本研究は、開発途上国におけるより効果的な水・衛生教育のあり方について、ラオス農村部の小学校において独自に行ったフィールド調査の結果を用いて検証を行った。今日、世界の国々は富める先進国と貧困に悩む途上国に分けられ、その暮らしのあまりにも大きな差は、さも世界が二分化されていると言っても過言ではない。そして今、その内の途上国は貧困を引き金とした飢餓や教育の不足等の多くの社会問題を抱えている。その中の一つに水・衛生問題がある。水は人間にとって生命の維持や生活に欠くことのできないものであり、2015年に国連が定めた「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)でも全ての人々が安全な水を使用できることを項目の一つに掲げられているほどである。しかし現状、世界では約9億人もの人々が安全な水にアクセスをすることができず、そしてそのほとんどは途上国の住民である。今回、我々はこの水・衛生問題に着眼し、2016年9月にラオスの小学校に赴いて質問票調査とインタビュー調査を行った。今回はそれにより得た調査結果と、これまでの論文のデータに基づき、途上国の水・衛生の現状と、その子どもの健康への影響を計量経済学的に検証した上で、今後実行可能な方策を提示する。