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2012年3月23日
平成23年度
「業務最適化のための業務モデリングに関する調査研究」
調査研究2:制度に基づく手続き情報の標準モデル化と検証
報告書
報告資料
1
0.目次
0.目次
1.調査の概要
(1)本調査研究の目的
(2)本調査研究における実施内容の概要
2.モデリングの検証
(1)検討対象手続の選定
(2)モデリングツールの選定
(3)検討
A.記載対象の抽出
B.法律の個別分析
C.法律の全体分析
D.課題、提言等
3.標準モデル化動向の整理
(1)調査概要
(2)各国政府におけるBRMの活用状況調査
(3)BRMの活用状況調査のまとめ
報告書 本編
P. 1
P. 3
P. 4
P. 5
P. 6
P. 7
P. 11
P. 12
P. 15
P. 82
P.109
P.120
P.121
P.123
P.199
2
0.目次
<別紙>
・モデリング結果
-別紙2(3)B①_1_特定家庭用機器再商品化法(第3章_小売業者の収集及び運搬)
-別紙2(3)B①_2_特定家庭用機器再商品化法(第4章_製造業者の引取)
-別紙2(3)B②_1_特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収業者の登録)
-別紙2(3)B②_2_特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン破壊業者の許可申請)
-別紙2(3)B②_3_特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収手続)
-別紙2(3)B③_1_省エネ法(工場等)
-別紙2(3)B③_2_省エネ法(輸送)
-別紙2(3)B④_1_育児介護休業法(育児休業)
-別紙2(3)B④_2_育児介護休業法(介護休業)
-別紙2(3)B⑤_1_鉱業法_鉱業権の許可(旧法)
-別紙2(3)B⑤_2_鉱業法_許可基準(旧法)
-別紙2(3)B⑤_3_鉱業法_鉱業権の許可(現行法)
-別紙2(3)B⑤_4_鉱業法_許可基準(現行法)
-別紙2(3)B⑥_e-Gov「経済産業大臣に対する申出」
-別紙2(3)B⑦_行政手続法(申請に対する処分)
-別紙2(3)B⑧_1_消費生活用製品安全法(EnterpriseArchitect版_重大製品事故の報告等)
-別紙2(3)B⑧_2_消費生活用製品安全法(ARIS-Express版_重大製品事故の報告等)
-別紙2(3)B⑨_e-Gov「特別用途食品の許可」
-別紙2(3)B⑩_中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(経営革新計画書の申請・承認)
-別紙2(3)C②_1_比較A.法律と手引書の違い(フロン破壊業者の許可申請_手引書ベース)
-別紙2(3)C②_2_比較A.法律と手引書の違い(フロン破壊業者の許可申請_法令ベース)
-別紙2(3)C③_1_比較B.モデル作成者の違い(経験が少ない担当者)
-別紙2(3)C③_2_比較B.モデル作成者の違い(経験が多い担当者)
-別紙2(3)C⑤_1_適合判断の表現(ゲートウェイカスケード接続)
-別紙2(3)C⑤_2_適合判断の表現(サブプロセス化)
<参考>
・【参考1 】検討対象手続の選定 初期の検討
・【参考2 】ヒアリング結果
報告書 別紙、参考
P.201
P.202
P.206
33
1.概要
1.概要
(1)本調査研究の目的
(2)本調査における実施内容の概要
44
(1)本調査研究の目的
1.調査の概要
業務・システムの最適化を進めるためには、業務を正確に表現し検討を行うための業務分析手法を導入していくことが重要
である。現在、政府においては業務・システム最適化指針に示された手法で業務分析を行うことが多いが、指針が策定されて
から時間が経過しており、新しい手法が台頭すると共に、業務を実現するためのプラットフォームが変化してきている。
電子政府で先行する米国政府においては、積極的にこれらの新しい環境に応じた業務モデリング手法を活用しており、政
府内部の業務分析を高度化すると共に、業務モデリングツール・マーケットの活性化や、民間に対する先進事例の蓄積を図っ
ている。
行政機関にとって、アカウンタビリティの確保、行政機関間のインタオペラビリティの確保の観点からも、標準化され可視化
ができる業務モデリングツールは非常に重要である。また、これらの新しい手法やツールの特徴として、業務モデリングからシ
ステム構築までが連携して行えることがある。 業務モデリングの成果物をシステムに展開できることは、開発期間の短期化、
品質向上等にも繋がっていく。
業務を正確に分析しモデルとして表記することと共に重要なのが、業務の標準モデル化である。米国政府が推進する
Enterprise Architectureでも参照モデルとして業務のひな形の検討を行っている。民間においても取引手順を標準モデル化し
たSCOR(Supply Chain Operation Reference model)が整備され、取引手順の意識の共有やシステム開発に役立てている。
標準モデルを整備することは、業務見直しなどの効率化を実現すると共に、誤手続きの防止等が可能になると考えられてい
る。
本事業は、政府内の業務・システムの最適化や調達プロセスにおける、新しい業務モデリング手法による高度化の
可能性、導入の可能性の検証を行うことを目的とする。
特に、行政の業務の基本となる、法律・手続き可視化の可能性を検証することを重点的に扱う。
具体的には、検証対象に選定した法律・手続きについて、業務フローのモデル化の実践を通じで、モデル化の課題
や効果を検討する。
55
(2)本調査研究における実施内容の概要
1.調査の概要
行政の制度は条文などの文字情報で表現されているが、手続きを表しているものについては業務のプロセス、フローとしてモデル
による表記を行うことが可能であると推測される。そこで制度の業務プロセス表記を試行し、制度の可視化を図り、制度可視化の効
果や、制度可視化時に表現しきれない事項などの制約などの検証を行った。また、米国政府の業務参照モデル(BRM)等のプロセス
面での活用に関する現状を調査し、その普及や活用状況を元に、制度可視化への示唆を整理した。
以下に実施内容の概要を記す。
大項目 小項目 概要
【1】
制度表記手
法としての
モデリング
手法の検証
(1)検討対象手続の選定
総務省が運営するe-Govの行政手続き案内検索などにある政府機関の手続・法律を選択
する。10種程度の手続・法律を行う。
(2)使用モデリングツール
の選定
検討に用いるモデリングツールを決定する。3種類のツールを使用。
(3)選定した手続の検討
手続根拠の法令などを参照しながら、選択した制度・法律をBPMNで記述する。
制度をモデリング手法で可視化した時に表現しきれない制約などの検証を行う。
(4)ヒアリング調査の実施 学識経験者や本件に関係する実務関係者など3名を実施。
(5)BPELで出力したイメー
ジの整理
BPMNで記述したモデルを、BPELによってエキスポートする。
BPELでエキスポートを行う場合の利点と欠点の整理を行う。
【2】
標準モデル
化動向の整
理
(1)米国政府BRM等に関
する調査
米国政府の業務参照モデルについて、業務の標準モデルという観点から普及や活用状況
を調査する。米国7機関程度へのヒアリングを実施。標準モデル化についての示唆を整理
する。
(2)民間や海外の類似事
例調査
業務参照モデルについて、海外での民間・公共の類似事例を調査し、整理する。
【3】報告書作成
上記の結果を踏まえて、課題の整理や今後の取り組み方向性検討などを実施し、本報告
書にまとめる。
66
2.モデリングの検証
2.モデリングの検証
(1)検討対象手続の選定
(2)モデリングツールの選定
(3)検討
7
強い制約
弱い制約
法令
法律
政令
省令
ガイドライン
手引書
手続書
公表物
(民間向け)
内部資料
(政府等公共向け)
(1)法律のみ
(2)法令のみ
(3)公表物
(1)検討対象手続の選定
2.制度表記手法としてのモデリング手法の検証
本調査では行政に関する制度についてモデリングを行った。対象とする制度を選定するにあたり法令並びに法令に関連のある文書の
分析を行う。法令には法律、政令、省令が存在する。その他法令に関連する資料としてガイドライン、手引書といった民間向けに公表さ
れている文書がある。また政府等公共向けには手続書といった内部資料が存在する。法制度としての制約力は法律が最も強く、次に政
令、省令の順に制約力を有する。公表物、内部資料の制約力は法令に比較すると弱い。
本調査では法律のみを対象とするのか、法令のみを対象とするのか、公表物を含めたものを対象とするのか、の検討を行い、
幅広く深堀調査を行うため法令、公表物を含めた文書を調査対象とすることにした。なお、今回は公表されている文書のみに限定した
(省庁内部の非公開文書は取上げない)。
今回の対象範囲
8
(1)検討対象手続の選定 ①法律の分析
2.モデリングの検証
本調査は「広く浅く検証を行うが、数を絞った一部の法令については深く分析する」という方針で作業を進めることとした。
本調査で対象とする法令を選定するにあたり以下の選定基準を設け、それぞれの評価を行った。
①手続きの量 (量が少ないものは対象外。但し条文数があまりにも多いものは対象外とする。)
②条件等表記バリエーションの存在有無 (分岐、複数関係者とのやりとり、並行、等の機能が含まれているものを選定)
③消費者寄り、経済産業省周辺の手続き (理解、評価を行いやすいものを選定)
④周知度の高さ、説明資料の豊富さ (公表物等が存在するものを選定)
また法律の条文からトップダウンでモデリングを行うだけではなく、実際に具体的に用いられている手続きからモデリングを
行う為にe-Govから手続選定を行った。
法律を選定する際には以下の選定比較表を用い評価を実施した。選定した内容は次葉をご参照いただきたい。
9
No 法律名 位置付け
モデリング
対象
所管省庁 ツール 備考
1
特定家庭用機器再商品化法
(家電リサイクル法)
全体深堀 全体 経済産業省
Enterprise
Architect
2
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実
施の確保等に関する法律
(フロン回収破壊法)
全体深堀
法令、手引書検証
部分
経済産業省
環境省
Enterprise
Architect
比較作業(A)
3
エネルギー使用の合理化に関する法律
(省エネ法)
全体深堀 部分 経済産業省 Intalio BPMS
4
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行
う労働者の福祉に関する法律
(育児介護休業法)
全体深堀 部分 厚生労働省 ARIS Express
5 鉱業法 法律・新旧比較 鉱業出願 経済産業省
Enterprise
Architect
直近に改正された
法律
6
