SlideShare a Scribd company logo
1 of 19
Download to read offline
Community & Relationship
NPO法人CRファクトリー
コミュニティキャピタル研究会
シンポジウム
~NPO構成員調査から見えてきたコミュニティを良くする3つの因子~
Community & Relationship
NPO法人CRファクトリー
コミュニティキャピタル研究会
上智大学心理学科
久田満教授
上智大学経済学科
川西諭教授
CRファクトリー
呉哲煥
コミュニティキャピタル研究会とは

	
現代の日本社会は「無縁社会」とも呼ばれ、人と人との関係性が
希薄になる中で、居場所がない、相談する人がいないという人が
増加しています。
そのような社会の中で、様々な団体内の人間関係をコミュニティと
捉え、その効果や理想的あり方についての社会的な関心は高まっ
ています。
	
 私たち、上智大学(久田研究室・川西研究室)とNPO法人CRファ
クトリーの共同研究プロジェクト「コミュニティキャピタル研究会」は、
より良いコミュニティのあり方(「コミュニティ」と「幸福度」「パフォー
マンス」などの関係性)について2012年度から研究・調査を重ね
ております。
 今年度から田渕六郎先生をメンバーに迎え、さらにパワーアップ
して活動をしています。
コミュニティキャピタル研究会とは

	
コミュニティと呼ぶにふさわしい集団の状態というものは、一朝一
夕で作られるものではなく、継続的な努力の積み重ね(投資)に
よって形成される資本と言える。	
	
そこで、我々はその資本(集団の状態)をコミュニティキャピタルと
呼ぶことにした。
コミュニティキャピタル研究会	
コミュニティキャピタルと	
ソーシャル・キャピタルの違い
 
上智大学コミュニティキャピタル研究会	
  
~第1回シンポジウム~	
  
	
上智大学心理学科	
  
(コミュニティ心理学研究室)	
  
久田満	
  
コミュニティの状態を決める3つの因子
背景	
・心の病(特にうつ病)の増加	
  
・高い自殺率(年間約30,000人)	
  
・インターネットの普及によって孤立する若者の増加	
  
 例:ネトゲ廃人	
  
⇒ コミュニティの崩壊・機能不全	
  
 すなわち、「コミュニティによってもたらされる
キャピタル」の欠乏状態の恒常化	
  
上智大学コミュニティキャピタル研究会	
2012年10月29日設立	
  	
  
<取り組むべき課題>	
  
課題(1):各種コミュニティの状態を測定(数値化)できる	
  
ツール( 尺度)の作成	
  
課題(2):その尺度で各種コミュニティ(例:NPO団体)の	
  
      状態を測定し、問題点を抽出する。	
  
課題(3):その問題点を解決する方略を実行し、改善する。	
  
•  幸福感	
•  健康	
•  QOL	
個人	
  
レベル	
• 生産性(利益)	
• 活性化	
• 顧客満足	
組織	
  
レベル	
コミュニティフォーラム2015 久田満	
2015/3/1	
 仮説モデル(Perkins&Long,2002)
コミュニ
ティ感覚	
近所	
  
付き合い	
集合的
効力感	
市民

参加
初年度の研究テーマ	
 NPO団体の構成員のコミュニティ
感覚を測定する心理尺度の作成	
  
予備調査	
•  目的:調査方法の検討と質問項目の絞り込み	
  
•  調査期間:2014年1月~2月	
  
•  方法	
  
   対象:交流のあるNPO17団体の構成員329名	
  
   データ収集:ウェブによる無記名調査	
  
   データ分析:暫定88項目の心理測定学的分析	
  
•  結論:3因子36項目に絞られた
本調査	
•  目的:より少ない質問項目でのコミュニティ感覚の測定	
  
•  調査期間:2014年11月~2015年1月	
  
•  方法	
  
   対象:96団体の構成員 回答者:691名	
  
   データ収集:ウェブによる無記名調査	
  
   データ分析:因子分析及び信頼性・妥当性の検討	
  
•  結論:	
  3因子16項目の心理尺度が完成	
  
     (16項目をそれぞれ4段階で評定する)	
  
第1因子(8項目)-理念共感と貢献意欲	
•  この団体に貢献したい	
  
•  この団体に所属していることを誇りに思う	
  
•  この団体の活動理念に共感している	
  
•  この団体のためなら、とことん頑張れる	
  
•  この団体が理屈抜きで好きだ	
  
	
  	
  (他4項目)	
  
第2因子(4項目)-自己有用感	
	
  
・自分はこの団体に欠かせない存在だ	
  
・自分はこの団体の中で重要な役割を任されている	
  
 (他2項目)
第3因子(4項目)-居心地の良さ	
・この団体の仲間といると落ち着く	
  
・この団体は、居心地がよい	
  
 (他2項目)
妥当性(仮説モデル)の検討	
<方法>	
  
 3つの因子と精神的健康度との関係をみる。	
  
<結果>	
  
 第1因子、第2因子、第3因子との間に、	
  
 正の相関(相関係数0.24~0.37)が見られた。	
  
 すなわち、コミュニティ感覚が高いほど精神的
に健康であるといえる。	
  
	
  
	
  
