞出版社)
2
- 3. 企業経営における昨今の課題
不確実性の時代 法規制への対応
●政局、経済環境、法制、景気、気象、災 ●法規制全般:J-SOX、 IFRS、個人情報保護
害の急激な変化・変動が、経営や市場ニー 法、新会社法など
ズを予測困難なものに
●業種ごとの法規制
●東日本大震災やタイ大洪水、欧州金融不
安など、収益悪化リスクの多い経済環境が ●グローバル展開先の法規制
常態化
加速するグローバル展開 ビジネスのパラダイムシフト
●日本市場の限界→国内だけでは生き残れず、 ●「規模の経済」から「速度の経済」へ。製品
成長市場にシフト ライフサイクルの短縮が進む
●グローバル経済構造の変化。市場の自由化が ●旧来のセオリーや価値観の終焉。ネット販売
進み、国・地域の参入障壁が廃される やSNSの台頭で消費者の購買行動が大きく変化
● 大手のみならず中堅でも海外M&Aが加速
3
- 5. IT部門における昨今の課題
抑制傾向が続くIT予算 データの情報資産化の不十分
●国内経済が停滞から抜け出せない影響で、 ●データを蓄積するばかりで、ビジネス価値
IT投資の回復は2013年以降に(IDC調査「国 に転換できていない
内中堅中小企業IT市場予測」)
●ユーザーが業務上必要なタイミングで情報
を取り出せない
定常コストの増大と戦略投資の不十
分
IT部門の人材・リーダーシップの不
●システムが乱立・複雑化して運用管理負荷が 足
増大。それらの維持・保守に追われて、ビジネ
スに直結するような戦略投資が十分にできてい ●十分なIT投資を行えるだけの人的・金銭的
ない リソースの不足
● IT投資全体に占める新規投資:北米平均24%、 ●ベンダー/SIerへの依存が強く、主体的・
欧州平均28%、豪州 18%、中国20%、韓国 合理的なIT投資が行えていない
20%、日本15%(Forrester Research調査)
● ITスタッフに対する人材育成・教育の不在
●経営が「IT部門の役割・存在意義」 を明確
化できていない
5
- 8. 企業IT分野における注目トピック①
クラウド・コンピューティング BCP(事業継続計画)/DR(災害復旧)
●サービスとしてのITがもたらすメリット ●東日本大震災以降、強化の機運が一気に上昇
●業務部門主導のIT選定が進展 ●クラウドサービスの活用
(SaaS/ASP) ●仮想化技術を喝移用した低コストなDR
●プラットフォーム/インフラレイヤのクラ ●非常時の情報伝達・共有体制
ウド化(PaaS/IaaS)
ERP/業務プロセス改善 データ・マネジメント
●ビジネスとITの一体化、俊敏性の向上 ●システム/アプリケーション重視からデータ
●グローバル・ガバナンス 重視へ。データを専任で見る人材・部署の必要
性
仮想化技術 ●データをビジネス価値に変える前提となるマ
スターデータ管理/データ統合
●ITリソースの効率利用のメリットの周知
ビッグデータ
●サーバ/ストレージ集約・統合を実現す
る中核技術 ●大量・多種・高生成頻度(3V)という今
●技術と製品が成熟し、普及期に 日のデータ特性に着目
●従来不可能だったレベルのデータ収集・分
サーバー/ストレージ集約・統合 析が比較的低コストで可能に
●従来のDWHやデータマイニングとほぼ同
●肥大化したシステムを集約・統合し、運用 義でこの用語を使うベンダーも
管理の効率化とコスト削減
●仮想化技術/製品の成熟で実効性が増す
8
- 9. 企業IT分野における注目トピック②
グリーンIT(ITシステムの節電・省 ITコンシューマーライゼーション
エネ) /BYOD(私物デバイスの業務活
用)
●環境保全/CSRの観点からの推進から、必須の
課題に ●スマートフォンやタブレット、SNSなどコン
●計画停電あるいは節電のための機器運用スケ シューマー市場で支持された技術を、それぞれ
ジュール の特性が生きる用途で活用
●業務システムが増えて、電力コストが無視で ●個人の生産性向上と業務の質的改善