経済産業大臣に対する申出(e-Gov)
(根拠法:家庭用品品質表示法)
e-Gov
個人から行政への申
請
経済産業省
環境省
Enterprise
Architect
7 行政手続法 モデラーの違い
7条「申請」について
の手続
総務省 ARIS Express 比較作業(B)
8 消費生活用製品安全法 ツールの違い 事故発生時の対応 経済産業省 ★ 比較作業(C)
9
特別用途食品の許可(e-Gov)
(根拠法:健康増進法)
e-Gov 複数省庁が関連 消費者庁
Enterprise
Architect
10 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法
律 申請に関する検証
9条「申請」について
の手続
経済産業省 ARIS Express 標準化の検討
(1)検討対象手続の選定 ②選定した法律
2.モデリングの検証
★:Enterprise ArchitectとARIS Expressでモデリングを実施。
※比較作業(A)、(B)、(C)は次葉ご参照
今回、調査対象とした法律は下記の通りである。
10
本調査ではモデリング表記について、個々の法律モデル化の評価・分析に加えて、以下の比較作業を
実施した。
比較作業(A) : 法令等のみを元にしたモデルに加えて、公表されている手引書等の情報を加えて修正した
モデルを別途作成。
- 法律のみのモデル、政令、省令を加えたモデル、を作成し比較を行う。
- 法律のみのモデルは抽象度の高いものになるので、どの部分との比較を行いたいかと
いう観点より作業内容を決定する。
比較作業(B) : 属性の異なる複数の作業者が同一の対象をモデル化を実施。
-特定のプロセス(法律の一部)に対しBPMN有識者成果物とBMMN非有識者成果物との比較
を行う。
比較作業(C) : 同一のモデル(全く同じモデル)を複数のツールで作成
- 特定のプロセス(法律の一部)に対し2つのツールで同じ作業者がそれぞれのモデルを作成
し比較を行う。
(1)検討対象手続の選定 ③比較作業
2.モデリングの検証
1111
(2)モデリングツールの選定
2.モデリングの検証
販売会社名 Intalio スパークスシステムズジャパン Software AG
製品シリーズ名 BPMS Enterprise Architect ARIS
製品細目 Community Edition デスクトップ版 ビジネスモデリング版 ARIS Express
特徴
無償
80%オープンソース
UMLモデリングツー
ルとしても高評価
BPEL変換が可能な
ソフトとしては安価
無償
文法確認機能の有無 ○ × ○ ×
業務シミュレーション機能の有無 ○ × × ×
コストシミュレーション機能の有無 ○ × × ×
プロトタイプやウォークスルーでの検
証機能の有無
○ × × ×
BPMN対応バージョン 2.0 1.1、2.0 1.1、2.0 2.0
システム形態
PC用
アプリケーション
PC用
アプリケーション
PC用
アプリケーション
PC用
アプリケーション
XPDL若しくはBPEL対応機能の有無 ○(BPEL) × ○(BPEL) ×
ツール市販の有無 無償配布有り 市販有り 市販有り 無償配布有り
今回の利用目的 BPMN作成、BPEL化 BPMN作成 BPEL化 BPMN作成
モデリングに使用するツールは無償若しくは安価なもので、且つIT業界で比較的利用者の多いツールを選定した。
選定したツールは以下の通り。
12
A.記載対象の抽出 ①関連政令の抽出
2.モデリングの検証 (3)検討
記載対象とした法律の条文から、関連する法律、政令、省令、手引書等を抽出した。抽出した内容に対し、モデ
リング記述対象となる条文や記載箇所の選別、記載単位の決定を行った。
法律と政令、省令の対応関係の
整理を行ったケース
13
記載対象とした法律の条文に対し、モデルを表記する際、どのようにタスクとして表記するかの検討を行った。
(実施方法)
1.条文をプロセス上にタスクとして表現できるかどうか、条件が付随するかどうかを条、項、号、毎に判定する
2.施行令、施行規則の参照箇所を三段対照表より調べてタスクの表現に影響するもののみ該当条文を記載する
3.条文をタスクにした場合の主語を判定する(主務大臣、製造業者等、等)
4.1タスクを表現するものを1つにグルーピングして採番し、表右側の主体別の列上にタスクを記載していく。
条番号 タイトル 法文
モデリン
グ可否
区分 条件 概要
不適な
事由 主語
<T1>
小売業
タスク
<T2>
主務大
臣タスク
<T3>
製造業
者タスク
<T4>
市町村
タスク
<T5>
指定法
人タスク
<T6>
その他
のタスク
第一章 総則
2
主務大臣は、前項に規定する勧告を受けた製造業者
等が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとら
なかったときは、当該製造業者等に対し、その勧告に
係る措置をとるべきことを命ずることができる。
プロセス ●
主務
大臣
T2-12
第二十九条
指定引取場
所の配置等
製造業者等は、指定引取場所の設置に当たっては、
地理的条件、交通事情、自らが製造等をした特定家
庭用機器の販売状況その他の条件を勘案して、特定
家庭用機器廃棄物の再商品化等に必要な行為の能
率的な実施及び小売業者、第三十二条第一項に規定
する指定法人又は市町村による特定家庭用機器廃棄
物の当該製造業者等への円滑な引渡しが確保される
よう適正に配置しなければならない。
プロセス
製造
業者
等
T3-11
2
製造業者等は、指定引取場所を指定したときは、当該
指定引取場所の位置について、主務省令で定めると
ころにより、遅滞なく、公表しなければならない。これを
変更したときも、同様とする。
プロセス ●
施行規則
第16条
製造
業者
等
T3-12
施行規
則参照
第三十条
市町村長等
による申出
市町村の長及び小売業者は、製造業者等が指定引
取場所を適正に配置していないことにより、当該製造
業者等が第十七条の規定により引き取るべき特定家
庭用機器廃棄物の当該製造業者等への引渡しに著し
い支障をきたす事態が生ずるおそれがあると認めると
きは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に対
し、その旨を申し出ることができる。
プロセス ●
施行規則
第17条
市町
村の
長及
び小
売業
者
T9-1
施行規
則参照
T9-1
施行規
則参照
① ③② ④
記述するタスクの単位を法令の
条文と対応付けて整理したケース
A.記載対象の抽出 ②タスク表記の検討
2.モデリングの検証 (3)検討
14
No 言い回し 例 BPMNでの表記案
1 ~とする。 定めるものとする。 通常のプロセスで表現
2 ~しなければならない。 協力しなければならない。 通常のプロセス(~する)で表現
3 ~することができる。 命ずることができる。 ① ゲートウェイで判断
② する場合、しない場合を記載
4 ~してはならない。 拒んではならない。
A.記載対象の抽出 ③BPMN表記法検討
2.モデリングの検証 (3)検討
各条文を以下の10種の区分を
使って分類。区分プロセスの条
文をモデリングする。
(区分)
・法の目的
・例外処理
・用語定義
・適用除外
・プロセス
・項目定義
・条件定義
・役割定義
・参照条文
・罰則規定
seq 区分名 判断基準・例
1
法の目的 目的  「この法律は(略)ことを目的とする。」
基本理念  主語がない。  「~なことから、~しなければならない。」
2 例外処理
3
用語定義 この法律に基づいて○○とは(略)をいう。
この法律に基づいて○○は以下の各号に当てはまるものをいう。(以下は略)
4 適用除外 ・法律の適用範囲自体を定める文言がある場合。
5
プロセス (1)文頭が主語 (国は、中小企業は、)
(2)文末は「~する」という形で役割を定める(以下、○○という、というように明確に指定される)
(3)発動条件は、概ね明確に条件(~のとき)やタイミング(年1回等)まで定義される。
6
項目定義 上位の条文に「以下の各号」とあり、号以下で列挙される。
※ データ項目中心と思いますが、プロセスも存在するかもしれません。
7
条件定義 1)場合 ~のとき○○する
2)タイミング ○月、○日、
3)制約 ○○するには~しなければならない
○○するには~に考慮するものとする
※ 「以下のとき、○○する」と集約され、個別条件は 「6.項目定義」 の形式で列挙されるケースあり
8
役割定義 (1)文頭が主語 (国は、中小企業は、)
(2)文末は「~する」という形で役割を定める(努力や義務、「その他必要な」など曖昧)
(3)発動条件はない。ある場合は、明確な条件(~のとき)やタイミング(年1回等)まで定義されない。(国
は、~のとき、○○を行う)
(4)許可するもの 「~を行うことができる。」
9
参照条文 1)必要な事項は、主務省令で定める。
2)○○法を準用する
10 罰則規定 1)次の各号のいずれかに該当する者は、~の罰金に処する。
法律上の表記の文面をBPMN上でどの
ように扱うかの考え方を整理。
法律に用いられる特定の言い回しの表記方法を検討する。また各条文に対し、区分を設け表記するか否かの検討を
行った。
15
Ⅰ.法律の構成
「特定家庭用機器再商品化法」(以下、家電リサイクル法)は経済産業省、及び環境省が所管する法律である。1998年(平成
10年)12月1日より一部が施行、2001年(平成13年)4月より全面施行された。同法律では下記内容が記載されている。
総則(第1章) 、 基本方針等(第2章) 、 小売業者の収集及び運搬(第3章) 、
製造業者等の再商品化等の実施(第4章) 、 指定法人(第5章) 、 雑則(第6章) 、 罰則(第7章)
当該法律は特定家庭用機器廃棄物の適正かつ円滑な収集及び運搬並びに再商品化等を実施することを目的とし、製造業者
等、小売業者、排出者らに対する義務、制度、措置について記載されている。
排出者から小売業者までの特定家庭用機器廃棄物の流れが「小売業者の収集及び運搬」、特定家庭用機器廃棄物の再商品
化までの流れが「製造業者等の再商品化等の実施」、再商品化や引取を製造業者に代わって行う指定法人については「指定法
人」に記載されている。その他の章には目的、条件、制約、規則に関する項目が記載されている。
関連法令として資源の有効な利用の促進に関する法律、政令、府省令、などが存在する。
法律の構成や関連法令に関する一覧を次葉にまとめている。
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (1/8)
16
Ⅰ.法律の構成
【家電リサイクル法】
補足
*関連法令
・現行法
-資源の有効な利用の促進に関する法律
-廃棄物の処理及び清掃に関する法律
・現行政令
-特定家庭用機器再商品化法施行令
-地球温暖化対策の推進に関する法律施行令
-特定物質の規制等によるオゾン層の保護に
関する法律施行令
・現行府省令
-特定家庭用機器再商品化法施行規則
1.総則(第1条~第2条)
-目的、定義の記載
