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2014年4月9日RM研究会第一部「女性活用はもはや常識!」
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(1)社会背景と企業を取り巻く環境
◎ そもそも、ダイバーシティとは?
ダイバーシティ(diversity)とは、元をたどると欧米のビジネス社会が発祥です。直訳をすると
diversity=多様性の意味です。日本では 1990 年代から注目が高まり、21 世紀を迎え、新た
な課題とともに、現在、多くの企業がいかに多様性を活かす組織づくりに取り組むのか、さま
ざまな施策とともに推進しています。
多様性を活かす組織づくりといっても、何をもって多様性なのか、また何を持ってそれを活
かす組織なのかという解釈については、抽象的・曖昧になりがちです。そこで、次のように定
義づけをすることから理解をはじめましょう。
① 人口・民族・個人などの差の正しい認識を促進することを目指す組織(企業)の文化的
進化
② 個人間や集団間に存在する様々な違いを源泉として活かすための制度やプログラム
など、マネジメント全般
③ 性別・年齢・国籍などの価値や発想を取り入れることで、企業の成長と個人のモチベ
ーションに繋げる戦略
◎ ダイバーシティ・真の目的
いかに多様性を活かす組織づくりに取り組むのか、つまりダイバーシティ推進を課題にあ
げ、実際に成果へと繋げている企業は増えています。しかし、その動機は、例えば高齢少子
化や外国人労働者の増加など、社会的背景に応じるための、必然的なものから発せられて
いる状況です。
しかしながら、上記の3つの定義付けを踏まえ、社会風土や文化に対応し、従業員個々を
活かし、組織の強化を図る「企業戦略」として実現の道を辿り、結果として内外ともに評価の
高い、つまり成果が見受けられる優良企業も存在します。
「女性・障害者・外国人などの多様な人材の活用はややこしい」「育休を取られたら結局現場
は混乱する」「社員を必要以上に厚優遇することになりコスト増につながる」と旧式の観念で
否定的な経営者も少なくない一方、この課題に積極的に取り組んでいる企業は業績がよいと
いうことを実証する調査結果も出ています。
ダイバーシティは、社会背景から生じる必然ではなく、企業戦略として考えるという意識チェ
ンジが必要であり、その真の目的は「企業の発展を図ること」なのです。
日本は世界でも最も加速的に高齢化社会に突き進んでいます。当然労働力不足は目に見
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えています。その解決策として考えられているのは、退職者の再雇用や退職年齢の延長が
挙げられます。20 代から 70 代までの幅広い世代間が同じ組織で働くという年齢の多様性が
求められているということになります。
高齢化とともに、少子化も深刻な社会環境の現実です。その解決策としても、雇用形態全
般を含め、育児休暇・時間短縮・介護休暇・看護休暇など、家庭や子供をもつ女性人材を活
用する取り組みは欠かせません。もちろんそれらは、女性対象に限ったことではなく、いかに
男性への浸透を図るのかも大きな課題といえます。
そのような中で、様々な国籍の人材を国内で採用する・女性管理職を配置する・雇用制度
を見直す・女性の割合を増やす…などの取り組み全般、つまり多様性を確立させる組織マネ
ジメントを日本企業におけるダイバーシティと捉えるとよいでしょう。
参考:ダイバーシティに取り組む企業経営の意義
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(2)発展する組織の条件
◎ ダイバーシティの必要性
ダイバーシティの先進国、アメリカと比較して考えてみましょう。アメリカにおいてのダイバー
シティは、1960 年代・雇用均等法が成功された頃から既に始まっています。アメリカでのダイ
バーシティ施策は、多民族国家であるため、人種、性別といった、その違いがひと目でわかる
分野に限定されていましたが、今ではもっと幅広い視野で捉えられており、まさしく「企業戦
略」として考えられています。つまり、「多様な人材を取り込み、その人材が能力を最大限に発
揮できることにより、企業も社会から正当な評価を受ける」という風土構築をすることが、経営
上の重要課題になったのです。