•  幸福感	
•  健康	
•  QOL	
個人	
  
レベル	
•  生産性(利益)	
•  活性化	
•  顧客満足	
組織	
  
レベル	
われわれの仮説モデル
理念共感と
貢献意欲
•  チームビルディング	
•  コミュニケーション	
•  マネジメント
NPO法人CRファクトリー
コミュニティキャピタルの3因子
         理念共感と貢献意欲
      自己有用感
      居心地の良さ
NPO法人CRファクトリー
診断実施/提携・連携について
■コミュニティキャピタル診断を
       自分の団体でやってみたい
■コミュニティキャピタル研究会との
        提携・連携をしていきたい
と考えていらっしゃる方は、ぜひお声掛けください
19

More Related Content

Similar to コミュニティキャピタル研究会シンポジウム

160917社会教育学会報告レジュメ
160917社会教育学会報告レジュメ160917社会教育学会報告レジュメ
160917社会教育学会報告レジュメRyogo Ogino
 
背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜
背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜
背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜Takahiro Haseyama
 
141122公民館研修会報告ハンドアウト
141122公民館研修会報告ハンドアウト141122公民館研修会報告ハンドアウト
141122公民館研修会報告ハンドアウトRyogo Ogino
 
河野ゼミ紹介2014
河野ゼミ紹介2014河野ゼミ紹介2014
河野ゼミ紹介2014義広 河野
 
コミュニティカレッジさくら20150531
コミュニティカレッジさくら20150531コミュニティカレッジさくら20150531
コミュニティカレッジさくら20150531義広 河野
 
家族を育むスタイル・ランゲージ - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)
家族を育むスタイル・ランゲージ  - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)家族を育むスタイル・ランゲージ  - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)
家族を育むスタイル・ランゲージ - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)Takashi Iba
 
「つながり」と「コミュニティ」の重要性
「つながり」と「コミュニティ」の重要性「つながり」と「コミュニティ」の重要性
「つながり」と「コミュニティ」の重要性克彦 岡本
 
公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介
公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介
公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介Shingo Toride
 
140914教育社会学会報告
140914教育社会学会報告140914教育社会学会報告
140914教育社会学会報告Ryogo Ogino
 
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろうYoshihiko Suko (Ph.D) / BADO! Inc. of CEO
 
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601義広 河野
 
150412社教学会プロジェクト報告
150412社教学会プロジェクト報告150412社教学会プロジェクト報告
150412社教学会プロジェクト報告Ryogo Ogino
 
コミュニティキャピタル研究会成果報告会スライド
コミュニティキャピタル研究会成果報告会スライドコミュニティキャピタル研究会成果報告会スライド
コミュニティキャピタル研究会成果報告会スライドcrfactory
 
みつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トーク
みつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トークみつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トーク
みつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トークTakashi Iba
 
LT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdf
LT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdfLT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdf
LT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdf昌史 大石
 
IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方
IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方
IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方法林浩之
 
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」Yoshihiko Suko (Ph.D) / BADO! Inc. of CEO
 

Similar to コミュニティキャピタル研究会シンポジウム (20)

160917社会教育学会報告レジュメ
160917社会教育学会報告レジュメ160917社会教育学会報告レジュメ
160917社会教育学会報告レジュメ
 
背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜
背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜
背中の預け方 〜治験事務局の本音からコミュニケーションを考える〜
 
141122公民館研修会報告ハンドアウト
141122公民館研修会報告ハンドアウト141122公民館研修会報告ハンドアウト
141122公民館研修会報告ハンドアウト
 
河野ゼミ紹介2014
河野ゼミ紹介2014河野ゼミ紹介2014
河野ゼミ紹介2014
 
コミュニティカレッジさくら20150531
コミュニティカレッジさくら20150531コミュニティカレッジさくら20150531
コミュニティカレッジさくら20150531
 
家族を育むスタイル・ランゲージ - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)
家族を育むスタイル・ランゲージ  - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)家族を育むスタイル・ランゲージ  - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)
家族を育むスタイル・ランゲージ - 日々の世界のつくりかた - (ORF2017)
 
「つながり」と「コミュニティ」の重要性
「つながり」と「コミュニティ」の重要性「つながり」と「コミュニティ」の重要性
「つながり」と「コミュニティ」の重要性
 
181108 akita
181108 akita181108 akita
181108 akita
 
公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介
公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介
公共コミュニケーション学会 茨城部会の紹介
 
140914教育社会学会報告
140914教育社会学会報告140914教育社会学会報告
140914教育社会学会報告
 
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第3回 マイプロジェクトを創ろう
 
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
 
150412社教学会プロジェクト報告
150412社教学会プロジェクト報告150412社教学会プロジェクト報告
150412社教学会プロジェクト報告
 
コミュニティキャピタル研究会成果報告会スライド
コミュニティキャピタル研究会成果報告会スライドコミュニティキャピタル研究会成果報告会スライド
コミュニティキャピタル研究会成果報告会スライド
 
みつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トーク
みつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トークみつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トーク
みつかる+わかる 面白ゼミ(第2回)井庭トーク
 
AoyamaUniversity
AoyamaUniversityAoyamaUniversity
AoyamaUniversity
 
Sakai 20121013
Sakai 20121013Sakai 20121013
Sakai 20121013
 
LT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdf
LT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdfLT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdf
LT用スケールフリーネットワークと組織開発.pdf
 
IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方
IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方
IT業界におけるコミュニティの重要性と関わり方
 
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第1回 あなたと「ボランティア」
 

コミュニティキャピタル研究会シンポジウム