2.基本方針等(第3条~第8条)
-基本方針と小売業者や製造業者らの責務
3.小売業者の収集及び運搬(第9条~第16条)
-小売業者の引取に関する取り決め
5.指定法人(第32条―第42条)
-指定法人の指定と運営に関する取り決め
6.雑則(第43条~第57条)
7..罰則(第58条~第62条)
目的が記載さ
れておりプロ
セスではない
ので対象外と
した
条件、制約、
規則等が主と
して記載され
ているため対
象外とした
※赤破線で囲まれている箇所から主たるプロセスを今回
モデリング表記した
リサイクルの
実施プロセス
でなく法人の
指定や監督
が主として記
載されている
ため対象外と
した
4.製造業者等の再商品化等の実施(第17条~第31条)
-製造業者による引取と再商品化に関する取り決め
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (2/8)
17
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅱ.モデリング結果
モデリング記述の対象範囲は小売業者の収集及び運搬(第3章)と製造業者等の再商品化等の実施(第4章)としている。
総則、基本方針等には法律の目的が記載されており、プロセスではないと判断し、モデリング対象外とした。また第5章では
指定法人の指定や監督といった管理面が記載されており、第3章、第4章で排出者から小売業者を経て製造業者へと
特定家庭用機器廃棄物が渡されていく一連の流れとの関係性からモデリング対象外とした。また、第6章以降では主に条件、
制約、規則が記載されている。これらはプロセスではないと判断し、モデリング対象外とした。
以下にモデリングを実施した代表例を記載する。
ⅰ.特定家庭用機器廃棄物の受け渡しのモデリング結果
ⅰ-① 小売業者の収集及び運搬
小売業者の収集及び運搬をモデリングするとプールは「排出者」、「小売業者」、「製造業者等」、「指定法人」の4ケから構成さ
れる。開始のトリガーは「排出者」の特定家庭用機器の引取の求めとなる。小売業者が引取の求めに応じて、「特定家庭用機器
を引き取る」を実施する。それに伴い小売業者は排出者に対して「収集及び運搬に関する料金を請求する」こととなる。また、小
売業者は排出者に対して、法で定められた「引取料金を請求する」ことを行う。排出者は引取料金を支払うか、または料金を支
払い済みであることを証する書面を提示することとなる。後者は一般の消費者に「家電リサイクル券」として認知されている。
小売業者は特定家庭用機器の引き渡し先となる製造業者等または指定法人に対して特定家庭用機器の引き渡しを行う。
ⅰ-② 製造業者の引取
製造業者は「小売業者」から特定家庭用機器廃棄物の引取を行う。製造業者は再商品化等に際して、小売業者に対し「再商
品化等に必要な行為に関し料金を請求する」ことを行う。小売業者は引取料金を支払うか、または製造業者等に対して、料金を
支払い済みであることを証する書面を提示することとなる。
また、製造業者は本法の主たる目的でもある「特定家庭用機器廃棄物の再商品化」を行う。この行為に際しては「地球温暖化
対策の推進に関する法律施行令」「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律施行令」によって指定された特定の
種類の冷媒を回収することが本法において義務付けられている。
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (3/8)
18
Ⅱ.モデリング結果「小売業者の収集及び運搬」のプロセスモデル
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (4/8)
詳細は別紙2(3)B①_1_特定家庭用機器再商品化法(第3章_小売業者の収集及び運搬)参照。
Business Process 別紙2(3)B①_1_特定家庭用機器再商品化法(第3章_小売業者の収集及び運搬)
<<Pool>>製造業者等<<Pool>>小売業者排出者<<Pool>>
特定家庭用機器廃棄物の発生
終了
特定家庭用機器廃棄
物を排出する場所での
排出
収集及び運搬に関する
料金の請求を受ける
特定家庭用機器の引
取を求める
特定家庭用機器を引き
取る
引取料金を請求する
特定家庭用機器を引き
渡す
収集及び運搬に関する
料金を請求する
料金を受領していることを
証する書面があるか法9条
法9条
法9条
法12条
法10条
法11条
引取料金を支払う
料金を受領しているこ
とを証する書面を提示
する
引取後の対応
引取の求めを受ける
法9条
引取料金の請求を受け
る
収集及び運搬に関する
料金を受け取る
収集及び運搬に関する
料金を支払う
料金を受領しているこ
とを証する書面の提示
を受ける
引取料金を受領する
終了
特定家庭用機器を収集する
終了
リサイクル券がある
リサイクル券がない
19
Ⅱ.モデリング結果
詳細は別紙2(3)B①_2_特定家庭用機器再商品化法(第4章_製造業者の引取)参照。
「製造業者の引取」のプロセスモデル
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (5/8)
Bus iness Process 別紙2(3)B①_2_特定家庭用機器再商品化法(第4章_製造業者の引取)
<<Pool>>指定法人
<<Pool>>製造業者等
<<Pool>>小売業者排出者<<Pool>>
特定家庭用機器を引き
取る
引取料金を請求する
特定家庭用機器の引き
渡し先を判断する
引取主体は製造業者か?
収集及び運搬に関する
料金を請求する
法9条
法12条
法10条
法11条
終了
引取後の対応
終了
特定家庭用機器廃棄
物の再商品化
冷媒の回収・利用・譲
渡・破壊
第18条2
令3条
再商品化等に必要な行
為に関し、料金を請求
する
再商品化の料金の請
求を受ける
料金を支払う
料金を受け取る
当該製造業者等が同
条に規定する料金を受
領していることを証す
る書面を提示する
令7条
書面の提示を受ける
第18条1
排出方法を案内する
特定家庭用機器を指
定団体に引き渡す
特定家庭用機器を製
造業者等に引き渡す
法19条
特定家庭用機器廃
棄物を引き取る
引取の求めを受ける
法9条
開始 終了
EndEvent1
製造業者等
料金が未払いの場合
料金が支払い済みの場合
指定団体
20
Ⅲ.モデリング分析
モデリング結果を受け家電リサイクル法の特徴についての分析を行う。
廃家電の再商品化制度を定めた法律であり、物の流れがわかりやすい。
家電リサイクル法は家電リサイクルに関係する排出者、小売業者、製造業者等の各主体に対して、その役割と
義務を説明し行為を促す法律である。製造された家電製品が再商品化されるまでの流れにおいて、いずれかの
主体の元に滞ることがあれば重い負担が生ずることとなり、環境負荷低減のための取り組みとして重要な持続性が
失われてしまうことになる。そのため、いわゆる「家電リサイクル券」を含めて理解しやすく、また、実際に取り組み
やすくするための工夫が法律の各所に見られる。特定家庭用機器廃棄物という実体を伴う物と、その処理費用とが
各主体を移転する部分に関して法手続き化された箇所はプロセスとしても連続性を持たせて記述することができた。
特に、再商品化の費用として排出者が支払った費用が一旦小売業者に移転し、小売業者からまた製造業者等に
移転する様子はパンフレット等にも記載される図であるが、条文に基づいて作成したモデリング結果においても
認識できる結果となった。
「同様」の条文はモデル上で共通化できるとは限らない
家電リサイクル法では例えば小売業者が引取の料金を公表するところ等において「同様とする」と記述された
箇所がある。小売業者の引取料金の公表では、引取料金を新たに設定する場合と、後から変更する場合との
それぞれにおいて、「あらかじめ公表しなければならない」という義務が課せられている。
当該部分のモデリングに際しては、新規に公表を行った後でないと変更は発生しないという制約に気づき、
「同様」を条文のように共通化して表現することは困難であった。共通化の方向性としてはループを使用する、
サブプロセスを使用するといった方法が考えられるが、「同様」のプロセスを共通としたとしても、後続のプロセスが
分岐するといった場合には当該条文を独立した複数のプロセスとして表現した方がわかりやすいケースも多いと
考えられる。本法律では「変更」について特有の後続処理がなかったため、「変更」を省略し「新規」のみを記述した。
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (6/8)
21
Ⅲ.モデリング分析
共通部品を探索する際、ボトムアップ的な探索が有効であった。
家電リサイクル法では小売業者と製造業者に対して主務大臣による指導を定めている箇所がある。そのうち、
小売業者においては引取料金が、製造業者においては再商品化の料金が適正な水準にない場合に行う指導では、
両者とも「料金」が「適正でない」という部分が似通っており、その指導に関する条文をモデリングした結果も同様な
プロセスとして描くことができた。条文上ではプロセスの類似性を検証することは煩雑な作業となるが、モデリング
結果であればその類似性は一目で判断することができる。類似する条文については、その条文同士を業務として
具現化する際に担当者、文書様式やシステム等を共通化し得る余地が大きいと考えられる。今回のアプローチの
ように条文を逐次的にモデリングし、その結果として得られたモデル上で類似性が窺われる箇所を
検証するというボトムアップな進め方であっても、共通部品となる候補を探索し得るものと考えられる。
共通部品を探索する際、トップダウン的な探索が有効であった。
家電リサイクル法では製造業者が再商品化を実施できない場合等には指定法人が代わって再商品化を行う
ことが定められている。この構造において、製造業者に対して定められた事項を指定法人が「準用」する箇所がある。
当該部分においてはモデリングの事前準備として条文の分析・整理を行う段階で「準用」という文言に着目する
ことによって、部品を共通化する等の方針を検討する事が可能である。
ただし、家電リサイクル法で準用箇所の1つである「法第20条 料金の公表等」と「法第34条 料金の公表等」は
それぞれ全社が製造業者等に対するもの、後者が指定法人に対するものであるが、当該条文で定められた事項は
「則第8条 公表は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法により行うものとする。」の
1プロセスでしかない。よって共通部品化することによるメリットがモデリングの作業者にとっても、モデルを
見る側にとっても実感し難い結果となった。もし準用箇所が複数プロセスから構成されていれば、当該部分を
サブプロセスに集約するといった方法で直観的に共通化されたことがわかりやすい結果が得られたであろう。
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (7/8)
22