今、日本では、超少子高齢化を迎え、それに伴う労働人口の減少という、国家でも経験の
無い状況に直面しています。労働人口が減少するということは、より人的生産性をあげる必
要があります。ひとりひとりの従業員が能力を最大限に発揮できる組織のバックアップはもち
ろん、家事に専念している女性をビジネスパーソンとして活用する・定年退職者を再雇用す
る・障害者や外国人の能力及び労働力を活かす・短時間勤務者にも権限を与える、など人材
を多様化する施策を講じるのは早急に取り組むべき課題といえます。
言い換えれば、性別・年齢・国籍・雇用形態を問わず、すべての人材が最大限の力を発揮
するような環境を提供し、組織の力を高める努力を怠っている企業は、将来の存続が危うい
といって過言ではありません。
◎ 女性活性化≠ダイバーシティ推進
「多様な人材を取り込み、その人材が能力を最大限に発揮できることにより、企業も社会か
ら正当な評価を受ける」という風土構築、というと重要課題のひとつとして挙がってくるのが、
女性の活性化です。情報化・グローバル化・高学歴化・個々の価値観の醸成など、社会背景
も含めて、女性の潜在能力は開眼の道を進み続けています。しかしながら、女性の活用には、
結婚・育児・看護・介護など、慣習的な役割と切り離すことが難しいのが現実です。
そこで多くの企業で取り組んでいるのが、男性の育児休暇取得奨励・看護介護休暇制度
の導入・育児期間のフレックスまたは短時間勤務、などの制度面の充実を図り、尚且つ目標
設定をした上で女性管理職を育成していくというプロセスです。
確かに、施策としてのストーリー性も高く、成功すれば社会的認知度を上げることにも繋が
るでしょう。しかし、その施策の推進にあたって、次のような大きな解釈違いを改める必要が
あります。
① 男女が公平になる制度の見直しそのものが主軸になる
② 女性には女性向きの仕事、という限定されたフィールドの中での育成に留まる
③ モチベーション、メンタルは結局本人次第
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それらは、日常の職場内や仕事を進めていく中でもありがちな、先入観や固定観念など思
い込みがある・発想が乏しい・視野が狭いなどの視点がネックになっているということであり、
「女性だからこの業務の担当」「出産したらプロパーは難しい」「制度を整えたのだから利用す
るだろう」などの、考えを柔軟に発展的に変容しなくてはならないといえます。これらの解釈違
いは男性だけでなく、多くの女性にも見られます。女性は自分たちが活躍するために必要な
環境を堂々と主張すべきともいえます。このような、解釈違いによって個々の潜在能力を見逃
さないためにも、男性にも女性にも教育訓練や職場内での動機付けが欠かせません。
しかしながら、女性を活性すること=ダイバーシティではありません。女性の活用はダイバ
ーシティ推進の一部にしか過ぎません。多くの企業では、「女性管理職比率を3割に増やす」
「新卒女性の割合を5割にする」「育休取得率○%増」などといった数値目標を設定し、それを
達成することだけをダイバーシティ推進活動としていますが、これは本来のダイバーシティ推
進の意味を取り違えた考え方です。ダイバーシティが本来目指すところは「いかに多様性を
活かす組織づくり」に取り組むのかであり、例えば単に女性管理職の数を増やしても「企業の
発展を図ること」には到底およびません。
企業における真のダイバーシティ活動とは、多様性が生み出す人々の考え方や価値観の
違いをいかに経営に活かすかであり、ダイバーシティはすべてのビジネスパーソンに関わり
がある課題であることを社内に浸透させなくてはいけません。
◎ 個々を活かす=ダイバーシティの原理原則
ダイバーシティ推進といっても、新規や大きなプロジェクトを進めることばかりではありませ
ん。先入観や固定観念など思い込みがある・発想が乏しい・視野が狭いなどの視点を改善す
るには、日常レベルでできるダイバーシティも存在し、それらはむしろダイバーシティ推進の鍵
になってくることです。
例えば、身近な同僚・部下の行動パターンや性格を少し客観視してみましょう。自分のチー
ム内を見渡してみて、理屈っぽい・楽天的・猪突猛進・コツコツ堅実など、いろいろな特性が見
えてくるはずです。こういった個々の行動特性や性格の違いは、うまく活かしさえすれば、チ
ーム独自の強みとなります。そしてそれは、組織にとって発展の源となるのです。