きないレベルまで上昇 ●ワークライフバランス、ダイバーシティ対応
●仮想化やシステム集約・統合の実施で得られ ●持ち込みデバイスの管理・セキュリティの問
る副次的効果
コミュニケーション/コラボレーシ 題に一定のルールが必要
ョン セキュリティ
●属人化・暗黙知を集合知に変え、 「組織生産 ●特定の企業を狙ってウイルスメールを送り
性」を高める つける標的型攻撃が多発
●ユニファイド・コミュニケーション、テレプ ●シンクライアント/仮想デスクトップの導
レゼンス技術の進展 入が進む
●ソーシャルメディア/SNSの業務活用。一部 ●モバイルデバイスやSNSの業務活用で注意
でメールや旧来のグループウェアを置き換える すべき情報漏洩リスク
ガバナンス/コンプライアンス
動き
●全般的な法制への対応(個人情報保護法、
J-SOX法、 IFRSなど)
●業種ごとの法制への対応 9
- 12. 事例紹介②:国内中堅オンラインゲーム会社
「市場は変化するもの。変化を前提に、折々の事業展開に即応で
きるITインフラを用意する」
▼業種 エンターテインメント
▼ITプロジェクト 仮想化によるサーバ集約・統合
▼背景・課題 事業拡大のたびにハードウェアの増設を繰り返した結果、システム
が大規模化・複雑化。設置スペースが逼迫し、運用管理の負荷/コスト、電力コス
トが膨れ上がる
▼施策 サーバの仮想化で、ゲーム配信システムを稼働する約600台の物理サーバー
を約100台に、25本あったラックを4本に集約・統合
▼効果 複数のゲームプラットフォーム向けの新作オンラインゲームの迅速な立ち
上げや柔軟な仕様変更を可能に。データセンター/システム運用管理コストと電力
使用量を削減。
ゲーム提供基盤の可用性・耐障害性、運用管理性を向上。5年間の運用コスト試算で
約8割ものコスト削減。全社の25%節電にも貢献
▼ポイント 仮想化の導入で変化の激しい市場や経営方針に合わせて、形を変えて
いけるITシステム/インフラを実現。クラウドの導入も視野に
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- 15. 事例紹介⑤:国内中堅回転寿司チェーン
「タブレットデバイスの可能性に着目。日々の業務で使い込みな
がら活用のアイデアを広げる」
▼業種 外食チェーン
▼ITプロジェクト タブレットデバイスを活用した業務革新と顧客サービス向上
▼背景・課題 店舗・従業員・アルバイトの数が増えるにつれ、食の安全の根本と
なる衛生管理の徹底をはじめ、全店舗への重要事項の周知伝達や統制的なマネジメ
ントが難しくなっていた
▼施策 全店舗で、衛生管理の徹底を目的に、タブレットやスマートフォンでモニ
タリングを行う遠隔監視ビデオカメラシステムを導入。当初の目的を果たした後、
タブレットの活用領域をさらに広げるべく、レシピ配信や従業員の情報共有、客席
のタブレットでのオーダーシステムなど幅広く活用
▼効果 遠隔監視ビデオカメラによる衛生管理の徹底(不衛生行為などの抑止効
果)
レシピ配信が全社ストリーミング放送になり、料理長は以前のように各店舗を巡回
する手間が省ける。最新のタブレットによるオーダーシステムが顧客の話題を呼ぶ
▼ポイント 創業店舗は「穴子の一本握り」を日本で初めて出した店。タブレット
デバイスの導入は、創業理念の『お客様を驚かせたい』から
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- 16. FJMフォーラム2012
元気企業の戦略経営
経営とIT:いま起こっていることと「これから」
ご清聴ありがとうございました。
河原 潤
July 18, 2012 Jun Kawahara, IT Journalist / Editor
kawajun@gmail.com
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