都市化と時間割引率の関係を調べています

1. 時間割引率から見る
都市化の行動経済的分析
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2. 発表内容
• 研究動機
• 時間割引率とは？
• 先行研究
• 仮説
• 利用データについて
• 分析
• 考察と今後の方針
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3. 研究動機
• 都市と地方で生活環境は大きく違い、そこに住む個人の
特性を形成している可能性
• 両者の違いを調べることで、現在進行中の都市化の利点
や欠点を把握
• これまでの研究で時間割引率が高いことによる弊害や自
然環境との関連性が判明
• この研究では今まであまり考慮されなかった都市規模で
の検証を行った
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4. 時間割引率について
• 時間割引率は簡単に言うと「せっかちさ」
• 時間に関する割引率の関数として、
「指数割引型」と「双曲割引型」がある
• 指数割引型が従来の経済学が想定していた関数
– 時間に対して割引率が一定
• 双曲割引型が「嫌なこと先延ばし」「ダイエット
失敗」タイプ
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5. 時間割引率とは？
時間
割引率
指数割引型の人
双曲割引型の人
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6. あなたはどちらのタイプですか？
• 夏休みの宿題をギリギリまでやらない
• ダイエットが長続きしない
• 欲しい物のためにコツコツ貯金できる
• 健康のために毎朝ジョギングできる
＊ちなみに、簡単な解決策としては周囲に自分の目標を
宣言するコミットメントという手段があります！
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7. 先行研究①
• Do natural landscapes reduce future
discounting in humans?
(van der Wal, Arianne J., et al., 2013)
→人間の時間割引率には進化的背景
→人々に都市風景と自然風景の写真を見せた後の時間割
引率を実験により測定
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8. 先行研究②
• 消費者の主観的割引について
ーアンケート調査の結果からー
（晝間文彦 ２００１年）
→一般職業人と債務問題相談者にアンケート
→双曲割引、金額効果、符号効果の検出
→債務問題者の時間割引率が有意に高い
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9. 先行研究③
• 喫煙と禁煙の行動経済学
（依田高典 ２００９年）
→成人男性700人に対してアンケート調査
→喫煙者は禁煙者より近視眼的な時間割引をする
→喫煙本数が多いほど、またニコチン摂取量が
多いほど時間割引率が高い
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10. 仮説
• 仮説Ⅰ
自然環境に囲まれた地方の人は都会の人に比べて
時間割引率が低い
• 仮説Ⅱ
時間割引率が高い人は、利便性の高い効率的な
生活を求めて地方から都市へ移動
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(先行研究①より)

11. 使用したデータ
• くらしの好みと満足度についてのアンケート
→大阪大学社会経済研究所(研究代表:筒井義郎教授)が実施
→現在の経済学が前提としている人々の好みと満足度につい
ての見方が正しいのかどうか明らかにする為に実施
→15歳以上のランダムサンプル
→報酬ありで約70程度の質問
→毎年行われているが今回は2009年のデータを使用
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12. 主な質問項目
• 時間割引率を測るもの
※詳しくは次のスライド
• 属性を知るもの
例）性別や年齢、世帯構成などを尋ねる質問
• 負債の有無や喫煙頻度を尋ねたもの
例）あなたの世帯には現在負債がありますか など
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13. • 具体的に割引率を測る質問
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14. • 転居希望に関する質問
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15. 都市規模ごとの時間割引率
• 回答者の住んでいる都市の規模を4分類
– 1=政令指定都市
– 2=人口10万以上市
– 3=人口10万未満市
– 4=町村
• 都市規模ごとに時間割引率が異なるか、
一元配置の分散分析を実施
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16. 都市規模ごとの時間割引率
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-10
-5
0
5
10
15
1 2 3 4
標準偏差
平均値

17. 都市規模ごとの時間割引率
要因 自由度 平方和 平均平方和 F-値 P-値
都市規模 3 113 37.63 0.378 0.769
誤差 5551 552334 99.5
分散分析表 有意ではない
• この分析では都市規模ごとに差はない
• しかし、都市規模の影響が別の要因で相殺されて
いる可能性も
– 都会は割引率の高い○○な人が多い一方、割引率の低
い××な人も多いので打ち消し合う、など…
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18. 条件をコントロールして分析
• 可能な限り条件を組み込んで分析
– 性別、既婚・未婚、年齢、学歴、職種、世帯人数、収
入など
• 都市規模からその他の要因を分離できる
• 被説明変数は、回答者の時間割引率
• AICを指標とし、変数を選別
– AIC: 統計モデルの良さを評価するための指標
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19. 分析結果の一部
推定値 p-値 推定値 p-値
（切片） 52.07 流通業ダミー 21.47*
年齢 2.96* 子供の数 -6.64*
年齢^2 -0.03# 家族形態ダミー 40.49***
高卒ダミー -40.27** 世帯人数 3.25
短大卒ダミー -42.78** 文化的環境指向ダミー 32.18***
大卒ダミー -43.59** 家族同居指向ダミー 9.53#
就業ダミー -45.07*** 公営借家ダミー 50.71**
販売職ダミー 28.45* 年収（対数） -13.33***
パート主婦ダミー -30.44* 仏教ダミー -8.93#
パートダミー 24.07* 小市ダミー 10.11#
バイトダミー 35.42* #:10% *:5% **:1% ***:0.1%
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20. 分析結果とまとめ
• 都市規模に関して有意性は弱い
• 都市規模と時間割引率に関連がない可能性も
• 今後の分析では
– コントロール変数を整理する
– 都市移動についての分析を進める
• 時間割引率（または双曲割引）の面から都市化の
効果や長所・短所に言及することが目標
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21. ご清聴ありがとうございました。
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