15. ある動物の生息に重要な要因として、エサの量が関係しているとい
う 1 つの仮説を R を使って検証した一例を紹介する。
フィールド調査
○動物 K のデータ収集
動物 K が生息している環境でいくつかの調査地を設定して、個体
数を目視でカウント。
調査時期は動物 K が活発で目撃しやすい春・秋の日中とした。
なお調査地は、動物 K が水田環境か否かによって個体数が異なる
ことが予想されたため、水田 2 種類、その他 2 種類の計 4 種類×3
地点で、合計 12 地点を選んだ。
○エサ生物のデータ収集
動物 K の調査と同じ調査地・時期において、任意の場所に 3 か所
の 1m×1m のコドラートを設置し、すべての無脊椎動物を採取。
動物 K が主食としているエサ S のバイオマス(生物量)を算出し
た。
なお各コドラートのデータは調査地ごとにプールして総量を使用
した。
生態学の R
ある野生動物の生息量をエサの量で説明してみる
nat
R-OJISAN GODO SHI Vol. 1 44
16. 解析
○GLM(一般化線形モデル)
動物 K の個体数にエサ S の量、また生息地タイプ(水田か否か)
が影響しているかどうかを調べる。
目的変数を動物 K の個体数、説明変数をエサ S のバイオマスとし、
定数項として面積を加え、誤差構造を負の二項分布、リンク関数を
log とした一般化線形モデル(GLM)で解析した。
library(MASS)
result <- glm.nb(animalK ~ offset(area) + esaS + habitat_type, data=data)
summary(result)
GLM(負の二項分布):
動物 K 個体数=offset(調査地面積)+エサ S 量+生息地タイプ(水田かその他か)
※目的変数が動物 K の“個体数”そのままでは調査地の大きさの影
響を受けるため、offset 項で調査地ごとの面積を入れることで“個体
数密度”として扱う。
※なお今回はデータの分散が平均よりも大きかったため、負の二項
分布を用いた。過分散でない場合はポワソン分布が無難。
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