簡単な統計学

Iris Lovinson
簡単な統計学
Copyright 2013 Iris Lovinson 0
統計学を始める人のためのものなので、
厳密さは追求していません

溢れるデータ
• 世の中を調査すればするほどデータは溢れてくる
• 個々のデータだけを見て全体的傾向や法則を見出すのは難しい
身長156cm
体重50.5kg
身長155.6cm
体重51kg
身長153cm
体重52.7kg
身長155.9cm
体重55kg
身長159.6cm
体重55.1kg
身長159.6cm
体重55.4kg
身長156cm
体重55.7kg
身長156.5cm
体重56kg
身長158.7cm
体重56.4kg
身長158.3cm
体重56.6kg
みんな身長150cm台
で体重50kg台という
のは分かるけど・・・
データ量やバラツキ
が増えると一目で把
握するのは更に困難

統計学の意義
• 細かい情報を捨象して全体的傾向を抜き出す
• 全体傾向を数値的に把握することができる
体重身長
50.5 156
52 155.6
52.7 153
55 155.9
55.2 159.6
55.4 159.6
55.7 156
56 156.5
56.4 158.7
56.6 158.3
平均体重：54.6kg
体重のバラツキ：2.0kg
平均身長：156.9cm
身長のバラツキ：2.0cm
全体の傾向が
一目で把握できる
身長が増えると
体重も増える傾向に
あるね

良くある統計的手法
1. 平均
2. 分散と偏差
3. 相関
4. 分布
5. 正規分布
6. パーセンタイル

1. 平均
• データ全体の大体の値(データ1つ辺りの値)
• データを全て足し合わせてデータの個数で割る
• 大まかな値を知ることはできるが細かい情報は消失する


n
k
kx
n
x
1
1
55.54
10
56.6+56.4+56+55.7+55.4+55.2+55+52.7+52+50.5
体重
赤も青も同じ平均値(真ん中)
細かい情報が見れない
横軸：データ値、縦軸：データ数 Copyright 2013 Iris Lovinson 4

2. 分散と偏差(1)
• 平均からどのぐらいずれているか(平均からのズレの平均)
• 平均に加えてもう一段階詳しい情報を見れる
    22
1
222 1
xxxx
n
xx
n
k
kxxx  
分散：
偏差： x
平均からマイナス方向にずれたものも、
プラス方向にずれたものも等しくズレとして扱う為に、
平均からのズレの2乗を平均している
分散は2乗したものの平均
偏差はそのルートを取ることで
データのズレを表す指標とする

• 下図の通り平均が同じでも偏差(σ)で全体の特徴が異なる事が分かる
• 偏差(σ)が大きいほどデータは平均から外れている
赤いデータのσ赤いデータのσ
青いデータのσ 青いデータのσ
平均

• 体重の偏差を計算する
0.2
8725.3
55.54
10
56.6+56.4+56+55.7+55.4+55.2+55+52.7+52+50.5 2
2222222222
222




体重
体重体重体重


体重の偏差体重の偏差
体重の平均

3. 相関(1)
• 二つのデータ間の関係性がどのぐらい強いかを見ることができる
• は-1~1の実数値で0に近いほど2つのデータの関係性は薄い
  
   22
yyxx
yyxx
r
yyxx
xy
yx
xy
xy







相関係数：
xyr
負の相関強い正の相関強い相関が有ると言う時
相関の強さが問題になる
xyr
xyr
下図：横軸は1つのデータ、縦軸はもう1つのデータ。相関が1, -1に近付くほどブレがなく、相関が0に近付くほどデータはバラバラになる。

3. 相関(2)
• 「xが平均より大きい時にyも平均より大きい」かつ「xが平均より小さい
時にyも平均より小さい」時に相関関数は正の値になる→正の傾き
• 「xが平均より大きい時にyが平均より小さい」かつ「xが平均より小さい
時にyが平均より大きい」時に相関関数は負の値になる→負の傾き
  