Ⅲ.モデリング分析
プール間のメッセージフローに着目した合理的なサイクルの考案
家電リサイクル法では小売業者と製造業者等との間において、いくつかのメッセージフローが存在している。
一般にこうした制度において省庁側が事務手続きの相手となる場合には、様々な事業者は省庁の1箇所を窓口
として認識することとなる。または各地方拠点が事務を行う場合においても複数地域にまたがる事業者でなければ、
当該地域を担当する拠点の1箇所が窓口となる。この点では特に複雑さが見られない。
しかし小売業者と製造業者等のように複数の主体と複数の主体との間で文書等の送付が行われる場合には、
そのやり取りが複雑化しないかどうか注意する必要がある。仮定として、小売業者がm社存在し、製造業者が
n社存在するとして、小売業者が引き受けた書類を各製造業者に届けるといった場合を考えれば、その発送の
組み合わせは最大でm×nとなる。この流れを中間で一手に整理する代行者を設立した場合、小売業者m社は
すべて代行者に届けるだけで済むのでmとなり、代行者から製造業者への送付も同様にnとなるため全体での
組み合わせはm+nで済むこととなる。このような仕組みは家電リサイクル法の実際の運用でも指定引取場所という
形で存在している。他の事例では、例えば健康保険制度において健康保険組合と医療機関の間での請求支払の
仕組みに、また、インターネットショッピングにおいてECサイトとクレジットカード会社の間での決済代行という仕組みに
同じような構造が見られる。
この性質は、手続の窓口が単一ないし少数である省庁の場合には見られない現象であり、運用を始めるまで
事業者間の連携が複雑であるという問題点が見過ごされてしまう可能性がある。BPMNでは各主体毎にプールを設定し、
プールからプールへまたがる経路をメッセージフローとして記述する。法律の成立過程において法律案をモデル化し、
実施が義務化される事項の中から特に複数主体と複数主体との間でやりとりされるメッセージフローの量と性質を
事前検証することができれば、特に膨大な事務が想定される手続きについて指定法人等に見られるような事務効率化の
方策と合わせて導入することが可能となり、新たな制度を混乱なく導入する助けとなると考えられる。
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ①特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) (8/8)
23
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅰ.法律の構成
「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(以下、フロン回収破壊法)は経済産業省、及び
環境省が所管する法律である。2002年(平成14年)4月1日に施行された。同法律では下記内容が記載されている。
総則(第1章) 、 第一種特定製品からのフロン類の回収(第2章) 、 フロン類の破壊(第3章) 、 費用負担(第4章) 、
雑則(第5章) 、 罰則(第6章)
当該法律はオゾン層保護対策を進めるために、フロン類の廃棄、回収及び破壊処理を義務付ける制度、措置について記載さ
れている。
フロン類回収の手続等は「第一種特定製品からのフロン類の回収」、フロン類破壊の手続は「フロン類の破壊」、フロン類回収
の料金は「費用負担」に記載されている。その他の章には目的、条件、制約、規則に関する項目が記載されている。
関連法令として地球温暖化対策の推進に関する法律、政令、府省令、などが存在する。
法律の構成や関連法令に関する一覧を次葉にまとめている。
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保
等に関する法律(フロン回収破壊法) (1/7)
24
Ⅰ.法律の構成
【フロン回収破壊法】
補足
*関連法令
・現行法
-地球温暖化対策の推進に関する法律
-特定物質の規制等によるオゾン層の保護に
関する法律
-使用済自動車の再資源化等に関する法律
・現行政令
-特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の
確保等に関する法律施行令
・現行府省令
-特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の
確保等に関する法律施行規則
-特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の
確保等に関する法律に係る民間事業者等が行う
書面の保存等における情報通信の技術の利用に
関する法律施行規則
1.総則(第1条~第8条)
-目的、用語の記載
2.第一種特定製品からのフロン類の回収(第9条~第24条)
-フロン類回収業者の登録、回収方法に関する取り決め
3.フロン類の破壊(第24条~第36条)
-フロン類破壊業者の登録、破壊に関する取り決め
4.費用負担(第37条)
-フロン類回収の料金に関する取り決め
5.雑則(第38条~第54条)
6.罰則(第55条~第60条)
目的が記載さ
れておりプロ
セスではない
ので対象外と
した
条件、制約、
規則等が主と
して記載され
ているため対
象外とした
※赤破線で囲まれている箇所から主たるプロセスを今回
モデリング表記した
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保
等に関する法律(フロン回収破壊法) (2/7)
25
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅱ.モデリング結果
モデリング記述の対象範囲は第一種特定製品からのフロン類の回収(第2章)とフロン類の破壊(第3章)にした。
総則には法律の目的が記載されており、プロセスではないと判断し、モデリング対象外とした。また第4章以降では主に
条件、制約、規則が記載されておりプロセスではないと判断し、モデリング対象外とした。
以下にモデリングを実施した代表例を記載する。
ⅰ.フロン類の回収のモデリング結果
ⅰ-① フロン回収業者の登録
フロン回収業者の登録をモデリングするとプールは「第一種フロン類回収業を行おうとする者」と「都道府県知事」の2ケから
構成される。開始のトリガーは「第一種フロン類回収業を行おうとする者」の申請書提出となる。都道府県知事が「申請書」を受
付け、「基準に適合するか判断する」を実施する。適合する場合は「第一種フロン類回収業者登録簿に登録」を実施し、許可す
る旨を通知する。適合しない場合は、拒否する旨を通知する。
ⅰ-②フロン類回収手続
フロン類回収はフロン類回収業者へ直接フロン類を引き渡す場合、フロン類の引渡しを委託する場合、フロン類の引渡しを再
委託する場合がある。ここでは基本パターンとなりそうなフロン類の引渡しを委託する場合をモデリングする。フロン類回収をモ
デリングすると、プールは「第一種特定製品廃棄等実施者」、「第一種フロン類回収業者」、「フロン類破壊業者」、「都道府県知
事」の2ケから構成される。開始のトリガーは「第一種特定製品廃棄等実施者」のフロン類引渡しとなる。「第一種フロン類回収業
者」はフロン類の引取拒否の正当な理由がある場合は「引き取りを拒否する」を実施する。正当な理由がない場合は「主務省令
で定める基準に従いフロンを回収する」を実施し、「引取証明書を作成する」、「書面の写しを保存」等を実施し、「第一種特定製
品廃棄等実施者」に引取証明書を交付する。その後、「回収したフロンに再び冷媒として充てんしなかったものがあるか否か」等
の判断を行い、「運搬基準に従いフロン類を運搬する」を実施し、「第一種フロン類回収業者」に「フロン類を引き渡す」を実施し、
必要な記録を作成・保存する。
「第一種特定製品廃棄等実施者」は「第一種フロン類回収業者」から「引取証明書を受領する」、「引取証明書を保存する」を実
施し、引取証明書の内容が不適切、もしくは引取証明書に虚偽の内容がある場合は都道府県知事に報告する。
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等
に関する法律(フロン回収破壊法) (3/7)
26
2.モデリングの検証 (3)検討
ⅱ.フロン類の破壊のモデリング結果
フロン破壊業者の許可申請をモデリングするとプールは「特定製品に冷媒として充てんされているフロン類の破壊を業として
行おうとするものと「主務大臣」の2ケから構成される。開始のトリガーは「特定製品に冷媒として充てんされているフロン類の破
壊を業として行おうとするものと「主務大臣」の申請書提出となる。主務大臣が「申請書」を受付け、「基準に適合するか判断す
る」を実施する。適合する場合は「フロン類破壊業者名簿を作成する」を実施し、許可する旨を通知する。適合しない場合は、拒
否する旨を通知する。
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等
に関する法律(フロン回収破壊法) (4/7)
27
Ⅱ.モデリング結果
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等
に関する法律(フロン回収破壊法) (5/7)
「フロン回収業者の登録」のプロセスモデル
「フロン破壊業者の許可申請」のプロセスモデル
詳細は別紙参照
・別紙2(3)B①_1_特定家庭用機器再商品化法(第3章_小売業者の収集及び運搬)、
・別紙2(3)B①_2_特定家庭用機器再商品化法(第4章_製造業者の引取)
28
Ⅱ.モデリング結果
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等
に関する法律(フロン回収破壊法) (6/7)
「フロン回収手続」のプロセスモデル
詳細は別紙2(3)B②_3_特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収手続)参照。
29
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
モデリング結果を受けフロン回収破壊法の特徴についての分析を行う。
登録、申請のプロセスが類似している。
フロン回収業者の登録のプロセスモデル、フロン破壊業者の許可申請のプロセスモデルを比較すると、申請を行うもの、
許可を行うもの、等のプールは異なる。しかし、申請者の申請が開始のトリガーとなり、審査を行うものが審査を行った後に
申請者に結果を通知するというプロセスはほぼ同様になった。
法令をもとにしたプロセスモデリングが容易である。
フロン回収手続のプロセスモデルを見ると、アクティビティ、ゲートウェイの多くを条文から抽出し記載することができた。当
プロセスモデルは、第一種フロン類回収業者の引取義務(第20条第1項、第2項)、引取証明書(第20条の2第2項、
第3項~第5項)、第一種フロン類回収業者の引渡義務(第21条第1項、第2項)、回収量の記録等(第22条第1項)の条文を
