腸内連合郡の野望
- 1. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
OTONABOX
腸内連合群の野望
人体シリーズ_no.01
- 2. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
1 なぜ我々の体は動くのか(機能するのか)?
2 脳は必要か?
3 腸は体の最大器官!
4 腸内フローラとは?
5 司令塔は誰か?
アジェンダ
- 7. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
脳は神経細胞の集まり、
生物は神経系とエネルギー代謝ができれば動ける
- 9. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
腸管神経系は食道から肛門ま
で神経ネットワークを構築。
消化管の運動、水や電解質の
輸送などの制御を脳を介さず
に行っている。
完全独立ではなく、緊急時は
脳からの司令を優先する。
筋層間神経叢
粘膜下神経叢
- 10. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
腸は自律的制御や中枢神経系に類似する機能に加え、
構成するニューロンの数が脊髄より多い。
だから「第二の脳」と言われる。
- 12. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
活動エネルギーを得るために
無意識化でわれわれは腸によって
行動をコントロールされている
- 13. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
では腸はどのような働きをしているのか?
胃や小腸で消化を行う。
小腸で栄養+水分の吸収
大腸はおもに水分の吸収
しかし、胃腸から分泌される酵素では
食物繊維は分解されない。
その役割は腸内細菌が行っている。
- 15. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
ヒトでは約3万種類、
100〜1000兆個が腸内に生息、
1.5kg-2kgの重量になる。
(ヒトの細胞数は60〜70兆個程度)
- 16. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
腸内細菌の働きとは?
食物繊維を分解し、
酢酸、酪酸、プロピオン酸など短鎖脂肪酸を生成する。
これらはエネルギー消費を調節する作用をもつ。
腸内細菌のバランスが崩れると
エネルギー消費の調節も異常となり、肥満や糖尿病につながる。
さらに、酢酸や酪酸、プロピオン酸からGABAやセロトニンなどの神経伝達
物質が合成される。これらは感情に影響する作用をもつ。
心の安らぎや、睡眠を調整するセロトニンの約90%は腸の粘膜に存在。
腸内細菌は病原菌などから身体を守る免疫システムとしても重要。
免疫細胞の60%は腸に存在。
抗体を作るB細胞の70%は腸管に存在し、抗体の70%も腸で作られる。
- 17. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
腸内細菌のバランスが崩れる原因
①食事
②ストレス
③抗生物質
- 18. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
48日間、マウスに高脂肪食を与える。
脂肪が60%増加して肥満に。
インスリン抵抗性を示した。
普通食に戻して4週たつと、比較していた普通食
のマウスと腸内細菌がかなり似た構成となり、
10週たつと見分けがつかないレベルに戻った。
例1 マウスの食事実験①
- 19. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
例1 バブルマウスによる食事実験②
A・ムシニフィラという細菌の数が減り、リポ多
糖の濃度が上がっていた。
そこで、肥満マウスにA・ムシニフィラを大量に
与えるとリポ多糖濃度が下がり、肥満も減った。
肥満マウスの腸内細菌入りの餌と、痩せたマウス
の腸内細菌入りの餌とを用意。
腸内が無菌のマウス2群にそれぞれの餌を与えた
ところ、同一量・栄養の餌にも関わらず、肥満マ
ウスの腸内細菌入りの餌を食べたマウスの脂肪量
が増えた。
- 20. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
迷走神経を遮断すると、早くあきらめる。迷走神
経が腸の情報を脳に伝える、かる、腸に存在する
細菌が脳にとって重要だと判明した。
過度のストレスを与えて鬱にしたマウスは、泳ぐ
ことをあきらめるのが早い。
A・ラムノサスという細菌を餌として与えたマウ
スは、与えていないマウスより泳ぎ続ける。つま
り、A・ラムノサスはストレスを和らげる働きに
関与していると考えられる。γ-アミノ酸の受容体
が多く発生していることが確認されている。
例2 ストレス耐性 強制水泳試験
- 21. © 2019- OTONA BOX© 2019- OTONA BOX
重症のアレルギー患者さんや多発性硬化症の患者さ
んは、腸内でクロストリジウム菌が少なくなってお
り、Tレグを産生する働きが弱くなっている可能性
がある。
免疫細胞は外敵を攻撃する役目以外に「ブレーキ役
」となるTレグが存在。過剰に活性化した自己免疫細
胞を抑え、アレルギーや自己免疫疾患を抑えている
ことがわかってきた。
腸内にいるクロストリジウム菌が食物繊維を分解す
ると酪酸を産生。酪酸が腸壁を通って免疫細胞に受
け取られるとTレグへと変身。
例3 自己免疫疾患
Editor's Notes
- 1 本の神経細胞では末端まで電気信号で情報や指令を伝えている(伝導)。 一方、神経細胞から別の神経細胞、もしくは、神経細胞から筋肉に情報を伝えるときには神経伝達物質である化学物質で情報を伝えている(伝達)。
- 神経叢とは、末梢神経が分岐し吻合してつくる網目状構造の神経細胞の小集団。脊椎動物の頸,腕,腰仙骨,陰部,心臓,腹腔の各神経叢や,腸管壁内にあって腸管平滑筋にいくものなどがある。
- ”腸は第二の脳”と呼ばれているけど、むしろ原初の脳と言ってもいいかも。