2013年9月26日の情報デザインセミナーで話したスライド。

1. 内部観測研究室(高橋研)
齋藤慧太朗 12RMJ15
囚人のジレンマ的状況
を含んだ避難時のフロ
アフィールドモデル
情報デザインセミナー 2013.9.26

2. 興味
•LSモデル
•人間の認知バイアスを含むモデル
•対称性バイアス・相互排他性バイアスを持つ
•人間の直観をよく表現している。
•囚人のジレンマ
•ゲーム理論、行動経済学で研究されている。
•人と人の相互作用を見れる。

3. 背景
•渋滞学において渋滞について様々なモデル
が作られている。
•確率過程を使った待ち行列理論
•人や物を連続の粒子として捉える流体モデル
•セルオートマトン…etc
•様々なことが分かってきている。
•車が渋滞する原因の究明
•電車の遅延モデル
•避難時に通路に障害物を置くと早く避難でき
る
•…etc

4. 今回のお話
歩行者が移動するとき他人と進路が被っ
た場合、囚人のジレンマ的な状況になっ
ているのではないか？
•避難時の混雑に注目。
•渋滞のモデルにはセルオートマトンの
一種のフロアフィールドモデルを使
う。
•囚人のジレンマを組み込む。

5. セルオートマトンとは？
•格子状に区切られたセルと単純なルー
ルによって表される時間、空間、状態
量が離散なモデル。
•セルは有限な状態を持ち、状態の変化
は時刻tにおける、注目セルと近傍セル
状態を使ったルールによって時刻t+1に
おけるセルの状態が決定される。
•有名なセルオートマトンとしてライフ
ゲームがある。

6. ElementaryCellularAutomaton
0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1
0 0 0 1
1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1
1 1 0 1
0
0
1
0
1
2
0
1
2
3
2進数で:10111000
ルール番号：184

7. フロアフィールドモデル
• 各マスにはフロアフィールド(FF)と呼ばれる何らかの数値
が埋め込まれている。(ここでは出口までの距離：マス数)

8. 囚人のジレンマ
•二人のプレイヤーが同時に、協調(C)か裏切り(D)を
選択する。
•手の結果からそれぞれに得点が入る
•ゲーム理論的には裏切りを選ぶのが最良の選択。
•しかし、裏切り合うよりも協調し合うほうが得点
が高い。
相手の手
協調(C) 裏切り(D)
自分の手
協調(C) (3, 3) (0, 5)
裏切り(D) (5, 0) (1, 1)

9. 囚人のジレンマ
•重要なこと
•緑の得点は赤の得点より高くなければならな
い
•緑の得点2回分は交互に協調・裏切りを行っ
た時より大きくなければならない。
•こ表の場合 3×2 > (0+5)/2
相手の手
協調(C) 裏切り(D)
自分の手
協調(C) (3, 3) (0, 5)
裏切り(D) (5, 0) (1, 1)

10. 提案手法
•フロアフィールドモデルで競合が起
こった時に囚人のジレンマをする。
壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁
壁 4 3 2 1 出口 1 人 3 人 壁
壁 5 人 3 2 人 2 3 4 5 壁
壁 6 人 4 3 2 3 4 人 6 壁
壁 人 6 5 4 3 人 5 6 7 壁
壁 8 7 6 人 人 5 6 7 8 壁
壁 9 8 7 6 5 6 7 人 9 壁
壁 人 9 人 7 6 7 8 9 10 壁
壁 11 10 9 8 7 人 人 10 人 壁
壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁

11. 提案手法
•絶対協調する人と絶対に裏切る人の2種
類を用意。
•CC ならどちらか一方が進む、CD ならD
の人が進む、DD なら誰も進めない。
相手の手
協調(C) 裏切り(D)
自分の手
協調(C) (0.5?, 0.5?) (0, 1)
裏切り(D) (1, 0) (0, 0)

12. シミュレーション設定
• 人の数は100人
• 人の移動は上下左右の4方向とその場にとど
まる選択ができる。
• 人は出来るだけ出口までの最短ルートを通
ろうとする。
•人は衝突した時必ず協調する人と、必ず裏切
る人の2種類を用意。
• 複数の人が同じマスに入ろうとしたときは
囚人のジレンマを行う。

13. シミュレーション

14. 結果

15. 考察
• 協調する人二人が出口を囲み、残った一方に裏切る人のま
とまりが並んでいると、裏切る人が流れ込んでいく現象が
見られた。
壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁
壁 裏 協 出
口
裏 裏 裏 壁
壁 裏 裏 協 裏 裏 裏 壁
壁 裏 裏 裏 裏 裏 壁
壁 裏 裏 壁
壁 裏 壁
壁 裏 裏 裏 裏 壁
壁 裏 裏 壁
壁 裏 裏 壁
壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁

16. 追加シミュレーション1

17. 追加シミュレーション2

18. 追加シミュレーション3

19. 追加の結果

20. ここまでのまとめ
•裏切る人が多いと避難に時間がかかる
•出口の2辺を協調する人が囲むと避難が
早くなる。
•→予め障害物を用意しておかなくて良い。
•→警備員や誘導員ではダメ。
•避難時は実は少数の善人に全体が救わ
れている?

21. ただ問題が…
•実は利得表が囚人のジレンマになっていない
…
•緑の得点は赤の得点より高くなければならな
い
•緑の得点2回分は交互に協調・裏切りを行っ
た時より大きくなければならない。
こ表の場合 0.5×2 = (0+1) 相手の手
協調(C) 裏切り(D)
自分の手
協調(C) (0.5?, 0.5?) (0, 1)
裏切り(D) (1, 0) (0, 0)

22. 酸素の消費
•囚人のジレンマの結果、室内の酸素を消費す
る。
•全体としての酸素の消費を指標にしてみる。
相手の手
協調(C) 裏切り(D)
自分の手
協調(C) (-2, -2) (-5, 0)
裏切り(D) (0, -5) (-4, -4)

23. 結果
消
費
し
た
酸
素
量
裏切る人の割合(%)

24. 比較？

25. 今後
•正しい囚人のジレンマの利得表を考え
る。
•人の種類を増やす。
•セルオートマトンでなく、連続空間で
シミュレーションしてみる。

26. おわり