もとにモデリングを実施した。これら条文は一見すると、別々のプロセスのように見えるが、注意深く条文の関係性を見る
ことで条文のつながりを見つけることができ、一連のプロセスとして記載することができた。
B.法律の個別分析 ②特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等
に関する法律(フロン回収破壊法) (7/7)
30
Ⅰ.法律の構成
「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(以下、省エネ)は経済産業省、資源エネルギー庁が所管する法律である。
1979年(昭和54年)10月1日に施行された。(前身の熱管理法は、本法の施行により廃止。)同法律では下記内容が記載
されている。
総則(第1章) 、 基本方針等(第2章) 、 工場等に係る措置等(第3章)、 輸送に係る措置(第4章) 、
建築物に係る措置等(第5章)、 機械器具に係る措置(第6章) 、 雑則(第7章) 、 罰則(第8章)
当該法律はエネルギー有効利用を行う為に工場・事業場、輸送、建築物、機械器具に係る事業者等に対する措置について
記載されている。
国(省庁)と事業主との申請等のやりとりは業種別に「工場等に係る措置等」、「輸送に係る措置」、「建築物に係る措置等」、
「機械器具に係る措置」の各章に記載されている。その他の章には目的、条件、制約、規則に関する項目が記載されている。
関連法令として政令、エネルギー算出基準を記載した府省令等が存在する。
法律の構成や関連法令に関する一覧を次葉にまとめている。
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (1/7)
31
Ⅰ.法律の構成
【省エネ法】
1.総則(第1条~第2条)
-目的の記載
2.基本方針等(第3条~第4条)
-エネルギーの使用の合理化に関する基本方針の
記載
補足
3.工場等に係る措置等(第5条~第51条)
-工場、事業場を設置して事業を行う者に対する
エネルギー使用の合理化に関する取り決めの記載
7.雑則(第82条~第92条)
8.罰則(第93条~第99条)
※赤破線で囲まれている箇所を今回モデリング表記した
条件、制約等
が記載されて
おりプロセス
ではないので
対象外とした
*関連法令
・現行政令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令
・現行府省令
- 厚生労働省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則
-エネルギー管理士の試験及び免状の交付に関する規則
-エネルギー管理講習に関する規則
-自動車のエネルギー消費効率の算定等に関する省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律に規定する
指定試験機関を指定する省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律に規定する
指定講習機関を指定する省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律第75条
第1項の規定に基づく建築物に係る届出等に関する省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律の規定に
基づく立入検査をする職員の携帯する身分を示す
証明書の様式を定める省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律の規定に
基づく立入検査をする職員の携帯する身分を示す
証明書の様式を定める省令
-エネルギーの使用の合理化に関する法律の規定に
基づく登録建築物調査機関等に関する省令
4.輸送に係る措置(第52条~第71条)
-輸送事業者、荷主に対する エネルギー使用の
合理化に関する取り決めの記載
5.建築物に係る措置等(第72条~第76条)
-輸送事業者、荷主に対する エネルギー使用の
合理化に関する取り決めの記載
6.機械器具に係る措置(第77条~第81条)
-住宅・建築物の建築主、住宅・建築物の所有者・
管理者、住宅供給事業者(住宅事業建築主)に
対する エネルギー使用の合理化に関する取り決め
の記載
工場等~、輸
送等とほぼ同
一のプロセス
が記載されて
いるので対象
外とした
目的、方針等
が記載されて
おりプロセス
ではないので
対象外とした
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (2/7)
32
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅱ.モデリング結果
モデリング記述の対象範囲は「工場等に係る措置等」(第3章)、「輸送に係る措置」(第4章)とした。「総則」、「基本方針等」
には法律の目的、基本方針が記載されており、プロセスではないと判断し、モデリング対象外とした。「建築物に係る措置等」と
「機械器具に係る措置は輸送に係る」はプロセスをモデリングした内容が「輸送に係る措置」と同一の形となると判断し、
モデリング対象外とした。「雑則」、「罰則」は主に条件、制約、規則が記載されておりプロセスではないと判断し、モデリング
対象外とした。
ⅰ.工場等に係る措置等のモデリング結果
工場等に係る措置等をモデリングするとプールは「事業者」、「経済産業大臣」、「事務所管大臣」の3ケから構成される。
事業者は年度当初にエネルギー利用量を算出し省エネ法適用対象事業者か否かを調査する。事業者は省エネ法適用対象
事業者と判断した場合には経済産業大臣にエネルギー使用状況届出を提出する。経済産業大臣はエネルギー使用届出書を
受領後、事業者に弁明通知書を送付する。事業者が事業の停止、廃業を行う場合やエネルギー利用量が基準値内に収まると
見込める場合には、事業者は省エネ法適用外の申請を弁明通知書を用いて経済産業大臣に申請する。
経済産業大臣は事業者からの届出を審査し省エネ法適用事業者否かを判断し、審査結果を事業者に通知する。この際、
経済産業大臣は事業者に対し特定事業者、特定連鎖化事業者、第1種/第2種エネルギー管理指定工場のどれに該当する
かを指定し、同指定内容を事業者に通知する。
事業者は指定された区分に従って必要となるエネルギー管理者を選任し選任果を経済産業大臣に通知する。
事業者は選任通知を行った後、定期報告書と中長期計画書を作成し、経済産業大臣と事務所管大臣に定期報告書と
中長期計画書を送付する。
関連法規として各種府省令は存在するがエネルギー利用量の算定基準についての記載が多くプロセスで表現するものは
見当たらない。また当施策に対しては資源エネルギー庁・省エネルギーセンターが作成した手引書「省エネ法の概要」が
刊行されているので、表記上必要なプロセスは法律条文からだけではなく手引書に記載されているプロセスも加味して作成
している。
工場等に係る措置等に関する年間のプロセスモデルは上記の1パターンにて表記できる。
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (3/7)
33
2.モデリングの検証 (3)検討
ⅱ.輸送に関する措置のモデリング結果
輸送に関する措置のモデリングは工場等に係る措置等のモデリングとかなり類似している。輸送に関する措置では、
①プール・プール数が違う、②エネルギー使用状況ではなく輸送能力で適用を判断する、③国からの弁明通知書の送付は
行われない、④区分が少ない、⑤エネルギー管理者の選任は必要ない、ということが挙げられる。
輸送に関する措置をモデリングするとプールは事業者、国土交通大臣の2ケから構成される。事業者は年度当初に輸送
能力を算出し省エネ法適用対象事業者(=特定貨物輸送事業者)か否かを調査する。事業者は省エネ法適用対象事業者と
判断した場合には輸送能力届出書を提出する。ただし事業者が事業の停止、廃業を行う場合や輸送量が基準値内に収まる
と見込める場合には、事業者は事業者指定取消申出を国土交通大臣に申請する。
国土交通大臣は事業者からの届出を審査し省エネ法適用事業者否かを判断し、審査結果を事業者に通知する。
事業者は定期報告書と中長期計画書を作成し、国土交通大臣に定期報告書と中長期計画書を送付する。
関連法規として各種府省令は存在するがエネルギー利用量の算定基準についての記載が多くプロセスで表現するものは
見当たらない。また当施策に対しては資源エネルギー庁・省エネルギーセンターが作成した手引書「省エネ法の概要」が
刊行されているので、表記上必要なプロセスは法律条文からだけではなく手引書に記載されているプロセスも加味して作成
している。
輸送に係る措置に関する年間のプロセスモデルは上記の1パターンにて表記できる。
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (4/7)
34
Ⅱ.モデリング結果
「工場等に係る措置等」のプロセスモデル
「輸送に係る措置」のプロセスモデル
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (5/7)
類似
エネルギー
管理者の選任
弁明書
事務所管大臣
表記が同一になっている
箇所をサブプロセス化して
同一部分、相違部分を明
示的に表記することも考
えられる。
詳細は別紙参照
・別紙2(3)B③_1_省エネ法(工場等)
・別紙2(3)B③_2_省エネ法(輸送)
35
Ⅲ.モデリング分析
モデリング結果を受け省エネ法の特徴についての分析を行う。
国への届出が盛込まれており、手続きなどの説明のある法律にて構造が若干複雑である。
省エネ法は制度を説明するだけではなく、事業者と国との手続きも記載されている実務的な法律である。制度の
説明だけを行う法律に比べ、構造は若干複雑になる。また事業者の所属する業種によって書類を提出する府庁が
異なる。個別の施策により、プール数も変わる。
また事業主の属する業種によって提出する書類も変わってくる。
同一プロセスと相違するプロセス。
工場等に係る措置等のモデリング結果と輸送に関する措置のモデリング結果は大部分は同一ではあるが、工場等に
係る措置等のモデリング結果の方がプロセス、分岐条件、書類が多く、若干複雑な形になっている。表記が同一になって
いる箇所をサブプロセス化して同一部分、相違部分を明示的に表記することも考えられる。但し単純に同一部分、相違
部分を元にサブプロセス化を行う場合には、サブプロセス化を行う箇所とサブプロセス化を行わない場所の表記で粒度
レベルが相違する可能性が高い。同一表記箇所のサブプロセス化を行う際には、表記に関する粒度レベルのガイド
ラインを設けサブプロセス化を行う必要がある。
表記方法の見直しが考えられる表記箇所。
同一の書類を複数の省庁に送付している箇所が工場等に係る措置等のモデリング結果に存在する。表記として冗長感が
あるので表記方法の見直しが考えられる。(手続きそのものの見直しを実施する、ということも考えられる。)視点を変えると
モデリング結果で表記に冗長感がある場合にはプロセスそのものが冗長的であるとも考えられる。モデリング結果に冗長感
