dendai sie; Talk Live! 4 発表資料

1. ゲームセンターにおける「聖地」とは
じゅげむ（@jugem_himmel）

2. 自己紹介
• HN：じゅげむ
• TwitterID：@jugem_himmel
• 文学の徒、芸術学とか国語学とか
• 太鼓の達人とかいうゲームに生涯捧げてます
• 人生の半分はゲームセンター
• 趣味は飯テロ

3. なぜゲーセンにおける「聖地」？
• 日常的に通い詰めている人間にとって、ゲームセン
ターは非常に身近な「社交場」であり「文化」
• しかし文化論の場で表舞台に出ることは非常に稀
• 近年の不景気や増税の煽りにより、ゲームセンター
の店舗数は減少する一方
• 明確に記述されることのないままに失われていくゲー
ムセンターという文化を、その中から主体的に書き留
める試みが必要
• その一つの切り口が「聖地」

4. 「聖地」とは
せい-ち【聖地】
①神聖な土地。神・仏・聖人などに関係ある土地。
②特に、キリスト教でエルサレム、後にローマのヴァチカンなど
の称。
（『広辞苑第六版』より）

5. 舞台地としての「聖地」
• 小説における「文学散歩」
• 森鴎外『雁』
――寂しい無縁坂を降りて、藍染川のお歯
黒のような水の流れ込む不忍の池の北側を
廻って、上野の山をぶらつく。それから松源
や雁鍋のある広小路、狭い賑かな仲町を通っ
て、湯島天神の社内に這入って、陰気な臭橘
寺の角を曲がって帰る。――
• 夏目漱石『三四郎』
――翌日は正八時に学校へ行った。正門を
はいると、とっつきの大通りの左右に植えて
ある銀杏の並木が目についた。銀杏が向こう
の方で尽きるあたりから、だらだら坂に下
がって、正門のきわに立った三四郎から見る
と、坂の向こうにある理科大学は二階の一部
しか出ていない。――

6. 舞台地としての「聖地」
• アニメにおける「聖地巡礼」
• 埼玉県秩父（『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』）

7. 舞台地としての「聖地」
• アニメにおける「聖地巡礼」
• 埼玉県鷲宮（『らき☆すた』）
「土地というコンテクストの上に成り立つ、作品というテクスト」
という関係性の逆転
⇓
作品がコンテクストとして、土地の表象を変える

8. 「聖地」とは
せい-ち【聖地】↱ コンテクスト
①神聖な土地。神・仏・聖人などに関係ある土地。
②特に、キリスト教でエルサレム、後にローマのヴァチカンなど
の称。
（『広辞苑第六版』より）
⇓
「聖地」の成立条件
・土地に付随するコンテクスト
・それらを神聖視する集団

9. ゲームセンターにおける「聖地」の類型
•コンセプト店舗型
•プレイヤーコミュニティ型

10. コンセプト店舗型
• メーカー主導で、店舗の作りや内装から既に特定の作品を意
識しているもの
• 基本的にメーカー直営のロケのみ
• コンテクストは作品そのもの、神聖視する集団も作品のファン
全体
旧・縁起町一丁目（改装により現在は異なる）
お祭りの縁日をコンセプトにした店舗で、店内
のあちこちに『太鼓の達人』のキャラクターが
描かれている
namco巣鴨店
「鉄拳ミュージアム」として『鉄拳』シリーズの
資料やグッズが展示されるほかイベントも定
期的に開催され、店内にはリングも

11. プレイヤーコミュニティ型
• プレイヤー主導、あるいは自然発生的
• 小規模ロケでも可能、むしろ小規模な方がプレイヤーの
帰属意識≒内輪感を喚起しやすいため成立しやすい？
• コンテクストはそのロケを訪れるor訪れたプレイヤーや出
来事、さらにはそれらプレイヤーにそのロケが「愛されて
いること」
• 神聖視する集団はそのプレイヤーの知人やファンなど憧
れや好印象を持つ人達（例：『あの○○さんのホーム』）
⇒有名プレイヤーやランカーほどコンテクストになり得る

12. プレイヤーコミュニティ型
本来ゲームセンターはあくまでプレイのための「場」で
あり、評価の対象は作品やプレイの内容であった
⇓
ゲームのプレイやそのプレイヤーがコンテクストとなり、
ゲームセンターという場に新たな価値性が与えられる
• 「人が人を呼ぶ」形式であるので、呼び水となる「人」
の存在や彼らにロケが「愛されていること」を他者に
周知・拡散するツールが別途必要

13. プレイヤーコミュニティ型：事例紹介
• ゲームスカイに飾られる「闘劇」をはじめとする賞状の数々
格ゲーの「聖地」として知られる、名古屋市大須のロケ
ランカーの存在と、彼らに店が愛されていることの可視化

14. プレイヤーコミュニティ型：事例紹介
• ル・モンド巣鴨店における「聖地」化施策
来店したランカーによる色紙や、その店から輩出したエリア代
表プレイヤーの賞状を飾る

15. プレイヤーコミュニティ型：事例紹介
• その他の手法
• コミュニケーションノート
そのロケにおけるプレイヤーコミュニティの可視化
• プレイ動画のアップロード
そのロケでの出来事の共有
• SNS上での口コミ
ロケに関することをプレイヤーが主体的に発信することに
よる口コミ効果
隠語のような愛称を使うことによる帰属意識の深化なども
（例：「スマイル館」⇒ 「ス」）
第三者でも一目で「ここは聖地だ」と感じるような様相が理想

16. 消えゆく「聖地」
• 小規模ロケに多かった「聖地」は、不景気の煽りやラウン
ドワンなどの大型ロケの台頭により次第に姿を消した
• 今年の5%→8%の増税を機にロケが次々と閉店し、さら
に近く10%への増税も控えることから、店を畳むロケはま
だまだ現れると予想される
• 一方でル・モンド巣鴨店のように新規出店し「聖地」化を
目指すロケや、namco巣鴨店のようにメーカー主導で「聖
地」を作り出す試みも
• ゲームセンターの「聖地」という文化が生き残るか廃れる
か、この数年が分水嶺となるといえる

17. 御静聴ありがとうございました。