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(3)企業の戦略としてのダイバーシティマネジメント
◎ ダイバーシティ推進・4つのキーワード
ダイバーシティとは、従業員一人ひとりが持つ様々な違い(性別・国籍・年齢・学歴や職歴・
雇用形態等)を受け入れ、それぞれを価値として活かすことで企業の力を高めようという考え
方の理解が進んだところで、その社会背景と実現に欠かせない4つのキーワードを抑えましょ
う。
キーワード1「ポジティブ・アクション」
ポジティブ・アクションとは積極的差別解消策といわれることです。この言葉からしても、
幅広い意味が想像できると思われますが、まさに広義にわたる様々な策を示します。
雇用形態・文化・国籍・年齢・性別・障害の違いを認識し、
それぞれの特質を最大限に引き出す企業における制度、プログラム、
サービス
キーワード2「ファミリー・フレンドリー」
ファミリー・フレンドリーとは“従業員の家族的責任に配慮した”“仕事と家庭の事情に折
り合いをつけた”という意味であり、ファミリー・フレンドリー企業を目指すなどとスローガ
ンとして掲げる企業も実在しています。
この概念の背景には、女性の社会進出・家族形態の変化(核家族化)・男女ビジネスパ
ーソンの意識の変化・少子高齢化などが挙げられます。
最も基本的なことは、仕事と同様家族の要求を満たすことができること
男女の雇用機会の均等と男女間の家族責任の分担に基づくこと
非差別的であり、従業員が受託できる労働条件であること
従業員と雇用者とのニーズのバランスが取れていること
キーワード3「ワークライフ・バランス」
ワークライフ・バランスとは、仕事と生活の調和のことです。ファミリー・フレンドリーのよ
うに家族にフォーカスしたものに限らず、従業員の幸福に貢献する企業姿勢を実践化
するということです。
生涯においてバランスがとれ、平等である仕事とパーソナルライフとを、
ライフステージの各局面で体験できるような、企業における制度、プログラム、
サービス
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キーワード4「CSR」
CSRは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)です。企業が継続的な成
長を目指すための、様々な社会的責任を行っていくことで、
企業活動のプロセスに社会的公正性や環境への配慮などを組み込み、
従業員、株主、顧客、コミュニティなどに対し責任を果たしていくこと
その結果、経済的・社会的・環境的な向上を目指すこと
この4つのキーワードは、どれかひとつに力を入れればよし!どれかひとつが実現すれば
よし!ではなく、全てが連動している必要があります。
例えば、ポジティブ・アクションのひとつとして、能力のある女性人材を評価し、管理職とし
て登用したとしましょう。しかしその本人自身が、管理職になったことで、家庭とのバランスを
崩すことになったとしたら、退職を選択するかもしれません。せっかくのポジティブ・アクション
も意味がありません。外国人労働者の採用枠を増やしたとしても、彼らの文化や宗教の違い
を反映できる環境がなければ、ワークライフ・バランスが壊れ、定着はせず、CSR(企業の社
会的責任)も達成できないことになります。
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成功事例
事例1
≪社員の適材適所を可能にする柔軟な職域創造で、生産性とモチベーションが向上≫
◆ダイバーシティ経営の背景
・ 社員全員に対して、男女差、正社員・パートなどの区分なく、気持ちよく働ける会社にしたいとい
うトップの強い意思によって、多様な制度や取組が実施されてきた。女性は結婚・出産等で離職す
るケースもあったが、会社の理念を共有した貴重な人材になるべく活躍してもらうため、職域を拡
大・開発しながら適材適所を実現している。
◆取組内容
・ 製造、販売、流通などの部門間で頻繁にジョブローテーションを実施し、複数部署の業務に精
通させることで繁忙期の柔軟な人員対応等を可能にしている。また、「前の職場」の常識や工夫を
「次の職場」に持ち込むことで、生産効率の向上や改善も実現させている。
・ 全社員が年度当初に作成する「年休取得計画」と、ジョブローテーションで可能となった「応援」
体制により、有給休暇取得率は100%を達成。24年間継続中。有給以外にも、社員のチャレンジ
