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信州大学におけるGakuNin RDM 導入事例
- 2. 本日の報告内容 信州大学の概要と研究データに対するニー ズ GakuNin RDM導入に至る経緯 GakuNin RDMの運用体制と運用状況 今後の取組とGakuNin RDMへの期待 2022/6/1 2
- 4. GakuNin RDM導入に至る経緯(1) 2018/3 研究データの保存等に関す るガイドライン（いわゆる10年保 存） 研究担当 理事裁定 2019/3 将来的に保存先として 「GakuNin RDMを視野に」 検討を行うことを了承 不正行為 防止計画 推進室会議 2019/5 GakuNin RDM実証実験（第 2期）参加 関係職員 2022/6/1 4 このタイミングで、GakuNin RDM等の動向に ついて研究推進部と情報交換・意見交換
- 5. GakuNin RDM導入に至る経緯(2) 2022/6/1 5 2019/7 オープンサイエンス推進部 会設置 附属図書館 2020/10 研究データに関する項目 （データの種類、容量等） を含む教員アンケートを実 施 OS推進部会 2020/12 GakuNin RDM先行利用開 始 附属図書館・ 総情センター 2021/1 GakuNin RDM正式導入決 定 OS推進部会
- 6. 研究データ管理に関わる学内組織(1) オープンサイエンス推進部会（2019.7〜2022.3） ミッション： オープンアクセス方針策定(2021.8 施行) https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/library/e-information/openaccesspolicy.html 研究データ管理についても学内アンケート・インタビュー等 附属図書館の学術情報・図書館委員会の下 附属図書館長を中心に、各部局の教員 ＋総合情報センター＋研究支援課（オブザーバ） 2022/6/1 6
- 8. 研究者 事務部門 GakuNin RDMの運用体制 附属図書館 • 利用方法の案内資料等整備 • 問い合わせへの対応 総合情報センター • 機関ストレージの検討 • 学認IdPなど認証関係の整備 研究支援課 • FD等を通じた広報 （主に研究公正の観点） 2022/6/1 8 任意に登録して利用 問い合わせ ・回答 問い合わせ ・回答 技術情報の共有 FD等を 通じた広報 研究者への広報や 利活用方法の検討
- 9. GakuNin RDM導入にともなう施 策 GakuNin RDMの学内運用要項を制定 機関リポジトリの運営要項をベースに GakuNin RDMの学内向け説明ウェブページ を作成 登録・利用方法、要項、FAQなど https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/library/use/gakunin-rdm.html 研究不正に関する学部説明会などで GakuNin RDMを紹介 GakuNin RDMメインの説明会はまだ 2022/6/1 9
Editor's Notes
- 信州大学附属図書館の岩井と申します。GakuNin RDMの導入事例として、図書館の立場から報告をさせていただきます。
- 報告内容といたしましては、大学の概要と研究データに対するニーズ、GakuNin RDM導入に至る経緯、GakuNin RDMの運用体制と運用状況、そして、今後の取組とGakuNin RDMへの期待という順番になります。
- まず信州大学についてですが、長野県に5キャンパス8学部を置く総合大学です。地理的に、キャンパスとキャンパスの間が離れていて、松本から他のキャンパスへは1時間前後、北の方から南の農学部へ行こうとすればもっとかかるという環境です。離れたキャンパスにいる複数の研究者が参加する研究というのが当然行われますので、研究データのプラットフォームというものを考えるにあたっては、セキュリティを保ちながら離れた研究者間でデータをどう共有していくかというのが一つ重要なポイントです。また、ご覧のように人文・社会・自然科学と広い分野にわたっています。分野が違えば、扱う研究データの種類というのも大きく変わってきます。多様な研究データを扱えるということも、ポイントの一つになります。
- そんな信州大学で、GakuNin RDM導入に至る経緯を簡単に振り返ってみます。2018年3月に、「研究データの保存に関するガイドライン」という学内のガイドラインが理事裁定によって定められました。多くの大学でも同様のものがあると思いますが、いわゆる10年保存ルールというものです。このガイドラインの段階では、研究データの保存先については特に明示がなく、各研究者は適切に管理・保存せよ、各部局長はそのための教育指導や環境整備を行えという記述にとどめていました。 この段階では図書館はこれに直接は関係していなかったのですが、研究データ管理というものが今後大学として重要になってくるから、図書館でも考えておかないとね、という話は、例えば、NIIさんが研究データ管理の教材を公開されたりといった動きを通じて、なんとなくは感じていました。その中で、GakuNin RDMというのをNIIさんで準備中である、という情報を知って、これはそのガイドラインとかと結びつけて考えられないだろうか、ということを考えて、研究支援課と情報交換・意見交換したというのが、話が動き出すきっかけになったと思います。 それを受けて、将来的に保存先としてGakuNin RDMを視野に検討を行うというのが、学内の会議で示されたということがあり、それでは実際にどういうシステムなのかというのを知りたいということもあって、実証実験の第2期から、ごく一部の職員だけでしたが、参加をさせていただきました。これが2019年です。
