某社内勉強会の資料。 Chain of Responsibility Pattern について解説する

1. Chain of Responsibility Pattern
勉強会 Design Pattern 編
2019年7月22日 神村素輝

2. 2
• 振舞に関するパターンの一つ
• 多種のシグナルや要求に対処するときに有用
• 複数の Handler オブジェクトを鎖状に連結して、処理できるオブジェクト
に辿り着くまで鎖を辿る。
• 所謂 「たらい回し」
• オブジェクトの順序関係(所有とか)が様々あり得る場合でも、1つのロ
ジックで対応できる。
Chain of Responsibility (CoR) Pattern とは

3. 3CoR Pattern の一般型
• 要求 を受けた Handler の動作
• 渡された 要求 (の一部)が自身の専門であれば対処する。
• そうでなければ次の Handler に渡す。
クラス図
オブジェクトの
順序関係の具体例

4. 4
• オブジェクトの順序関係が単純で固定的な場合
→ 自由な組み合わせ方を想定していないクラス
• このときは switch 構文で分岐した方が高速
いつも CoR Pattern を使えば良いわけではない

5. 5例: Window System
• GUI部品同士の所有関係が木構造を成す
• ノードにシグナル(マウス押下, ホイール回転, キー押下, etc.)が飛んでくる
• 自身に関係ないシグナルは親ノードに渡す
• 自身に関係あるシグナルなら適切に処理した後に親ノードに渡す(止めることもある)
window
tabControl
page1 page2
button chkbox1 chkbox2 textBox label

6. 6動作例：ボタンのクリック
• 状況: フォーカスが button にある
1. button に SIG_MOUSEUP が来る
2. button は クリックイベントハンドラを実行
window
tabControl
page1 page2
button chkbox1 chkbox2 textBox label
SIG_MOUSEUP

7. 7動作例：フォーカス移動
window
tabControl
page1 page2
button chkbox1 chkbox2 textBox label
• 状況: フォーカスが button にある
1. button に SIG_KEYDOWN_TAB が来る
2. button はシグナルを親(page1)に渡す
3. page1 はフォーカスを chkbox1 に移す
SIG_KEYDOWN_TAB

8. 8動作例：ページ切り替え
window
tabControl
page1 page2
button chkbox1 chkbox2 textBox label
SIG_KEYDOWN_TAB
状況:
• フォーカスが chkbox1 にある
• 既にCTRLキーが押されている
1. chkbox1 に SIG_KEYDOWN_TAB が来る
2. chkbox1 はシグナルを親(page1)に渡す
3. page1 はシグナルを親(tabControl)に渡す
4. tabControl はページを切り替える

9. 9動作例：ウィンドウを閉じる
window
tabControl
page1 page2
button chkbox1 chkbox2 textBox label
SIG_KEYDOWN_F4
状況:
• フォーカスが chkbox1 にある
• 既にAltキーが押されている
1. chkbox1 に SIG_KEYDOWN_F4 が来る
2. chkbox1 はシグナルを親(page1)に渡す
3. page1 はシグナルを親(tabControl)に渡す
4. tabControlはシグナルを親(sampleWindow)に渡す
5. sampleWindow は閉じる

10. 10まとめ
• 多種のシグナルや要求に対処するときに有用
• 複数の Handler オブジェクトを鎖状に連結して、処理できるオブジェクト
に辿り着くまで鎖を辿る。
• オブジェクトの順序関係(所有とか)が様々あり得る場合でも、1つのロ
ジックで対応できる。