マレーシア通信マルチメディア委員会は、6月5日に国内のICT統計をまとめた『Communications and Multimedia : Pocket Book of Statistics, 2019』を発表した。
ブロードバンド
2019年第4四半期国内のブロードバンド普及率は131.7%となり、2018年第4四半期の121.1%から10.6ポイント増加した。州別で見ると、連邦直轄領のクアラルンプールの普及率が263.4%で他を大きく引き離している。以降はペナン(153.9%)、ジョホール(150.1%)、セランゴール(144.5%)といった大都市が続いた。特に、ペナンは2018年第4四半期の138.9%から15.0ポイントもの増加であった。逆に、東海岸のトレンガヌとクランタン、そしてボルネオ島のサバ州は普及率が低い状況にある。
次にブロードバンド接続を見ると、2019年第4四半期時点での契約総数4,343万のうち、固定回線は僅か7%となっており、残り93%はモバイル接続となっている。固定回線接続の主流は光ファイバーに移っており、2019年第4四半期の契約件数は前年同期から17.2%増加し、全体の69%を占めた。また、モバイル接続については、4G利用が前年同期から45.4%の増加となり、全体の79%を占めた。逆に、3Gは減少が続いており、WiMAXについては統計上0%とされている。
次に固定ブロードバンド速度を見ると、2019年第4四半期では100Mbps超の契約数が152万となり、全体の51%に達している。マレーシア通信会社大手3社の固定ブロードバンドパッケージを見ると、各社とも光ファイバーを主流としており、30Mbpsを最低速度として高速化を推進、100Mbps超のパッケージが充実してきている。Cable.co.ukの2019年の調査では、マレーシアのインタネット接続速度は23.86Mbpsとなっており、アセアン諸国内ではシンガポールに次ぐ速度であった。
携帯電話
マレーシアの携帯電話普及率については、数年前には減少傾向であったものの、2018年第4四半期以降は増加を続けており、2019年第4四半期には135.4%を記録した。また、国内ではプリペイド利用者が支配的であるが、最近はポストペイドが拡大してきている。背景には、ポストペイドのパッケージでは安価或いは無料スマートフォンを含んだものがあり、人気が高まっていると思われる。州別では、サバ州を除いて携帯電話普及率は100%を超えているが、特にクアラルンプルは267.1%で他を圧倒しており、伸び率も高い。
政府政策
2019年10月11日に発表された2020年予算案では、マレーシアのブロードバンド料金が1年間で49%下がり、平均速度は3倍になったことが実績として示された。また、政府は今後5年間で国家ファイバー網接続計画を進め、総投資額は216億リンギットになるとしている。予算案においては、サバ州とサラワク州といった地域のデジタル化を推し進めるため、衛星ブロードバンド接続などを整備、公共施設や工業団地向けデジタルインフラ整備の他に、デジタル企業やデジタルマレーシア向けに予算が割り当てられた。