- そして同じ時期からですが、附属図書館にオープンサイエンス推進部会というものが設置されました。◆ この部会にて、まあ他にも講演会の開催とかいくつか活動はあったのですが、GakuNin RDMに関連するところだけこちらには記載しております。研究者向けアンケートでは、どういうデータの種類・容量のデータをもっているかということを聞いていて、そこでやはり数十数百テラバイトという方も複数いたりとか、いろいろなことがわかりました。その上でやはりGakuNin RDMは、そこで全てということではないにせよ、たとえばデータ共有だとかタイムスタンプといった機能にメリットがあるということで、部会として導入を決定し、あとの学内手続きを経て、利用開始に至るという流れです。
- これは、主にはオープンアクセス方針の策定と、研究データ管理に関しても、学内アンケートやインタビューを行ったうえで、何らかの方針を示したい、というのが狙いでした。位置づけとしては、附属図書館の運営委員会に相当する学術情報・図書館委員会の下という形で、附属図書館長を中心に各部局の教員、それに関連部局として総合情報センターや研究支援課の教員や職員が参加するという形でした。◆
- そして、研究データに関する組織としては、先ほどのオープンサイエンス推進部会に代わって、今年度から研究データ作業部会というのが新たに発足しています。オープンアクセス方針の策定が昨年終わったということもあり、トピックを研究データに絞った形で、かつ、全学の本部組織の方で理事直轄の組織という形になりました。事務組織としては、オープンサイエンス推進部会のときと同じ三者が入っており、附属図書館が事務局を担当しています。まだ始まったばかりですが、研究データポリシーの策定や、研究データ管理基盤、支援体制の検討が主なミッションです。ここでいう管理基盤は、GakuNin RDMを想定していますが、機関ストレージの確保が課題となっているため、主な検討課題はそこになるかなと思っています。
- 現在のGakuNin RDMの運用体制を図にしてみました。信大では、利用者である研究者が、GakuNin RDMに任意に登録して利用する形です。事務部門として、研究支援課・附属図書館・総合情報センターの三者が入っています。附属図書館がハブになって、研究者からの問い合わせに対応したり、研究支援課との間で広報や利活用に関する検討、総合情報センターとの間で技術情報の共有などを行っています。
- 具体的にこれまでやってきたことを挙げると、先ほどの図にあるように、利用は研究者に委ねているので、事務部門では支援的なこと、たとえば学内運用要項を決めたり、学内向けのウェブページを作成し、そこで登録・利用の方法を案内したりFAQを載せたりしています。また、研究支援課の方では、研究不正に関する学部説明会を定期的に実施しているのですが、その中でGakuNin RDMについても案内を行ったりしています。GakuNin RDMをメインにした説明会というのは、実はまだやっていないため、そこは今年度取り組んでいきたいと考えているところです。
- 導入後の運用状況についてですが、利用者は徐々に増加しているらしい、これは現在の管理者機能では完全に把握することができないため「らしい」なのですが、じわじわとですが、使う人が出てきていると。ある学科では、学科全体で利用するということを始めていたりします。問い合わせについては時々ですがあって、ログインまわりとかストレージ関係の質問が来ます。たまにですが、質問がきっかけでGakuNin RDM自体の不具合が発見されたということもありました。そして、先ほど機関ストレージの確保が課題ということを申しましたが、それが故に、現在はNIIさんで用意していただいている標準ストレージに、必要に応じて各自で拡張ストレージを接続するという形で利用されています。
- これから本学で取り組むこととしましては、先ほどの繰り返しになりますが、機関ストレージの確保、学内向け説明会等の周知活動、利用事例の形成、研究データポリシーの策定といったところを考えています。利用事例の形成というのは、実際に利用されている方にインタビューなどを行い、他の研究者が利用を始める際の参考となるようなものができればというところです。
- そして最後に、今後のGakuNin RDMに期待することとしては、共通メタデータ項目とDMPへの対応、これは統合イノベーション戦略推進会議から出ている「公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方」に示されているものですが、2023年を目処に、すべての公募型資金において導入されることになっていますので、それに対応した管理がGakuNin RDM上で出来るようになることが希望です。また、機関リポジトリと連携して、公開したいデータが簡単にリポジトリに登録できるようにすること。そして、先ほどの利用事例の形成と似てますが、NIIさんの方からも、利用事例・グッドプラクティスの発信を、すでにいくつか動画が公開されていますが、動画以外の形でもあるとありがたいなと思います。 信州大学からの報告は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。