がある箇所に対し、プロセス妥当性を検証する、という運用を行うことが考えられる。(詳細は次葉ご参照。)
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (6/7)
36
事
業
者
経
済
産
業
大
臣
事
業
所
管
大
臣
・冗長感あり →
-対応案1:表記方法を変更し
まとめて表記できる
ようにする
-対応案2:送付プロセスを見直し
2ヶ所への送付をなくし
1ケ所への送付を可と
する。(案:経産省から
事業所管省庁に電子
データを送付する仕組み
を構築して対応、等)
同一内容 同一内容
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ③エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法) (7/7)
Ⅲ.モデリング分析 ・・・冗長感のある箇所への対応
37
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅰ.法律の構成
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下、育児介護休業法)は厚生労働省が
所管する法律である。1992年(平成4年)4月1日に施行された。同法律では下記内容が記載されている。
総則(第1章) 、 育児休業(第2章) 、 介護休業(第3章) 、 子の看護休暇(第4章) 、 子の看護休暇(第5章) 、
所定外労働の制限(第6章) 、 時間外労働の制限(第7章) 、 .深夜業の制限(第8章) 、
事業主が講ずべき措置(第9章) 、 対象労働者等に対する支援措置(第10章) 、 紛争の解決(第11章) 、
雑則(第12章) 、 罰則(第13章)
当該法律は労働者と事業者との間で発生する育児、介護に関する休業、休暇、勤務時間に関する制度、措置について
記載されている。
労働者と事業主との申請等のやりとりは「育児休業」、「介護休業」の各章に記載されている。その他の章には目的、条件、
制約、規則に関する項目が記載されている。
関連法令として国家公務員、地方公務員に対する法律、政令、府省令、最高裁判所規則等が存在する。
法律の構成や関連法令に関する一覧を次葉にまとめている。
B.法律の個別分析 ④育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の
福祉に関する法律(育児介護休業法) (1/6)
38
Ⅰ.法律の構成
【育児介護休業法】
1.総則(第1条~第4条)
-目的の記載
2.育児休業(第5条~第9条)
-育児休業に関する利用者本人の申請、事業者の
審査、公務員に関する取り決めの記載
補足
3.介護休業(第11条~第16条1)
-介護休業に関する利用者本人の申請、事業者
の審査、公務員に関する取り決めの記載
12.雑則(第53条~第61条)
13.罰則(第62条~第68条)
※赤破線で囲まれている箇所を今回モデリング表記した
条件、制約、
規則等が記
載されており
プロセスでは
ないので対象
外とした
*関連法令
・現行法
- 国会職員の育児休業等に関する法律
- 国家公務員の育児休業等に関する法律
- 地方公務員の育児休業等に関する法律
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を
行う労働者の福祉に関する法律
- 裁判官の育児休業に関する法律
・現行政令
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う
労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の
一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の
整備に関する政令
- 防衛省の職員の育児休業等に関する政令
・現行府省令
- 厚生労働省令
- 人事院規則19-0(職員の育児休業等)
- [本法令] 育児休業、介護休業等育児又は家族
介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則
- 船員に関する育児休業、介護休業等育児又は
家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
施行規則
- 防衛省の職員の育児休業等に関する省令
4..子の看護休暇(第16条2~第16条4)
5.介護休暇(第16条5~第16条7)
6.所定外労働の制限(第16条8~第16条9)
7.時間外労働の制限(第17条~第18条)
8.深夜業の制限(第19条~第20条)
9.事業主が講ずべき措置(第21条~第29条)
10.対象労働者等に対する支援措置(第30条~第52条)
11.紛争の解決(第52条2~第52条6)
目的が記載さ
れておりプロ
セスではない
ので対象外と
した
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ④育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の
福祉に関する法律(育児介護休業法) (2/6)
39
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅱ.モデリング結果
モデリング記述の対象範囲は「育児休業」(第2章)と「介護休業」(第3章)にした。総則には法律の目的が記載されており、
プロセスではないと判断し、モデリング対象外とした。また第4章以降では主に条件、制約、規則が記載されておりプロセスでは
ないと判断し、モデリング対象外とした。
ⅰ.育児休業のモデリング結果
育児休業をモデリングするとプールは「労働者」と「事業主」の2ケから構成される。開始のトリガーは「育児休業取得の
申請」となる。その後労働者は「育児休業を申出る」を実施。事業主が「育児休業の申出」を受付け、「申込みを審査する」を
実施。事業主は「審査結果」を労働者に通知し、労働者は「審査結果を確認する」を実施する。事業主が行う「申込を審査
する」プロセスはサブプロセスとして展開され、労働者が申出に対し条件を満たしているか(「雇用された期間が1年以上か」、
「養育する子が1歳になる時点で雇用が継続される見込みか」)を判断し、「申請を却下する」のか「申請を認可する」のか、
「申込結果を判断する」を実施している。
育児休業の期間延長申請や育児休業の取消申請も法律に記載されている。この申請をプロセス表記した場合でも、
育児休業の申出と同様に労働者と事業主の間で申請・審査のやりとりを行うプロセスとなるので、取消申請のプロセス表記は
育児休業のプロセスと同一の形となる。今回は同一の形となるので育児休業の期間延長申請や育児休業の取消申請の
表記は割愛した。
関連法規には厚生労働省省令があるが、同省令第四条には「養育子の死亡、負傷、疾病」、「配偶者の死亡、負傷、疾病」、
「別居、離婚、養子適用」等個別条件発生時の審査判断基準が記載されているが、プロセスの形が変わる内容ではない。
その他の法律、省令でも公務員法と育児介護休業法とを関連付ける内容等でありプロセスの形は変わらない。
育児休業に関するモデルは上記の1パターンにて表記できる。
B.法律の個別分析 ④育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の
福祉に関する法律(育児介護休業法) (3/6)
40
2.モデリングの検証 (3)検討
ⅱ.介護休業のモデリング結果
介護休業のプロセスは育児休業のプロセスと同一である。
介護休業をモデリングするとプールは労働者と事業主の2ケから構成される。開始のトリガーは「介護休業取得の申請」と
なる。その後労働者は「介護休業を申出る」を実施。事業主が「介護休業の申出」を受付け、「申込みを審査する」を実施。
事業主は「審査結果」を労働者に通知し、労働者は「審査結果を確認する」を実施する。
事業主が行う「申込を審査する」プロセスはサブプロセスとして展開され、労働者が申出に対し条件を満たしているか
(「雇用された期間が1年以上か」、「開始日から起算して93日後時点で雇用が継続される見込みか」)を判断し、「申請を
却下する」のか「申請を認可する」のか、「申込結果を判断する」を実施している。
介護休業の取消申請も法律に記載されている。この申請をプロセス表記した場合でも、介護休業の申出と同様に労働者と
事業主の間で申請・審査のやりとりを行うプロセスとなるので、取消申請のプロセス表記は介護休業のプロセスと同一の
形となる。今回は同一の形となるので介護休業の取消申請の表記は割愛した。
関連法規には厚生労働省省令第29条があるが、同省令には「介護者の死亡」、「申出者の死亡、負傷、疾病」、「離婚」
等個別条件発生時の審査判断基準が記載されているが、プロセスの形が変わる内容ではない。
その他の法律、省令でも公務員法と育児介護休業法とを関連付ける内容等でありプロセスの形は変わらない。
介護休業に関するモデルは上記の1パターンにて表記できる。
B.法律の個別分析 ④育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の
福祉に関する法律(育児介護休業法) (4/6)
41
Ⅱ.モデリング結果
「育児休業」のプロセスモデル 「介護休業」のプロセスモデル
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ④育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の
福祉に関する法律(育児介護休業法) (5/6)
同一のモデルとなる
詳細は別紙参照
・別紙2(3)B④_1_育児介護休業法(育児休業)
・別紙2(3)B④_2_育児介護休業法(介護休業)
42
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
モデリング結果を受け育児介護休業法の特徴についての分析を行う。
制度を説明する法律にて構造がシンプルである。
育児介護休業法は制度を説明する種類の法律である。国の支援や罰則についての記述もあるがプロセス、条件、
制約、規制ということに関しては、労働者と事業者との間で必要最低限の法手続を記載したものである。当法律は
労働者や事業者が、国(各省庁)や地方自治体に申請・届出を行うことの無いものである。その為、提出書類に関する
記載も無いので法律プロセスとしては非常にシンプルな構造となっている。
当法律を実際に運営する際に事業者が労働者とやりとりを行う書類についても、当法律では具体的には定義して
おらず、各事業者にて運営書類を定義することになる。
上記法律上の特徴より、法律の構造は極めてシンプルに表現できる。
類似する施策をとりまとめた法律にて準用を多数利用。
育児介護休業法は「育児休業」と「介護休業」を中心に条文が記載されている。「育児休業」、「介護休業」の何れも
