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地理空間データの基本
神戸情報大学院大学
小塩篤史
略歴 小塩 篤史(Atsushi Koshio)
株式会社IF 代表取締役CEO
株式会社 HYPER CUBE 取締役CIO
株式会社Four H 代表取締役
神戸情報大学院大学 客員教授
アジア開発銀行 高度技術活用基金 Lead Specialist
Keyword:研究&起業、未来学、データサイエンス&人工知能、最先端技術のマ
ネジメント、デジタル 特に医療領域での活動経験が長い
学術関係
事業構想大学院大学事業構想研究科 准教授・教授・研究科長 (事業構想学・イノベーションマネジメント)
日本医科大学医療管理学教室 助教 (医療管理学・医療情報学)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 客員研究員 (人工知能・経営科学)
東京大学政策ビジョン研究センター 特任研究員 (医療情報学、医療政策学)
文部科学省科学技術学術政策研究所 客員研究官(医療分野の未来予測)などを歴任
東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 客員学生
事業活動
研究者・事業家の2足の草鞋をはきながら、専門分野である未来学、データサイエンス、人工知能、技術経営などを背景に活動している。未
来の社会課題に対して、その解決の方向性を示唆する未来フィクションを描きつつ、現場の専門知、生活レベルの感性、最先端の研究を融合
させた新しい解決策を提案することが主な仕事。
経歴
実績として、病院向け意思決定支援システムの開発、クラウドをベースにした電子カルテシステムの開発・医療情報データ解析のプロジェク
ト、地域医療情報システムの開発、歯科向け画像解析システム開発等を実施。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院では、 AIやシ
ミュレーションによる経営改善、並びにデジタルマーケティングに関する共同研究を実施した。事業構想大学院大学では、研究科長として事
業構想カリキュラムの構築や大学運営に携わった。
研究テーマ
人工知能分野では、分散共創学習モデルの構築とデータプラットフォームの研究ならびに、宇宙IoT領域を通じたSDGs貢献のための研究を実
施。それ以外に、未来学の方法論構築、イノベーション創発手法の開発などに取り組んでいる。
地理空間技術の特徴
• 地理情報 強力な可視化ツール
例えば、天気予報 降水量
• 位置情報 場所の正確な把握
例えば、ナビゲーションシステム
皆さんが使っているアプリで、位置情報を使っているものは何が
ありますか?
地理空間情報キーワード
つなぐ
文脈
宇宙視点
実は、
「サイバー(ネット上の世界)」と「フィジカル
(リアルの世界)」を
つなぐのはG空間情報技術なのです
現実を把握するためのデータの基本形式
6W1H
• WHO(誰が)、WHOM(誰と・誰に)、WHEN(いつ)、
WHERE(どこで)、WHAT(何を)、WHY(なぜ)、HOW
(どのように)
• 例えば、コンビニのPOSデータ
• WHO(誰が)、WHOM(誰と・誰に)、WHEN(いつ)、
WHERE(どこで)、WHAT(何を)、WHY(なぜ)、HOW
(どのように)
• 「誰がどこで何を買ったのか」は分かる
地理空間情報は文脈を補完する
• 例えば、コンビニのPOSデータ
+地理空間情報(友人と山に登った)
• WHO(誰が)、WHOM(誰と・誰に)、WHEN(いつ)、
WHERE(どこで)、WHAT(何を)、WHY(なぜ)、HOW
(どのように)
• 「誰が誰と何のためにどこで何を買ったのか」が分かる!
つなぐ
• 位置情報があれば、近くにあるものをつなげることができる→シェ
アサービス マーケティング
ラストワンマイル問題を解決する
事例
• UBER アプリ
• タクシー配車アプリ
• 外国人観光客と外国語を話したい人
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• 近くでおすすめのお店を教えてくれる
宇宙視点
• 地理空間に触れると「宇宙視点」を獲得する
• 地理空間情報は「俯瞰」する
必然的に広い範囲と比較することになる
身近な状況もよりよく把握できる
• 地理空間情報技術は「国境」をこえる
世界中の情報を収集できる 成功事例は横展開が容易
• 地理空間情報技術は「領域」をこえる
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• 衛星インフラの充実
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画像以外のデータも遠隔で取得できる
衛星データの可能性
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• 高度や地表など地理情報
• 温度や降水・風速など気象情報
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• 衛星画像×時系列で「動き」「変化」の可視化
ヒトの移動、車の移動、観光客の移動
災害の被害の把握、インフラの老巧化
• 衛星画像×AIで、地上情報を自動取得
建物を数える、収穫予測する、駐車場の台数で販売量予測
老朽化したインフラをみつける
早期警報 スマホログ解析 ヘルスケア 農業
都市のマッピング ドローン
室内測位
おもてなし
スポーツ
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COVID-19
経済インパクトの評価
• 衛星から撮影した夜間光画像から経済状況
を予測するモデルを構築し、関連データを収
集し、コンペを実行した
• 時系列の画像と統計データ間で時系列解析
を行い、未来の経済指標の予測をおこなった
コロナ前 コロナ後
社会課題を地理空間情報で解決する
• 例えば、コロナで生じた課題をどのように解決しますか?
• 例題1
三密回避
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マスク不足
社会課題と地理空間情報
• 現実世界の課題をテクノロジーで解決する
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マスクマップ(台湾)
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被害状況の可視化
• 市民参加につながる
プライバシーへの懸念
• 地理空間情報の特徴は、そのまま懸念にもなる
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国境をこえるデータ取得
• 地理情報は一元管理よりも個人管理、分散型の管理が必要
Code for Myself
• http://ichnion.code4myself.org/
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