   22
yyxx
yyxx
r
yyxx
xy
yx
xy
xy







相関係数：
負の相関強い正の相関強い
xyr
xyr

3. 相関(3)
• 最初のデータの身長と体重は強目の正の相関が有る
57.0体重身長r

3. 相関(4)
• 相関が有るからといって因果関係は言えない
アイスクリームの売上と水死者数には相関が有ることが分かった
→アイスクリーム売上が水死者の原因？
→水死者がアイスクリーム売上の原因？
夏にアイスクリームの売上と水死者数が伸びているだけ

4. 分布(1)
• ある値のデータがどのぐらい有るかを見たもの
• 例：横軸：データ値、縦軸：データ量
• 分布の値の足し合わせが1になるようにして確率を表す場合も多い
• この時特に「確率分布」と言う

4. 分布(2)
• 分布を利用することにより平均を以下のように計算することができる
 
   
 
 
 
 














dxxfx
dxxg
dxxxg
x
n
x
dxxg
xg
xf
xg
n
k
k
1
1
分布：
確率分布：
平均：
積分(∫)は足し合わせること。
足し合わせる範囲は対象となる範囲
(ここでは－∞～∞としている)
つまりこの積分は平均の式のnに相当

5. 正規分布
• 扱いやすく適用範囲も狭くないため様々な分布は正規分布で近似さ
れることが多い
• IQの分布は正規分布に従うとされている
 
 







 
 2
2
2
2
exp
2
1
xx
xx
xf

   xx
ex 2.71828exp 
正規分布：

6. パーセンタイル(特に正規分布のもの)
• 分布の最下限からあるデータ値までの間に全体の何%が有るか
• 例えば以下の正規分布で
• <x>+σなら84.1パーセンタイル
• <x>+2σなら97.7パーセンタイル
 
  dx
xx
zP
z
xx
  






 
 2
2
2
2
exp
2
1

パーセンタイル：

想定例題1
MENSAの平均IQ
(仮定+理論値)

準備
• 正規分布関数
• 平均μ、偏差σ
• パーセンタイル
• 逆関数(パーセンタイル)
   







 
 2
2
2 2
exp
2
1



x
xf
    dx
x
zP
z
  






 
 2
2
2 2
exp
2
1



   
 ZPz
dx
x
zPZ
z
1
2
2
2 2
exp
2
1










 
  



MENSAの平均IQ 仮定
• 以下を仮定する
• IQは正規分布に従う
• MENSA内IQ分布は上記正規分布の98パーセンタイル以上と同じとする
人類全体のIQ分布(正規分布) MENSAのIQ分布(仮定)
MENSA入会可能

MENSAの平均IQ 計算
• 以下の通り平均IQはμ+2.42σ
• これは99.2~99.3パーセンタイルに相当
  
  
    
  
  
 
 
 


























 
















42.2
2.05374902.0
2
exp
2
50
02.0
1
02.0
2
22
1
98.098.0
98.0
98.0
1
11
1
1
P
x
PP
dxxfdxxfx
dxxf
dxxfx
P
PP
P
P

想定例題2
計測可能な範囲の
MENSAの平均IQ
(仮定+理論値)

計測可能な範囲のMENSAの平均IQ
• 3σ(99.87パーセンタイル)以上は計測不能とする
• それより上は除外して平均を取る
MENSAのIQ分布(仮定) 計測可能な部分の平均をとる(青色)

計測可能な範囲のMENSAの平均IQ
• 以下の通り平均IQはμ+2.199σ
• これは98.5~98.6パーセンタイルに相当
  
 
  
 
    
 
  
 
     
 
 
 
 
 




























 




















199.2
2.05374902.0
30013.0
2
exp
2187
10000
0013.002.0
1
1
02.0
0013.0
2
22
11
9987.0
98.0
9987.0
98.0
9987.0
98.0
9987.0
98.0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
P
P
x
PPPP
dxxfdxxfx
dxxf
dxxfx
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P

おしまい

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