労働者から事業者に休業を申請する、という点では一致しており、法律条文も類似する内容で記載されている。また
条文では最初に「育児休業」に関し記載されているが、「介護休業」以降の章において同様なプロセス、条件、制約、
規則が定義する場合には「第XX条の規定は、XXXXXについて準用する。」という表現が多々用いられている。
当法律では「準用」という言葉を使うことで各施策が類似していることを表現しているが、結果、育児介護休業法の
プロセスをモデリングすると「育児休業」と「介護休業」とも同一の形となった。
B.法律の個別分析 ④育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の
福祉に関する法律(育児介護休業法) (6/6)
43
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅰ.法律の構成
「鉱業法」は経済産業省が所管する法律である。明治期からの旧鉱業法が1950年(昭和25年)に全面改正される形で
制定され、直近では2011年(平成23年)7月22日に改正法が施行された。同法律では下記内容が記載されている。
総則(第1章) 、鉱業権(第2章) 、 租鉱権(第3章) 、 勧告及び協議(第4章) 、 鉱物の探査(第4章の二) 、
土地の使用及び収用(第5章) 、 鉱害の賠償(第6章) 、 不服申立て(第7章) 、 補則(第8章) 、 罰則(第9章)
当該法律は、鉱物資源の合理的開発を行うことを目的としており、登録を受けた一定の鉱区において、登録を受けた
鉱物を掘採し取得する権利を採掘者に対して「鉱業権」として定めるという制度を中心として記載されている。
1950年(昭和25年)の制定以後、本格的な改正がなされてこなかったことから、
(1)資源政策上、適切でない主体の鉱区設定や出願が存在。
(2)当面の開発意欲のない者などによる実態を伴わない申請が存在。
(3)無秩序な資源探査活動の実施。
といった問題が生じており、2011年(平成23年)に以下の3点を含む改正法が施行された。
①鉱業権の設定等に係る許可基準の追加
②鉱業権の設定等に係る新たな手続制度の創設(先願主義の見直し)
③鉱物の探査に係る許可制度の創設
関連法令として鉱山保安法、土地収用法、政令、府省令、などが存在する。
法律の構成や関連法令に関する一覧を次葉にまとめている。
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (1/12)
44
Ⅰ.法律の構成
【鉱業法】
補足
*関連法令
・現行法
-鉱山保安法
-土地収用法
・現行政令
-鉱業法施行令
-鉱業登録令
-鉱業法関係手数料令
-鉱業法第6条の2の鉱物を定める政令
等
・現行府省令
-鉱業法施行規則
-鉱業登録令施行規則
等
1.総則(第1条~第10条
-目的、定義の記載
2.鉱業権(第11条~第70条)
-鉱業権の設定、変更、登録、鉱業の実施
5.土地の使用及び収用(第101条~第108条)
8.補則(第136条~第146条)
9.罰則(第147条~第152条)
※赤破線で囲まれている箇所から主たるプロセスを今回
モデリング表記した
4.1 勧告及び協議(第88条~第100条)
4.2鉱物の探査(第100条の二~第100条の十一)
6.鉱害の賠償(第109条~第125条)
7.不服申立て(第126条~第135条)
3.租鉱権(第71条~第87条)
直近の改正
箇所のうちの
一部を対象
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (2/12)
45
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅱ.モデリング結果
モデリング記述の対象範囲は直近の改正箇所である第21条(設定の出願)から第29条(許可の基準)とした。改正前では
第21条から第35条に相当する。条文の数だけを見れば記載内容が削減されたように見受けられるが、実際には旧法の
第29条から第35条までが新法の第29条(許可の基準)の項、号に整理されており、削除された条文はない。同時に、
経済産業省から発出された法改正の趣旨を説明する資料において「①鉱業権の設定等に係る許可基準の追加」とされた
ように許可の基準が項目数で5つ増えている。
ⅰ.鉱業権の許可プロセス全体のモデリング結果
鉱業権の設定を受けようとする者が願い出る対象が新法と旧法で変わっている。新法では経済産業大臣に願い出ることと
なっているが、旧法ではその対象が経済産業局長となっている。しかし別の条文では経済産業大臣は経済産業局長に対して
この部分を委任できることとなっていることから、モデリングを進めるにあたって新法、旧法のいずれも認可する側の主体を
「経済産業局長」にすることとした。
また、後述する「許可基準」は多くの判定基準を含んでおり、これを同一モデル上に展開すると可読性が落ちる懸念が
あったためサブプロセスとして切り出している。これにより全体のモデリング結果を比較した場合に大きな変化は見られ
なくなった。
ⅱ.鉱業権の許可プロセス「許可基準」部分のモデリング結果
鉱業権の設定を受けようとする者からの出願に対して、経済産業大臣(経済産業局長)が行う許可の基準が新法と旧法で
異なっている。許可が単純に追加されただけではなく、旧法の条文の一部を移動させることも行われたため、新旧対応表では
その変更の影響を読み取ることが難しい。しかし新旧のそれぞれの法律についてモデリングを行った結果、許可基準が
どのように変わったかを直感的に把握できるようになった。新旧の変更部分がより把握しやすいように以下の工夫を行った。
1)旧法のモデリングに際してはタスクを配置する際に元となった条文の並び順を無視し、新法をモデリングした際の
条文番号の並びに沿うように配置することとした。これにより2枚のモデルを見比べた際に旧法では存在しなかった
空白部分に新法のタスクが出現したようになり、追加された許可基準が目立つようになっている。
2)上述の配置における工夫と並行し、新法で追加された許可基準に相当するタスクの色を変えている。
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (3/12)
46
Ⅱ.モデリング結果
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (4/12)
平成23年の改正以前の「鉱業権の許可」のプロセスモデル
詳細は別紙2(3)B⑤_1鉱業法_鉱業権の許可(旧法)参照。
Business Process 鉱業法_鉱業権の許可(旧法)
<<Pool>>鉱業出願人<<Pool>>経済産業局長<<Pool>>関係都道
府県知事
<<Pool>>土地の
所有者
鉱業権の出願を
しようとする
書類(願書・鉱床説明
書)を提出する
第21条2項
書類を受け付ける
協議を依頼する
協議依頼を受ける
協議を行う
協議を行う
終了
石灰石、ドロマイト、耐火粘土、砂
鉱等地表に近い部分に存する鉱物
について採掘出願があり、その鉱
物の掘採により土地の利用を妨害
すると認めるとき
出願があった旨を通知
する
出願の通知を受ける
終了
土地の所有者の氏名
又は名称及び住所を
記載した書面の提出を
命ずる
鉱害を防止する方法を調査するた
め必要があると認めるとき
事業の設備に関する設
計書の提出を命ずる
事業の設備に関する設
計書の提出の命令を
受ける
許可判定を行う
終了
必要でない
認める
必要
必要ない場合
認めない
必要ある
場合
47
Ⅱ.モデリング結果
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (5/12)
平成23年の改正以前の「鉱業権の許可」の「許可基準」サブプロセスモデル
詳細は別紙2(3)B⑤_2鉱業法_許可基準(旧法)参照。
Business Process 許可判定を行う
<<Pool>>経済産業局長
許可判定を行う
許可基準の判定 申請期間の判定
その出願に係る試掘出願地が願書の発
送の時においてその目的とする鉱物と
同種の鉱床中に存する鉱物の鉱区と重
複しないこと。
その出願に係る採掘出願地が願書の発
送の時において次のいずれにも該当し
ないこと。
その目的とする鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の他人の鉱
区又は自己の採掘鉱区と重複
すること。
その目的とする鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の自己の試
掘鉱区と重複する場合におい
て、その重複する部分でなお試
掘を要すること。
その目的とする鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の自己の試
掘鉱区と重複する場合におい
て、現に当該試掘鉱区に係る鉱
区税の滞納があること。
その出願に係る鉱業出願地がその目的
となつている鉱物と異種の鉱床中に存
する鉱物の他人の鉱区と重複し、又は
その目的となつている鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の他人の鉱区と隣接
する場合においては、当該鉱業出願地
における鉱物の掘採が他人の鉱業の実
施を著しく妨害するものでないこと。
その出願に係る鉱業出願地における鉱
物の掘採が、経済的に価値があり、か
つ、保健衛生上害があり、公共の用に
供する施設若しくはこれに準ずる施設
を破壊し、文化財、公園若しくは温泉資
源の保護に支障を生じ、又は農業、林
業若しくはその他の産業の利益を損じ、
公共の福祉に反するものでないこと。
試掘権がその存続期間の満了前に消滅し、又は試掘鉱区の
減少があつた場合において、その試掘権の目的となつていた
鉱物と同種の鉱床中に存する鉱物を目的とする試掘出願があ
つたとき(その試掘出願地がその消滅した試掘権の鉱区又は
試掘鉱区の減少した部分に該当するときに限る。) その試掘
権の消滅又は試掘鉱区の減少の日から六十日(試掘権の残
存すべき期間又は残存する期間が六十日に満たないときは、
その期間)
採掘権が第五十五条の規定により取り消された場合におい
て、その採掘権を取り消された者以外の者による当該採掘権
の目的となつていた鉱物と同種の鉱床中に存する鉱物を目的
とする鉱業出願があつたとき(その鉱業出願地がその取り消さ
れた採掘権の鉱区に該当するときに限る。) その取消しの日
から六十日
第十五条第一項の規定による禁止が解除された場合におい
て、その禁止を解除された鉱物を目的とする鉱業出願があつ
たとき(その鉱業出願地がその禁止を解除された地域に該当
するときに限る。) その解除の日から三十日
終了
法29条
法30条
法31条
法35条
法32条の1
法32条の2
法33条
法30条
法31条(前半)
法31条(後半)
48
Ⅱ.モデリング結果
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (6/12)
現行の「鉱業権の許可」のプロセスモデル
