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社会的資源としてのデータを活用した 地域の環境コミュニケーション活性化 ―川崎市との共同研究から―

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7/30 情報社会学会 研究発表大会
Work In Progress発表:庄司昌彦・菊地映輝「社会的資源としてのデータを活用した地域の環境コミュニケーション活性化―川崎市との共同研究から―」
https://www.facebook.com/infosocionomics/posts/1223598247659184

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社会的資源としてのデータを活用した 地域の環境コミュニケーション活性化 ―川崎市との共同研究から―

  1. 1. 社会的資源としてのデータを活用した 地域の環境コミュニケーション活性化 ―川崎市との共同研究から― 庄司昌彦 国際大学GLOCOM 准教授/主任研究員 菊地映輝 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 後期博士課程 1
  2. 2. 本報告の要旨 • 筆者らと川崎市環境総合研究所は2014年度から 「環境情報・写真データを用いたコミュニティ活性化 支援に関する共同研究」を行っている。 • 本共同研究では、川崎市の環境の推移等を示すデー タ・写真・映像素材等を社会的資源として活用するこ とで、多様な世代や人々とが環境コミュニケーション を活発化させる手法の確立に取組んでいる。 • 本報告では3年計画の2年目が終了したところまでの 研究概要と成果、今後の課題を報告する。
  3. 3. 問題の所在(1) • 少子高齢化、単身世帯化、ライフスタイルの多様化等 が進む中では、地域コミュニティの運営に不可欠な住 民相互のコミュニケーションの活発化は容易ではない。 • 本来であれば住民同士の協働で解決可能な地域課題が 行政に持ち込まれる等、行政・社会的コストの増大等 が懸念される。 • 地域コミュニティが衰退すれば、住民の身近な地域社 会における環境保全等も立ち行かなくなることも予想 される(庄司 2010)。
  4. 4. 問題の所在(2) • 川崎市は過去に大規模な公害を克服し、またその過程で 高い技術を蓄積。今日では環境先進都市の1つである。 • しかし、少子高齢化・単身世帯化は川崎市にも訪れてお り(川崎市まちづくり局市街地開発部住宅整備課編 2012 )、近い 将来、コミュニティ衰退問題に直面する可能性が高い。 • 川崎市で公害に本格的に対策し始めた1970年代から約40 年が経過。公害の歴史や実情を知らない若者もいる。
  5. 5. 川崎市の環境をめぐる歴史 年 主な出来事 1924年 2町1村が合併し川崎市誕生。 1946年 金刺不二太郎が市長就任。 1952年 全国に先がけてバキュームカーを開発導入。 1969年 ゴミの毎日収集開始。 1971年 大気汚染による喘息発作で児童死亡。 金刺から伊藤三郎へと市長交代。 1972年 公害防止条例の制定 1990年 「ゴミ非常事態」を宣言 2005年 「川崎市一般廃棄物処理基本計画(かわさきチャレンジ・3R)」策定 公害問題 60年代半ば-80年代
  6. 6. 研究の目的 • 川崎市の環境推移、環境や自然に関わる人々の努力や取組み、街の姿の変 貌等を示すデータ・写真・映像素材等を社会的資源として活用。多様な世 代・人々の環境コミュニケーションの実現・活発化を3年計画で行う。 ⇒ 1年目(2014年度):「過去」に重点。地域の昔の様子がわかる写真や映像 素材を「発掘」し、それらを「活用」した環境コミュニケーションの実施。 ⇒ 2年目(2015年度):身近な地域の「現在」として路上ゴミ調査・データ 「生成」とビジュアライゼーションを行い、それらを「活用」し、今後の 地域社会のデザインに関する環境コミュニケーションに取組んだ。
  7. 7. 環境コミュニケーションとは 在間敬子(2010)による定義: • 狭義の環境コミュニケーション – 環境問題、環境活動、環境対策等環境に関するメッセージを伝えたり伝 えられたりする過程 • 広義の環境コミュニケーション – 受け手の環境配慮を促進しうる「社会心理としてのコミュニケーショ ン」および相互行為を通じて社会の環境配慮を促進しうる「社会過程と してのコミュニケーション」 ⇒ コミュニケーションを通じて人や企業、それらの総体としての 社会が環境配慮を行うようになっていくことが含意されている。 本研究「地域社会における環境コミュニケーションを活発化させる試み」も、 地域社会がコミュニケーションを通じより環境に配慮していくことを目指す。