意欲を支援するため、「公休利用制度」(年1回の公募で、2週間から最長2ヶ月の公休が付与)や
「社内旅行制度」(旅行費用の8割を会社が補助)などの取組も充実させている。
・ 多様なスキル・キャリアを社内に保有することが経営力につながるという視点で、食堂や農園、
検査室、コールセンター、システム開発、社内保育園まであらゆる業務を内製化し、社員の希望
や能力に応じた適材適所を実現している。
◆成果
・ 質の高い休暇取得や、各自の改善提案が直接的に自身の評価につながる仕組みにより、社員
の仕事への集中力やモチベーションが大きく向上した。また、社員からの自発的な工夫に基づく
徹底した効率化の実施により、生産性(経常利益率)が2008年度の7.5%から2011年度には10.1%
に上昇した。
・ 各種制度を活用した社員が社内外で様々なスキルや経験を身につけることで、新たな視点か
らの業務改善提案が生まれている。「公休利用制度」を用いて保育士資格を取得した女性社員を
中心に社内保育園を立ち上げるなど、優秀な人材の適材適所を叶えるための職域開発と両立支
援施策の実施を同時に実現させている。このような工夫により、社員のモチベーションや会社へ
のロイヤルティを高めることにつながっている。
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事例2
≪会社が期待をかけることにより、高齢者従業員が力を発揮し、組織力強化≫
◆ダイバーシティ経営の背景
豊かな経験と技能・技術を持った高齢者が職場にいる方が、集団として自然なあり方である
という考えのもと、定年(60 歳)後に再雇用する従業員に対しては定年を設けていない。 現
在では、全従業員のうち 60 歳以上の高齢者が1割以上を占めており、多くは定年前に担当し
ていた仕事をそのまま継続して担当している。社内には、“60 歳で一区切りし、後はのんびり
補助的な仕事でも”という雰囲気はなく、むしろ高齢者の主体的な仕事への取り組みが社内
を活性化させている面すらある。
◆取組内容
・定年後に正規従業員から嘱託社員となり実際に給料が下がるにもかかわらず、そこまで主
体的に働く原動力は何か。 キーワードは「期待」と言えそうだ。まず、定年近くになった従業
員にも研修を実施している。その研修のひとつは「場所的自己発見研修」と呼ばれ、自身の
性格や仕事ぶりを他者に指摘してもらい客観的に自身を見直し気づきを促す内容となってい
る。
・定年後の従業員のカウンセリングも充実させている。時間と費用がかかっても一人ひとり丁
寧に話し合う場を設け、会社としての期待を伝えると同時に、個人の望む職務内容とのすり
合わせを行う。カウンセリングは毎年徹底して実施している。これらの他にも、工場等の技術
部門では、ベテラン従業員と若手従業員でペアを組ませる等、技術・技能の伝承にも腐心し
ている。
・高齢従業員自身が自主的で前向きな活動を実施。 1点目は「憲章」を創設し、高齢従業員
の進むべき方向性を示し、高齢従業員全員の意識を高めようとしていること。主な内容として
は自ら率先垂範で若手の手本となる行動をとることや、地域への社会貢献等で構成されてい
る。実際の活動事例として、オジさんたちによる本社ビル周辺の掃除活動等がある。
2点目は「知恵袋」と呼ぶ、高齢従業員の得意とする技術や事業分野を図表にまとめたもの
を社内のイントラネットに掲載していること。
◆成果
・高齢従業員自身が長年培ってきた性格や習慣は修正するのが難しいものの、あらためて自
身を見直すチャンスがあることで、周囲への気配りやおざなりになっていた挨拶に変化が見ら
れる等、あらためて奮起を促すと同時に、組織のコミュニケーションの向上につながる効果が
表れている
・若手従業員が業務上の相談や質問をしやすくなり、社内のコミュニケーション促進の一助と
なっているとともに、若手従業員の意識やスキルも向上し、組織力が強化されている。
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事例3
≪現場に軸足をおいた課題解決と柔軟な働き方の導入で、社員一人ひとりの活躍を支援≫
◆ダイバーシティ経営の背景
「やってみなはれの社風をベースにした会社大好き人間の集団」。この強みが、大きくグローバル
へ舵を切る中では変革を阻むリスクになりかねないという危機感のもと、ダイバーシティ経営への
転換が図られた。性別・年齢・ハンディキャップ・国境の「4つの超える」を重点領域とし、それらに