詳細は別紙2(3)B⑤_3鉱業法_鉱業権の許可(現行法)参照。
Business Process 鉱業法_鉱業権の許可(現行法)
<<Pool>>鉱業出願人<<Pool>>経済産業局長(経済産業大臣より受任)<<Pool>>関係都道
府県知事
<<Pool>>土地の
所有者
鉱業権の出願を
しようとする
書類(願書・鉱床説明
書)を提出する
第21条2項
書類を受け付ける
協議を依頼する
協議依頼を受ける
協議を行う
協議を行う
終了
地表に近い部分に存する鉱物につ
いて採掘出願があり、その鉱物の
掘採により土地の利用を妨害する
と認めるとき
出願があった旨を通知
する
出願の通知を受ける 終了
土地の所有者の氏名
又は名称及び住所を
記載した書面の提出を
命ずる
鉱害を防止する方法を調査するた
め必要があると認めるとき
事業の設備に関する設
計書の提出を命ずる
事業の設備に関する設
計書の提出の命令を
受ける
許可判定を行う
終了
必要でない
認める
必要
必要ない場合
認めない
必要ある
場合
49
Ⅱ.モデリング結果
2.モデリングの検証 (3)検討
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (7/12)
現行の「鉱業権の許可」の「許可基準」サブプロセスモデル
Business Process 許可判定を行う
<<Pool>>経済産業局長(経済産業大臣より受任)
許可判定を行う
許可基準の判定 申請期間の判定
法29条1項
法29条2項
その出願に係る鉱業出願人が鉱物の合
理的な開発を適確に遂行するに足りる
経理的基礎及び技術的能力を有するこ
と。
その出願に係る鉱業出願人が十分な社
会的信用を有すること。
その出願に係る鉱業出願人が次のいず
れにも該当しないこと。(条件略)
その出願に係る鉱業出願地が第三十八
条第一項の規定により指定された特定
区域(特定区域の変更があつたときは、
その変更後のものとし、その願書の発
送の時の属する日以前に、同条第七項
の規定により公示されたものに限る。)
と重複しないこと。
その出願に係る試掘出願地が願書の発
送の時においてその目的とする鉱物と
同種の鉱床中に存する鉱物の鉱区と重
複しないこと。
その出願に係る採掘出願地が願書の発
送の時において次のいずれにも該当し
ないこと。
その目的とする鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の他人の鉱
区又は自己の採掘鉱区と重複
すること。
その目的とする鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の自己の試
掘鉱区と重複する場合におい
て、その重複する部分でなお試
掘を要すること。
その目的とする鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の自己の試
掘鉱区と重複する場合におい
て、現に当該試掘鉱区に係る鉱
区税の滞納があること。
その出願に係る鉱業出願地がその目的
となつている鉱物と異種の鉱床中に存
する鉱物の他人の鉱区と重複し、又は
その目的となつている鉱物と同種の鉱
床中に存する鉱物の他人の鉱区と隣接
する場合においては、当該鉱業出願地
における鉱物の掘採が他人の鉱業の実
施を著しく妨害するものでないこと。
その出願に係る鉱業出願地における鉱
物の掘採が、経済的に価値があり、か
つ、保健衛生上害があり、公共の用に
供する施設若しくはこれに準ずる施設
を破壊し、文化財、公園若しくは温泉資
源の保護に支障を生じ、又は農業、林
業若しくはその他の産業の利益を損じ、
公共の福祉に反するものでないこと。
前各号に掲げるもののほか、その出願
に係る鉱業出願地における鉱物の掘採
が内外の社会的経済的事情に照らして
著しく不適切であり、公共の利益の増進
に支障を及ぼすおそれがあるものでな
いこと。
試掘権がその存続期間の満了前に消滅し、又は試掘鉱区の
減少があつた場合において、その試掘権の目的となつていた
鉱物と同種の鉱床中に存する鉱物を目的とする試掘出願があ
つたとき(その試掘出願地がその消滅した試掘権の鉱区又は
試掘鉱区の減少した部分に該当するときに限る。) その試掘
権の消滅又は試掘鉱区の減少の日から六十日(試掘権の残
存すべき期間又は残存する期間が六十日に満たないときは、
その期間)
採掘権が第五十五条の規定により取り消された場合におい
て、その採掘権を取り消された者以外の者による当該採掘権
の目的となつていた鉱物と同種の鉱床中に存する鉱物を目的
とする鉱業出願があつたとき(その鉱業出願地がその取り消さ
れた採掘権の鉱区に該当するときに限る。) その取消しの日
から六十日
第十五条第一項の規定による禁止が解除された場合におい
て、その禁止を解除された鉱物を目的とする鉱業出願があつ
たとき(その鉱業出願地がその禁止を解除された地域に該当
するときに限る。) その解除の日から三十日
終了
法29条1項の一
法29条1項の二
法29条1項の三のイ・ロ・ハ
法29条1項の四
法29条1項の五
法29条1項の六
法29条1項の七
法29条1項の八
法29条1項の九
法29条2項の一
法29条2項の二
法29条2項の三
法29条1項の六のイ
法29条1項の六のロ
法29条1項の六のハ
詳細は別紙2(3)B⑤_4鉱業法_許可基準(現行法)参照。
50
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
モデリング結果を受け鉱業法の特徴について分析を行う。
「委任」の範囲選定への活用可能性
BPMNではプールやスイムレーン上にアクティビティを記載する。この特徴により、ある作業はどの主体が行うかという点が
非常にわかりやすくなる。しかしその反面、1つの作業について第一義的な担当者として考えられる主体が存在しており、
場合によってその主体から別の主体へと作業が委ねられるという「委任」についてはモデリングが難しかった。
今回は新旧の法律での相違点を明確化することに主眼を置き、また、モデリングの対象プロセスの全体が委任されて
いることから便宜的に経済産業大臣を経済産業局長と読み替えてモデリングを行っている。仮に、認可のプロセスのうちの
一部分だけが委任可能であるような場合を表現しようとすれば、委任を行う場合と委任を行わない場合とで同じ条文について
複数のダイヤグラムを生成するといった作業が必要になると考えられる。
なおこれによりモデリング作業の工数増が想起されるわけであるが、デメリットばかりではなく、委任を行う場合と
行わない場合とのモデルを見比べることで実務の負荷の違いを想定することができるというメリットもあると考えられる。
特に新法または法改正の条文案を作成している段階や、それらが成立し実務の設計に落とし込もうという段階にあっては、
法律の条文レベルで作成したモデルが実務設計のための議論の土台として活用し得ると考えられる。
例えば今回モデリングの対象では経済産業大臣から経済産業局長へ委任されるケースであったが、これは一般に各地方で
発生した事務手続きがその地方の経済産業局長に委任されるものと考えられる。これについて委任の実施有無や実施の
範囲を全国で統一する必要はなく、地方ごとの申請量や職員数等の実態を勘案して委任の範囲の広狭を最適化することが
可能であれば、事務負担の平準化や事務品質の向上に貢献し得るのではないかと考えられる。その検討の方法としては
条文そのものから行うよりも、モデルを作成した上で行うことが合理的であると考えられる。
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (8/12)
51
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
モデリング結果を受け鉱業法の特徴について分析を行う。
基準の追加部分についての説明力の向上
新旧鉱業法の条文を文章のみで比較しようとすると、条文はほぼそのままであっても条文番号が移動した項目がある
こともあり、難しく感じるところがある。法律の改正に際しては主管省庁から新旧対応表が公表されることが一般的であるが、
新旧対応表は条文番号に応じた新規、変更、削除を可視化しているために記載事項が移動したようなケースにあっては
表現が難しい。「第n条に移動」という記載方法も可能であるとは考えられるが、鉱業法の場合においては削除と新規という
対応がなされている。鉱業法の場合において出願者は民間の事業者等であって法律に通じているとは限らないことから、
法改正の発表を受けて自身に及ぼす影響を分析するために条文の点検に時間を要する可能性がある。(次葉、新条文・
旧条文参照)
新旧対応表とは別に法改正についてポイントを絞って解説する資料も公表されている。こちらの資料は個別の条文の
どのような部分が変わったかまで立ち入って説明をするという性格ではなく、1枚程度の分量で許可基準の追加以外の
変更点も含めた改正の全容を説明するために用意されている。出願者にとっては影響の有無と概要を把握することで
役立つと思われるが、一方で具体的な影響についてその内容まで把握できるほど詳細な説明はされていない。(次々葉、
説明資料参照)
新旧対応表は加除について厳密に説明しており、ポイント解説資料については全容を説明している。BPMNは特に
厳密に読む必要がなければ、特に文法に通じていなくともモデルに書かれた内容を比較的容易に理解することができる。
よって新旧対応表に基づいて今回作成したモデルのように変更の範囲を可視化した資料を作成すれば、影響を受ける側に
対しての親切な情報提供手段として活用し得ると考えられる。ポイント解説資料のように改正の概要を周知する位置づけの
資料との相性が良いと思われる。
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (9/12)
52
B.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (10/12)
新条文
旧条文
「鉱業法の一部を改正する等の法律案新旧対照条文」より抜粋
http://www.meti.go.jp/press/2011/12/20111220001/20111220001-6.pdf
新条文に追加された部分
※旧条文に存在するものが削除され
ここに追加された条文と、まったく新規に
追加された条文とがある
53
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (11/12)
「改正鉱業法について~改正鉱業法が平成24年1月21日施行されました~」関東経済産業局 資源エネルギー環境部 鉱業課
http://www.kanto.meti.go.jp/webmag/topics/1202topics.html
説明資料①
説明資料②
54
2.モデリングの検証 (3)検討
Ⅲ.モデリング分析
B.法律の個別分析 ⑤鉱業法 (12/12)
新条文旧条文
※赤枠は追加された条文
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