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- 1. 國領二郎 プラットフォームデザイン・ラボ 「創発経営のプラットフォーム –協働の情報基盤づくり-」
日本経済新聞出版社 2011年
本書には、「プラットフォーム」の概念の定義や理論的背景の解説が記され、続いて実証研究をベースにしたプラット
フォーム設計の8つの事例が紹介されている。拝読をしながら、自分が担う授業づくりも、まさに創発を目的としたプラット
フォームの設計であることに気づいた。授業づくりの視点から、以下に要点を記しコメントをさせていただく。
■本書の要点:「プラットフォーム」と「創発」について
1-1.プラットフォームの定義(p.1)
「多様な主体が協働する際に、協働を推進するコミュニケーションの基盤となる道具や仕組み」
1-2.プラットフォームが世界を変えうる力の源泉(p.2)
①相乗効果で二次関数的に大きな力となる現象
②多くのプレイヤーが活動をしているうちに、多様な資源が結合をして予想もしなかった新しい価値が次々に生まれる状態
1-3.プラットフォームの定義の仕方の特徴(p.20)
①協働の考え方を、明示的な目標を持たないで結果的に協働が成立するものまでを含む広い概念として捉える。
②プラットフォームの本質として、コミュニケーションの基盤提供を位置付けている。
③プラットフォームを「道具や仕組み」、すなわち、対象を人間にとって操作変更可能な道具に限定することで、プラットフ
ォームは単なる「理解」のための概念ではなく、具体的に社会に影響を行使しうる「政策」の概念となる。
1-4.プラットフォームについての補足
・帰結でなくプロセスを設計(p.3)
・プラットフォームの設計の焦点はコミュニケーション基盤の設計である。(p.5)
・多くのプレイヤーに課題解決に向けた共同を行ないやすくするようなコミュニケーションの道具を提供することによって、
創発的な解決を見出そうと考えるアプローチをとる
・トップダウンの「命令・統制型」の社会システムから、自律・分散・協調型の社会への転換(p.4)
2-1.創発の定義(p.16)
「あるシステムにおいて、その部分の総和とは異なる性質、特徴が、システムの全体においてあらわれる現象」(Luici.2006)
2-2.創発を誘発するプラットフォーム設計の指針(p.273)
①資源(能力)を結集して融合する空間をつくる。
②新しいつながりの生成と組み替えが常時起こる環境を提供すること
③各主体にとって参加の障壁が低く参加のインセンティブを持てる魅力的な場を提供すること
④規範を守ることで自発性を高める構造をつくること
⑤機動的にプラットフォームを構築できるオープンなインフラを整えること
3-1.まとめとして
・創発を「複数の主体が相互作用することで、必ずしも予測できない付加価値が生み出される」現象と捉えたとき、「多様な
主体が協働する際に、協働を促進するコミュニケーションの基盤となる道具や仕組み」であるプラットフォームは、主体間
のつながりを生み出し、相互作用を促進する存在である。(p.260)
・プラットフォーム設計⇒主体間相互作用⇒創発(p.10)
■コメント:プラットフォーム設計と授業づくり
先ず、今この場、この研究会や、飯盛義徳先生が担当する授業「地域情報化論」「ファミリービジネス論」「新事業創造
ワークショップ」も、研究会であり授業であり、「プラットフォーム」であり、ここにも創発がおきていると思います。
担当科目「キャリア形成概論Ⅰ」において…、学年・学部が異なる、それぞれにキャリア(≒人生)を持つ履修生(&社会
人も随時)が参加する。授業では、様々な教材・教具を活用し、個人・ペア・グループ・全体
ワークをおこないながら授業をみんなで創りあげていく。(基本をデザインしつつ履修生にあ
わせて柔軟に進めていく) それぞれが主体的に強みを発揮し、互いに刺激を与え・受けな
がら、そこから予期せぬ新しいものが生まれる。このプロセスを通して、各自がリフレクション
を繰り返していく。(授業では常にオリジナルの「グランドルール」を守る)
授業実践報告 「キャリア形成概論Ⅰ MOST」で検索 ⇒
以上
政策・メディア研究科 修士1年 正村あづさ
2014年6月2日(月)