共通する課題である、働き方革新・マネジメント革新・一人ひとりの考動革新に取り組んでいる。
◆取組内容
・ 現場の問題についてボトムアップで課題解決を図るために小集団での活動を実施。例えば、
「子育て環境プロジェクト」からは復職前後の育児支援施策、「短時間勤務者ユニット」からは多様
な働き方への改革、「営業女性ユニット」からは女性の職域拡大と環境整備、といった課題が挙げ
られ、それを具体的な解決に結び付けている。
・ 2010年、全社員を対象に「S流仕事術の創造」を打ち出した。ITのパワーを最大限に活用、これ
までの仕事のやり方を大きく見直し、決められた時間で最大の成果を出す。在宅勤務やフレックス
勤務も柔軟な運用ができるよう制度変更した上で、マネジャー全員に1日在宅勤務を体験させるな
ど活用定着に向けた取組の結果、2012年には社員の40%が在宅勤務を経験するほど普及してき
た。
・ また、2013年の人事制度改定では、マネジャーの評価項目に“ダイバーシティ”と“革新・創造”
を追加し、マネジメントの変革に向けて更に取組を進めている。
・ 女性が活躍し続けられる環境を整備したことで、ここ数年女性マネジャーが増加、マネジャー一
歩手前の層が厚みを増しパイプラインが確立してきた。2012年には初の女性役員も誕生した。
◆成果
・ 女性管理職の厚みが増した結果、新商品開発のプロセスなどにも女性が当たり前に関与する
ようになった。例えば50代以上向け通販スキンケア商品、低アルコール飲料の商品開発では、開
発部門の部長が女性、メンバーの過半数も女性であり、顧客ニーズに即応した商品開発の実現、
業績拡大に貢献している。
・ 社員意識調査でも、柔軟な働き方が会社にも個人にもプラスになっているとの結果がでており、
社員のモチベーションも更に向上している。時間と場所のフレキシビリティを最大化したことで、最
前線の営業現場などで活躍するワーキングマザーも現れるなど職域拡大に繋がっている。
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事例4
≪多様化する相談・業務に多様なスキルや経歴を有するスタッフで対応、顧客層を拡大≫
◆ダイバーシティ経営の背景
近年では、インターネット環境の発達に伴い、WEBからの個人顧客の相談依頼が増加しており、
相談内容の多様化に対応して、業務分野やノウハウも多様化させることが必要となり、それに合
わせてスタッフも多様化させてきた。
◆取組内容
・ 新規分野の仕事の依頼を受けた場合は、全社員への一斉メールで希望者を募り、挙手制とす
るなど社員の自発性を第一としている。また、「リミット8ルール」(20時以降の残業を原則禁止する
勤務時間ルール)を設定することで、問題の早期発見、早期対応を心がけるようになり、チーム内
で常に業務効率化が推進され、業務の進め方、業務量の平準化・標準化が徹底されており、育児
や介護を抱える社員の就業継続が実現されている。また、継続就業の環境が整い、安心感が醸
成されることで、社員が長期的な視点を持ちキャリアアップを前提とした業務への意欲向上につな
がっている。
・ 上司による人事評価だけでなく、社員それぞれが全員を評価する360度評価を実施しているた
め、日常的に業務報告、電話会議などを実施し、情報の共有化・理解促進に努めている。結果、
効率的で適切な業務分担等につながるとともに、評価の透明性も担保され、女性や外国人にとっ
て働きやすい環境づくりを推進することに成功し、チーム力の向上に結び付いている。
◆成果
・ WEB上に各スタッフの顔写真や自己紹介を公開することで、顧客からの親近感が増し信頼性も
高まり、特に女性や外国人の個人顧客の新規獲得につなげている。これに伴い、女性のスモー
ルビジネス起業の相談が増加する中で、手作り石けん販売の開業相談を受けた女性社員が強い
関心を持ち積極的に対応し、新たに薬事関連(化粧品や医療機器等)の業務範囲の拡大に成功
した。
・ 社員が、多様化する相談・手続業務に意欲的にチャレンジすることで、多様なスキルやノウハ
ウが組織に保有されたことを契機に、従来の手続代行にとどまらず新たにコンサルティングまで
業務範囲を拡大し、物流関係の大手企業顧客からも様々な案件を受託している。
・ 属性によらずやりがいある仕事にチャレンジできる組織に魅力を感じ、優秀な人材の獲得・定
着につながっている。また、個々のスタッフのスキルや意識も向上し、受託業務の範囲が拡大さ
れ、決算ベースで売上が1.5倍になるなど業績向上に結び付いている。