  8. 8. 2014年度:「過去」データ資源の発掘と活用 1. 身近な環境の歴史的変遷把握: – 市保有の1952~2007年の「市政ニュー ス」映像(4時間分以上)を「臨海部の 歴史」「山間平地部の歴史」「公害の歴 史」の3テーマで各10分程度に再編集。 – 映像が環境コミュニケーションを誘発す る社会的資源として有効かを検討するた め「ウォッチソン」を試行開催。十分に 有効と結論づけた。 • ウォッチソン:ウォッチ+マラソンの造 語。共同研究チームで映像を全て視聴し 気づきや感想等を共有。 – 中原図書館所蔵の市内アマチュア写真家 (小串嘉男氏と倉形泰蔵氏)が撮影した 1937年以降の300枚以上の写真から川崎 の過去の環境の様子が分かるものを抽出。 小串嘉男氏 撮影(川崎 市立中原図 書館所蔵)
  9. 9. 2014年度:「過去」データ資源の発掘と活用 2. 体験・記憶を収集する対話的手法開発 – ワークショップを複数回開催。 • 市職員、環境NPO、環総研OBと過去の 環境を示す写真や動画を視聴した上で体 験談や気付きの聞き取りとディスカッ ションを実施。 • プロジェクター&スクリーン:3人1組 で話し手、聞き手、記録者の役割を交代 していくワークショップ手法。 • 生活スタイルの変化や、地域に根ざした 環境教育についての発見等が述べられた。 – 社会的資源のさらなる活用への意見 • 「子どもに(略)『昔は公害だったが今 は環境が良くなり街が発展した』(略) 『今、行動すると未来はこんなに変わる かもしれない』と(略)伝えられる」 • 「過去はネガティブなものではなく、最 終的には公害を改善して良好な環境や、 それを生み出すプロセス・文化を獲得し た。これらは川崎の資産だ」
  10. 10. 2015年度:「現在」データ資源の作成と活用 1. ゴミ拾い調査ワークショップの開催: – 一般にゴミ拾い活動で定量的把握や分析に は焦点が当たることは少ない。 – 市内主要駅前3ヶ所で、路上ゴミを拾い数量 や種類、よく落ちている場所等のオープン データを市民が作成し、考察するシビック サイエンス的調査ワークショップを開催。 – 計測には鳥類・昆虫類の個体数調査方法元 にピリカ社が開発した手法を採用。 – 路上ゴミの最多は川崎駅前、最少は新百 合ヶ丘駅前、鷺沼駅前は中間程度と判明。 – 川崎駅前はタバコ、鷺沼駅はガムの割合が 高い等、ゴミの種類や割合に違いがあるこ と、同じ駅でも場所(道)によってゴミの 量に大きな差異があること、暗い場所や植 栽等ゴミが捨てられやすい場所・建造物の デザインがあること等を参加者は発見。
  11. 11. 2015年度:「現在」データ資源の作成と活用 2. 動画からの画像解析による調査 (タカノメ調査)の実施: – 人力調査はコスト負担が課題 – 路上の様子をビデオ撮影し、画像解析して 自動的にゴミの種類と量を把握するピリカ 社の「タカノメ」システムによって、網羅 的に路上ゴミの実態分析を実施 – ヒートマップによる可視化も行った。 – 川崎駅前が他地域と比べ極めて路上ゴミが 多いこと、中でも多いのは「仲見世通り」 であることが判明した。 川崎駅前:たばこ以外のごみの分布
  12. 12. 2015年度:「現在」データ資源の作成と活用 3. ワークショップ開催 テーマ「ゴミ拾いとマチのデザイン」 – 参加者の多様性を高め、環境問題に関心を 持つ以外の人々も交えて検討 • 環境問題とは直接結びつかないテーマ設定 • 若者向けを意識したデザインの広報素材作成 • 意識的に地元企業や商店主等にも声をかけた – 路上ゴミ減少に繋がる「空間」と「行動」 のデザインをワールドカフェ形式で検討。 • 冒頭で2015年度調査の結果を報告 • 植栽等ゴミを呼込む場所のデザイン変更やファッ ショナブルなゴミ拾い活動等のアイデア – 成果 • 参加者の9割以上が「本イベントは市内の路 上ゴミ減少に役立つ」と評価。 • 一部参加者から新たなまちづくり活動が創発 するなど、想定以上の成果もあった。 • 街のあり方に関心を持つ地元コミュニティと、 環境問題に関心を持つコミュニティ等が交わ り新たな活動が創発する可能性が確認された
  13. 13. おわりに • 今後の課題 – 「過去」を表す(特に定量)データと、「現在」の身近な環境を表す写 真・映像の活用が不十分。 – 人々がデータをより深く理解し実際の活動に結びつくようなコミュニ ケーション手法の定式化と、成否評価の指標開発も必要。 – 上記を3年目の研究で解決し、その手法を「川崎モデル」として定式化 して市内外の普及を目指す。
  14. 14. 参考文献 • 庄司昌彦,2010,「地域SNSと環境保全活動」『環境情報科学』 39(1),34-39. • 川崎市まちづくり局市街地開発部住宅整備課編,2012,『川崎市 の住宅事情 2011』川崎市まちづくり局市街地開発部住宅整備課. • 在間敬子,2010,「中小企業の環境経営に対する支援の現状と課 題 : 地域社会における環境コミュニケーションデザインに向けて」 『社会・経済システム』31,45-58.

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